ブラジル、新型コロナの感染再拡大 変異種も確認

ブラジル北部マナウスでは再び死者数が増加している(8日)=ロイター

【サンパウロ=外山尚之】ブラジルで新型コロナウイルスの感染が再拡大している。国土の大半が南半球で夏にもかかわらず、経済活動の再開に伴い市民の気が緩み、既に冬の時期のピークを上回るペースとなっている。英国型の「変異種」の感染者も確認されており、厳しい状況が続く。

ブラジルでは2020年、冬季にあたる7~9月に各地で感染が爆発的に広がった。その後、主要都市での経済活動の制限で流行は下火となっていたが、11月ごろから再拡大が始まり、足元の新規感染者数(7日移動平均)は5万人を超え、既に昨年のピークを超えている。

再拡大の一因は気の緩みだ。飲食店の営業規制の緩和に伴い、パーティーが再開されるようになり、各地でクラスター(感染者集団)を発生させていた。大都市のサンパウロやリオデジャネイロは夏季で暑いため、マスクを装着せずに話す市民も多い。

英国や南アフリカで感染拡大の要因となっている変異種が、ブラジルでも感染を加速させている可能性がある。日本の厚生労働省は10日、ブラジルから羽田空港に2日に到着した男女4人が新型コロナウイルスでこれまで確認されていないタイプの変異種に感染していたと発表した。既にブラジル国内では英国型の変異種は確認されている。変異種がどの程度広がっているかは明確ではないが、既に市中に浸透していると指摘する専門家もいる。

ブラジルは検査体制が不十分で、実際の感染者数は公表数字より多いとされ、新型コロナの抗体保有率が高いとみられる。サンパウロ大の教授らが12月に米科学誌サイエンスで発表した論文によると、特に深刻な感染爆発に見舞われたブラジル北部の工業都市マナウスでは人口の76%が抗体を持っているという。流行が自然収束に向かう集団免疫獲得の条件を満たしたと考える人も増えていた。

しかし、マナウスでも昨年末から感染拡大が止まらず、市内の多くの病院の病床占有率が100%となり、収容しきれない遺体を安置するための冷凍設備を増やしている。医療関係者は「集団免疫は真実ではない」と市民に警戒を呼びかけている。

11日時点のブラジルの累計感染者数は813万人で世界3番目、死者数は約20万人で世界2番目に多い。

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