やはりClamAVがLinuxの最適ウイルス対策ソフトだということ|ざっくりLinux!- 46

ウイルスイメージ
無償のLinux向けウイルス対策ソフトとして重宝されたSophos Anti-Virus for Linuxのサポートが終了した。現在最新バージョンで使用している場合は、そのバージョンのサポート終了まで使用することができるが、新たにダウンロード&インストールをすることはもはやできない。
COMODO Anti-Virus for Linuxも現時点ではサポートが不確かなため、新たに無償のウイルス対策ソフトを探してみたが、現時点ではLinuxのアンチウイルスソフトのスタンダード、ClamAV以外に適当なものは見つからなかった。
ざっくりとLinuxを使いたい筆者にとって、端末で使用するClamAvは不便なので、この際GUIで動作するClamTkを使うことにした。

【関連記事】

Linuxのウイルス対策ソフトSophos Anti-Virus for Linuxをインストール!|ざっくりLinux!- 6

圧倒的なOSシェアトップのWindowsとは違い、Linuxはセキュリティ対策は不要と言われている。ファイルの実行にはルート権限が必要なこともあるため、それほどウィルス対策ソフトも開発されてこなかったようだ。しかし、Symantec社でもLinux製品を販売しているように、まったくLinuxのPCがウィルスに狙われないとは言い切ることはできない。なので、何か入れておこうと調べてみたら、Sophos Anti-Virus for Linuxというアンチウィルスソフトが無償となったというので、早速入れてみることにした。

ClamAVとそのGUI版ClamTk

ClamAVは、オープンソースのウイルスソフトウェアだ。Linux以外にもWindows、Macもサポートしている。Sophos Anti-Virus for Linuxと違う点は、常駐監視機能(オンアクセススキャン)ができないこと。また、コマンドラインでしか動作しないのが難点だ。

ClamTkは、コマンドラインでしか動作しないClamAVの難点を解消し、グラフィカルインターフェイス(GUI)で動作するようにしたソフトウェアで、Linuxではお馴染みのソフトウェアである。

しかし、Linuxを使い始めた頃からあるにもかかわらず、今までClamAVの使用を避けてきた。その理由は、

″Nortonなどの有償ウイルスソフトと比べて、どこか信用できない”

からだった。PCを使い始めたときから、PCまるごと保護してくれるNortonを愛用してきた筆者は、無償のウイルスソフトはどこか信用できなかった。唯一信用出来たのは、サポートが終了したSophos Anti-Virus for Linuxだけだ。

だが、ClamAVもUnix/Linuxの定番ウイルスソフトとして長く使用され、多くの文献からもその信用度は実証されている。

元来、Windowsに比べて圧倒的にシェアが低かったLinuxには、ウイルスソフトなど不要と思われていた。管理者権限(root権限)でインストールなど重要な作業を行うLinuxは、シェアが低い以外にもウイルスの対象となりにくかった理由がある。
しかし、近年シェアが上がり、Linuxを対象としたマルウェアが出現してきたこともあり、ウイルスソフトを改めて検討するユーザーが増えた。だからこそ、Linuxの定番ウイルスソフトのClamAVが見直されてきたのかもしれない。

ClamTkのインストールと設定

ClamAVのGUI版、ClamTkのインストールと設定は、とても簡単だ。

Ubuntu系であれば、ソフトウェアセンターからインストールできる。また、端末で

$ sudo apt install clamtk

(apt方式の場合、Fedoraならaptをdnfに、Arch系ならpacmanに変えてインストール)

でもインストール可能だ。
clamtk インストール
インストールが完了したら、ClamTkを起動する。初期画面は以下の通り。
clamtk 初期画面
さっそく「設定」を開く。とりあえず全部にチェックを入れて初期画面に戻る。
clamtk 設定

次は「アップデートアシスタント」だ。アンチウイルスのシグネチャ(定義のようなものだろう)は、自動ではなく自分でアップデートを選んで「適用」をクリックして戻る。どうも、自動だといつアップデートしたか確認できないからだ。
clamtk アップデートアシスタント
続いて「アップデート」にて、「アップデートの確認」を行う。
clamtk アップデートの確認

ウイルススキャンを定期的に行うには、スケジュールの設定をする。
スキャンの時間を任意で決めて「+(プラス)」をクリック、アンチウイルスのシグネチャのアップデートも同様に設定後「+(プラス)」をクリックする。
以下のように、「状態」にてそれぞれ「スケジュールあり」になっていれば良い。
clamtk スケジュール設定

ここまで設定したのち、一度フォルダスキャンを行ってみる。Sophosと比べても速度的に遜色はない。

ClamTkの不具合について

実際にスキャンしてみると、スキャンの結果(履歴)が見れない。また、脅威のファイルを隔離することもしないのでググってみると、いろいろな人がその修正方法を記事にしていたので参考にした。

脅威の駆除ができない問題

端末で以下のように打ち込み、viでファイルを開いて修正する。

$ sudo nano /usr/bin/clamtk

開いた状態が以下の通り。
clamtk 端末で修正1

setlocale( LC_ALL, '' );

の後に、

setlocale( LC_TIME, 'C' );

と記入して保存する。しかし、端末で開くエディタ「vi」はほぼ使用したことがないので、よくわからない。カーソルは動くので、書き込み場所まで移動して改行し、上記の通りに書き込んだのち、端末下部に書かれているショートカットから「^O 書き込み」をしてみる。
「^O」はCtrl+Oでできるようだ。その通り打ってみて、Enterを押す。その後、「^X 終了」を押すと、端末の初期画面に戻る。
試しにもう一度「sudo nano /usr/bin/clamtk」と打ってみると、確かに追加した1行が書き込まれている。
clamtk 端末で修正2

メールの添付ファイルに含まれるウイルスを検知しない問題

これも上記の通り、端末で編集する。編集するファイルは「Scan.pm」というファイルだが、ディストリビューションによって格納されている場所が違うようなので、ファイルマネージャでファイルがある場所を確認する。
筆者はFedoraを使用しているので、「usr/share/perl5/vendor_perl/ClamTk」内にあった。そして、

$ sudo nano /usr/share/perl5/vendor_perl/ClamTk/Scan.pm

と打って、ファイルを開く。そして、

# Try to avoido scanning emails...
$directive .= ' --scan-mail-no';

の「no」を「yes」に書き換えて保存する。書き方は上記と同様だ。
clamtk 端末で修正3

本当なら有償のウイルスソフトを導入しても良いのだけれど、せっかくずっと無償のまま使っているので、これだけ有償ソフトを使用するのも合点がいかない。

なんにせよ、これでSophos Anti-Virusと同様に安心してLinuxを使い続けることができた。

【ざっくりLinux!のおすすめ本】
関連記事

コメント