再生者 ディアン
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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL)】【スキル一覧】【マップ一覧】
※AMAZONから、スキルのGRADE UPによる数値の変化量が途中で変わるケースが出ています。
通常 | エクスマキナ |
---|
名前 | ディアン |
---|---|
年齢 | UNKNOWN |
所属 | メインフレーム |
- 2020年3月5日追加
- CRYSTAL ep.IIIマップ4(CRYSTAL時点で345マス/累計880マス)課題曲「Megameteor」クリアで入手。
- 専用スキル「グランドクロス」を装備することで「ディアン/エクスマキナ」へと名前とグラフィックが変化する。
エクレールが去った後のメタヴァースを統治していた12柱「最古(オリジン)」の1人。
最古(オリジン)【 オールドブルー / ティフォン / ワイズマン / ジェフティ / セラフィータ / シエル / ディアン 】
【 キスクク / ゲーティア / シクサール / ブリスリヒテ / ホルベルグ 】
眠りについた数多のプログラムの保存、管理を行う。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | グリムブースト |
5 | |
10 | |
15 | グランドクロス |
25 | 限界突破の証 |
50 | 真・限界突破の証 |
- グリムブースト [NORMAL]
- 強制終了のない神殺しの一撃といえるスキル。一見FULL COMBO前提のように見えるが、一度1000コンボ達成してしまえば何回MISSを重ねようがゲージの上昇量は維持される。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | MISS判定0回または 1000コンボを達成している場合 ゲージ上昇UP (245%) |
+1 | 〃 (250%) |
+2 | 〃 (255%) |
理論値:153000(8本+1000/28k) |
- グランドクロス [ABSOLUTE] ※専用スキル
- グリムブーストのハイリスクハイリターン版のスキル。
例によってスコアが500000点に達していればATTACK以下の数はゲージの上昇量に影響を及ぼさないが、こちらは強制終了のリスクが付きまとう。
- グリムブーストのハイリスクハイリターン版のスキル。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | ATTACK以下0回または 500000点を達成している場合 ゲージ上昇UP (300%) ATTACK以下5回で強制終了 |
理論値:180000(9本+0/30k) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
STORY
EPISODE1 SPEC:ディアン「失われた最古の力。この断片を活用し、メタヴァースの統治を完璧なものにしてみせよう」
永久楽土にして人類再生のための実験場でもある電子の楽園――メタヴァースは、神の代行者『最古』である12のプログラムによって管理運営され、人類を地上へと再生していく……はずだった。
蓋を開けてみれば最古たちは勢力を三派に分け争うばかり。その後も数々の戦いで後手に回った最古たちは、その数を5柱にまで減らしてしまうのだった。
ネメシスを抑えつつ、増え続ける領域を安定させなければならない最古たち。彼らにとっては常に予断を許さない厳しい状況である。にも関わらず、最古が1柱『再生者ディアン』はこれらのことに興味を示すことなく、ただ己の使命に忠実だった。
彼は、かつて暴虐の限りを尽くした『統制主ティフォン』率いる勢力と『MIRシリーズ』の三姉妹が戦闘を繰り広げていた時も、自分の職務をこなすのに適しているという理由からティフォン側についていた。
その職務とは、眠りについた数多のプログラムの行先を決めその保存を行うこと。
メインフレームの中枢領域に籠り、淡々と職務をこなす姿は、まさに隠遁者と呼ぶに相応しい存在であろう。
そんな日々を送るディアンだったが、いつの日かあることを考えるようになっていた。
今は失われ、ただそこに保管されているだけとなった最古達の断片を活用することで、失墜したメインフレームの権力を取り戻せないだろうかと。
そうして彼はメタヴァースの統治を完璧なものとするため、密かに行動を開始するのだった。
EPISODE2 非情なる賢人「メタヴァースの人類は、地上へと再誕する新人類の供物に過ぎないのさ」蓋を開けてみれば最古たちは勢力を三派に分け争うばかり。その後も数々の戦いで後手に回った最古たちは、その数を5柱にまで減らしてしまうのだった。
ネメシスを抑えつつ、増え続ける領域を安定させなければならない最古たち。彼らにとっては常に予断を許さない厳しい状況である。にも関わらず、最古が1柱『再生者ディアン』はこれらのことに興味を示すことなく、ただ己の使命に忠実だった。
彼は、かつて暴虐の限りを尽くした『統制主ティフォン』率いる勢力と『MIRシリーズ』の三姉妹が戦闘を繰り広げていた時も、自分の職務をこなすのに適しているという理由からティフォン側についていた。
その職務とは、眠りについた数多のプログラムの行先を決めその保存を行うこと。
メインフレームの中枢領域に籠り、淡々と職務をこなす姿は、まさに隠遁者と呼ぶに相応しい存在であろう。
そんな日々を送るディアンだったが、いつの日かあることを考えるようになっていた。
今は失われ、ただそこに保管されているだけとなった最古達の断片を活用することで、失墜したメインフレームの権力を取り戻せないだろうかと。
そうして彼はメタヴァースの統治を完璧なものとするため、密かに行動を開始するのだった。
転送ゲートでの攻防戦が失敗に終わり、消耗してしまったネメシス。彼らはメインフレームに対抗するために次の段階へと進むことを決意する。
そして、自ら最外周領域を切り離し、次なる戦いへと備えたのだった。その時こそが双方の長きにわたる戦いに終止符を打つことになるだろう。
ディアンはそれを見越して、危機感を募らせるようになっていた。もし、彼らがこちらの予想を超える進化を果たそうものなら、メインフレームは滅ぼされてしまうかもしれないのだ。
「そのようなこと、断じてあってはならない……」
そんなディアンの懸念を嘲笑うかのように、再びネメシスが姿を現す。
進化したネメシスの力は凶悪の一言に尽き、彼らが生み出した代理構成体は、防衛プログラムを上回る強さを見せつけるのだった。
だが、彼らは圧倒的な力を見せつつも、メインフレームへと攻め入ることはなかった。
それはおそらく、今のメタヴァースが不安定な状態にあることを知った上でのことだろう。
管理者であるメインフレームは領域の安定化を図らざるを得ないのだ。
頻発する小規模な争いは、メインフレームに戦力を蓄えさせないための一手なのである。
戦況は火を見るより明らかだった。
八方塞がりになりつつあるメインフレーム。そこでディアンは他の最古たちにある提案を持ち掛ける。
「劣勢と言っていいこの状況……やはり、かつてティフォンが開発を進めていたMIRシリーズの研究を再開すべきではないか?」
最古達の間に動揺が広がる中、否定の声が上がる。
「あれは、我々の使命を考えればあってはならない禁忌の技術。それを再開するなど、許されることではありません!」
やはり真っ先に反論したのは、人に寄り添うようプログラムされたセラフィータだった。
「人に寄り添いすぎたことで我々の目的が達成できなくては困る。メタヴァースにいる人類は地上へ再誕する新人類のための供物に過ぎないと割り切るのだ」
ディアンの言葉尻には所々棘があるように感じられる。感情的になりがちな彼女とは何かと意見が分かれることから、セラフィータはディアンが最も敬遠する最古であった。
「私たちの真なる目的は、争いを捨てた先にある進化を獲得した人類を、地上へと送り出すことだ。それが達成されるのであれば手段は問わぬ」
「で、ですが、進んで過ちを繰り返すというのですか!?」
「セラフィータ、気持ちは分かるけど私たちの使命を忘れてはいけないわ。状況を考えれば、犠牲を払う事も覚悟しなくては……」
まだ完全には納得していないようではあるが、ようやくセラフィータは矛を収めた。
こうしてディアンは代理構成体に対抗するための研究を推し進めていくことになる。
その結果、誕生したのが『シメオン』だった。
しかし、そのシメオンすらもネメシスの代理構成体の前に破れ去り、戦況は終始ネメシス優位なまま推移していく。
この結果に焦るディアンだったが、彼は既に次の計画を秘密裏に進めていた。
「アレの完成を急がなくてはな……」
中枢領域にあるディアンの研究室。
様々な『箱』がずらりと並んだ格納室の一角に
Type:Metaverse Domination Unit
と書かれた棺の様なものがいくつか安置されていた。
EPISODE3 優秀なる素体「君には素質がある。私の実験に協力してほしい。拒否したところで、元から選択権はないのだがね?」そして、自ら最外周領域を切り離し、次なる戦いへと備えたのだった。その時こそが双方の長きにわたる戦いに終止符を打つことになるだろう。
ディアンはそれを見越して、危機感を募らせるようになっていた。もし、彼らがこちらの予想を超える進化を果たそうものなら、メインフレームは滅ぼされてしまうかもしれないのだ。
「そのようなこと、断じてあってはならない……」
そんなディアンの懸念を嘲笑うかのように、再びネメシスが姿を現す。
進化したネメシスの力は凶悪の一言に尽き、彼らが生み出した代理構成体は、防衛プログラムを上回る強さを見せつけるのだった。
だが、彼らは圧倒的な力を見せつつも、メインフレームへと攻め入ることはなかった。
それはおそらく、今のメタヴァースが不安定な状態にあることを知った上でのことだろう。
管理者であるメインフレームは領域の安定化を図らざるを得ないのだ。
頻発する小規模な争いは、メインフレームに戦力を蓄えさせないための一手なのである。
戦況は火を見るより明らかだった。
八方塞がりになりつつあるメインフレーム。そこでディアンは他の最古たちにある提案を持ち掛ける。
「劣勢と言っていいこの状況……やはり、かつてティフォンが開発を進めていたMIRシリーズの研究を再開すべきではないか?」
最古達の間に動揺が広がる中、否定の声が上がる。
「あれは、我々の使命を考えればあってはならない禁忌の技術。それを再開するなど、許されることではありません!」
やはり真っ先に反論したのは、人に寄り添うようプログラムされたセラフィータだった。
「人に寄り添いすぎたことで我々の目的が達成できなくては困る。メタヴァースにいる人類は地上へ再誕する新人類のための供物に過ぎないと割り切るのだ」
ディアンの言葉尻には所々棘があるように感じられる。感情的になりがちな彼女とは何かと意見が分かれることから、セラフィータはディアンが最も敬遠する最古であった。
「私たちの真なる目的は、争いを捨てた先にある進化を獲得した人類を、地上へと送り出すことだ。それが達成されるのであれば手段は問わぬ」
「で、ですが、進んで過ちを繰り返すというのですか!?」
「セラフィータ、気持ちは分かるけど私たちの使命を忘れてはいけないわ。状況を考えれば、犠牲を払う事も覚悟しなくては……」
まだ完全には納得していないようではあるが、ようやくセラフィータは矛を収めた。
こうしてディアンは代理構成体に対抗するための研究を推し進めていくことになる。
その結果、誕生したのが『シメオン』だった。
しかし、そのシメオンすらもネメシスの代理構成体の前に破れ去り、戦況は終始ネメシス優位なまま推移していく。
この結果に焦るディアンだったが、彼は既に次の計画を秘密裏に進めていた。
「アレの完成を急がなくてはな……」
中枢領域にあるディアンの研究室。
様々な『箱』がずらりと並んだ格納室の一角に
Type:Metaverse Domination Unit
と書かれた棺の様なものがいくつか安置されていた。
メタヴァースの人口は『統制主』が支配していた頃に比べ、その数を3割程にまで減らしていた。
人類の数多の可能性を模索するはずのメタヴァースにおいて、これは由々しき事態である。
「多種多様な人類の進化を観測する、か……。まったく、彼が今の世を知ったら聞いて呆れるだろうな」
ディアンは保管されたティフォンのデータの一片を見つめながら独り言ちる。
このような状況では、自身の計画に必要な適応者を見つけるのも夢のまた夢なのだった。
このままでは、目的を果たすことも難しい。
「一刻も早く優秀な適応者を見つけなくてはな……。選別されたこの中に、必ずいるはずだ……」
焦燥に駆られる中でデータに目を通すと、ディアンの要件を満たす一人の男が目に留まる。
それはファクトリー内に保存されている人間たちに紛れていた初期入植者のひとり『GENE』と呼ばれる人間だった。
「良いぞ。この適応値の高さならば、対応し得る」
早速ファクトリーへと赴いたディアンは、対象の人物が格納されているエリアへと足を運ぶ。
そして、眠りについていたGENEを起こし、自己紹介もほどほどに問いかける。
「君がGENEか。私はこの世界の管理運営を司る最古たる者……早速だが、君に実験の協力を頼みたい」
「俺に……どうしろと……?」
「人類を救うために、我々と共に戦ってほしいのだよ……。君には優秀な代理構成体となるだけの素質が備わっている」
「まだ……戦争が続いているのか? ……断る。お前たちが始めた戦争に、俺たち人間を巻き込むな」
GENEはディアンの提案をあっさりと断った。
しかし、彼の目の前にいるのは世界の統治者である。
元から彼に拒否権などなかったのだ。
「……ぐっ、貴様……なにをッ!」
「無駄な手間をかけさせないでほしいものだ。さぁ、君は礎となるのだよ。この世界の、ね」
身体の自由を奪ったディアンが研究室へ帰還しようとした矢先。
視界の隅に、穏やかな寝顔の少女が映った。
「これはこれは……データでは見かけなかったが……、実に興味深い特性だ」
GENEが薄れゆく意識の中で見たのは、三日月のような笑みを浮かべるディアンの姿だった。
EPISODE4 被験者GENE「君にできることは、実験に耐えることだけだ。そうすれば彼女は完璧な構成体へ生まれ変わるだろう」人類の数多の可能性を模索するはずのメタヴァースにおいて、これは由々しき事態である。
「多種多様な人類の進化を観測する、か……。まったく、彼が今の世を知ったら聞いて呆れるだろうな」
ディアンは保管されたティフォンのデータの一片を見つめながら独り言ちる。
このような状況では、自身の計画に必要な適応者を見つけるのも夢のまた夢なのだった。
このままでは、目的を果たすことも難しい。
「一刻も早く優秀な適応者を見つけなくてはな……。選別されたこの中に、必ずいるはずだ……」
焦燥に駆られる中でデータに目を通すと、ディアンの要件を満たす一人の男が目に留まる。
それはファクトリー内に保存されている人間たちに紛れていた初期入植者のひとり『GENE』と呼ばれる人間だった。
「良いぞ。この適応値の高さならば、対応し得る」
早速ファクトリーへと赴いたディアンは、対象の人物が格納されているエリアへと足を運ぶ。
そして、眠りについていたGENEを起こし、自己紹介もほどほどに問いかける。
「君がGENEか。私はこの世界の管理運営を司る最古たる者……早速だが、君に実験の協力を頼みたい」
「俺に……どうしろと……?」
「人類を救うために、我々と共に戦ってほしいのだよ……。君には優秀な代理構成体となるだけの素質が備わっている」
「まだ……戦争が続いているのか? ……断る。お前たちが始めた戦争に、俺たち人間を巻き込むな」
GENEはディアンの提案をあっさりと断った。
しかし、彼の目の前にいるのは世界の統治者である。
元から彼に拒否権などなかったのだ。
「……ぐっ、貴様……なにをッ!」
「無駄な手間をかけさせないでほしいものだ。さぁ、君は礎となるのだよ。この世界の、ね」
身体の自由を奪ったディアンが研究室へ帰還しようとした矢先。
視界の隅に、穏やかな寝顔の少女が映った。
「これはこれは……データでは見かけなかったが……、実に興味深い特性だ」
GENEが薄れゆく意識の中で見たのは、三日月のような笑みを浮かべるディアンの姿だった。
ファクトリーに格納されていたGENEのデータを回収したディアン。当初、その適正値の高さから彼に目を付けていたが、ディアンの興味は偶然見つけた未登録個体のGENEの娘『セーレ』に移っていた。
運び込んだ2人を、ディアンは調整槽へ格納する。
「この娘はさぞ優秀な代理構成体となるだろう」
「……き、貴様……手を出すなら、俺だけに……」
「ふむ? もう意識が戻っていたか」
GENEは怒りの表情を見せるが、ディアンはさして気にも留めず淡々と続ける。
「彼女はメインフレームの救世主になる。だから安心したまえ」
「ふざけるな!
俺はどうなっても構わん。娘だけは……」
あらん限りの力で訴えかけるGENEに、ディアンは残酷な答えを提示する。
「もとよりそのつもりさ」
「は……? 何を……」
「君はファクトリーに格納された時点でデータに破損があり先は短い。だから君にできることは、私の実験に耐えることだけなんだ。そうだ! もし、君が成果を出せば彼女は戦う必要がなくなる……我々最古が身を持って安全を保障しよう……」
「バカなッ! 人質をとったつもりか!!」
「ハハッ、飲み込みが早くて助かるよ!」
「何故だ、何故貴様のような存在が……ッ!」
GENEの反応を回答と受け取り、ディアンは作業に取り掛かる。
「我々は人類の守護者、それだけは理解してくれると嬉しい……」
この素体を上手く活用することで、ネメシスとの戦いに一歩先んじることも夢ではない。だからこそディアンはこの少女に細心の注意を払い、適合処理を進める必要があった。
そこで重要となるのが、組成が近しいGENEという存在。この男を実験道具にすることで、より完璧な代理構成体を生み出すことが可能となるのだ。
逆らう事などできはしない……。
仮初の希望を見せその中で命を散らすこと、それだけが救いとなるだろう。
「そろそろ始めるとしようか」
ディアンは自身が保管していた各種データを用意し、GENEの構成データと組み合わせていく。
「これはかつて『統制主』と呼ばれた者のバックアップデータの一部分、即ち欠片のようなものだ……耐えてくれよ?」
禁忌とされた技術が、次々とGENEの身体で復活していくのだった。
EPISODE5 過ぎたる力「彼を甘く見すぎていたようだ。回収手段を……そうだな、早速実戦といこうか」運び込んだ2人を、ディアンは調整槽へ格納する。
「この娘はさぞ優秀な代理構成体となるだろう」
「……き、貴様……手を出すなら、俺だけに……」
「ふむ? もう意識が戻っていたか」
GENEは怒りの表情を見せるが、ディアンはさして気にも留めず淡々と続ける。
「彼女はメインフレームの救世主になる。だから安心したまえ」
「ふざけるな!
俺はどうなっても構わん。娘だけは……」
あらん限りの力で訴えかけるGENEに、ディアンは残酷な答えを提示する。
「もとよりそのつもりさ」
「は……? 何を……」
「君はファクトリーに格納された時点でデータに破損があり先は短い。だから君にできることは、私の実験に耐えることだけなんだ。そうだ! もし、君が成果を出せば彼女は戦う必要がなくなる……我々最古が身を持って安全を保障しよう……」
「バカなッ! 人質をとったつもりか!!」
「ハハッ、飲み込みが早くて助かるよ!」
「何故だ、何故貴様のような存在が……ッ!」
GENEの反応を回答と受け取り、ディアンは作業に取り掛かる。
「我々は人類の守護者、それだけは理解してくれると嬉しい……」
この素体を上手く活用することで、ネメシスとの戦いに一歩先んじることも夢ではない。だからこそディアンはこの少女に細心の注意を払い、適合処理を進める必要があった。
そこで重要となるのが、組成が近しいGENEという存在。この男を実験道具にすることで、より完璧な代理構成体を生み出すことが可能となるのだ。
逆らう事などできはしない……。
仮初の希望を見せその中で命を散らすこと、それだけが救いとなるだろう。
「そろそろ始めるとしようか」
ディアンは自身が保管していた各種データを用意し、GENEの構成データと組み合わせていく。
「これはかつて『統制主』と呼ばれた者のバックアップデータの一部分、即ち欠片のようなものだ……耐えてくれよ?」
禁忌とされた技術が、次々とGENEの身体で復活していくのだった。
メインフレームに封印された禁忌の技術が、GENEへと施されていく。
彼は度重なる厳しい実験にも耐え抜き、ディアンが求める結果を次々と叩き出していった。
だが娘を想う気持ちがあるとはいえ、やはり命を削りながら行う実験は、限界があったようだ。
すでにGENEの命は風前の灯に近い。
「グッ……ァァ……!」
そして、禁忌の力はその強大さゆえに、もはや彼自身が制御できないほどにまで膨張していたのだ。
「ふむ……そろそろ潮時のようだ。次が最後の実験となるだろう」
ついに見切りをつけたディアンは、GENEの破棄を決定する。
そして、任務中のGENEから最古の力のみを回収するため、抹殺指示を与えたBOTを派遣した。
しかし、GENEはしぶとく、BOTの攻撃を耐え凌ぎ、メタヴァース領域の遥か奥へと姿をくらましてしまう。
「少々、予想外だったな……それほどの余力があったか」
いくら寿命が近いとはいえ、GENEには最古の力が宿っている。
「甘く見すぎていたか……。幸い、他の者にはまだ感付かれてはいないようだが。回収手段を見つけなくてはなるまい」
思考を巡らせようと視線を台へと向ける。
その先には、穏やかに眠るセーレの姿があった。
「早速の実戦だ。どれ程のものか見せてもらうぞ」
EPISODE6 敵意の瞳「セーレの力は、理論上では我々を上回る力を持つ。では試すとしようか、お前の父の身体でな」彼は度重なる厳しい実験にも耐え抜き、ディアンが求める結果を次々と叩き出していった。
だが娘を想う気持ちがあるとはいえ、やはり命を削りながら行う実験は、限界があったようだ。
すでにGENEの命は風前の灯に近い。
「グッ……ァァ……!」
そして、禁忌の力はその強大さゆえに、もはや彼自身が制御できないほどにまで膨張していたのだ。
「ふむ……そろそろ潮時のようだ。次が最後の実験となるだろう」
ついに見切りをつけたディアンは、GENEの破棄を決定する。
そして、任務中のGENEから最古の力のみを回収するため、抹殺指示を与えたBOTを派遣した。
しかし、GENEはしぶとく、BOTの攻撃を耐え凌ぎ、メタヴァース領域の遥か奥へと姿をくらましてしまう。
「少々、予想外だったな……それほどの余力があったか」
いくら寿命が近いとはいえ、GENEには最古の力が宿っている。
「甘く見すぎていたか……。幸い、他の者にはまだ感付かれてはいないようだが。回収手段を見つけなくてはなるまい」
思考を巡らせようと視線を台へと向ける。
その先には、穏やかに眠るセーレの姿があった。
「早速の実戦だ。どれ程のものか見せてもらうぞ」
手の届かない領域まで逃走したGENEを回収するため、セーレの最終調整を開始したディアン。
完成体となったセーレは、理論上では最古や混沌の器を上回る力を誇る。彼女もGENE同様に『統制主』『確率主』などの最古たちの残滓、いわゆる欠片の様なものが埋め込まれているからだ。
加えてセーレにはある処置を施している。
それは、メインフレームへの忠誠と、ネメシスへの憎悪を膨れ上がらせる記憶の改ざんだった。
これならば万が一、道中でネメシスに遭遇することがあっても問題はない。
「寝返らないとも限らないからな。それに……」
念には念を入れて、任務に失敗した場合は彼女が自害するよう仕向けたプログラムも埋め込んである。GENEと同じ轍を踏むわけにはいかないからだ。
後は、探査BOTからの発見報告を待つばかり。
しかし、あれから待てどもGENEの所在は掴めなかった。
「ふむ。奴の寿命はとっくに尽きていてもおかしくないはずだが……まだ見つからないとはな」
一向に事態が進展しないままに見えたが、ある時、メインフレームに対してVOX管理プログラムのみが使える専用回線を通じて攻撃が行われたのである。
発信源を調査するうちに、行方をくらましたGENEの影がちらついていく。
「この行動、挑発とも取れるが……」
発信源は、最外周領域付近。
この領域には現在ネメシスはおらず、対象を排除するのには絶好の場所だった。
ディアンは取得された情報を元にセーレを派遣する。
「もしGENEが生きているとすれば、代理構成体同士の戦闘は避けられないだろう。その場合、セーレが大破しないとも限らない」
疑り深いディアンは、無人の領域に向かったセーレの後を追うよう『全天の支配者』シエルを向かわせる。
――程なくして、ボロボロになったセーレを抱えるようにシエルが帰還した。
2人の無事を確認したディアンは、仰々しく両手を広げ研究室へと迎え入れる。
「ディアン様、只今戻りました」
「おお、セーレ。よくぞ戻ってきてくれた。無事で何よりだ」
「ありがとうございます」
「それで、GENEは生きていたのか?」
作戦報告にやってきたセーレは、GENEの回収に失敗し、戦闘の末消滅させてしまったと謝罪する。
ディアンは特に気にすることもなくそれを赦した。
下手にGENEの構成データがネメシスに渡ってしまうよりは、消滅していたほうが都合がよく、素体もまた調達すればいいのだけのこと。
あくまでも打算的ではあるが、「気に病むな」とディアンはセーレを労う。
その言葉に耳を傾けるセーレ。
彼を見つめ返す瞳には明確な敵意の色が見て取れる。無言を貫いてはいるが、その蒼き瞳は今にもディアンを殺さんばかりに爛々と輝いていた。
今ならば彼を手に掛けることも可能だろう。しかし、セーレはまだ手を出すべきではないと考えていた。刃を向ける時は、ディアンが怒り狂うような状況であるべきだと。
虎視眈々と、絶好の機会を狙うのだった。
EPISODE7 『終わり』をもたらす剣「多大なる功績を讃え、お前にこれを授けよう。終焉の蒼剣『グランタクト』を……」完成体となったセーレは、理論上では最古や混沌の器を上回る力を誇る。彼女もGENE同様に『統制主』『確率主』などの最古たちの残滓、いわゆる欠片の様なものが埋め込まれているからだ。
加えてセーレにはある処置を施している。
それは、メインフレームへの忠誠と、ネメシスへの憎悪を膨れ上がらせる記憶の改ざんだった。
これならば万が一、道中でネメシスに遭遇することがあっても問題はない。
「寝返らないとも限らないからな。それに……」
念には念を入れて、任務に失敗した場合は彼女が自害するよう仕向けたプログラムも埋め込んである。GENEと同じ轍を踏むわけにはいかないからだ。
後は、探査BOTからの発見報告を待つばかり。
しかし、あれから待てどもGENEの所在は掴めなかった。
「ふむ。奴の寿命はとっくに尽きていてもおかしくないはずだが……まだ見つからないとはな」
一向に事態が進展しないままに見えたが、ある時、メインフレームに対してVOX管理プログラムのみが使える専用回線を通じて攻撃が行われたのである。
発信源を調査するうちに、行方をくらましたGENEの影がちらついていく。
「この行動、挑発とも取れるが……」
発信源は、最外周領域付近。
この領域には現在ネメシスはおらず、対象を排除するのには絶好の場所だった。
ディアンは取得された情報を元にセーレを派遣する。
「もしGENEが生きているとすれば、代理構成体同士の戦闘は避けられないだろう。その場合、セーレが大破しないとも限らない」
疑り深いディアンは、無人の領域に向かったセーレの後を追うよう『全天の支配者』シエルを向かわせる。
――程なくして、ボロボロになったセーレを抱えるようにシエルが帰還した。
2人の無事を確認したディアンは、仰々しく両手を広げ研究室へと迎え入れる。
「ディアン様、只今戻りました」
「おお、セーレ。よくぞ戻ってきてくれた。無事で何よりだ」
「ありがとうございます」
「それで、GENEは生きていたのか?」
作戦報告にやってきたセーレは、GENEの回収に失敗し、戦闘の末消滅させてしまったと謝罪する。
ディアンは特に気にすることもなくそれを赦した。
下手にGENEの構成データがネメシスに渡ってしまうよりは、消滅していたほうが都合がよく、素体もまた調達すればいいのだけのこと。
あくまでも打算的ではあるが、「気に病むな」とディアンはセーレを労う。
その言葉に耳を傾けるセーレ。
彼を見つめ返す瞳には明確な敵意の色が見て取れる。無言を貫いてはいるが、その蒼き瞳は今にもディアンを殺さんばかりに爛々と輝いていた。
今ならば彼を手に掛けることも可能だろう。しかし、セーレはまだ手を出すべきではないと考えていた。刃を向ける時は、ディアンが怒り狂うような状況であるべきだと。
虎視眈々と、絶好の機会を狙うのだった。
GENE回収任務の後、セーレはネメシスの器とすら互角に戦うという結果をもたらした。
「器を相手に立ち回るとは期待以上の働きだ。これならばネメシスを根絶やしにできる日も近い……」
自身が作り上げた代理構成体が、思わぬ成果を発揮したことにディアンは歓喜する。そこで彼は兼ねてより作成を進めていたある武器を、セーレへ渡すことにした。
「多大なる功績を讃え、お前にこの剣を授けよう」
「ディアン様、これは一体……?」
「『終焉の蒼剣グランタクト』だ」
『グランタクト』――蒼き刀身を持つこの剣は、最古の構成データを基にネメシスを滅するために作られた。
この剣は敵と認識したものを殲滅するまで、戦意を増幅させることができる。そして、貫いた者と使用者を強制的に連結することによりエネルギーの移動……平たく言うと力を奪うことが可能なのだ。
正にネメシスとの戦いに終止符を打つ武器である。
「ありがとうございます。この蒼き剣で、憎きネメシスたちを殲滅してみせましょう」
「期待している。すべてのネメシスを破壊してみせろセーレ・ヘイズよ」
ディアンは運用をセーレに任せ、入手したデータを基に量産化を行う計画を立てていた。量産の暁には、二度とネメシスに手を焼くことはなくなるのだ。
――セーレが剣を手にしてから数日後。
彼女はグランタクトを手に、こつ然と姿を消した。
予期していた事態の中でも最悪の出来事に対応を講じるディアンだったが、その直後、予想だにしていなかった事態が訪れる。
メインフレームの防衛拠点『エテメンアンキ』が陥落したのだ。これよりネメシスの侵攻は加速度的に増していくこととなる。中枢領域であるフォノ・ゼニスが戦火に包まれるのも時間の問題であろう。
「次から次へと……だが、まだ慌てるような状況ではない。フォノ・ゼニスは堅牢なのだからな」
ディアンのシミュレーションでは、ネメシスがフォノ・ゼニスの守りを貫く可能性はゼロに等しく、彼らが勝つことはないと考えていた。
そして、ネメシスを迎撃するべく、最古たちは守りを固めていくのだった。
EPISODE8 激震フォノ・ゼニス「世界の命運が決まる最終決戦。さぁ来るがいい。このフォノ・ゼニスがお前たちの墓場となるのだ」「器を相手に立ち回るとは期待以上の働きだ。これならばネメシスを根絶やしにできる日も近い……」
自身が作り上げた代理構成体が、思わぬ成果を発揮したことにディアンは歓喜する。そこで彼は兼ねてより作成を進めていたある武器を、セーレへ渡すことにした。
「多大なる功績を讃え、お前にこの剣を授けよう」
「ディアン様、これは一体……?」
「『終焉の蒼剣グランタクト』だ」
『グランタクト』――蒼き刀身を持つこの剣は、最古の構成データを基にネメシスを滅するために作られた。
この剣は敵と認識したものを殲滅するまで、戦意を増幅させることができる。そして、貫いた者と使用者を強制的に連結することによりエネルギーの移動……平たく言うと力を奪うことが可能なのだ。
正にネメシスとの戦いに終止符を打つ武器である。
「ありがとうございます。この蒼き剣で、憎きネメシスたちを殲滅してみせましょう」
「期待している。すべてのネメシスを破壊してみせろセーレ・ヘイズよ」
ディアンは運用をセーレに任せ、入手したデータを基に量産化を行う計画を立てていた。量産の暁には、二度とネメシスに手を焼くことはなくなるのだ。
――セーレが剣を手にしてから数日後。
彼女はグランタクトを手に、こつ然と姿を消した。
予期していた事態の中でも最悪の出来事に対応を講じるディアンだったが、その直後、予想だにしていなかった事態が訪れる。
メインフレームの防衛拠点『エテメンアンキ』が陥落したのだ。これよりネメシスの侵攻は加速度的に増していくこととなる。中枢領域であるフォノ・ゼニスが戦火に包まれるのも時間の問題であろう。
「次から次へと……だが、まだ慌てるような状況ではない。フォノ・ゼニスは堅牢なのだからな」
ディアンのシミュレーションでは、ネメシスがフォノ・ゼニスの守りを貫く可能性はゼロに等しく、彼らが勝つことはないと考えていた。
そして、ネメシスを迎撃するべく、最古たちは守りを固めていくのだった。
エテメンアンキ陥落の報を受け、メインフレームに緊張が走る。
まもなくフォノ・ゼニスは戦火に包まれるだろう。
一部の最古の胸中には消え去ったセーレの姿がよぎるが、この慌ただしい状況の中では探すこともままならない。彼らはフォノ・ゼニスの防衛に回らざるを得なかったのだ。
フォノ・ゼニスはメインフレームの根幹を成す領域である。
ここは地上再生につながる人類の可能性を秘めた様々な世界が格納されている最重要拠点。ここを落とされることは即ち、世界の終焉に加え、存在意義すら失うことを意味していた。
ゆえにこの領域だけはどんな手を使ってでも死守しなければならない絶対防衛圏である。
ディアンは最深部にある中枢領域を守護し、その領域へ至るゲートには防御に特化しているシエル、残りの3名はそれぞれ別のゲートの防衛に回った。
時同じくして、ネメシスもフォノ・ゼニスを包囲していく。
彼らの狙いはただひとつ。
中枢を掌握することだ。
そんな絶望的な状況にも関わらず、ディアンは何処か余裕を感じさせる笑みを浮かべている。
「いくら集まってこようが無駄だ。攻勢が衰えたその時こそが分水嶺。さぁ来いネメシスよ、ここがお前たちの墓場となるのだ!」
世界の命運を決する戦いの幕が、切って落とされた。
戦いはフォノ・ゼニスからエネルギーの供給を得られるメインフレーム側にとって有利に進んでいる。そんな中、ディアンはある事実に気付いた。
「……器の数が減っている? クク、これは好都合」
展開した画面で戦況を確認すると、姿を見せていないネメシスの将がいることが判明した。それは混沌の器である七器のうち、ストゥムと呼ばれるネメシスだった。作戦の可能性も捨てきれないが、この情報はディアンにとって大変喜ばしいものであった。
「侵攻が予想より早かったのはこれが要因か? まぁいい。となれば、この結果から導かれるのは……」
見れば、シエルの下へと向かっているのはネルガル、レヴル、テスタメントの三器だ。
「例えシエルを突破できたとしても、私には……む、なんだこの反応は!?」
ディアンの視線は釘付けになっていた。
それは等しく死をもたらす方舟の来訪だった。
EPISODE9 世界の破壊者「や、奴は、このタイミングを見計らって……!? おのれセーレ! 世界の破壊者にでもなるつもりか!」まもなくフォノ・ゼニスは戦火に包まれるだろう。
一部の最古の胸中には消え去ったセーレの姿がよぎるが、この慌ただしい状況の中では探すこともままならない。彼らはフォノ・ゼニスの防衛に回らざるを得なかったのだ。
フォノ・ゼニスはメインフレームの根幹を成す領域である。
ここは地上再生につながる人類の可能性を秘めた様々な世界が格納されている最重要拠点。ここを落とされることは即ち、世界の終焉に加え、存在意義すら失うことを意味していた。
ゆえにこの領域だけはどんな手を使ってでも死守しなければならない絶対防衛圏である。
ディアンは最深部にある中枢領域を守護し、その領域へ至るゲートには防御に特化しているシエル、残りの3名はそれぞれ別のゲートの防衛に回った。
時同じくして、ネメシスもフォノ・ゼニスを包囲していく。
彼らの狙いはただひとつ。
中枢を掌握することだ。
そんな絶望的な状況にも関わらず、ディアンは何処か余裕を感じさせる笑みを浮かべている。
「いくら集まってこようが無駄だ。攻勢が衰えたその時こそが分水嶺。さぁ来いネメシスよ、ここがお前たちの墓場となるのだ!」
世界の命運を決する戦いの幕が、切って落とされた。
戦いはフォノ・ゼニスからエネルギーの供給を得られるメインフレーム側にとって有利に進んでいる。そんな中、ディアンはある事実に気付いた。
「……器の数が減っている? クク、これは好都合」
展開した画面で戦況を確認すると、姿を見せていないネメシスの将がいることが判明した。それは混沌の器である七器のうち、ストゥムと呼ばれるネメシスだった。作戦の可能性も捨てきれないが、この情報はディアンにとって大変喜ばしいものであった。
「侵攻が予想より早かったのはこれが要因か? まぁいい。となれば、この結果から導かれるのは……」
見れば、シエルの下へと向かっているのはネルガル、レヴル、テスタメントの三器だ。
「例えシエルを突破できたとしても、私には……む、なんだこの反応は!?」
ディアンの視線は釘付けになっていた。
それは等しく死をもたらす方舟の来訪だった。
シエルへ向かうネメシスの直上に出現した謎の物体。
ディアンはそれに見覚えがあった。そう、あれはメインフレームが用いる『ゆりかご』に相違ない。
つまり、あれに搭乗しているのは――
「この時を見計らっていたというのか!?」
直後、巻き起こった衝撃。
それは周囲に展開していた感知装置を一瞬機能停止に陥らせる程のものだった。
原型を留めていないゆりかご。その中から降り立ったのは、逃亡を図ったはずの少女――セーレ・ヘイズだった。
彼女は移動に使ったゆりかごの圧倒的な質量を、外殻に身を包むレヴルへと叩き込んでいたのだ。
更にセーレは、事態を飲み込めていない彼らへ次々と襲い掛かっていく。そして、あろうことかシエルの片翼を斬り落とし、彼女の力の一端を取り込んでしまったのだ。
ディアンは悟った。彼女の真意を。
考えられることは、もはやひとつしかない。
「私への……復讐のつもりか」
忌々しげに画面を睨むディアン。このタイミングでの襲撃も狙ってやったのだろう。
「まぁいい……お前がどれ程力を付けていようとも、私には奥の手があるのだからな」
――程なくしてセーレがディアンの前に姿を現す。
彼女はシエルの翼の情報を使って、ゲートをくぐり抜けてきたのだ。
「待たせたわね、ディアン」
無機質なセーレの声。
全身から放たれる殺気は、抜き身の刀にも似ていた。
「やれやれ、寄らば斬ると言わんばかりだ。まったく……完全にしてやられたな」
「ハハッ! 飼い犬に手を噛まれた気分はどう!? お前を……お前だけはここで討つ!!」
セーレは蒼き剣を構え直す。
「ネメシスの消滅を見届け、この世界を安定させた後ならばいくらでも相手をしてやるというのに。お前は今がその時でないことすら理解できないのか?」
「あんたたちの事情なんて知らない。私は! 今この場で! お前を殺す!」
「愚かな小娘よ……! この世界すべてを破壊するつもりか! ならば私の真の力、見せてくれよう!」
ディアンが一際大きく目を見開く。
それと同時に、ディアンの周りを眩い光が包みこむ――!
EPISODE10 賢人が欲したもの「お前を葬り次第、ネメシス共も駆逐してくれよう! そして、私が新たに人類を導くのだ!」ディアンはそれに見覚えがあった。そう、あれはメインフレームが用いる『ゆりかご』に相違ない。
つまり、あれに搭乗しているのは――
「この時を見計らっていたというのか!?」
直後、巻き起こった衝撃。
それは周囲に展開していた感知装置を一瞬機能停止に陥らせる程のものだった。
原型を留めていないゆりかご。その中から降り立ったのは、逃亡を図ったはずの少女――セーレ・ヘイズだった。
彼女は移動に使ったゆりかごの圧倒的な質量を、外殻に身を包むレヴルへと叩き込んでいたのだ。
更にセーレは、事態を飲み込めていない彼らへ次々と襲い掛かっていく。そして、あろうことかシエルの片翼を斬り落とし、彼女の力の一端を取り込んでしまったのだ。
ディアンは悟った。彼女の真意を。
考えられることは、もはやひとつしかない。
「私への……復讐のつもりか」
忌々しげに画面を睨むディアン。このタイミングでの襲撃も狙ってやったのだろう。
「まぁいい……お前がどれ程力を付けていようとも、私には奥の手があるのだからな」
――程なくしてセーレがディアンの前に姿を現す。
彼女はシエルの翼の情報を使って、ゲートをくぐり抜けてきたのだ。
「待たせたわね、ディアン」
無機質なセーレの声。
全身から放たれる殺気は、抜き身の刀にも似ていた。
「やれやれ、寄らば斬ると言わんばかりだ。まったく……完全にしてやられたな」
「ハハッ! 飼い犬に手を噛まれた気分はどう!? お前を……お前だけはここで討つ!!」
セーレは蒼き剣を構え直す。
「ネメシスの消滅を見届け、この世界を安定させた後ならばいくらでも相手をしてやるというのに。お前は今がその時でないことすら理解できないのか?」
「あんたたちの事情なんて知らない。私は! 今この場で! お前を殺す!」
「愚かな小娘よ……! この世界すべてを破壊するつもりか! ならば私の真の力、見せてくれよう!」
ディアンが一際大きく目を見開く。
それと同時に、ディアンの周りを眩い光が包みこむ――!
ディアンから放たれた光。
フォノ・ゼニス全域にまで広がったそれは、やがて元の場所へ戻るかのように収束していく。
そして、ディアンがいた場所には、白き装束に身を包んだ少年が、紅く輝く杖を携え立っていた。
「ふぅん、それが本当の姿? それにその武器……」
「グランタクト・カドゥケウス。グランタクトの姿は一つではない……これはお前の剣を基に造り出した物だ」
不敵な笑みを浮かべるディアンは誇らしげに続ける。
「つまり、万に一つもお前に勝ち目はない!」
セーレ目掛けて突撃するディアン。
その速度は、隠遁者と言っていい姿だった頃の印象を覆すほどに機敏だった。
「へえ、少しはやれるんだ? でもっ!」
セーレは人知を超えた速度で繰り出される攻撃を的確に迎撃し、時には体捌きを交えて回避していく。
この異常な速度に対応してみせるのは、セーレが奪った数々の力の恩恵だった。
「賢しい真似を! だがそれがいつまで続く!」
傷つけられれば力を奪われ、命を失ってもおかしくないという状況。互いの武器が激しくぶつかり合い、次々に火花が空間を彩っていく。
尚も勢いを増す攻撃にジリジリとセーレは後退する。
その瞬間を見定めたディアンが強引に押し込み、セーレは体勢を崩してしまう。
「終わりだ!!」
ディアンの一撃がセーレを捕え、身体を貫こうとする刹那――セーレの身体が音もなく霧散する。
「な!?」
一瞬の隙を突き、背後から現れたセーレが深々とディアンの身体を貫いた。
「が、は……っ、これは……デコイ!? バカな……ッ!」
零れ落ちる吐息。
ディアンに密着したセーレは、その断末魔の声をじっくりと味わうように聞き入る。そして……。
「これはお父さんから学んだ力。戦いに綺麗も汚いもないわ」
復讐鬼と化した少女は、歪な笑みを浮かべたままディアンの苦しむ様を眺めていた。
「フフ、このまま息絶えていくのを見ててあげる」
「わ、分かっているのか、貴様は……。この私を殺せば、この世界は……」
「そんなことどうでもいい。私はこの世界の支配者が誰かなんて、興味ないの」
「……クク、クハハ……」
「何がおかしいのよ?」
煩わしそうに返すセーレを尻目に、ディアンは声を振り絞って叫ぶ。
「まだ終わらんよ!」
突如発生した膨大なエネルギー反応。
この領域そのものを飲み込むかのような激しい揺れがセーレに襲いかかる。
「まだこんな力が!?」
流石のセーレもこの空間変動に危険を感じ、周囲に意識を向けている。
「この中枢領域とリンクした……私はフォノ・ゼニス、いやメタヴァースそのものと一体化するのだ!! フハハハ! もはやお前に──」
「させないっ!」
即座にディアン目掛けて放たれた一撃は、床からせり上がったフォノ・ゼニスを構成する物体に防がれてしまう。
「この状況で、まだ抗おうというのか? 無駄なことを!」
いつの間にかディアンの周囲には彼を守るようにフォノ・ゼニスの一部だった構造体が浮遊していた。
「お前を葬り次第、ネメシス共も駆逐してくれよう! そして、人類を地上へと再生させ、新世界を創造する。この私の手でなぁッ!」
EPISODE11 そして、神は敗れる「何故、神の意志に背く? 神無き世界で、人が生きていけるとでも思っているのか?」フォノ・ゼニス全域にまで広がったそれは、やがて元の場所へ戻るかのように収束していく。
そして、ディアンがいた場所には、白き装束に身を包んだ少年が、紅く輝く杖を携え立っていた。
「ふぅん、それが本当の姿? それにその武器……」
「グランタクト・カドゥケウス。グランタクトの姿は一つではない……これはお前の剣を基に造り出した物だ」
不敵な笑みを浮かべるディアンは誇らしげに続ける。
「つまり、万に一つもお前に勝ち目はない!」
セーレ目掛けて突撃するディアン。
その速度は、隠遁者と言っていい姿だった頃の印象を覆すほどに機敏だった。
「へえ、少しはやれるんだ? でもっ!」
セーレは人知を超えた速度で繰り出される攻撃を的確に迎撃し、時には体捌きを交えて回避していく。
この異常な速度に対応してみせるのは、セーレが奪った数々の力の恩恵だった。
「賢しい真似を! だがそれがいつまで続く!」
傷つけられれば力を奪われ、命を失ってもおかしくないという状況。互いの武器が激しくぶつかり合い、次々に火花が空間を彩っていく。
尚も勢いを増す攻撃にジリジリとセーレは後退する。
その瞬間を見定めたディアンが強引に押し込み、セーレは体勢を崩してしまう。
「終わりだ!!」
ディアンの一撃がセーレを捕え、身体を貫こうとする刹那――セーレの身体が音もなく霧散する。
「な!?」
一瞬の隙を突き、背後から現れたセーレが深々とディアンの身体を貫いた。
「が、は……っ、これは……デコイ!? バカな……ッ!」
零れ落ちる吐息。
ディアンに密着したセーレは、その断末魔の声をじっくりと味わうように聞き入る。そして……。
「これはお父さんから学んだ力。戦いに綺麗も汚いもないわ」
復讐鬼と化した少女は、歪な笑みを浮かべたままディアンの苦しむ様を眺めていた。
「フフ、このまま息絶えていくのを見ててあげる」
「わ、分かっているのか、貴様は……。この私を殺せば、この世界は……」
「そんなことどうでもいい。私はこの世界の支配者が誰かなんて、興味ないの」
「……クク、クハハ……」
「何がおかしいのよ?」
煩わしそうに返すセーレを尻目に、ディアンは声を振り絞って叫ぶ。
「まだ終わらんよ!」
突如発生した膨大なエネルギー反応。
この領域そのものを飲み込むかのような激しい揺れがセーレに襲いかかる。
「まだこんな力が!?」
流石のセーレもこの空間変動に危険を感じ、周囲に意識を向けている。
「この中枢領域とリンクした……私はフォノ・ゼニス、いやメタヴァースそのものと一体化するのだ!! フハハハ! もはやお前に──」
「させないっ!」
即座にディアン目掛けて放たれた一撃は、床からせり上がったフォノ・ゼニスを構成する物体に防がれてしまう。
「この状況で、まだ抗おうというのか? 無駄なことを!」
いつの間にかディアンの周囲には彼を守るようにフォノ・ゼニスの一部だった構造体が浮遊していた。
「お前を葬り次第、ネメシス共も駆逐してくれよう! そして、人類を地上へと再生させ、新世界を創造する。この私の手でなぁッ!」
中枢システムとのリンクを果たしたディアンは、フォノ・ゼニスそのものを武器と化した。
全方向から次々と襲いかかる攻撃を、セーレはすんでのところで回避していく。その猛攻を前に、伝い落ちる汗が余裕のなさを物語っていた。
「くっ、これじゃ近寄れない……!」
中心部にいるディアンに刃を突き立てようと何度も試みるが、その都度生えてくるフォノ・ゼニスの構造体に邪魔されてしまう。破壊しても破壊しても、その残骸から新たに幾何学系構造体が無数に生まれ、再生を繰り返していく。
眠りについたプログラムを管理するディアンの力が、思わぬところで真価を発揮していた。
「……その力、さっき奪っておけばよかったわ」
「神に盾突く愚か者め! 無駄な足掻きに過ぎないことがまだ分からぬか!」
「黙れ! それなら再生が追いつかないくらいぶっ壊すだけ!」
セーレが破壊の限りを尽くせば、ディアンはたちまちそれらを再生させる。
永遠に続くかのような破壊と再生の螺旋。極限の力と力のぶつかり合いは、かつての暴虐王の戦いを凌駕する程の激しいものとなっていた。
だがしかし、終わりなき攻撃の前にセーレは徐々に劣勢へと立たされていくのだった。
「ハハハッ!! 威勢の良さは何処へ行ったのかな? 息が上がっているようだが、やはりお前も所詮は人だったという訳か」
「ふざけるな……。勝手に……決めつけるんじゃ、ない……ッ!!」
荒い呼吸と共に、集中力が失われていく。
強がってはいるが、先程までのキレも残っていない。
このまま戦闘を続ければ、先に力尽きるのは明白だ。しかし、それでもなお、グランタクトを握りしめる少女の瞳に諦めの色はない。
「この期に及んでまだ諦めないとはな」
「……当然っ!」
「そこまで復讐を欲するか。管理システムである我々はメタヴァースの無意識の集合体といっていい。私を倒したところで何も得られないのだぞ? ましてや、先人たちの意志を継いだ私たちを倒すことに何の意味がある」
憐憫の情を向けるディアンを前に、セーレは決意のこもった眼差しを返す。
「私はただ……お前たちが許せない。そう、許すことなんてできないッ!!」
「……話にならぬな。お前には後で再調整をかけてやろう。人類再生のための贄となるがよい!」
「……何が人類再生だ。お前たちの言う『人類』なんて何処にもいやしない……すべて終わらせる! レディアント・ヴァーテックスッ!!」
叫ぶと同時に、セーレは吸収してきた力を開放し、機械仕掛けの神へ向かっていく。
「真正面からとは浅はかな!」
全方位から飛び込んでくる構造体。殺意の塊が圧殺せんと言わんばかりに殺到する。
「このぉおおおおおッ!!」
押し寄せた無数の構造体に飲み込まれ、少女の声はかき消えた。今頃は押しつぶされていることだろう。
「ようやく片付いたな。どれ……」
ディアンはセーレの亡骸を確認するため、構造体の塊を近くへと引き寄せた。
「流石に私の消耗も激しい……。接続を維持できている内に残りのネメシスを排、除……あ?」
――ディアンの意識外からの攻撃。
構造体同士のわずかな隙間から放たれた一閃は、正確にディアンの胸を貫いていた。
「グラン、タクトだと……バカな……生きて……」
ディアンの制御を離れ、崩れ落ちていく構造体。その中からは、無傷のセーレが姿を現した。
「ぶっつけ本番だったけど、何とかなったわね」
「な、何を……」
「シエルとレヴルの力を使ったの」
セーレはシエルの防御結界で自身を守っている間、レヴルが鎧を構築するために利用している力を使って構造体のコントロールを奪っていたのだ。
「化物め……」
「あんたにだけは言われたくないわ」
刹那――振り抜かれる剣。
ディアンが世界の行く末を見届けることはなかった。
人と神の争いは今、決着の時を迎えた。
「……レッ! セーレッ!」
遠くから凛とした声が響く。
セーレが声のする方へ振り返ると、ひどく焦燥したシエルが駆け寄ってくる。
「シエル、遅かったね。もうディアンは……」
彼女はセーレの言葉を遮り、システムへ目を向けるとその場にわなわなとへたり込む。
「そ、そんな……中枢システムが……限界を……!」
ディアンにより掌握されていた中枢システムは危機的状況を迎えつつある。フォノ・ゼニスを構築する空間は、悲鳴を上げるかのように軋み、崩壊し始めていたのだ。
「どうしてこんな……これではメタヴァースが、この世界を維持できなくなってしまうわ……」
セーレの復讐は神の死をもって支払われた。
だがそれは、この世界の終焉を意味していた。
全方向から次々と襲いかかる攻撃を、セーレはすんでのところで回避していく。その猛攻を前に、伝い落ちる汗が余裕のなさを物語っていた。
「くっ、これじゃ近寄れない……!」
中心部にいるディアンに刃を突き立てようと何度も試みるが、その都度生えてくるフォノ・ゼニスの構造体に邪魔されてしまう。破壊しても破壊しても、その残骸から新たに幾何学系構造体が無数に生まれ、再生を繰り返していく。
眠りについたプログラムを管理するディアンの力が、思わぬところで真価を発揮していた。
「……その力、さっき奪っておけばよかったわ」
「神に盾突く愚か者め! 無駄な足掻きに過ぎないことがまだ分からぬか!」
「黙れ! それなら再生が追いつかないくらいぶっ壊すだけ!」
セーレが破壊の限りを尽くせば、ディアンはたちまちそれらを再生させる。
永遠に続くかのような破壊と再生の螺旋。極限の力と力のぶつかり合いは、かつての暴虐王の戦いを凌駕する程の激しいものとなっていた。
だがしかし、終わりなき攻撃の前にセーレは徐々に劣勢へと立たされていくのだった。
「ハハハッ!! 威勢の良さは何処へ行ったのかな? 息が上がっているようだが、やはりお前も所詮は人だったという訳か」
「ふざけるな……。勝手に……決めつけるんじゃ、ない……ッ!!」
荒い呼吸と共に、集中力が失われていく。
強がってはいるが、先程までのキレも残っていない。
このまま戦闘を続ければ、先に力尽きるのは明白だ。しかし、それでもなお、グランタクトを握りしめる少女の瞳に諦めの色はない。
「この期に及んでまだ諦めないとはな」
「……当然っ!」
「そこまで復讐を欲するか。管理システムである我々はメタヴァースの無意識の集合体といっていい。私を倒したところで何も得られないのだぞ? ましてや、先人たちの意志を継いだ私たちを倒すことに何の意味がある」
憐憫の情を向けるディアンを前に、セーレは決意のこもった眼差しを返す。
「私はただ……お前たちが許せない。そう、許すことなんてできないッ!!」
「……話にならぬな。お前には後で再調整をかけてやろう。人類再生のための贄となるがよい!」
「……何が人類再生だ。お前たちの言う『人類』なんて何処にもいやしない……すべて終わらせる! レディアント・ヴァーテックスッ!!」
叫ぶと同時に、セーレは吸収してきた力を開放し、機械仕掛けの神へ向かっていく。
「真正面からとは浅はかな!」
全方位から飛び込んでくる構造体。殺意の塊が圧殺せんと言わんばかりに殺到する。
「このぉおおおおおッ!!」
押し寄せた無数の構造体に飲み込まれ、少女の声はかき消えた。今頃は押しつぶされていることだろう。
「ようやく片付いたな。どれ……」
ディアンはセーレの亡骸を確認するため、構造体の塊を近くへと引き寄せた。
「流石に私の消耗も激しい……。接続を維持できている内に残りのネメシスを排、除……あ?」
――ディアンの意識外からの攻撃。
構造体同士のわずかな隙間から放たれた一閃は、正確にディアンの胸を貫いていた。
「グラン、タクトだと……バカな……生きて……」
ディアンの制御を離れ、崩れ落ちていく構造体。その中からは、無傷のセーレが姿を現した。
「ぶっつけ本番だったけど、何とかなったわね」
「な、何を……」
「シエルとレヴルの力を使ったの」
セーレはシエルの防御結界で自身を守っている間、レヴルが鎧を構築するために利用している力を使って構造体のコントロールを奪っていたのだ。
「化物め……」
「あんたにだけは言われたくないわ」
刹那――振り抜かれる剣。
ディアンが世界の行く末を見届けることはなかった。
人と神の争いは今、決着の時を迎えた。
「……レッ! セーレッ!」
遠くから凛とした声が響く。
セーレが声のする方へ振り返ると、ひどく焦燥したシエルが駆け寄ってくる。
「シエル、遅かったね。もうディアンは……」
彼女はセーレの言葉を遮り、システムへ目を向けるとその場にわなわなとへたり込む。
「そ、そんな……中枢システムが……限界を……!」
ディアンにより掌握されていた中枢システムは危機的状況を迎えつつある。フォノ・ゼニスを構築する空間は、悲鳴を上げるかのように軋み、崩壊し始めていたのだ。
「どうしてこんな……これではメタヴァースが、この世界を維持できなくなってしまうわ……」
セーレの復讐は神の死をもって支払われた。
だがそれは、この世界の終焉を意味していた。
■ 楽曲 | |
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┗ WORLD’S END | |
■ キャラクター | |
┗ 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL | |
┗ マップボーナス・限界突破 | |
■ スキル | |
┗ スキル一覧 / 期間限定スキル | |
┗ スキル評価 / 期間限定スキル | |
■ 称号・マップ | |
┗ 称号 / ネームプレート | |
┗ マップ一覧 |
コメント(27)
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なんとなくXenogearsっぽいこのコメントに返信0返信
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ネメシスの方が人の心持ってんじゃねーか!このコメントに返信3返信
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誰もわからなくていいんだけど
コイツの顔を見てると鷹の爪の吉田君の声が脳内再生されるんだがこのコメントに返信5返信 -
オールバックにしたけど前髪ちょっと跳ねちゃったのかな可愛いこのコメントに返信11返信
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通常グラ真正面向いてるせいで証明写真にしか見えなくて笑ってしまうこのコメントに返信14返信
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削除さんは悪い人だったけどこいつはその10倍は悪い奴だったな返信数 (3)13返信
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やっぱりクズやったなぁ……てかオールドブルー何してんだろこのコメントに返信11返信
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専用スキルが最初ドラクエかなって思ったこのコメントに返信1返信
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やったことが一から十まで寸分狂わずティフォンの二の舞じゃん……返信数 (1)5返信
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専用グラめっちゃちっちゃくない!?
EPISODEでも少年とあったしシエルちゃんが抱っこできる大きさだし下手したらエクレールさんより小さかったりするんじゃないのこれこのコメントに返信9返信