■今回の意図
デジタルアンプの音質が、安物AC電源を電池にしたらどう変わるかを試してみました。掛かった時間は、半田付け2つだけですので、5分です。むしろ材料を取り寄せる方が手間だと思います。半田付けなしでも出来ると思いますが、1W程度は電気を使いますのでご注意ください。
■いきさつ
昔々、Technicsにニッカド電池で動くA級らしいアンプSU-C1010がありました。AC電源では、電圧変動が生じ、ノイズ源になることから、電池駆動でピュアな電源を、というのがその意図だったと思います(私の記憶では)。オーディオ各社が、電源の電圧変動に苦心していた(している)様に見えますので、直流電源化は、音質向上に効果的なはずというのが今回の意図です。
私は、SU-C1010の音を聴く機会はおろか、お目に掛かる機会さえありませんでしたが、Ver.3まで出ていたようですので人気があったのでしょう。先ほど調べましたが、電池パックは5800円だったそうです。その電池パックの中身は単3ニッカド電池だったようです。1回の充電で15時間使えたそうですが、A級らしいプリメインアンプがそんなに動くわけがないので、よくよく見たらコントロールアンプでした。それと同じく単3電池8本で「プリメイン」アンプが駆動できるのは、デジタルアンプならではです。
結果から書きますと、十分に音質に効果がありました。コスト的にも常用可能で、音質改善があります。電池の持続時間を見ても、10時間を超えますので十分実用的だと言えそうです。ちなみに半田付けが面倒ですし、高級なコンデンサの部品代もないですし、壊しそうですので、Lepai LP-2020+の内部は何もいじっておりません。つまり、比較的お手軽な音質改善方法になるのではないかと思います。
■長所と短所
長所は、音質の改善。ほかに、AC電源が不要ですのでノートパソコンやポータブルCDプレイヤーと組み合わせればポータブル機器にすることが出来る利点もあります。アンプも電池ボックスも軽いですから。しかし、本格スピーカーは大きく重いので、スピーカー次第ということになります。ちなみに、下で書いているSB-6Aは1本で16kgありますのでポータブルには出来ません。
もう一つ長所ですが、アナログアンプを置き換えるならば省エネになります。電池による音質改善の程度からアンプとして本格的に使えると私は判断しましたので、アナログアンプと置き換えると省エネ出来ます。消費電力は、多くとも1W程度だと思いますので、100Wのアナログアンプの1/100です。冬場は暖房だと思えば100Wでもそれほど気になりませんが、夏場は、部屋の温度が上がりますので、デジタルアンプのメリットが大きいと思います。
短所は、電池切れがあることと、手間とコストです。部品と充電池に1000円~2000円程度掛かりますし、電池は消耗品ですので、ランニングコストが掛かります。手間は、ニッケル水素電池なら充電、アルカリ乾電池なら購入・廃棄の管理の手間が掛かります。
■使用電池
1回目(間に合わせ電池)
ニッケル水素電池 合計8本
Toshiba TH-3K min2300mAh 4本
ベイシア 1800 min1700mAh 2本
富士写真フイルム1600 min1550mAh 2本
富士写真フイルムは10年くらい前のへばりかけ電池。
ベイシア 1800はベイシアのプライベートブランド電池で中国製。
電池を混ぜて使うのは良くありませんのでまねしないように(知っててやるなつーの)。
この3種類の中で足を引っ張るなら富士写真フイルムの電池だと思われます。既に会社名も変わっているくらいには古いですし、容量も最小です。よく見たら99年11月製の旧世紀の製品でした。
2回目(エネループでそろえました)
SANYO eneloop(第3世代) min1900mAh 8本
ちなみに、第1世代は白い部分がパール色の1000回使えるもの(2005年頃)。第2世代は白の王冠マークなしの1500回のもの、第3世代は、白の王冠マークのついた1500回のもの、と考えています。性能は、2000(min.1900mAh)でどれも同じです。
ついでに書くと、ニッケル水素電池8本では、9.6Vなので電圧不足です。実際には初期では10Vを超えているとは思いますが、12Vには達していないと思います。下でも書きましたが、丁度定格の12Vになりますので10本で使った方が良いとは思います。ただ、電池ケースやニッケル水素電池の販売本数や充電器の制約として、扱われる本数が4本単位が多いので、作りにくい(使いにくい)とは思います。
■電池の持続時間
1回目に、上記の混合電池で、2時間25分と8時間05分の合計10時間30分。
2回目に、第3世代エネループ8本で、3時間9分、3時間22分(5分充電)、3時間1分(5分充電)、4時間28分(8分充電)、2時間10分(20分充電)、1時間51分(電池切れで終了)。18時間1分(約40分途中で充電)。
連続で行うには、。15時間以上連続で使い続けなければ成りませんが、時間がとれませんでした。電圧が下がると、音は出せるのですが、ス電源が入らなくなるので、電源が入る程度に充電して使い続けました。
実のところ、1回目で10時間30分となっていますが、電源が落ちたわけではなく、切ったら次の日にはつかなかったのです。より長時間使おうとすれば、電源を切らなければより長く使えたはずです。逆に、付けたり切ったりしていれば、より短くなったかもしれません。
ボリュームは、平均9時方向で掛けていました。大音量にすれば、それだけ時間が短くなるものと考えられます。結果からすると、1W位の消費電力のようです。
上記の条件から、まともな電池でしたら、少なくとも10時間は使えそうです。充電池が500回使えるとして、電池代が1500円とすると1回3円です。電気代と充電ロスを考えても、1回10円程度と考えれば、1時間あたり1円程度です。それなら十分価値があるように思えます。そして、常用するなら、エネループの方が1500回使えるらしいので良いかもしれません。ついでに書くと、エネループは8本組が割安に購入できるので、8本で使うには都合はよいのです。
ニッケル水素電池を利用するならば、本当は、1.2V*10=12V(定格)ですので、電池10本使用にした方が良いと思います。ただ、写真にあるような8本の電池ケースは、パーツ屋さんでよく売っている物ですが、10本のケースはあまり見かけません。
乾電池でしたら、8本の電池ボックスで丁度良いと思いますが、一般的に乾電池の方が電圧降下が激しいので、不向きかもしれません。私は、乾電池を購入しに行くのと捨てるのが、手間が掛かることとエコの観点で嫌いですので、一部のリモコンなど以外に乾電池は使っておりません。こちらのアンプに乾電池を使う今後の予定もありませんので、乾電池の使い勝手や音質はわかりません。
■必要な物とそのコスト
ニッケル水素電池8本(もしくは10本)
エネループの場合1500円~2000円強、100円ショップのものなら840円~1050円
電池ボックス 100円程度で大抵のパーツ屋にあり
9V電池の端子から伸びている配線 20円程度で大抵のパーツ屋にあり
接続端子 63円(マルツで購入)
通販でしたら、秋月電気通商やマルツで揃うと思います。専門的なパーツは何もありませんので、どこでもパーツ屋さんなら構わないと思いますが。
要するに写真のような物です。端子のプラスチックの中の端子を半田付けするわけですが、絶縁するには熱収縮チューブなどを先に通しておかないと失敗することになります。私はそれを忘れましたので、ポリエチレン製のラップで絶縁してあります。安全なのか疑問ですが、12Vで1W程度ですので大丈夫でしょう。それから、端子のプラスマイナスは間違えると危険ですから、お気を付けください。
今回私が購入したのは、接続端子だけですのでコストは63円です。なお、接続端子はパーツ屋さんに似たような端子が色々ありますので、購入の際は対応するACアダプターを持って行った方が確実です。というのも、一度確かめもせず購入したら、外径は正しかったのですが、中の端子穴が小さすぎて入りませんでした。
電池は、手持ちの物ですので値段は不明です。新品を買ってもエネループ程度の容量でしたら1500円程度でしょう。1300mAhで良ければ100円ショップにあるので840円です。最低限の充電器も100円ショップに売っていますが、充電が非常に遅いので2台か4台必要でしょう。
合計1000円~2500円程度で揃います。2000円以上するとアンプとどちらが高いかわからなくなりますので、コストのかけ方にはご注意ください。
作業は、接続端子と電池ボックスから伸びる配線の+-の2箇所の半田付けだけです。ペンチで締めるだけでも可能だと思いますが、確実な接点にするために半田付けした方が良いと思います。私自身は半田を使うのが面倒で、今回の試みを数ヶ月間先延ばしにしていたのですが...
■比較機器
電池との主な比較は、ACアダプター。
SWITCHING ADAPTER
Sunny SYS1308-2412-W2
INPUT 100-240V 1.0A MAX
OUTPUT 12V 2.0A
と書いてあります。
3.5インチHDD外付けボックスの電源です。手持ちのHDDボックスの電源の中で一番配線の太い物です。ノイズが乗るほど悪質なものではありませんが、オーディオ機器用の物ではありませんので音質に配慮した設計であるはずがありません。
■機器の構成
サウンドボード E-MU 1212M
アンプ Lepai LP-2020A+
スピーカー Technics SB-6A
ACアダプターで聴いても音質は悪くはありません。しかし、本格オーディオの一歩手前のような音です。Lepai LP-2020A+は、Pioneer SA-8800Ⅱと比較して、多少不足な感じです。何が足りないかと言えば、音楽の雰囲気、空気感が不足している様に感じられます。デジタルアンプなので表現能力が不足するものかと思っていましたが、電池で聴くとそうではありませんでした。
ちなみに、Pioneer SA-8800Ⅱは定評あるアンプだとは思いませんが、30年ほど前の6万円競争の時代のアンプらしいです。その頃を私は知りませんが、アンプやスピーカー1本で6万円程度のジャンルでメーカーの熾烈な競争があったようで、各社が力を入れていたようです。そのジャンルの製品に、あまり手抜きは感じられません。
Pioneer SA-8800Ⅱを初めて聴いたのは2年ほど前だと思いますが、アナログ末期の6万円クラスのアンプと比べて、30年で大して進歩していないのだなあというのが感想です。その程度には、完成されたアンプです。30年前の6万円は、現在の10万円台の価値だと思いますので、本来そのクラスと比べるべきかもしれませんが、部品が劣化しているでしょうし、ここ10年はデフレですから、同価格帯と比較したくなります。そのPioneer SA-8800Ⅱに、電池駆動のLepai LP-2020A+は匹敵す表現力だと思います。音の傾向は違いますが。
■音質
ACアダプターと比較して、雑味が減ります。すると音楽に空気感が出てきます。全体的に薄膜が剥がれたようなすっきりした音になり、「スピーカー」から音が出ているという感じが減り、音場が豊かでノリの良い音楽を奏でる様に変化しました。
低音は、切れが良くなります。Technics SB-6Aは、平面3wayスピーカーですが、平面だからか、それほどウーハーの反応の良いスピーカーには思えません。しかし、電池にすると1拍の間に5連符を打つようなドラムの連打がダマになって幾つ打ったか曖昧になるということが減ります。
高音域は、ヴァイオリンの弦を擦る感じがリアルに澄んで聞こえます。
中音域では、クラリネットやオーボエのの息づかいが聞こえるように変わりました。ギターの弦を掻く音も変わりました。ボーカルも一段上に聞こえます。
顕著なのは、低音域と高音域の反応がクリアになることです。音の切れの良さと雑味の影響が出やすいのでしょう。
更に言うと、左右の分離が向上しているように聞こえます。性能がそれほど上がるとは思えませんが、もしかするとS/N比なども少しは上がっているのかもしれません。
電池を使い切るつもりで音を流し続けていましたので、音楽だけでなく、テレビの音声も掛けていました。アナウンサーの声も、よりリアルに、目の前で話している様に聞こえましたので、やはりボーカルも向上しているはずです。
結果として、本格オーディオの域に達しているような音になったと思います。高級オーディオの域かは不明です。なにせ、10万円を超えるような機材は用いておりませんので比較しようがありません。10万円を多少超える機材は実家においてありますが、CDプレーヤーとテープデッキくらいでしたので、それらにしても20年前の機材ですので比較するには不適当だと思います。
デジタル時代の機材は、手抜きでない限り、5万円より上は私の知る限り趣味・趣向と高級「感」の違いに見えます。つまり、性能には、それほど差がないように感じられるということです。20年前でも10万円以上のものは顕著な差はないようには思いましたが、そのときの差よりも、最近の5万円近辺と青天井の商品の差は縮まっていると感じます。
ただし、スピーカーはだけは別物です。低音の表現には大型化が必要で、大型の物は磁石や木材や輸送費にどうしてもコストが掛かります。100万円でも価値がありそうです。大きければ良いというものではありませんが、ウーハーが16cm未満とか、30cm未満とか、大きさによって超えられない壁を感じます。
かつてはアンプもスピーカーのように物量でしたが、デジタル化でそれが変わったように思えます。Lepai LP-2020+のような10W+10Wのデジタルアンプで25cmウーハーが十分に鳴っています。
1212Mは2万円程度のサウンドボードですが、使いにくさからか売れたようには思えませんが、音は確かだと思います(少なくとも数万円程度のアンプでは粗はわかりません)。それに対してデジタルアンプLP-2020A+は2000円台でしたので安すぎる物ですが、それでもデジタルアンプという革新的な技術の恩恵が十分に感じられると思います。本当は、もう少し上位ランクのデジタルアンプが良いのでしょうが、未だ発展途上な感じがするので、様子見しています。デジタルアンプなのにデジタル入力がないとか、デジタル入力があっても、かつてのアナログアンプ時代のD/Aコンバーターほど注力されているのか疑問が残るものが多いのです。
■感想
電源は重要だと思い知らされました。それと、でかくて重いアンプの時代は終わったなというのが、一番の感想です。アナログアンプは高音質の為には、十分な底面積と重さが必要でした。一方、デジタルアンプのLP-2020A+は車載用のアンプではないかというようなデザインと大きさです(12V仕様ですし実際車載用として使えそうです)。しかし、安そうな見た目にもかかわらず十分本格オーディオのような音を出してくれます。
デジタルアンプの進化はまだまだ続くと思いますが、大型化してもデザインの価値以外にはあまり意味はなさそうです。ましてや電池駆動させる場合は、トランスの振動がありませんので、重くする必要性があまりありません。そして、デジタルアンプは高効率なため電池駆動に向いているのです。
そういうわけで、デジタルアンプの真価を発揮させてみたい方には、是非とも電池駆動のお試しをおすすめします。そして、もし試されるのでしたら、電圧が安定している点でニッケル水素電池を、そして、ニッケル水素電池なら10本の仕様が良いと思います。
■最後にお断り
半田付けなどが不適切で火傷や発火事故などが起きても責任は持てません。製作・運用は、自己責任でお願いします。
■追記
その後、電池8本(eneloop)で常用しております(ACアダプターの音には戻れません)。4本充電しつつ、4本ずつ交互に交換して 使う方法で、連続的に使えています。ボリュームが9時方向で、93dB、6オームのSB-6Aでは十分過ぎる音量です。84dBなどの低能率スピーカーですと、音量が不足気味かもしれませんが、余程の鈍速充電器でもない限り、4本ずつの充電で使えないことはないと思います。
もし、3W程度の出力のデジタルアンプで、ACアダプターを購入する予定でしたら、その費用は電池駆動にした方がよろしいかと思います。音が違いますし、使い勝手も悪くありませんので。
デジタルアンプの音質が、安物AC電源を電池にしたらどう変わるかを試してみました。掛かった時間は、半田付け2つだけですので、5分です。むしろ材料を取り寄せる方が手間だと思います。半田付けなしでも出来ると思いますが、1W程度は電気を使いますのでご注意ください。
■いきさつ
昔々、Technicsにニッカド電池で動くA級らしいアンプSU-C1010がありました。AC電源では、電圧変動が生じ、ノイズ源になることから、電池駆動でピュアな電源を、というのがその意図だったと思います(私の記憶では)。オーディオ各社が、電源の電圧変動に苦心していた(している)様に見えますので、直流電源化は、音質向上に効果的なはずというのが今回の意図です。
私は、SU-C1010の音を聴く機会はおろか、お目に掛かる機会さえありませんでしたが、Ver.3まで出ていたようですので人気があったのでしょう。先ほど調べましたが、電池パックは5800円だったそうです。その電池パックの中身は単3ニッカド電池だったようです。1回の充電で15時間使えたそうですが、A級らしいプリメインアンプがそんなに動くわけがないので、よくよく見たらコントロールアンプでした。それと同じく単3電池8本で「プリメイン」アンプが駆動できるのは、デジタルアンプならではです。
結果から書きますと、十分に音質に効果がありました。コスト的にも常用可能で、音質改善があります。電池の持続時間を見ても、10時間を超えますので十分実用的だと言えそうです。ちなみに半田付けが面倒ですし、高級なコンデンサの部品代もないですし、壊しそうですので、Lepai LP-2020+の内部は何もいじっておりません。つまり、比較的お手軽な音質改善方法になるのではないかと思います。
■長所と短所
長所は、音質の改善。ほかに、AC電源が不要ですのでノートパソコンやポータブルCDプレイヤーと組み合わせればポータブル機器にすることが出来る利点もあります。アンプも電池ボックスも軽いですから。しかし、本格スピーカーは大きく重いので、スピーカー次第ということになります。ちなみに、下で書いているSB-6Aは1本で16kgありますのでポータブルには出来ません。
もう一つ長所ですが、アナログアンプを置き換えるならば省エネになります。電池による音質改善の程度からアンプとして本格的に使えると私は判断しましたので、アナログアンプと置き換えると省エネ出来ます。消費電力は、多くとも1W程度だと思いますので、100Wのアナログアンプの1/100です。冬場は暖房だと思えば100Wでもそれほど気になりませんが、夏場は、部屋の温度が上がりますので、デジタルアンプのメリットが大きいと思います。
短所は、電池切れがあることと、手間とコストです。部品と充電池に1000円~2000円程度掛かりますし、電池は消耗品ですので、ランニングコストが掛かります。手間は、ニッケル水素電池なら充電、アルカリ乾電池なら購入・廃棄の管理の手間が掛かります。
■使用電池
1回目(間に合わせ電池)
ニッケル水素電池 合計8本
Toshiba TH-3K min2300mAh 4本
ベイシア 1800 min1700mAh 2本
富士写真フイルム1600 min1550mAh 2本
富士写真フイルムは10年くらい前のへばりかけ電池。
ベイシア 1800はベイシアのプライベートブランド電池で中国製。
電池を混ぜて使うのは良くありませんのでまねしないように(知っててやるなつーの)。
この3種類の中で足を引っ張るなら富士写真フイルムの電池だと思われます。既に会社名も変わっているくらいには古いですし、容量も最小です。よく見たら99年11月製の旧世紀の製品でした。
2回目(エネループでそろえました)
SANYO eneloop(第3世代) min1900mAh 8本
ちなみに、第1世代は白い部分がパール色の1000回使えるもの(2005年頃)。第2世代は白の王冠マークなしの1500回のもの、第3世代は、白の王冠マークのついた1500回のもの、と考えています。性能は、2000(min.1900mAh)でどれも同じです。
ついでに書くと、ニッケル水素電池8本では、9.6Vなので電圧不足です。実際には初期では10Vを超えているとは思いますが、12Vには達していないと思います。下でも書きましたが、丁度定格の12Vになりますので10本で使った方が良いとは思います。ただ、電池ケースやニッケル水素電池の販売本数や充電器の制約として、扱われる本数が4本単位が多いので、作りにくい(使いにくい)とは思います。
■電池の持続時間
1回目に、上記の混合電池で、2時間25分と8時間05分の合計10時間30分。
2回目に、第3世代エネループ8本で、3時間9分、3時間22分(5分充電)、3時間1分(5分充電)、4時間28分(8分充電)、2時間10分(20分充電)、1時間51分(電池切れで終了)。18時間1分(約40分途中で充電)。
連続で行うには、。15時間以上連続で使い続けなければ成りませんが、時間がとれませんでした。電圧が下がると、音は出せるのですが、ス電源が入らなくなるので、電源が入る程度に充電して使い続けました。
実のところ、1回目で10時間30分となっていますが、電源が落ちたわけではなく、切ったら次の日にはつかなかったのです。より長時間使おうとすれば、電源を切らなければより長く使えたはずです。逆に、付けたり切ったりしていれば、より短くなったかもしれません。
ボリュームは、平均9時方向で掛けていました。大音量にすれば、それだけ時間が短くなるものと考えられます。結果からすると、1W位の消費電力のようです。
上記の条件から、まともな電池でしたら、少なくとも10時間は使えそうです。充電池が500回使えるとして、電池代が1500円とすると1回3円です。電気代と充電ロスを考えても、1回10円程度と考えれば、1時間あたり1円程度です。それなら十分価値があるように思えます。そして、常用するなら、エネループの方が1500回使えるらしいので良いかもしれません。ついでに書くと、エネループは8本組が割安に購入できるので、8本で使うには都合はよいのです。
ニッケル水素電池を利用するならば、本当は、1.2V*10=12V(定格)ですので、電池10本使用にした方が良いと思います。ただ、写真にあるような8本の電池ケースは、パーツ屋さんでよく売っている物ですが、10本のケースはあまり見かけません。
乾電池でしたら、8本の電池ボックスで丁度良いと思いますが、一般的に乾電池の方が電圧降下が激しいので、不向きかもしれません。私は、乾電池を購入しに行くのと捨てるのが、手間が掛かることとエコの観点で嫌いですので、一部のリモコンなど以外に乾電池は使っておりません。こちらのアンプに乾電池を使う今後の予定もありませんので、乾電池の使い勝手や音質はわかりません。
■必要な物とそのコスト
ニッケル水素電池8本(もしくは10本)
エネループの場合1500円~2000円強、100円ショップのものなら840円~1050円
電池ボックス 100円程度で大抵のパーツ屋にあり
9V電池の端子から伸びている配線 20円程度で大抵のパーツ屋にあり
接続端子 63円(マルツで購入)
通販でしたら、秋月電気通商やマルツで揃うと思います。専門的なパーツは何もありませんので、どこでもパーツ屋さんなら構わないと思いますが。
要するに写真のような物です。端子のプラスチックの中の端子を半田付けするわけですが、絶縁するには熱収縮チューブなどを先に通しておかないと失敗することになります。私はそれを忘れましたので、ポリエチレン製のラップで絶縁してあります。安全なのか疑問ですが、12Vで1W程度ですので大丈夫でしょう。それから、端子のプラスマイナスは間違えると危険ですから、お気を付けください。
今回私が購入したのは、接続端子だけですのでコストは63円です。なお、接続端子はパーツ屋さんに似たような端子が色々ありますので、購入の際は対応するACアダプターを持って行った方が確実です。というのも、一度確かめもせず購入したら、外径は正しかったのですが、中の端子穴が小さすぎて入りませんでした。
電池は、手持ちの物ですので値段は不明です。新品を買ってもエネループ程度の容量でしたら1500円程度でしょう。1300mAhで良ければ100円ショップにあるので840円です。最低限の充電器も100円ショップに売っていますが、充電が非常に遅いので2台か4台必要でしょう。
合計1000円~2500円程度で揃います。2000円以上するとアンプとどちらが高いかわからなくなりますので、コストのかけ方にはご注意ください。
作業は、接続端子と電池ボックスから伸びる配線の+-の2箇所の半田付けだけです。ペンチで締めるだけでも可能だと思いますが、確実な接点にするために半田付けした方が良いと思います。私自身は半田を使うのが面倒で、今回の試みを数ヶ月間先延ばしにしていたのですが...
■比較機器
電池との主な比較は、ACアダプター。
SWITCHING ADAPTER
Sunny SYS1308-2412-W2
INPUT 100-240V 1.0A MAX
OUTPUT 12V 2.0A
と書いてあります。
3.5インチHDD外付けボックスの電源です。手持ちのHDDボックスの電源の中で一番配線の太い物です。ノイズが乗るほど悪質なものではありませんが、オーディオ機器用の物ではありませんので音質に配慮した設計であるはずがありません。
■機器の構成
サウンドボード E-MU 1212M
アンプ Lepai LP-2020A+
スピーカー Technics SB-6A
ACアダプターで聴いても音質は悪くはありません。しかし、本格オーディオの一歩手前のような音です。Lepai LP-2020A+は、Pioneer SA-8800Ⅱと比較して、多少不足な感じです。何が足りないかと言えば、音楽の雰囲気、空気感が不足している様に感じられます。デジタルアンプなので表現能力が不足するものかと思っていましたが、電池で聴くとそうではありませんでした。
ちなみに、Pioneer SA-8800Ⅱは定評あるアンプだとは思いませんが、30年ほど前の6万円競争の時代のアンプらしいです。その頃を私は知りませんが、アンプやスピーカー1本で6万円程度のジャンルでメーカーの熾烈な競争があったようで、各社が力を入れていたようです。そのジャンルの製品に、あまり手抜きは感じられません。
Pioneer SA-8800Ⅱを初めて聴いたのは2年ほど前だと思いますが、アナログ末期の6万円クラスのアンプと比べて、30年で大して進歩していないのだなあというのが感想です。その程度には、完成されたアンプです。30年前の6万円は、現在の10万円台の価値だと思いますので、本来そのクラスと比べるべきかもしれませんが、部品が劣化しているでしょうし、ここ10年はデフレですから、同価格帯と比較したくなります。そのPioneer SA-8800Ⅱに、電池駆動のLepai LP-2020A+は匹敵す表現力だと思います。音の傾向は違いますが。
■音質
ACアダプターと比較して、雑味が減ります。すると音楽に空気感が出てきます。全体的に薄膜が剥がれたようなすっきりした音になり、「スピーカー」から音が出ているという感じが減り、音場が豊かでノリの良い音楽を奏でる様に変化しました。
低音は、切れが良くなります。Technics SB-6Aは、平面3wayスピーカーですが、平面だからか、それほどウーハーの反応の良いスピーカーには思えません。しかし、電池にすると1拍の間に5連符を打つようなドラムの連打がダマになって幾つ打ったか曖昧になるということが減ります。
高音域は、ヴァイオリンの弦を擦る感じがリアルに澄んで聞こえます。
中音域では、クラリネットやオーボエのの息づかいが聞こえるように変わりました。ギターの弦を掻く音も変わりました。ボーカルも一段上に聞こえます。
顕著なのは、低音域と高音域の反応がクリアになることです。音の切れの良さと雑味の影響が出やすいのでしょう。
更に言うと、左右の分離が向上しているように聞こえます。性能がそれほど上がるとは思えませんが、もしかするとS/N比なども少しは上がっているのかもしれません。
電池を使い切るつもりで音を流し続けていましたので、音楽だけでなく、テレビの音声も掛けていました。アナウンサーの声も、よりリアルに、目の前で話している様に聞こえましたので、やはりボーカルも向上しているはずです。
結果として、本格オーディオの域に達しているような音になったと思います。高級オーディオの域かは不明です。なにせ、10万円を超えるような機材は用いておりませんので比較しようがありません。10万円を多少超える機材は実家においてありますが、CDプレーヤーとテープデッキくらいでしたので、それらにしても20年前の機材ですので比較するには不適当だと思います。
デジタル時代の機材は、手抜きでない限り、5万円より上は私の知る限り趣味・趣向と高級「感」の違いに見えます。つまり、性能には、それほど差がないように感じられるということです。20年前でも10万円以上のものは顕著な差はないようには思いましたが、そのときの差よりも、最近の5万円近辺と青天井の商品の差は縮まっていると感じます。
ただし、スピーカーはだけは別物です。低音の表現には大型化が必要で、大型の物は磁石や木材や輸送費にどうしてもコストが掛かります。100万円でも価値がありそうです。大きければ良いというものではありませんが、ウーハーが16cm未満とか、30cm未満とか、大きさによって超えられない壁を感じます。
かつてはアンプもスピーカーのように物量でしたが、デジタル化でそれが変わったように思えます。Lepai LP-2020+のような10W+10Wのデジタルアンプで25cmウーハーが十分に鳴っています。
1212Mは2万円程度のサウンドボードですが、使いにくさからか売れたようには思えませんが、音は確かだと思います(少なくとも数万円程度のアンプでは粗はわかりません)。それに対してデジタルアンプLP-2020A+は2000円台でしたので安すぎる物ですが、それでもデジタルアンプという革新的な技術の恩恵が十分に感じられると思います。本当は、もう少し上位ランクのデジタルアンプが良いのでしょうが、未だ発展途上な感じがするので、様子見しています。デジタルアンプなのにデジタル入力がないとか、デジタル入力があっても、かつてのアナログアンプ時代のD/Aコンバーターほど注力されているのか疑問が残るものが多いのです。
■感想
電源は重要だと思い知らされました。それと、でかくて重いアンプの時代は終わったなというのが、一番の感想です。アナログアンプは高音質の為には、十分な底面積と重さが必要でした。一方、デジタルアンプのLP-2020A+は車載用のアンプではないかというようなデザインと大きさです(12V仕様ですし実際車載用として使えそうです)。しかし、安そうな見た目にもかかわらず十分本格オーディオのような音を出してくれます。
デジタルアンプの進化はまだまだ続くと思いますが、大型化してもデザインの価値以外にはあまり意味はなさそうです。ましてや電池駆動させる場合は、トランスの振動がありませんので、重くする必要性があまりありません。そして、デジタルアンプは高効率なため電池駆動に向いているのです。
そういうわけで、デジタルアンプの真価を発揮させてみたい方には、是非とも電池駆動のお試しをおすすめします。そして、もし試されるのでしたら、電圧が安定している点でニッケル水素電池を、そして、ニッケル水素電池なら10本の仕様が良いと思います。
■最後にお断り
半田付けなどが不適切で火傷や発火事故などが起きても責任は持てません。製作・運用は、自己責任でお願いします。
■追記
その後、電池8本(eneloop)で常用しております(ACアダプターの音には戻れません)。4本充電しつつ、4本ずつ交互に交換して 使う方法で、連続的に使えています。ボリュームが9時方向で、93dB、6オームのSB-6Aでは十分過ぎる音量です。84dBなどの低能率スピーカーですと、音量が不足気味かもしれませんが、余程の鈍速充電器でもない限り、4本ずつの充電で使えないことはないと思います。
もし、3W程度の出力のデジタルアンプで、ACアダプターを購入する予定でしたら、その費用は電池駆動にした方がよろしいかと思います。音が違いますし、使い勝手も悪くありませんので。
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