2020年3月から4月にかけて、私たちの研究グループでは、日本、アメリカ、イギリス、中国、イタリアの5か国で、それぞれ400~500人を対象に、新型コロナウイルス感染症に関する意識調査を行いました。
その結果、日本では「新型コロナウイルスに感染する人は、自業自得だと思う」という項目に対し、「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計。以下同)と答えた人の割合が、11.50%と特に高い値を示したのです。
ほかの国はというと、アメリカ1.00%、イギリス1.49%、イタリア2.51%、中国4.83%でしたから、「コロナは自業自得」と考える人が、日本は欧米に比べると約10ポイントも高かったことになります。反対に「全く思わない」と答えた人は、他の4か国は60~70%台でしたが、日本は29.25%でした。
確認のため、私たちは7月から8月にかけ、日本、アメリカ、イギリスで今度は1000人から1200人規模の調査を行いました。春とは別の方々を対象にし、対象者数も増やし、日本では性別と年代を人口比に合わせました。
するとやはり「感染は自業自得だと思う」という項目に「そう思う」と答えた人の割合に、大きな違いが現れました。アメリカで4.90%、イギリスで1.36%だったのに対し、日本では17.24%にのぼったのです。
「自粛警察」と「反響の大きさ」の間
注意したいのは、欧米に比べて「自業自得」と答えた人の割合が高いといっても、あくまで大多数の人は「感染はその人の責任とは思わない」と考えていることです。
実は、6月に最初の調査結果を発表したあと、かなりの反響があり、多くのメディアから取材を受けるようになりました。
コロナに感染した芸能人が「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪する、営業自粛要請期間中、自治体が定めたルールを守って営業している店に「自粛警察」が店を閉めろという貼り紙をする、それまで感染が目立たなかった地方で感染者が出たら、その人物を特定し、家族や勤め先までつるし上げる――そうした日本人「特有」とされる行動を、なんだかおかしい、と思っている人が多いことを、反響の大きさが示しているように感じます。