【1月2日 AFP】カナダ・オンタリオ(Ontario)州の財務相が先月31日、厳重なロックダウン(都市封鎖)で不要不急の移動を控えるよう呼び掛けられている中、家族旅行で太陽がさんさんと輝くカリブ海(Caribbean Sea)に行っていたことが発覚し、辞任した。

 オンタリオ州財務相を務めていたロッド・フィリップス(Rod Phillips)氏は、トロント(ピアソン)国際空港(Toronto Pearson International Airport)に帰国すると、記者団の前で「とんでもなく愚かな間違いを犯した」と謝罪し、「旅行してはならないときに私が旅行した事実については、言い訳は一切しない」と述べた。

 それから数時間後、オンタリオ州のダグ・フォード(Doug Ford)首相は、フィリップス氏の辞意を受理したと述べた。

 地元メディアが今週報じたところによると、フィリップス氏は、カナダ各地で連日、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新する中、先月13日からカリブ海の仏領サンバルテミー(Saint Barthelemy)島に旅行していた。

 国内で最も人口が多く、経済活動の中心となっているオンタリオ州では先月31日に1日の新規感染者数が3300人に達した。フィリップス氏は、自分が渡航してから2週間後にこれほど感染者が増えることが分かっていれば、旅行をキャンセルしたと釈明したが、当局は数か月前から旅行を控えるよう呼び掛けている。

 フォード州首相は先月30日、ワクチンを開発中の施設で記者団に対し、「議員だろうが一般人だろうが関係ない」として、「非常に腹立たしい。この状況に大いにいら立っている。私が毎日毎日、外出を控えるよう人々に訴えているのに」と述べた。

 カナダでは、今年のクリスマスは大人数で集まらないよう国民への呼び掛けが行われていたが、フィリップス氏のスタッフが本人のメッセージをソーシャルメディアに投稿し続けたため、同氏は実際はカリブ海にいたにもかかわらず、クリスマス休暇を自宅で過ごしていたかのような印象を与えていた。

 そうしたメッセージの一つには、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する努力をしている国民に対し、フィリップス氏が暖炉のそばで感謝の言葉を述べている映像もあった。

 フィリップス氏は昨年8月にもスイス旅行をしたと報じられている。(c)AFP