現場は大パニックに…武田総務相が放った、NHK受信料の「郵便局員が徴収」発言
前代未聞の事態
「何も聞いてない。大臣が省内の判断を通さずに、自分で日本郵便とNHKに打診をしてしまうなんて前代未聞です」(総務省キャリア)
携帯電話料金の値下げで各社を締め上げているのが、武田良太総務相だ。その発言が、今度は別の業界を激震させている。
「せっかくある(郵便局の)ネットワークを有効利用することによって、(NHKの受信料徴収の)経費削減につなげる」
地元福岡の報道番組に出演した12月19日、武田氏は突如こう述べた。全国津々浦々の郵便局員に、NHKの受信料を集めさせようというのだ。
武田良太総務相(Photo by gettyimages)
これだけなら「思いつき」で済んだかもしれないが、21日の会見でも同様の意向を表明した。そればかりか「もう日本郵便とNHKにも検討するよう伝えた」と明かし、総務官僚らを仰天させた。
「菅総理が同意しないと、こんなことはあり得ません。政権は携帯電話料金値下げの次の目玉政策を探している。
受信料徴収には、NHKから徴収業者へ年間約780億円の予算が流れています。それを昨年赤字に転落した日本郵便に委託すれば、仕事を回せて損失補填になるうえ、NHKからの委託料も抑えられ、受信料値下げのテコにもなるとみたのでしょう」(前出・総務省キャリア)
12月21日朝、菅総理が日本郵政の増田寛也社長と会食した際にもこの件が話題になり、増田氏は前向きな反応を見せたという。しかし、郵便局の現場はパニックに陥った。
受信料を喜んで支払う人など、ほとんどいない。徴収員は「帰れ!」と怒鳴られるのも日常茶飯事、時には身の危険さえある過酷な仕事だ。少なくとも、郵便物を「届ける」のとは正反対である。
「かんぽ生命の営業で過酷なノルマを強いられ、顧客を騙す手口が問題になったばかりなのに、今度はカネ集めだなんて。ここまで本来の業務から離れた指示が降りてくるとは」(日本郵便関係者)
まるで便利屋扱いだ。
『週刊現代』2021年1月9・16日号より