栃木県内の新型コロナウイルス感染者数が2日連続で1日当たり100人を超えた6日、自治医大付属病院感染制御部の森澤雄司(もりさわゆうじ)部長(54)が下野新聞社の取材に応じ、感染者が急増した背景として「気の緩み」を挙げた。「医療崩壊が始まっていると捉えていいと思う」。県内の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する中、森澤部長は改めて基本的な感染防止対策の徹底を呼び掛けた。
5日現在、直近1週間の新規感染者数は472人で過去最多を記録した。6日も132人の感染が確認され、拡大に歯止めがかからない状況だ。森澤部長は「第2波の時、県内の感染状況は隣県に比べて少なく落ち着いていた。その緩みが出ているのかもしれない」と指摘する。
5日現在の病床の稼働率は49.2%となり、入院や療養が必要な感染者数は、確保する病床・宿泊療養室数を超えた。「これまで人命重視で、できるだけ全員入院としてきたがそれが今では全然できない状態。明らかにキャパオーバー」と明かす。
一方で重症病床の稼働率は21.7%で、警戒度は最上位の特定警戒水準に至っていない。しかし、「数字だけを見て、まだ余裕と思わないでほしい」と訴える。人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を装着した場合などは、通常の集中治療室(ICU)入院患者と比べて数倍の人手が必要になるという。「現在の重症者10人でも厳しい状況。これ以上重症者が増えれば、助けられる命が救えなくなる」
特に感染が急拡大している宇都宮市では、8日から酒類を提供する飲食店に対し営業時間の短縮が要請される。「宇都宮では感染経路不明の方が増えている。気を引き締めないといけない」とし、「県民には時短営業に協力していただき、短期間で広がった感染状況を押さえ込むことが大事だ」と強調した。