今回は、鳥取県にある松井酒造の倉吉12年を飲んでみます。

松井酒造について

松井酒造合名会社は、鳥取県倉吉市にある酒造会社で、元々は小川酒造という名前で1910年に創業した酒造、しょうゆ醸造などを手掛ける企業でした。

2005年に、松井隆行が率いるマツイグループが製造販売委託契約をした後、2013年に事実上買収され、松井酒造合名会社と改められました。また、元々マツイグループが持っていた荻野酒造が松井酒造に吸収合併されました。
その間、日本酒の製造からは撤退しています。

2015年にウイスキー製造免許を取得した後、翌年に「倉吉」の名前でシングルモルトウイスキー(と自称するもの)を販売しました。
そのラベルには「倉吉蒸溜所」「Made in Japan」と書かれていましたが、そもそもウイスキーの蒸溜所はこの当時に持っておらず、偽称だということでウイスキーファンを中心にバッシングが起きました。
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kurayoshi12_1_2017年になって、自社で蒸溜所を建設し、ウイスキーの製造を開始しましたが、もちろんそれ以前に販売されているウイスキー自体にこの蒸溜所で作られたとでっちあげるにはあまりにも稚拙で、いまだにこの件については何の謝罪、釈明もありません。

結局同社の行為によって、「ジャパニーズウイスキー」の定義を決めようと、ファンや業界団体がうごくこととなりました。

2021年には、倉吉蒸溜所で作られたウイスキーが3年の熟成期に入りますが、果たして松井酒造はどうするのでしょうか。

ちなみにISC、SWSCで同社のウイスキーが賞を獲得していていますが、この事実は知らないのかと思われます。
このようなパチモノが評価されていることに呆れてしまいます。

さて、今回取り上げる倉吉12年も、上記のことから松井酒造で作られたウイスキーではなく、スコットランドから取り寄せた12年熟成の原酒を使用しているのはほぼ間違いないでしょう。
ということで、スコッチウイスキーのバルク12年物として飲んでみようと思います。

スコッチの12年物としても...

グラスからの香り、液色

グラスからは、梅、リンゴ、紅茶の香りが得られます。液色は中庸な琥珀色です。

ストレート
まずリンゴの香りが広がり、後から紅茶の華やかな香りが続きます。そのあとからはレモンのさわやかさが追いかけてきます。
味わいは、アルコールからの辛みはしっかりしていて、後から酸味が広がります。

ロック

レモン、ライムの柑橘系の香りが先に出るようになり、リンゴ、石鹸の香りが続いてやってきます。
味わいは、ビターが前に出てきますが、その後は柔らかい酸味が感じられるようになります。

ハイボール

先にモルトの香りが広がるようになり、その後にリンゴ、梅の香りが続きます。
味わいは、苦みが少々気になるものの、後からは軽い甘みを感じられるようになります。

まとめ

全体的に飲んでみて、おそらくはスペイサイドモルト、数種のブレンデッドモルトではないかと思われます。
しかしながら、12年表記の割にはまろやかさがいまいちで、スコッチのブレンデッドモルトとして評価しても正直いいとは思えません。

700mL、アルコール度数43度、価格は6500円ほど。正直、高すぎます。
なお、200mLのミニボトルも販売されていますので、試すのであればこちらのほうがいいでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: 梅、リンゴ、紅茶、レモン、ライムの香りが心地よい。
  • 味わい C: 酸味が主体。加水でビターが目立つ。
  • 総評:評価に値せず