先週、仕事が押したので、帰りにワカメ
うどんを食べた。
それとおでん二つ。
ワカメや昆布のようなシーウィードは西洋
人たちはあまり食べないようだ。
日本人は大好きだよね。
昆布なんて、北の海の名産なのに、昆布が
採れない沖縄では昆布料理が郷土料理に
なっている程だ。
これは、江戸期に海上輸送で持ち込まれた
昆布が「これはうまい!」となったからだ
ろう。
先日、テレビ番組で、日本独自の料理を
世界の人たちに食べてもらう企画で、正月
の昆布巻きを試してもらっていた。
ヨーロッパもアフリカも、黒い昆布巻きに
ヴィジュアル的にウゲエ!となりながら
も、食べたら「これはうまい!」となって
いた。
ヨーロッパの白人にもアフリカの人たち
にも大ウケだった。
ハッチハイクをしているカナダ人を家に
泊めた事がある。
全世界を旅しているパンキーでビーガン
だというので、家で振る舞った料理は
油に至るまですべて植物性の物を使った。
酒は飲むというので、友人も呼んで痛飲
した。
ケベックの若者で、日本語サッパリ、英語
もちょっちというので会話は苦労したが
なんとかなった。
おいらがピアフを歌ったら、発音も全く
問題ないよ!とか言ってた。
会話は俺のような出川英語でも何とか通じ
るもんだ。
で、そいつに海藻をすすめた。
何これー?とか言っていたが、海苔とか
生まれて初めて食べたらしい。
パリパリしてるのに何だこの美味さ!と
驚いていた。
そして、ワカメ汁と昆布を入れた筑前煮を
作って出した。
めちゃくちゃ感動していた。
全世界を旅したが、日本人ってなんでこん
なに親切なの?と俺に訊く。
知らんがな。
おもてなし、てやつだろよ。普通だよ。
そいつが言うには、世界の中で日本人が
一番親切だと言っていた。
次は?と尋ねたらポリネシアの人たちだっ
たと言っていた。
日本人も悪い奴も多いからね、おまいさん
も旅は気をつけなよ、と言っておいた。
あと、日本は何でみんな新車みたいのばか
りに乗ってるの?と言っていた。
日本には車検制度ってのがあって、新車と
同じような状態でないと道を走れないの
よ、と教えたら驚いていた。
笑いながら「みんなお金待ちなの?」とか
言ってたし(笑)。
んなこたぁない。
彼にうどんを食べさせたげた。
ワカメうどん。
全植物性の天かす入れてさ。蒲鉾はダメだ
から。青葉も入れて。なんだか見た目が
東京の雑煮みたいだけどさ。
多分、「日本の味」の一つを知ってもらえ
たのではなかろうか。
ヌードルは好きだけど、ラード使ってるの
が多いからあまり食べる機会がないとか
言ってたが、出汁に動物性の物を一切使わ
ずに作った昆布出汁で作ったワカメうどん
を出した。食べてみてちょ、と。
これまた、凄く感動していた。
うまい、うまいと食べていた。
言葉も通じない外国人だが、昆布出汁の
うまさを知ってくれて、なんだか嬉しかっ
た。
何より、金もあまり持たずの世界放浪で
慣れない見知らぬ国で食べた物にうまい
うまいと喜んでくれる事が、こちらとして
もとても嬉しい。
それでも、彼が一番感動していたのは
海苔を巻いたおにぎりだった。
梅干しは、すっぱーい!と言っていたが、
おにぎりをめちゃくちゃ気に入ったよう
だった。
シャケとオカカを出したいとこだったが、
動物なのでビーガンの人にはダメだ。梅干
しのみ(笑)。
これ売ってる?と訊くので!コンビニに
あるよ、と言ったら、あ!と。
日本に来て見たことあるけど、謎の三角
だったので買わなかった、と。
先週食べたワカメうどんは、かなり美味し
かった。この店のうどんは好きだ。
ワカメが汁に染みるからなおさら美味しい
のかも。
それと、厚揚げがめちゃくちゃ美味かっ
た。いや、最高。酒飲みたくなったよ。
しまった!
カナダの放浪人の彼には、厚揚げと豆腐
の凝ったやつを食べてもらえば良かった。
ネギの味噌汁ではなく、お豆腐と油揚げ
の薄切りなんてかなり喜ばれたかも知れ
ない。
でも、味噌汁の王道、根深汁で良かった
かも。
味噌は好まないかと思ったが、存外、いけ
るいけるとすすってた。
危ない奴もいるのかも知れないが、ヒッチ
ハイクの人は昔からからよく乗せた。
モスクワ大学の放浪学生泊めたりとかさ。
数年前のカナダ人も、見てたらずーっと
パネル首に下げて立ってるのに、みんな
無視してさあ。
なんか気の毒でさ。
「ヘイ、ヨー。どこまで行きてえんだ?」
てな調子で声をかけた。
でも、日本人のヒッチハイクで、一度トン
デモ野郎がいた。
高速SAで車で休んでいたら、窓をコンコン
する。
「にいちゃん、どこまで行くんや?」と。
岡山まで乗せて行けや、と言う。歳の頃は
30代後半か。
いや、逆方向だから、と断ると、しつこ
い。なんだか麻薬の売人みたいな汚い髭
面の風貌の奴。
言葉穏やかに丁重に断っていたところ、
あまりに横柄でしつこいので出てボコっ
たろかと思ったが、そのうちドアを叩き
だした。
「何しやがんだ!ゴルァ!」と怒鳴った
がやめない。しまいには車を蹴り始めた。
いきなりバーッと、かなりバックしてから
急発進してそいつにまっつぐに突っ込ん
でやった。
大慌てでアスファルトに転げ回ってすっ
転んでいた。
なめたことしてっと、轢き殺すぞ、この
野郎。