市場連動型プランとは?電力市場(JEPX)の価格高騰で電気料金、各社の対応は?

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電力自由化により、旧一般電気事業者(※)や新電力から新しい電気料金プランが登場しています。「市場連動型プラン」も、電力自由化後に登場した新しい電気料金プランのひとつです。
「市場連動型プラン」は、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動して電気料金プランの単価が決まります。2020年12月から2021年現在にかけ、昨年2020年の全国24時間平均(システムプライス)と比較すると約84.1円高い91.69円(1月9日時点)と過去最高価格になり、市場価格が急激に高騰しています。
2月以降も価格高騰は続く見込みです。市場価格が高騰すると、どのような影響があるのでしょうか?
この記事では、今起きていること、「市場連動型プラン」の特徴やメリット・デメリット、市場価格の影響を受ける場合などを解説します。
旧一般電気事業者とは…北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・四国電力・中国電力・九州電力・沖縄電力をいいます。
なお、「市場電動型プラン」および市場価格高騰に影響を受ける可能性の高い電力会社は、以下の通りです。こちらに名前のない電力会社は、市場価格が高騰しても影響を受けることはなく、電気料金が何倍にもかかることもありません。
- 「市場連動型プラン」を用意している電力会社
- 自然電力、エルピオ、ダイレクトパワー、テラエナジー、ハチドリ電力など
- 市場価格高騰に影響を受ける可能性の高い電力会社
- エフエネ、ジニーエナジー、みんな電力、めぐるでんき、アスエネ、ハルエネでんき、ファミリーエナジー、おトクでんきなど
自然電力が「電力取引価格高騰に関する重要なお知らせ」を公開
2020年12月26日から2021年1月にかけての市場価格の急激な高騰を受け、自然電力は「日本卸電力取引所(JEPX)電力取引価格高騰に関する重要なお知らせ」を公式HPにて公開しています。
自然電力の見方・対応については、以下のとおりです(一部抜粋)。
弊社内で検証した結果、1月の市場連動価格を参照する範囲では、現時点で、前年と同量の電気を利用した場合、お客様に請求する電気料金が平均で2~3倍、状況によってはそれ以上になる可能性があります。弊社による各専門家へのヒアリング等の情報では1月中は現状が継続する可能性が高いとされていることから推測しています。
弊社としまして、このような状況を踏まえて、12月26日以降1月末までの高騰期間における環境価値を購入する費用を除く「事業を行う費用」についてお客様に請求しないこと(自然電力としての実質利益ゼロ円)として、対応させていただきます。
また、今後の調査や価格動向の変化に応じて、定期的な情報発信についても検討を進めてまいります。
出典:日本卸電力取引所(JEPX)電力取引価格高騰に関する重要なお知らせ|自然電力
自然電力は、「事業を行う費用」を請求しない対応を取ると通知していますが、「2月以降も予断を許さない状況であると考えている」としています。このまま、価格の高騰が続くと、毎月の電気料金も急激に高くなってしまうことが予想できます。
今後も市場価格がどのように変動するのか、また価格高騰を受けて「市場連動型プラン」を採用する電力会社各位がどのような対応をするのか、引き続き注目しておきましょう。
「市場連動型プラン」とは?日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動して電気料金単価が決まるプランです
「市場連動型プラン」で用いられる「市場」とは、日本で唯一、電力の売買ができる「日本卸電力取引所(JEPX)」のことです。
電気料金単価があらかじめ決まっているプランに対し、「市場連動型プラン」は、単価が固定されていません。市場(=日本卸電力取引所 / JEPX)の取引価格(=市場価格)に連動して、30分ごとに電気料金単価が決まります。
「JEPX」は、「ジェーイーピーエックス」または「ジェイペックス」などと読まれることが多いです。
なお、日本卸電力取引所(JEPX)の電力取引価格は、JEPX プライスチェッカーで確認できます。
電力会社が日本卸電力取引所(JEPX)を使う理由
新電力(電力自由化で参入した電力会社、小売事業者)の多くは自社で発電施設を持っておらず、発電施設を持っていたとしても、契約者すべての電力を自社でまかなっているとは限りません。そのため、自社でまかないきれない電力を日本卸電力取引所(JEPX)で調達しているのです。
注意!取引価格=料金単価ではありません
日本卸電力取引所の取引価格がそのまま電気料金単価となるわけではなく、託送料金(送配電網の利用料金)をはじめとする各種費用が加算され、最終的な電気料金単価が決まります。よって、「市場連動型プラン」の電気料金単価が日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格ではありません。注意しましょう。
「市場連動型プラン」のメリットとデメリット!電気料金はどうなる?
「市場連動型プラン」のメリットを多く享受できるケースとデメリット、リスクになりうる状況をご紹介します。
「市場連動型プラン」のメリット
市場価格が安い状態が続く、もしくは市場価格が安い状態のときに電気を使うことができれば、電気料金を抑えることが可能です。
たとえば下記のケースに当てはまる場合は、「市場連動型プラン」のメリットを多く享受できます。
- 市場価格に応じて電気使用量をコントロールできる場合
- 市場価格が高騰している時間帯は節電する・家電の使い方を工夫するなど、市場価格の変動に応じて電気使用量をうまくコントロールできれば、電気料金を抑えることが可能です。
- 深夜から早朝までの時間帯の電気使用量が多い場合
- 市場価格は日中の需要が多い時間帯に高まり、深夜から早朝の時間帯は安くなります。そのため、深夜から早朝の時間帯に電気を使う割合が多い場合は、割安な料金単価で電気を使うことが可能です。
「市場連動型プラン」のデメリット
市場価格を予期することは難しいために予算管理がしづらいほか、市場価格が高騰した場合のリスクヘッジが取りづらいという点は、デメリットとして挙げられます。
「市場連動型プラン」を契約する場合、下記のようなケースの対応を想定しておくことが好ましいです。
- 請求書が届くまで電気料金がわからない
- 市場価格は、その時の需要と供給のバランスによって大きく変化します。「市場連動型プラン」はその名のとおり、市場価格に連動するため、事前に料金単価がわからず、請求書が発行されるまで、その月の電気料金がわからないということも考えられます。
- 市場価格の高騰に対してあらかじめリスクヘッジがしにくい
- 日本卸電力取引所(JEPX)では値幅制限がないため、潜在的に電気料金が高騰する恐れがあります。市場価格を予測することは難しく、予測できたとしても、市場価格が高騰している時間帯の電気使用量を抑えることは容易ではない場合がほとんどでしょう。
「市場連動型プラン」でなくとも、市場価格の影響を受ける契約もあります
「市場連動型プラン」を契約していないから影響はない、とは言い切れません。電気料金単価はあらかじめ決まっているけれども、市場価格に連動した項目を設けた電力会社もあります。
- ハルエネでんき
- 2018年5月11日、法人の契約者向けプランに対し、ハルエネでんきは、電源の仕入価格変動にともなった「調達調整費」を「燃料費調整額」に合算し「電源調達調整費」として契約者に請求することを発表しました。
- ゼロワットパワー
- 高圧・特別高圧で電力供給を行っているゼロワットパワーの電力需給約款(2018年4月1日実施)を確認すると、以下のように記載されています。
第6条 燃料費調整
イ) 燃料費調整については、料金変動を平準化するために、電気調達コストの変動に応じて、自動的に電気料金を調整することをいいます。
ロ) 燃料費調整に関する制度または算定式を変更する際には、当社は、お客さまに対し適切な方法でその旨を通知します。
なお、市場価格に連動することから、電気料金に対して加算されることも減算されることも想定されます。
上記2社に関わらず、今一度、お手元の電気料金の明細に記されている項目について、内容の確認をおすすめします。
JEPXの取引価格に連動して電気料金単価が決まる「市場連動型プラン」。今後も引き続き注視していきましょう
「市場連動型プラン」の特徴のほか、「市場連動型プラン」のメリットを多く享受できるケースとデメリット、リスクになりうる状況を紹介しました。
「市場連動型プラン」は、市場に連動して電気料金単価が決まるプランです。変動に応じて電気の使い方の工夫ができれば電気料金を抑えることができますが、事前に料金単価がわからないので請求書が発行されるまでその月の電気料金がわからないというデメリットもあります。
2021年1月現在、市場価格が高騰しているため、電気料金が数倍にも高くなってしまうことが予想されます。「市場連動型プラン」を契約中の方は、一度内容を確認し、電気料金プランの見直しも検討することをおすすめします。
電力会社・プランの見直しには、ぜひエネチェンジをご利用ください。
「市場連動型プラン」について、さらに詳しく知りたい方はエネチェンジまでお問い合わせください!
「うちの会社、わたしの家の契約している電力会社・プランはどうなんだろう……」と不安に思った方もいるでしょう。
エネチェンジでは、現在ご契約されている電力会社・プランについて、特徴やメリット、デメリットを知りたいというご相談をいつでも受け付けています。もちろん費用はかかりません。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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