スウェーデンへの嫉妬心
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アビガンではデマを大量生産した日経だが、スウェーデンの現状に対する下記の記事は至極まとも。調査報道ではなく、取材だが、まともな人を取材してそのまま記事にするのが記者の仕事の基本中の基本。取材した前村聡さんには一度お目にかかったことがあるが、やっぱりまともな人はまともな記事を書くものだ。「調査報道の真骨頂」と称してディオバン「事件」をでっち上げたような新聞記者は、前村さんの爪の垢を煎じて飲むがいい。いや,日本だけではない。米国ではNY Times, 欧州ではBBC、あるいは国際ジャーナリストと称する一個人が、現状も調査せずにスウェーデンに関するデマを大量に垂れ流している。残念ながら彼らは前村さんの爪の垢を煎じて飲むことはできないかもしれないが、御希望とあらば、送料着払いで私の爪の垢を進ぜよう。
もうタイトルでおわかりだろう。他国の記者達によるデマはスウェーデンに対する嫉妬心の発露である。「限りある医療資源を有効に活用し、公平に分配するため、通常診療から科学的な根拠(エビデンス)に基づいて『救える命を救う』方針が徹底され、国民の理解も得られている」。本当は自分たちもこうあるべきだった。できるはずだった。しかし現実にはできなかった。米英揃ってロックダウンで右往左往した挙げ句、単位人口当たりの死者数が共にスウェーデンを上回る結果(2020/12/27現在:米国1027、英国1040、スウェーデン817/100万)となってしまった。
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コロナ「時間稼ぎ」生かせず 集約化と役割分担が不十分 日経新聞 2021年1月4日
「感染拡大を抑制している間に医療の受け皿を拡充する」。政府が新型コロナウイルスに対応するため2020年2月に打ち出した方針だ。だが欧米より病床数は多く感染者は少ないのに医療現場は逼迫している。病床や病院の集約化と役割分担ができず、感染者が減った間の「時間稼ぎ」を生かせていない。
厚生労働省によると、全国約7300病院のうち、20年9月時点で新型コロナ患者の受け入れ可能病院は2割強の1700病院。都道府県が確保した病床は最大計約2万7千床だ。だが一般病床と感染症病床(約2千床)を合わせた約90万床の3%にとどまる。
新規感染者が桁違いに多いスウェーデン(池田注:2021年1月6日現在,対100万あたりの死者数は887で日本の30倍)では第1波で首都ストックホルムの大学病院が約1600床のうち約500床をコロナ対応に転換。通常診療の一部はコロナ対応をしない病院に委託した。人口当たりの病床数は日本の4分の1にもかかわらず、集約化と役割分担で柔軟に対応した。
ドイツは数百床規模の大病院の病床の1割をコロナ専用にして医療資源を効率的に活用した。日本は1病院平均で約15床。県境を越えた協力体制を十分に築けず、〝逼迫〟の地域差も大きい。
東京都は公立病院に患者を集約することを検討しているが、遅きに失している。民間病院が8割を占めるのに官民連携も不十分のまま。柔軟な対応が求められている。
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球蹴り遊びなんか比べものにならないぐらい、もっと高級でもっと真剣な戦いをSARS-Cov-2は挑んできた。この戦いをどう勝ち抜くか。世界各国で競争が起こった。米英ともに優勝を狙っていた。前評判も上々だった。しかし欧米予選の段階で両国ともボロ負けだった。もちろんあらかじめ勝ち負けの基準が定められていたわけではない。しかし、こと科学・医学水準に各国間で大きな差がない欧米予選で、単位人口当たりの死者数という、医療面で最も頑健なアウトカムが同程度であれば、「限りある医療資源を有効に活用し、公平に分配するため、通常診療から科学的な根拠(エビデンス)に基づいて『救える命を救う』方針が徹底され、国民の理解も得られている」スウェーデンが米英よりも上位にあることは誰の目にも明らかだ。米英のジャーナリストにスウェーデンへの嫉妬心が湧くのはやむを得ない。しかし嫉妬心から学習は生まれない。
翻ってCOVID-19による死者数25/100万(米英の1/40)の我が国に住むあなたは、スウェーデンの現状から何を学び、どう行動するだろうか?
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【スウェーデン】病床少なくても医療崩壊回避 スウェーデンの現状は? カロリンスカ大学病院の宮川絢子医師に聞く 日経新聞 2020年12月27日
新型コロナウイルスの感染者が急増しているスウェーデンでは、12月下旬時点で人口当たりの感染者数が日本の20~30倍近くに上る。だが人口当たりの病床数は日本の4分の1にもかかわらず医療崩壊は起きていない。大病院がコロナ患者を集中的に受け入れ、他の病院が通常診療を引き受けるなど、柔軟に対応しているからだ。首都ストックホルムの大学病院で働く宮川絢子医師に現状を聞いた。
――スウェーデンは人口当たりの感染者数が日本を大きく上回っています。医療現場はどのように対応しているのでしょうか。
「カロリンスカ大学病院は約1万5千人の従業員を擁する欧州有数の大学病院の1つ。計1600床あり、春の第1波では約3分の1を感染症治療の病床に切り替えた。集中治療室(ICU)や体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)を使える病床は通常の5倍にし、4月の感染ピーク時にはICUの約150人を含む計約500人が入院した。ストックホルムの感染者の4割を受け入れていたことになる」
「国全体ではICUは通常の2倍にした。4月上旬からの3週間で急激に増やし、最大1100床程度となった。ストックホルムでは600床の野戦病院もつくられたが、既存の病院で対応できたため、使わないまま解体された」
――コロナ対応の病床を増やすと、医師や看護師が不足しませんか?
「ICUに携わる医師や看護師を教育し、配置換えして増員した。ICUや救急外来で働く医療スタッフの給与は2.2倍に増やした。中等症の患者は感染症の専門医以外が担当した。私も専門は泌尿器科だが、コロナ対応に当たった。マニュアルに沿って治療し、感染症の専門医が1日1回、回診する際に指示を仰いだ。電話でも相談に応じてくれるため、専門外の医師でも問題なく治療できた」
「航空業界で働く人々は感染拡大で仕事がなくなっていたが、客室乗務員を再教育して病院の業務をサポートしてもらうなど労働力をシフトした。最終学年の医学生もボランティアで手伝った」
――通常の診療はどうしたのでしょうか。
「カロリンスカ大学病院では、難易度の高い手術を並行して実施していたが、通常診療はかなり縮小した。難易度の低い手術などはコロナ対応をしていない病院に委託した。大学病院の抗がん剤治療センターも他の病院に移動した。他の病院に委託しても電子カルテが国内でほぼ共通化されており、委託された病院はこれまでの治療データを把握でき、再検査も不要で治療を継続しやすい」
――ICUや感染症治療用の病床はどのように運用していましたか。
「国が中央管理しており、ICU病床に空きがない自治体があれば、自治体の枠を越えて患者を搬送した。第1波のときは週に20~30人ほどカロリンスカ大学病院に搬送されることもしばしばあった。患者だけでなく、余裕のある地方からカロリンスカ大学病院に応援に来るなど柔軟に対応した」
「救急搬送も、各病院で病床の使用状況が時々刻々と変化するため、国が中央管理し、どの病院に搬送するかを救急車に指示した。夏に国内の感染がいったん収束した際は国際協力のため、エクモを装備したジェット機を用意し、欧州からエクモを使う患者を受け入れた」
――感染のピーク時にICUが満床になることはありましたか。
「第1波ではICUが満床になることはなかった。だが入室できる患者は治療の優先度を決める『トリアージ』をしていた。具体的には、ICUが満床でなくても、80歳以上の患者、70代で1つ以上の臓器障害がある患者などはICUで治療を受けられなかった。新型コロナのICU治療は長期間となるため、空床を確保しておかないと救える命を救えないことにもなりかねない。また急いで教育されたスタッフでは満床にすることは事実上難しかった面もある」
――国民はトリアージを受け入れていましたか。
「スウェーデンでは平時でも、ICU治療は患者の予後(残りの生存見込み期間)により、ある程度トリアージをしている。例えば若い患者であっても、がんの末期で回復の見込みが低ければ、空床があってもICUで治療は受けられない。年齢で線引きをしているわけではない。夏季休暇の期間中で医療スタッフが減る時期は、ICUで受け入れる患者数はさらに減る」
「逆に救える患者には徹底的に医療資源を投入する。限りある医療資源を有効に活用し、公平に分配するため、通常診療から科学的な根拠(エビデンス)に基づいて『救える命を救う』方針が徹底され、国民の理解も得られている」
「ただ、新型コロナの対応では、満床でないのに年齢によりトリアージしたことに対して批判も出た。そのため第2波ではトリアージは行っておらず、通常診療と同じように患者の状態で判断している」
――現在、再び感染者数や死亡者が増えています。
「10月以降に再び増えて第2波となっている。春の第1波より多くなっているが、PCR検査をする対象を増やした影響が大きい。第1波の当初は入院が必要な患者に絞っており、後半で対象を拡大した。現在は感染者の追跡調査をするとともに、基本的には症状のある人を検査するため、検査件数は週25万件を超えている。人口当たりでは日本の10倍程度となる。感染者は年齢別では20~50代が多い。通常病棟に入院する人は第1波よりやや多くなっているが、ICUに入る人は第1波の半分ぐらいにとどまっている」
「死亡者数も第2波では第1波ほどの急速な増加傾向はない。全期間で死亡者の9割は70歳以上の高齢者だ。第1波では医療の支援や感染防止対策が不十分だった高齢者施設でクラスターが発生し、国全体で見ても平年を上回る『超過死亡』が生じた。だがその後、9月末まででみると、70歳以上の死亡数はほぼ平年並みで超過死亡は生じていない。70歳未満でも第1波を通じて超過死亡は生じておらず、国全体では死亡数は平年より増えていない」
「人口当たりの死者数は日本に比べると10倍以上で世界でも20位台で、近隣の北欧諸国より多い。だがロックダウン(都市封鎖)をした欧州各国と比較すれば多くない。コロナの死亡者数は診断確定後、30日以内に死亡した人をすべてカウントしている。極端に言えば交通事故で亡くなった人も含まれており、多めに集計されている傾向がある。ある地域のカルテ調査では、コロナが直接の死亡原因であったのは15%という報告もある」
――スウェーデンは、集団免疫の獲得を目指したのでしょうか。
「ロックダウンをしないのは、憲法で国民の移動制限ができないと定められていることと、長期間持続可能な政策ではなく、社会への副作用が大きいためだ。『スウェーデンは集団免疫の獲得を目指した』と誤解されているが、そうではない。集団免疫が得られたとしたら、あくまでも副産物でしかない」
――スウェーデンの対策の特徴は何でしょうか。
「スウェーデンは第1波では高齢者施設でクラスターを起こしてしまったなど悪い点はたくさんある。だが、あえて強みをいうと、国民の政府への信頼が厚いことだ。各省庁の専門家グループには、ぶれない強いリーダーシップがある。専門家グループは政治からの独立が憲法で保障されている。さらに専門家グループを助ける優れた統計があり、国民もアクセスでき、情報の透明性が高い」
「スウェーデンでは日本のマイナンバーにあたる『パーソナルナンバー』が徹底しており、あらゆる情報がひも付けされている。情報はデジタル化されて管理されているので正確な統計を迅速に分析できる」
「第1波では午後2時から省庁代表が記者会見し、情報を隠さずに出した。政府の実施したアンケートでは『省庁の対策を信頼するか』という問いに、半数以上が『とても信頼している』『かなり信頼している』と答えている。公衆衛生庁のトップとして感染対策を率いる免疫学者、テグネル氏に対する信頼は第1波後、全期間を通じて6割以上の信頼を得ている。強いリーダーシップと情報の透明性がスウェーデンの強みといえる」
――今後はどのようになっていくでしょうか。
「感染者が増えたため、現在はソーシャル・ディスタンス(1~2メートル以上)のほか、①8人を超える集会禁止②高齢者などリスクグループの隔離③介護施設への訪問禁止④在宅勤務⑤症状があれば自宅待機――などで対応している。保育園、小中学校は閉鎖していない。美術館やジムは閉鎖されるなど日常生活に規制はあるものの、12月中旬まで、ほぼ通常の生活を送っていた」
「10月以降の第2波で感染者が急増しているため、政府は12月19日に緊急記者会見をした。新たに、①レストランで同席できるのは4人まで②12月24日から飲食店でのアルコール販売は午後8時まで③ショッピングセンターなどは入場最大人数をきめ、順守できない場合は閉鎖④2021年1月7日から混雑を避けられない通勤時間帯に限り、公共交通機関内でのマスクを推奨する――など規制を強化することになった」
「スウェーデンでも倒産や失業は増えている。国内総生産(GDP)も落ち込んでいるが、GDPで輸出が50%近く占める産業構造のため、ロックダウンしなくても無傷ではいられないのは仕方ない」
「今回の対策で非常に難しいのは、感染の影響が想像より長期に及んでいていることだ。もし短期で済むならば感染症を抑え込むことだけに集中すればいい。長期なので、感染症を抑え込む以外のことを考えないといけない。例えば介護施設の訪問禁止は、少し前に裁判所で憲法違反という判断が出た。『老い先の短い高齢者が家族に会えないのは苦痛』『認知症の人の症状が進むことが報告されている』などが理由だ」
「ストックホルムでは介護施設や医療施設のスタッフに対して定期的な検査を実施することになった。PCR検査は時間がかかるため、迅速な抗原検査を用いる。試験的に12の介護施設のスタッフに抗原検査したところ、5つの施設で陽性者が見つかり、自宅待機となった。特に病気の人が多い介護施設では感染すると命取りとなる。無症状でも感染のリスクがあることを考えれば、定期的な検査は有用だと思うし、迅速に結果が出る抗原検査は有力なツールと考える」
「コロナの感染拡大では社会の脆弱な面が浮かび上がってきており、改善する必要がある。スウェーデン国王が『失敗した』と発言して海外で注目されたが、パンデミックの政策評価は長期的に行う必要がある。感染症の専門家は感染症を抑え込むことだけを考えるが、スウェーデンでは感染症以外への影響も考慮している。総合的に政策を考えていくことが大切だ」
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