コロナ変異種、米国で6州に 感染急拡大への警戒強まる

【ニューヨーク=後藤達也】新型コロナウイルスの変異種が米国でも広がり始めている。米疾病対策センター(CDC)などによれば7日までに全米の6州で見つかった。感染者数は全体で50人強にとどまるが、感染力が高いとされ、表面化していない感染者が多いおそれもある。当局は今後数週間での急拡大を警戒している。
東部ペンシルベニア州の保健当局は7日、コロナ変異種の感染者が同州で初めて確認されたと発表した。変異種の感染例はすでにカリフォルニア、フロリダ、コロラド、ニューヨーク、ジョージアの各州で見つかっている。両海岸から中西部まで地域は幅広い。
なかでも感染増が目立つのはカリフォルニア州南部のサンディエゴ市だ。英国での変異種急増を受け、2020年末から検査を強化。地元紙によると、同市の保健当局は5日、2020年12月27~31日に実施した検査のうち24人で英国型の変異種が確認された。
米政府では英国からの渡航者の水際対策をしているが、サンディエゴ市の検査では感染者に旅行歴はなかった。担当官は「複数の地域で確認されており、急速にまん延している可能性がある」と指摘。表面化していない変異種の感染が広がっている可能性がある。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も変異種を「非常に注意深く注視している」と警戒を強めている。
英国では昨年末にかけ変異種が広がり、コロナ感染者数が急増した。最近は連日で5万~6万人の新規感染者が見つかっており、11月と比べると2倍以上に増えている。従来型より弱毒だとの指摘があるものの、米国でも変異種が広がれば、外出や店舗営業などの制限が一段と厳しくなったり、適用範囲が広がったりすることも避けられない。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、従来型を含めた米国でのコロナ新規感染者は20年12月以降、1日あたり20万人程度の高水準が続いている。多くの自治体で外出や店舗営業の規制を強め、ワクチンの接種も進んでいるが、感染減少の兆しは出ていない。1月の1日あたりのコロナによる死者数は2500人を超え、過去最悪の水準となっている。