[コロナ下の貧困] 困窮者支援さらに厚く
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 新型コロナウイルスの感染拡大が長期に及んでいる影響で多くの人が仕事を失い、ごく普通の生活を支えきれなくなっている。
 自治体などへの生活苦の相談が急増し、政府が特例で拡大した生活資金の貸し付けで急場をしのぐ人も少なくない。首都圏1都3県に続いて福岡など7府県も対象となった緊急事態宣言で経済活動が停滞し、雇用情勢はさらに悪化する可能性がある。
 支援の現場には、女性を中心に貧困が広がっているという危機感が強い。政府は生活困窮者の実態に即した支援を続け、さらに拡充していかなければならない。
 厚生労働省が把握しているだけで、コロナによる解雇・雇い止めは8日時点で見込みを含め、観光・飲食関連など8万836人に上る。半分近くを非正規雇用で働く人が占める。都道府県別では2万人に迫る東京都が最も多く、大阪府、愛知県と続く。鹿児島県は877人だった。
 非正規労働者の苦境はほかの指標でも明らかだ。総務省の昨年11月の労働力調査によると、前年同月比62万人減の2124万人と、9カ月連続で減っている。
 昨年4月に緊急事態宣言が初めて発令されてから減少が目立ち始めた。7月には比較できる2014年以降で最大となる前年同月比131万人減となり、その6割以上を女性が占めた。鹿児島県内でも仕事を失った女性たちから「先を考えると不安でたまらない」といった声が上がっている。
 自治体がセーフティーネットとして設けている自立相談支援機関に昨年4~9月に寄せられた新規相談は39万件を超え、前年同期の3倍に当たる。10月以降も例年を大きく上回るペースで推移しており、厳しい状況が続いていることをうかがわせる。
 政府はコロナ禍で減収となった人に、生活費を無利子で貸し付ける生活福祉資金制度の利用を促している。
 このうち生活支援費は2人以上の世帯が月最大20万円を原則3カ月まで借りられる。融資決定件数は昨年3~12月で51万5000件に上る。特例で対象を広げたため単純比較はできないが、過去最多だったリーマン・ショック後の10年度の12倍以上に膨らんでいる。
 政府は一度で最大20万円借りられる緊急小口資金とともに、利用者の返済を来年3月末まで猶予すると決めた。さらに生活支援費の融資、家賃を公費で補助する住居確保給付金の支給も当面延長する。こうした支援策は切れ目なく続ける必要がある。
 命を守るために生活保護という選択肢も忘れずにいたい。厚労省は「申請は国民の権利。ためらわずに相談を」と呼び掛けている。必要な時は自治体の福祉事務所に連絡してほしい。