球界初の200発打線が誕生 機動力野球から一変した78年のカープ
元中国新聞記者でカープ取材に30年以上携わった永山貞義氏(71)がデイリースポーツで執筆するコラム「野球爺のよもやま話」。広島商、法大でプレーした自身の経験や豊富な取材歴からカープや高校野球などをテーマに健筆を振るいます。
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一般的にカープの野球は「赤ヘル野球」と称されている。その呼称は「抜け目のない野球」とか、「機動力野球」という意味も含んでいるようだが、実際の中身は時代の移ろいにつれ、いろいろ。戦力の違いによって当然、変わってくる。今回は年初なので一つ、景気よく、威勢がよかった年の赤ヘル野球を振り返ってみましょうか。
それは1978年。「機動力野球」が機能し、初優勝した75年からわずか3年後に一変した野球である。これを一言で表現するなら、「豪快な野球」と言うのか、あるいは「仰天野球」とでも申すのか。ともかくも赤ヘル野球の中では異質の打って、打って、打ちまくる野球だった。
そのすごさを数字で示すと、2割8分4厘のチーム打率がいまだ球団歴代最高というのは、まだかわいい。驚くべきは本塁打数。ロッテと阪神がマークした当時のプロ野球記録、193本をはるかに超える205本をたたき出したのだから、舌を巻いてもいい数字なのだろう。
球界史上初の「200発打線」を先導したのは来日2年目のギャレットだった。「カントリーボーイ」との自称通り、素朴さがまた魅力の怪力選手。後に「カントリー」と呼ばれた2代目のエルドレッドがそうだったように一度、点火すると、その爆発力はすさまじかった。
それらの詳報を記すと、まず球界史上初となる開幕からの4試合連続ホーマーを含めて、4月中の15本塁打は月間最多記録タイ。前半戦だけで31本塁打をマークし、オールスター戦を迎えている。持ち前の破壊力を見せつけたのが、広島市民球場で行われたその第1戦。新記録となる1試合3本塁打を放ち、赤ヘルファンを狂喜の渦に巻き込んでいる。
この豪打も後半戦に入ると急ブレーキが掛かり、最終的には40本にとどまったのは、生真面目すぎる性格が裏目に出たからだろう。その一方、打線は「カントリー」から火に油を注がれた感じで猛打を連発。最終的に山本浩二が44本で初の本塁打王を獲得すれば、来日2年目のライトルが33本、衣笠祥雄が30本と続いた。ちなみに同一球団による「40本コンビ」、および「30本カルテット」の形成は球界初の快挙でもあった。
これほど初尽くしの豪打や猛打を記録すれば、当たるを幸いに相手を蹴散らしていなければおかしいはずである。しかし、世の中の常としては「光」があれば、「影」があるし、「一長」があれば、「一短」もある。こうした反目する現象の中での「影」や「一短」とかになったのが投手陣だった。
その現実を見ると、75年以来、外木場義郎、池谷公二郎、高橋里志と続いた最多勝投手の右腕が機能せず、大黒柱を欠いたのが第一の要因。さらに中継ぎ陣の力不足から移籍1年目の江夏豊を十分、使いこなせず、結局は3位にとどまっている。極端な「打高投低」によるこの結果に、「勝ちにつながらない本塁打は意味がない」とは古葉竹識監督の敗戦談。これほどぜいたくなぼやきも、貧打が定番の球団史の中では、かつてなかったはずである。
就任していきなり初優勝を飾った古葉監督にとって、この年は4年目。当時を考察すると、戦力的に投手陣では外木場、池谷、野手では大下剛史が衰え、手探り状態の中で采配を振るっていたのだろう。しかし、同年、江夏を獲得して待望の抑え役を確立したほか、俊足の高橋慶彦、小技が利く木下富雄らの台頭によって、古葉野球は翌79年から次第に変貌。「1点の軽い野球」から「1点に重みのある野球」へと進化し、赤ヘル野球は以後、黄金期を迎えたのだった。
振り返れば、これも40年以上も前の話。その後、紆余曲折を経て迎えた今季、佐々岡真司監督はどんな赤ヘル野球を見せてくれるのだろうか。ファンにとって、あれや、これやと期待に胸を膨らませられるのが、この時期の最大の楽しみでもあろう。
永山貞義(ながやま・さだよし)1949年2月、広島県海田町生まれ。広島商高-法大と進んだ後、72年、中国新聞社に入社。カープには初優勝した75年夏から30年以上関わり、コラムの「球炎」は通算19年担当。運動部長を経て編集委員。現在は契約社員の囲碁担当で地元大会の観戦記などを書いている。広島商高時代の66年、夏の甲子園大会に3番打者として出場。優勝候補に挙げられたが、1回戦で桐生(群馬)に敗れた。カープ監督を務めた故・三村敏之氏は同期。元阪神の山本和行氏は一つ下でエースだった。
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