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コロナ 緊急事態宣言でいつ減るの?東京の感染者数シミュレーション

  • 2021年1月6日

新型コロナウイルス対策で、政府は首都圏の1都3県を対象に7日、緊急事態宣言を出すことを決める方針です。でも、緊急事態宣言が出たらいつ頃感染者数が減るのでしょうか?京都大学の西浦博教授がシミュレーションを行った結果、東京都の感染者数を十分に減少させるには、昨年の緊急事態宣言と同等のレベルの効果を想定しても2月末までかかるとみられることが分かりました。

現状が続くと2月末で1日3500人、3月末で7000人に

去年4月に初めて緊急事態宣言が出された際には、数理モデルを使った感染症の分析が専門で京都大学の西浦博教授のシミュレーション結果を根拠に、人と人との接触を極力8割減らすことが呼びかけられました。

今回、再び緊急事態宣言が検討されていることについて、西浦教授が改めて東京都の今後の感染者数の推移をシミュレーションしました。

シミュレーションは、感染者1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」と呼ばれる数値を使って行われました。

それによりますと現在の感染状況から、東京都の実効再生産数はおよそ1.1となり、仮に新たな対策をせずにこの状態が続くとすると2月末時点での新たな感染者数は1日およそ3500人、3月末にはおよそ7000人まで増えるとみられるということです。

そのうえで、去年、経験した流行の第1波や第2波の際のデータを参考に新たな対策をとることでどれだけ感染者数が減るかを数理モデルを使って計算しました。

その結果、飲食店に限定して時短営業などの対策をとった場合、実効再生産数は10%下がって0.99になると想定されるということで、この状態だと新たな感染者数はほとんど減らず、2月末時点で1日およそ1300人となりました。

一方、実効再生産数を今よりも35%少ないおよそ0.72まで下げることができたとすると1か月半後の2月25日に新たな感染者数が1日100人を下回ったということです。

実効再生産数を35%減少させるのは前回、去年4月の緊急事態宣言の際の効果と同等のレベルだということで、これよりも効果が弱いと感染者数が減るまでさらに長い期間がかかるということです。

西浦教授によりますと、前回の緊急事態宣言と同等レベルの効果を得るためには飲食店の対策を中心としながらも不要不急の外出自粛や県境をまたぐ移動の自粛、それにリモートワークの徹底や会社でのミーティングを避けるなど、感染のリスクを下げる対策を徹底することが必要だということです。

4月の記者会見(中央が西浦教授)

西浦教授
「社会全体が一律に自粛するのではなく、さまざまな対策を組み合わせることで、メリハリのついた接触削減を達成できると思う。緊急事態宣言を出すからには実効性がとても重要で、失敗すると、心理的なダメージだけでなく社会、経済的なダメージも甚大になるだろう。国は、感染者数を思い切って下げられる対策を責任を持って、とっていく必要がある」

分科会の尾身茂会長「1か月以内では至難の業」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は、5日、会合を開いて提言をまとめました。

提言では、東京都など1都3県は、分科会が示した4つのステージのうち、最も深刻な「ステージ4」相当の対策が必要になっているとして、宣言の期間中に感染状況をなるべく早く「ステージ3」相当にまで下げ、宣言が解除されたとしても、感染が急増している段階ではないとされる「ステージ2」相当以下になるまで、必要な対策を続けるべきだとしています。

そのうえで、取るべき対策を具体的に挙げ、首都圏では飲食店への営業時間短縮のさらなる前倒しの要請など、感染リスクが高い場面を避ける対策を取るとともに不要不急の外出自粛やテレワークを徹底することによる出勤する人の7割削減、それにイベントの開催要件を厳しくすることや職場などでの飲み会の自粛呼びかけなどを進めるべきだとしています。

また、国には事業者への支援や罰則を含めた感染対策の実効性を高めるための特別措置法などの改正や変異ウイルスが確認された国に対する水際対策の強化、それに一般の人々が無理なく感染対策を持続できるよう環境を整備することなどが必要だとしています。

尾身茂会長は記者会見で「いまの状況から、ステージ3相当にまで下げるのは週単位では難しく、1か月以内では至難の業だと考えている。緊急事態宣言そのものによって感染が下火になる保証はなく、うまくいかないこともあり得る。社会を構成するみんながひと事ではなく自分のこととして行動し、対策を実行できるかに成否はかかっている」と訴えました。
 

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