それまでNHKは、「毎日のツイートは、新井俊一郎さんが75年前に書いた日記や手記、本人へのインタビューなどをもとに、現代の広島の10代が創作しています」「シュンちゃんツイート(4月7~12日)はこうやって創作しました」などと、ツイートの創作性を強調していた。
この現代風アレンジこそ、本企画の新しさであり、また世の中の関心を集めたゆえんだった。これがなければ、そもそも「戦時下のツイッター」などという発想自体が荒唐無稽で、空中分解するほかない。「ひろしまタイムライン」は、はじめから創作性と不可分だったのである。
にもかかわらず、問題となるやいなや、「元ネタどおり」で済ませてしまうのはあまりに不誠実で、二枚舌とのそしりをまぬかれないのではないか。
過度に差別的で攻撃的な表現は、原文ママの引用であっても気を使う。まして創作とうたうならば、なおのことそうだ。「元ネタどおり」を隠れ蓑に使ってはならない。
あまり例に出したくないが、仮に日記のなかに原爆症について差別的な表現があったとしよう。それをなんの註釈もなく、「実際の表現」と称してそのまま使ったかどうか。そういう想像力が求められる。