(寄生虫感染症の概要も参照のこと。)
鞭虫症はよくみられる病気で、主に熱帯や亜熱帯の、土の中で鞭虫の虫卵がふ化するのに適した、衛生状態が悪く高温多湿の地域で発生します。米国の南部でも発生します。世界中で約6億400万人から7億9500万人が感染しており、その多くは小児です。
鞭虫感染症の感染経路
症状
多くの場合、軽度の鞭虫感染症では症状はみられません。
腸内に大量の成虫がいると、腹痛、食欲不振、下痢などの症状が起こります。体重減少、腸からの出血、貧血が生じる可能性があり、特に多数の鞭虫に寄生されている小児によくみられます。ときに、重度の感染症によって直腸が肛門から外に突き出ます(直腸脱)。
診断
予防
治療
鞭虫感染症の治療には、メベンダゾール、アルベンダゾール、イベルメクチンのいずれかを経口で投与します。多数の鞭虫に寄生されている場合は、メベンダゾールの1日2回、3日間の投与が選択されます。
あるいは、アルベンダゾールまたはイベルメクチンが1日1回、3日間投与されることもあります。
胎児に害を及ぼす可能性があるため、通常、これらの薬は妊婦には投与されません。
ロア糸状虫症の人にイベルメクチンを使用すると重篤な脳炎(脳の炎症)が起きる可能性があるため、患者がアフリカのロア糸状虫のいる地域にいたことがある場合、医師はイベルメクチンを使用する前にロア糸状虫症がないかどうかを確認します。