政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏(地域医療機能推進機構理事長)は10月14日、横浜市で開催されたBioJapan2020というバイオ産業のイベントで基調講演を行った。日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策は「準備不足の状態で始まったが、医療関係者、保健所スタッフ、一般市民の協力のおかげで何とかここまでしのいできた」と語った。
講演で尾身氏が特に時間をかけて説明したのはPCR検査に関してだ。「今よりもっとPCR検査を充実させるべきだというコンセンサスはできている。ただし、増やしたキャパシティーをどういう目的で使うのかという点にはコンセンサスができていない。費用負担の問題や、感染者が見つかった場合にどうするかなど、国民的なコンセンサスを得るべきだ」と指摘した。
PCR検査に関して尾身氏が強調したのは、「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」という点だ。まずPCR検査の性質として、感染3日後から約3週間は陽性が続くが、実際に感染性を有するのは感染3日目から12日間程度で、PCR検査で陽性が出る期間のうち感染性があるのは半分程度、つまり、誰にでも検査を行った場合、陽性者の約半分は感染性がないと考えられることを紹介した。
その上で、「症状がある人が検査を受けられないという状況はあってはならない。有症状者には最優先で検査を行うべきだ。また、濃厚接触者や発生したクラスターに関わっている人など、症状がなくても感染リスクが高いと考えられる人に対しても、徹底的に検査をすべきだ」と述べた。
検査数増で、感染を抑え込めた証拠はない
感染リスクが低い無症状者が検査を受けることに関しては、「経済活動に参加できるよう、安心のために検査を受けるというのは理解できる」としながらも、「感染拡大の防止には役立たない」と指摘。各国における検査数と感染者数の比較や、経時的な変化を分析したデータを示しながら、次のように述べた。
コメント109件
みの
なし
確かに、PCRをやればいいという議論は科学的ではないし、それ以上に行政的に賢明ではない。PCRを増やして陽性者が増えたときにどう対応するか、そこに割くべき資源をどう捻出するか。3手先、5手先を考えての施策が必要というのはもっともだ。この点の
検討と準備を怠ってきた日本の実情を考えて、PCRを無条件で増やすべきでないという尾身先生の発言の重さを国民と同時に政府幹部一人一人が重く受け取るべきだ。さらに言えば、もっと行政機構の細部までの業務処理がどのように行われているかという情報を整理収集しておくべきだ。それらを迅速に検討調整して危機対応できる体制の整備には必須なのではないだろうか。デジタル化もいいが、業務の明示化・透明化をもっと進める必要があるようにも思う。科学以前の下世話な問題提起で心苦しいところではある…。...続きを読むK
>>この点の検討と準備を怠ってきた日本の実情
日本は空きベッド数が世界でもトップクラスの多さで、かつCTの数も世界トップクラス(世界一でしたっけ?)だったはず。医療機関の優秀さはこれより上を望むのが難しいレベルかと。
感染者を強制的に隔離し
たり拘禁したりすることは、日本では法的にできませんが、私はそっち方面の準備には反対です。...続きを読むお
国内の少ないデータのみで検証しているようではダメだろうな
検査が徹底している中国は少なくとも日本より成功している
こんな程度の人間に意見を聞いて日本が動くのは問題があると思う
sato
小池百合子が証明済み。
陽性が増えるだけ。
クリンザン
記事の時点ではコロナも終わりかけの気分だったのかな。結果が出てから動くのではなく、打てる手を打ち、準備できることは準備する。せっかく時間があったのに、私を含めてほとんどの日本人はこの頃から何の準備も対策も検討してこなかった。旅行も会食も経済
を回すためなら許される雰囲気だった。結果がこうなる可能性を少しでも想像出来ていれば・・・...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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