光ディスクの製造方法

Abstract

(57)【要約】 【課題】 貼り合わせ型の光ディスクを効率良く生産す
ることができる光ディスクの製造方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 連続した工程で、第1、第2の成形機に
より第1、第2のディスクを成形し、第1、第2のディ
スクを交互に反射膜形成装置に供給して第1、第2のデ
ィスクに反射膜を順次形成し、反射膜が形成された第
1、第2のディスクを保護膜形成装置に順次供給して第
1、第2のディスクの反射膜上に保護膜を形成し、保護
膜が形成された第1及び第2のディスクを貼り合わせ装
置に供給して第1及び第2のディスクを貼り合せてなる
光ディスクの製造方法であって、反射膜又は保護膜の形
成不良が生じた場合、貼り合わせ装置に供給する前に貼
り合わされるべき第1及び第2のディスクを対にして排
出することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、光学式ビデオディ
スクやDVD(デジタルビデオディスク)などの2枚の
ディスクを貼り合せて作製される光ディスクの製造方法
に関する。

【0002】

【従来の技術】従来の光学式ビデオディスクは、以下の
ような工程で作製される。まず、情報を支承するピット
が形成されたスタンパを射出成形機に取り付け、このス
タンパによってポリカーボネートやアクリルなどの透光
性の合成樹脂を射出成形することにより、ピットが転写
された透光性の合成樹脂基板を作製する。

【0003】次に、この基板のピット形成面(信号面)
にスパッタ法や真空蒸着法などによりアルミニウム又は
アルミニウム合金などを被着させ反射膜を形成する。次
に、この反射膜の表面に紫外線硬化型樹脂をスピンコー
ト法により塗布して紫外線を照射することにより保護膜
を形成する。

【0004】このようにして、貼り合わされるべきA
面、B面の一対のディスクをそれぞれ別々に作製した
後、それぞれのディスクの保護膜上にホットメルトタイ
プの粘着剤をロールコータなどにより塗布し、2枚のデ
ィスクを貼り合せることにより作製される。

【0005】最近、DVD(デジタルビデオディスク)
と称される小型で高密度記録可能な貼り合わせ方式の光
学式ビデオディスクが開発されているがこのDVDも前
述した従来の光学式ビデオディスクと同様な工程で作製
される。

【0006】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の成形
から貼り合わせまでの工程は、従来バッチ式で各工程用
の装置によって不連続に行われてきたが、最近では生産
の効率化のためにこれらの装置をハンドリング装置によ
って継ぎ、連続した工程で貼り合わせ方式の光ディスク
を生産することが要求されるようになってきた。

【0007】このように連続した工程で光ディスクを生
産する場合、貼り合わせ工程より前の工程でA面、B面
のどちらかのディスクに不良が発生してもそのまま貼り
合わせ工程に供給すると共に不良品の位置を監視し、そ
の後の検査工程で不良品を振り分けることが考えられ
る。

【0008】しかしながら、不良品を振り分けが最終工
程で行われるため、途中の工程でトラブルが発生すると
検査工程での良品、不良品の振り分けの信頼性が低くな
るという問題がある。

【0009】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたもので、貼り合わせ型の光ディスクを効率良く生
産することができる光ディスクの製造方法を提供するこ
とを目的とする。

【0010】

【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
連続した工程で、第1の成形機により第1のディスクを
成形すると共に第2の成形機により第2のディスクを成
形し、第1及び第2のディスクを交互に反射膜形成装置
に供給して第1及び第2のディスクに反射膜を順次形成
し、反射膜が形成された第1及び第2のディスクを保護
膜形成装置に順次供給して第1及び第2のディスクの反
射膜上に保護膜を形成し、保護膜が形成された第1及び
第2のディスクを貼り合わせ装置に供給して第1及び第
2のディスクを貼り合せてなる光ディスクの製造方法で
あって、反射膜又は保護膜の形成不良が生じた場合、貼
り合わせ装置に供給する前に貼り合わされるべき第1及
び第2のディスクを対にして排出することを特徴とす
る。

【0011】

【作用】本発明は以上の方法を用いたので、ディスクの
成形から貼り合わせまでを連続して行って貼り合わせ型
の光ディスクを製造する場合において、反射膜又は保護
膜の形成不良が生じた場合、貼り合わせに用いる第1及
び第2のディスクの一方に反射膜又は保護膜の形成不良
が生じた場合でも、貼り合わせ装置に供給する前に対と
なる他方のディスクを容易に判別することができ、対と
なる第1及び第2のディスクを排出することが容易とな
り、良品、不良品の振り分けの信頼性が向上する。ま
た、光ディスクのA面、B面にそれぞれ対応する第1、
第2のディスクが必ず対となって貼り合わせ工程に供給
されるため、光ディスクの貼り合わせミスを防止するこ
とができる。

【0012】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、DVDとCD(コンパク
トディスク)の兼用一貫生産システムに適用した一実施
形態の全体構成を示している。図2は、図1の構成の模
式的な平面構成を示している。図1及び図2において、
一点鎖線の矢印は、ディスクの搬送ラインと搬送方向を
示している。

【0013】まずA面、B面の一対のディスクを貼り合
せたDVDの生産工程について、図1及び図2に基づい
て説明する。A面のスタンパが装着された第1の射出成
形機1a及びB面のスタンパが装着された第2の射出成
形機1bにより、透明な合成樹脂製の第1のディスク基
板(A面)及び第2のディスク基板(B面)が同時にか
つ連続的に成形される。

【0014】成形された第1及び第2のディスク基板
は、第1及び第2の射出成形機1a、1bから、旋回移
載アームを有する取出機2a、2bで取出され、それぞ
れ自動巡回型の搬送機3a、3b上に受け渡される。搬
送機3a、3b上を搬送されて冷却された第1及び第2
のディスク基板は、搬送機3a、3bの取出し位置で一
対の旋回移載アーム4a、4bによって取出され、一対
の搬送機5a、5bに移載される。

【0015】一対の搬送機5a、5bに移載された第1
及び第2のディスク基板は、取出し位置で旋回移載アー
ム6によって交互に取出され、間欠的に回転するターン
テーブル(搬送ライン)7のディスク受け台(トレイ)
に交互に移載される。旋回移載アーム6は、所定角度に
配置され同時に旋回する2本のアームを有し、一方のア
ームが一対の搬送機5a、5bの一方からディスク基板
の取出し位置にある時他方のアームがターンテーブル7
のディスク受け台へのディスク基板の受け渡し位置にあ
るように旋回して第1及び第2のディスク基板をターン
テーブル7のディスク受け台に交互に移載する。

【0016】ターンテーブル7は、その円周方向に偶数
個のトレイを有している。これにより、交互に移載され
てくる第1及び第2のディスク基板は、必ず同一のトレ
イ上に載置される。従って、例えば第1のディスク基板
が不良となった場合、後述するように第1のディスク基
板及び貼り合わせの際対となる第2のディスク基板をタ
ーンテーブル7のトレイから確実に取り除くことができ
るようになる。ターンテーブル7により、間欠的に搬送
された第1及び第2のディスク基板は交互にスパッタ装
置8に供給され、スパッタリング法によりアルミニウム
又は、アルミニウム合金の反射膜が形成され再び同じデ
ィスク受け台に置かれる。

【0017】スパッタ装置8の駆動電圧及び積算電力
は、制御装置40により、モニタされており、制御装置
40は、スパッタ装置8の駆動電圧又は積算電力が所定
範囲内か否かを常時モニタし、スパッタ装置8の駆動電
圧又は積算電力が所定範囲外となったことに応答して貼
り合わされるべき第1及び第2のディスク基板のどちら
か一方にスパッタ不良が発生したとしても両方のディス
クを対で取り除くように後述する旋回移載アームを制御
する制御信号を発生する。

【0018】スパッタ装置8にて反射膜が形成され再び
同じディスク受け台に置かれた第1及び第2のディスク
基板はターンテーブル7によって間欠的に搬送され、不
良品排出位置で制御装置40からの制御信号に応じて旋
回移載アーム9により貼り合わされるべき第1及び第2
のディスクを対にして排出して不良品ストッカ10に収
納する。

【0019】ターンテーブル7によって間欠的に搬送さ
れてきた第1及び第2のディスク基板は、取出し位置で
ほぼ同時に一対の旋回移載アーム11a、11bによっ
て取出され、一対のスピンコータ12a、12bのそれ
ぞれに移載される。第1及び第2のディスク基板は、ス
ピンコータ12a、12bで反射膜上に紫外線硬化樹脂
からなる保護膜が塗布された後、一対の旋回移載アーム
11a、11bによって、スピンコータ12a、12b
から取出されターンテーブル13(紫外線照射テーブ
ル)のディスク受け台(トレイ)にほぼ同時に移載され
る。

【0020】旋回移載アーム11a、11bは、各々所
定角度に配置され同時に旋回する2本のアームを有し、
一方のアームがターンテーブル7のディスク受け台から
ディスク基板を取出す位置にある時他方のアームがスピ
ンコータ12a、12bへの受け渡し位置にあり、また
一方のアームがスピンコータ12a、12bからディス
ク基板を取出す位置にある時他方のアームがターンテー
ブル13のトレイへの受け渡し位置にあるように旋回し
て第1及び第2のディスク基板をターンテーブル7から
スピンコータ12a、12b及びスピンコータ12a、
12bからターンテーブル13に順次移載する。

【0021】ターンテーブル13は、その円周方向に偶
数個のトレイを有している。これにより、第1及び第2
のディスク基板は、ターンテーブル13のトレイに交互
に置かれ必ず同一のトレイ上に載置される。従って、例
えば第1のディスク基板が保護膜塗布不良となった場
合、第1のディスク基板及び貼り合わせの際対となる第
2のディスク基板をターンテーブル(搬送ライン)7の
トレイから対にして確実に取り除くことができるように
なる。

【0022】ターンテーブル13のトレイに交互に置か
れた第1及び第2のディスク基板は、回転しているター
ンテーブル13上において紫外線照射装置14の下を通
過している間に、塗布された保護膜が乾燥して硬化す
る。第1及び第2のディスク基板は、保護膜が乾燥して
硬化された後、次の貼り合わせ工程に投入されるよう
に、旋回移載アーム15により、ターンテーブル13の
トレイから交互に取出され間欠的に回転するターンテー
ブル(貼り合わせ投入テーブル)16のディスク受け台
(トレイ)に交互に移載される。

【0023】ターンテーブル16は、その円周方向に偶
数個、例えば6個のトレイを有しており、第1及び第2
のディスク基板がターンテーブル13のトレイに交互に
置かれ必ず同一のトレイ上に載置される。第1及び第2
のディスク基板は、6個のトレイを有するターンテーブ
ル16が60度回転する毎に旋回移載アーム15によっ
て、移載位置に対応するトレイ上に交互に載置されると
共に搬送される。

【0024】移載位置に対してそれぞれ120度及び2
40度回転した一対の取出し位置に対応する2つのトレ
イ上の第1及び第2のディスク基板は、一対の旋回移載
アーム17a、17bによって、ターンテーブル16か
らほぼ同時に取出されターンテーブル18(貼り合わせ
テーブル)のディスク受け台(トレイ)にほぼ同時に移
載される。

【0025】ターンテーブル18のトレイに交互に置か
れ、搬送された第1及び第2のディスク基板は、スクリ
ーン印刷機などからなる貼り合わせ用接着剤塗布装置に
より、ラジカル重合又はカチオン重合硬化樹脂などの接
着剤が塗布され、次の貼り合わせ装置で対となる第1及
び第2のディスク基板で重ね合わせ、紫外線を照射して
硬化させる。

【0026】このようにして作製された光ディスクは、
旋回移載アーム19によりターンテーブル18のトレイ
上から取出され、ストッカに保管される。ストッカに保
管された貼り合わせ型の光ディスクは、所定時間放置さ
れた後、検査工程に投入される。

【0027】所定時間放置された光ディスクは、間欠的
に回転する検査テーブル20のディスク受け台(トレ
イ)上に順次投入され、バーコードリーダからなるタイ
トル照合装置21でバーコードの照合が行われ、A面、
B面の一対のディスクが貼り合わされているか否かが検
出され、制御装置40にその検査結果が供給される。

【0028】バーコードの照合が行われた光ディスク
は、搬送され、次の検査装置22で信号面の傷、反射率
及び複屈折率などが測定され、その検査結果が制御装置
40に供給される。検査された光ディスクは、タイトル
照合装置21、検査装置22の検査結果に基づいて旋回
移載アーム23により、良品と不良品に区分けされて良
品ストッカ24又は不良品ストッカ25に収納される。

【0029】次にCDの生産工程について、図1及び図
2に基づいて説明する。ディスク基板の成形から保護膜
形成工程までは、上述のDVDの生産工程とほぼ同様に
行われる。但し、CDは、単板ディスクであるため、反
射膜又は保護膜の形成不良が生じたディスクについての
み、不良品として搬送ラインから排出される。

【0030】CDの生産の場合、保護膜が乾燥して硬化
された後、検査工程に投入されるように、制御装置40
からの制御信号に応答して、ターンテーブル13のトレ
イから順次取出され間欠的に回転する検査テーブル20
のディスク受け台(トレイ)に移載されるように旋回移
載アーム15が動作する。

【0031】検査テーブル20に順次投入されたCD
は、上述のDVDの生産工程とほぼ同様にタイトル照合
装置21でバーコードの照合が行われ、検査装置22で
信号面の傷、反射率及び複屈折率などが測定され、タイ
トル照合装置21、検査装置22の検査結果に基づいて
旋回移載アーム23により、良品と不良品に区分けされ
て良品ストッカ24又は不良品ストッカ25に収納され
る。

【0032】尚、CDなどの単板ディスクの生産の場
合、第1の射出成形機1aと第2の射出成形機1bに異
なるディスクのスタンパを装着することにより、異なる
光ディスクの2ロット同時連続生産が可能になる。

【0033】

【発明の効果】本発明では、ディスクの成形から貼り合
わせまでを連続して行う貼り合わせ型の光ディスクの製
造装置が、反射膜又は保護膜形成工程において、偶数個
のトレイを有する巡回型の搬送手段によって第1及び第
2のディスクを交互に載置し搬送するようにしたので、
一方のディスクに反射膜又は保護膜の形成不良が生じた
場合でも、貼り合わせ装置に供給する前に対となる他方
のディスクを容易に判別することができ、対となる第1
及び第2のディスクを排出することが容易となり、良
品、不良品の振り分けの信頼性が向上する。また、光デ
ィスクのA面、B面にそれぞれ対応する第1、第2のデ
ィスクが必ず対となって貼り合わせ工程に供給されるた
め、光ディスクの貼り合わせミスを防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図1】DVDとCD(コンパクトディスク)の兼用一
貫生産システムに適用した一実施形態の全体構成を示す
図である。

【図2】図1の構成の模式的な平面構成を示す図であ
る。

【符号の説明】

1a・・・・・・・・・・・・第1の射出成形機 1b・・・・・・・・・・・・第2の射出成形機 2a、2b・・・・・・・・・取出機 4a、4b、6、9、11a、11b、15、17a、
17b、19、23・・・・・・・・・・・・・・・・
旋回移載アーム 3a、3b、5a、5b・・・搬送機 7、13、16、18・・・・ターンテーブル 8・・・・・・・・・・・・・スパッタ装置 10、25・・・・・・・・・不良品ストッカ 12a、12b・・・・・・・スピンコータ 14・・・・・・・・・・・・紫外線照射装置 20・・・・・・・・・・・・検査テーブル 21・・・・・・・・・・・・タイトル照合装置 22・・・・・・・・・・・・検査装置 24・・・・・・・・・・・・良品ストッカ 40・・・・・・・・・・・・制御装置

フロントページの続き (72)発明者 笹野 光彦 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 清水 寿治 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 田中 亘 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 塩澤 宣貴 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 吉田 知弘 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 實石 誠 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内 (72)発明者 渡辺 旭 山梨県中巨摩郡田富町西花輪2680番地 パ イオニアビデオ株式会社内

Claims (1)
Hide Dependent

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続した工程で、第1の成形機により第
    1のディスクを成形すると共に第2の成形機により第2
    のディスクを成形し、前記第1及び第2のディスクを交
    互に反射膜形成装置に供給して前記第1及び第2のディ
    スクに反射膜を順次形成し、前記反射膜が形成された前
    記第1及び第2のディスクを保護膜形成装置に順次供給
    して前記第1及び第2のディスクの反射膜上に保護膜を
    形成し、前記保護膜が形成された前記第1及び第2のデ
    ィスクを貼り合わせ装置に供給して前記第1及び第2の
    ディスクを貼り合せてなる光ディスクの製造方法であっ
    て、 前記反射膜又は保護膜の形成不良が生じた場合、前記貼
    り合わせ装置に供給する前に貼り合わされるべき前記第
    1及び第2のディスクを対にして排出することを特徴と
    する光ディスクの製造方法。