埋葬者 ストゥム
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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL)】【スキル一覧】【マップ一覧】
※AMAZONから、スキルのGRADE UPによる数値の変化量が途中で変わるケースが出ています。
Illustrator:おぐち
名前 | ストゥム |
---|---|
年齢 | UNKNOWN |
職業 | ネメシスプログラムの王『混沌の器』の一器。 |
- 2020年3月5日追加
- CRYSTAL ep.IIIマップ3(CRYSTAL時点で255マス/累計535マス)課題曲「Fidget Dancer」クリアで入手。
ティアマットの残骸より生まれた「混沌の器」七器のうちの一器。
混沌の器【 エリス / アレウス / ヴェルゼビュート / テスタメント / ストゥム / ネルガル / レヴル】
強さを求める彼は、食欲のままに何もかもをを喰らい続ける。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | 運命の螺旋 |
5 | |
10 | |
15 | |
25 | 限界突破の証 |
50 | 真・限界突破の証 |
- 運命の螺旋 [HARD]
- 汎用になったブラック・オア・ホワイトといった感じのスキル。あちらと比べるとボーナスは減ったが通常のゲージ増加が多くなり安定性が高まった。
強運の持ち主なら、ゲージ10本まで可能な強力なスキルとして使えるかもしれないが、基本的には強制終了条件が同じで確率に左右されず、通常のゲージ増加分もある勇気のしるしのほうが使いやすいと思われる。
- 汎用になったブラック・オア・ホワイトといった感じのスキル。あちらと比べるとボーナスは減ったが通常のゲージ増加が多くなり安定性が高まった。
GRADE | 効果 |
---|---|
共通 | ゲージ上昇DOWN (50%) JUSTICE以下150回で強制終了 |
初期値 | J-CRITICAL判定時 【1%】の確率でボーナス +4000 |
+1 | 〃 +4250 |
+2 | 〃 +4500 |
+3 | 〃 +4750 |
+4 | 〃 +5000 |
+5 | 〃 +5250 |
ゲージ10本期待値必要条件:3500ノーツ |
ゲージ本数と必要ボーナス回数
期待値通りであれば、表記の100倍のノーツが必要となる。
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 | 10本 |
---|---|---|---|---|---|---|
初期値 | 13 | 18 | 24 | 31 | 38 | 45 |
+1 | 12 | 17 | 23 | 29 | 36 | 43 |
+2 | 12 | 16 | 22 | 28 | 34 | 40 |
+3 | 11 | 16 | 21 | 26 | 32 | 38 |
+4 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 36 |
+5 | 10 | 14 | 19 | 24 | 29 | 35 |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | EP.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
STORY
EPISODE1 SPEC:ストゥム「塵同然の僕は喰らい続けるしかないんだ。喰って喰って喰って、喰らい続ける……!」
永久楽土メタヴァース。人類のゆりかごにして再生を担う電子の空間は、数多の可能性を描き出す世界である。
この世界は『神祖エクレール』亡き後、神の代行者である12のプログラムによって管理運営されていくはずだった。
しかし、それに対抗するようにして産み落とされた『RG-XXX ティアマット』によって楽園は傷つき、脅かされてしまう。
危機に瀕した楽園ではあったが、邪悪の竜は『統制主ティフォン』の前に敗れ去ったのだ。
このまま平穏を取り戻すかに思われた楽園だったが、ティアマットが突き立てた牙から流れ出した毒は楽園の奥深くで根付き浸食し、新たな形を取って復活を果たす。
『ネメシス』と名付けられるようになったその存在には、ある特性が付与されていた。
ネメシスに備わった『捕食』という力――。
これは倒した相手を喰らい、己の糧として吸収することができるもの。より強い身体を手にすることもできれば、傷を癒すことにも使えるのだ。
この力があれば、たとえ弱い存在であっても強者へとなり替わることが可能なのである。
なかでも『埋葬者ストゥム』は弱肉強食を体現したようなこの能力に最も祝福された存在だった。
ネメシスを支配する『混沌の器』と呼ばれる者達の中で最弱の存在だった彼は、死したネメシスや敵であるメインフレームのプログラムを幾度も幾度も喰らい続ける。
そうしていつしか誰からも恐れられる存在へと進化を果たしたのだ。
彼は今も尚喰らい続ける。己の存在を証明するかのように。
EPISODE2 全ては人と人の争いから「ティアマットがもたらした福音。ネメシスという毒は、世界を滅ぼすまで止まらない」この世界は『神祖エクレール』亡き後、神の代行者である12のプログラムによって管理運営されていくはずだった。
しかし、それに対抗するようにして産み落とされた『RG-XXX ティアマット』によって楽園は傷つき、脅かされてしまう。
危機に瀕した楽園ではあったが、邪悪の竜は『統制主ティフォン』の前に敗れ去ったのだ。
このまま平穏を取り戻すかに思われた楽園だったが、ティアマットが突き立てた牙から流れ出した毒は楽園の奥深くで根付き浸食し、新たな形を取って復活を果たす。
『ネメシス』と名付けられるようになったその存在には、ある特性が付与されていた。
ネメシスに備わった『捕食』という力――。
これは倒した相手を喰らい、己の糧として吸収することができるもの。より強い身体を手にすることもできれば、傷を癒すことにも使えるのだ。
この力があれば、たとえ弱い存在であっても強者へとなり替わることが可能なのである。
なかでも『埋葬者ストゥム』は弱肉強食を体現したようなこの能力に最も祝福された存在だった。
ネメシスを支配する『混沌の器』と呼ばれる者達の中で最弱の存在だった彼は、死したネメシスや敵であるメインフレームのプログラムを幾度も幾度も喰らい続ける。
そうしていつしか誰からも恐れられる存在へと進化を果たしたのだ。
彼は今も尚喰らい続ける。己の存在を証明するかのように。
進化の限界に達していた人類は、地上の復興と自らの未来を追い求め、機械仕掛けの神の加護の下、電子の世界へと逃げ込んだ。
メタヴァースへと辿り着けたのは当時の支配層であり、都市連合軍へ参加した多くの人間は被支配層に過ぎない。
地上に残された彼ら都市連合軍の人々を待っていたのは、粛清という過酷な仕打ちだったのである。
地上に取り残された都市連合軍は、建造された超構造体演算機内のプログラムを破壊するため、致死ウイルス『ティアマット』を生み出す。
それはメタヴァース世界に甚大な被害を与えることはできたが、世界そのものを破壊するまでには至らなかったのである。
都市連合軍の怨念はここに潰えたかに見えた。しかし、ティアマットの残滓はネメシスという『毒』となって世界へと蔓延していく。
暴力性を強く植え付けられた『毒』は、世界を滅ぼさんと蠢き始める。
そして、その暴力性を色濃く反映した存在が『混沌の器』だ。彼らが他者を喰らって生き抜こうとするのは、毒が持つ性質ゆえ。彼らがその活動を停止する時は、自身が死を迎えるか世界が滅びを迎えるかのどちらかなのだ。
EPISODE3 暴食の力「ああ、僕は生きたい。生きたいんだ。だから、その命……いただきます」メタヴァースへと辿り着けたのは当時の支配層であり、都市連合軍へ参加した多くの人間は被支配層に過ぎない。
地上に残された彼ら都市連合軍の人々を待っていたのは、粛清という過酷な仕打ちだったのである。
地上に取り残された都市連合軍は、建造された超構造体演算機内のプログラムを破壊するため、致死ウイルス『ティアマット』を生み出す。
それはメタヴァース世界に甚大な被害を与えることはできたが、世界そのものを破壊するまでには至らなかったのである。
都市連合軍の怨念はここに潰えたかに見えた。しかし、ティアマットの残滓はネメシスという『毒』となって世界へと蔓延していく。
暴力性を強く植え付けられた『毒』は、世界を滅ぼさんと蠢き始める。
そして、その暴力性を色濃く反映した存在が『混沌の器』だ。彼らが他者を喰らって生き抜こうとするのは、毒が持つ性質ゆえ。彼らがその活動を停止する時は、自身が死を迎えるか世界が滅びを迎えるかのどちらかなのだ。
メタヴァースを支配する強力な管理プログラム『最古』を排除すべく、器たちは雌伏の時を過ごした。
メインフレームを支配する王ティフォンが消滅し世界の均衡が崩れた時、彼らは『大侵攻』と呼ばれる争いを引き起こす。
戦いは苛烈を極めるものだった。
右を向けば残骸、左を向いても残骸という惨憺たる世界。
そこにはメインフレームもネメシスも関係ない。ただ厳然たる事実としての『死』が転がっているだけだった。
ストゥムはメインフレームの防衛プログラムにも歯が立たない程に弱く、『混沌の器』とするには余りにも貧弱な存在であった。
闘いにも参加できず、彼は独り『死』が支配する世界に立ち尽くしている。
「僕もいずれ……あの残骸たちの仲間になるんだろうな……僕にも戦う力があれば……」
鬱々とした表情のストゥムだったが、そこへ微かな声が響く。
「……ガ、ガガッ、クラ、ウ……」
声のする方へと向かうと、そこには今にも事切れそうになっているネメシスがいた。
ストゥムは無事を確かめるべく近寄る。
「まだ生きてるのがいたんだ……え、うわっ!?」
「シネ! ホロ、ベッ……!」
メインフレームのプログラムと誤認したのだろうか。
虫の息に見えたネメシスは、突如ストゥムに喰らいつこうとしたのだ。
「こ、こんな死にかけの状態でも生きようとして……。僕はなんて情けないんだ……」
その時ストゥムは思った。
まだ自分は動ける。やれることがあるのだと。
気付いた時には、必至に喰らいつくネメシスへと手を伸ばしていた。
「シ、シネッ!」
「……っぐ!」
手を噛みつかれたにも関わらず、ストゥムは振りほどくこともしない。そして、自分が受けた痛みを噛みしめるかのように目を瞑る。
「ああ、僕はまだ生きている……生きているんだ」
今も喰らいついているネメシスを抱きかかえ――
「いただくよ。その命」
先ずは手から腕にかけて喰らいついた。
噛み千切った指を何度も何度も咀嚼する。
愛おしく、ゆっくりと。
骨だけになっても構わずに。
命を奪い、己の糧とするために。
何度も何度も咀嚼した。
したたり落ちる液体は、顎を伝い、喉を伝い、赤い染みとなって地を濡らす。
一心不乱に喰らい続けた結果。
ネメシスだったはずの存在は、一片たりとも残ってはいなかった。
「僕は君のすべてを受け入れたよ。ご馳走様……」
貪り喰らい尽くしたストゥムは、やおら立ち上がり。
「フ、フフ……君たちも今食べてあげるからね」
嬉しそうに嗤う姿に以前の面影は残っていなかった。
戦いの最中、『捕食』という能力を発揮した彼はその本来の力を瞬く間に開花させる。
高度な意思を獲得しつつも闘う術を持たなかったストゥムは、瞬時に最古たちを脅かす存在へと変貌を遂げていく。
誰彼かまわず喰らう悪鬼、それは大侵攻の最終局面において、セラフィータとシエルを前に怯むことなく戦い、瀕死のテスタメントを救うまでの力を手にしていた。
今ここに『埋葬者ストゥム』は、何もかもを喰らい尽くす最凶の矛として覚醒するのだった。
EPISODE4 支配者の資格「ようやくあいつらのことを喰らえるんだ。これが嗤わずにいられるかい?」メインフレームを支配する王ティフォンが消滅し世界の均衡が崩れた時、彼らは『大侵攻』と呼ばれる争いを引き起こす。
戦いは苛烈を極めるものだった。
右を向けば残骸、左を向いても残骸という惨憺たる世界。
そこにはメインフレームもネメシスも関係ない。ただ厳然たる事実としての『死』が転がっているだけだった。
ストゥムはメインフレームの防衛プログラムにも歯が立たない程に弱く、『混沌の器』とするには余りにも貧弱な存在であった。
闘いにも参加できず、彼は独り『死』が支配する世界に立ち尽くしている。
「僕もいずれ……あの残骸たちの仲間になるんだろうな……僕にも戦う力があれば……」
鬱々とした表情のストゥムだったが、そこへ微かな声が響く。
「……ガ、ガガッ、クラ、ウ……」
声のする方へと向かうと、そこには今にも事切れそうになっているネメシスがいた。
ストゥムは無事を確かめるべく近寄る。
「まだ生きてるのがいたんだ……え、うわっ!?」
「シネ! ホロ、ベッ……!」
メインフレームのプログラムと誤認したのだろうか。
虫の息に見えたネメシスは、突如ストゥムに喰らいつこうとしたのだ。
「こ、こんな死にかけの状態でも生きようとして……。僕はなんて情けないんだ……」
その時ストゥムは思った。
まだ自分は動ける。やれることがあるのだと。
気付いた時には、必至に喰らいつくネメシスへと手を伸ばしていた。
「シ、シネッ!」
「……っぐ!」
手を噛みつかれたにも関わらず、ストゥムは振りほどくこともしない。そして、自分が受けた痛みを噛みしめるかのように目を瞑る。
「ああ、僕はまだ生きている……生きているんだ」
今も喰らいついているネメシスを抱きかかえ――
「いただくよ。その命」
先ずは手から腕にかけて喰らいついた。
噛み千切った指を何度も何度も咀嚼する。
愛おしく、ゆっくりと。
骨だけになっても構わずに。
命を奪い、己の糧とするために。
何度も何度も咀嚼した。
したたり落ちる液体は、顎を伝い、喉を伝い、赤い染みとなって地を濡らす。
一心不乱に喰らい続けた結果。
ネメシスだったはずの存在は、一片たりとも残ってはいなかった。
「僕は君のすべてを受け入れたよ。ご馳走様……」
貪り喰らい尽くしたストゥムは、やおら立ち上がり。
「フ、フフ……君たちも今食べてあげるからね」
嬉しそうに嗤う姿に以前の面影は残っていなかった。
戦いの最中、『捕食』という能力を発揮した彼はその本来の力を瞬く間に開花させる。
高度な意思を獲得しつつも闘う術を持たなかったストゥムは、瞬時に最古たちを脅かす存在へと変貌を遂げていく。
誰彼かまわず喰らう悪鬼、それは大侵攻の最終局面において、セラフィータとシエルを前に怯むことなく戦い、瀕死のテスタメントを救うまでの力を手にしていた。
今ここに『埋葬者ストゥム』は、何もかもを喰らい尽くす最凶の矛として覚醒するのだった。
大侵攻の結果を踏まえ、ネメシスは最古たちの個別撃破という作戦を打ち立てた。
この作戦はメインフレーム最強の剣である『裁定者セラフィータ』を撃破寸前まで追いつめる。
しかし、あと一歩のところでファクトリーの羽虫達による想定外の抵抗に遭い、アレウスは大破し撤退を余儀なくされてしまった。
ストゥムはここまでアレウスを追いつめた最古たちに敵愾心を燃やすと同時にこうも思っていた。
裁定者が生きていて良かった、と。
大侵攻では彼女を喰らうことができなかった。それ以来、彼女を喰らうことばかり考えてきたのだ。
あの輝く翼に美しい脚。髪も爪も瞳もだ。何処を喰らっても至極の気分を味わえるに違いない。
そう思うだけで、自然と笑みがこぼれそうになる。
今度は自分が打って出ることになるだろう。
そう思った矢先のことだった。
「我々はこれより領域を切り離す」
『黄泉の盟主ネルガル』はそう宣言する。
ネメシスがメインフレームを上回るためには、次の段階へと進化していく必要があるのだ、と。
ストゥムはお預けを喰らったようで歯噛みした。
しかし、単独行動を取ったところで意味がないことは理解している。今はまだその時ではないのだ。
ネメシスたちはメタヴァースの最外周部を切り離し、メインフレームと決別する。
独自領域には、いかにメインフレームといえども手を出すことはできない。ネメシスはその隔絶された世界の中で、進化を追い求めるのだった。
あれから長き歳月を経て――ネメシスは舞い戻る。
かの地に居座る神々を打倒し、新たな管理者となるために。
「あぁ……この時をどれほど待っただろう。愉しみだよ、あいつらを喰らう日が……さぞ美味しいんだろうなぁ」
ゴクリと喉が鳴った。
EPISODE5 思惑渦巻く電子の楽園「やっぱり、羽虫なら生かしたまま磔にしたいよねぇ。端っこからゆっくり、じっくりと食べてあげるんだ」この作戦はメインフレーム最強の剣である『裁定者セラフィータ』を撃破寸前まで追いつめる。
しかし、あと一歩のところでファクトリーの羽虫達による想定外の抵抗に遭い、アレウスは大破し撤退を余儀なくされてしまった。
ストゥムはここまでアレウスを追いつめた最古たちに敵愾心を燃やすと同時にこうも思っていた。
裁定者が生きていて良かった、と。
大侵攻では彼女を喰らうことができなかった。それ以来、彼女を喰らうことばかり考えてきたのだ。
あの輝く翼に美しい脚。髪も爪も瞳もだ。何処を喰らっても至極の気分を味わえるに違いない。
そう思うだけで、自然と笑みがこぼれそうになる。
今度は自分が打って出ることになるだろう。
そう思った矢先のことだった。
「我々はこれより領域を切り離す」
『黄泉の盟主ネルガル』はそう宣言する。
ネメシスがメインフレームを上回るためには、次の段階へと進化していく必要があるのだ、と。
ストゥムはお預けを喰らったようで歯噛みした。
しかし、単独行動を取ったところで意味がないことは理解している。今はまだその時ではないのだ。
ネメシスたちはメタヴァースの最外周部を切り離し、メインフレームと決別する。
独自領域には、いかにメインフレームといえども手を出すことはできない。ネメシスはその隔絶された世界の中で、進化を追い求めるのだった。
あれから長き歳月を経て――ネメシスは舞い戻る。
かの地に居座る神々を打倒し、新たな管理者となるために。
「あぁ……この時をどれほど待っただろう。愉しみだよ、あいつらを喰らう日が……さぞ美味しいんだろうなぁ」
ゴクリと喉が鳴った。
進化を遂げたネメシスには目的がある。
メインフレームを倒して新たな管理者となり替わり、自分たちが選んだ強き人類を地上へと再生させること。
メインフレームには目的がある。
ネメシスを滅ぼし、数多の可能性を持った人類を地上へと再生させること。
お互いが目指すところは、人類の再生であることに違いない。
しかし、両者の考えは平行線だ。かつての支配者と被支配者達の戦いは今も続いている。
決して交わることがないままぶつかり合うこととなるだろう。それは避けられない。
そんな戦いが迫る緊張感の中、ストゥムは両者とはまったく別の目的を抱いていた。
強き者を食べたい、と。
いつの日か、雑兵共を喰らっても喰らってもストゥムの心は満たされなくなっていたのである。
「ようやくだ、ようやく始まるよ……長かったなぁ……これでもう、僕は我慢する必要がなくなるんだ……クク、クァハハハッ!」
飢えに喘ぎ苦しむ日もあったが、それもついにお別れだ。
「アハハッ! どう羽虫共を喰ってやろう! 心が躍るなぁ!」
EPISODE6 ネメシスが生み出せし存在「人間を作り変え生み出された代理構成体か。これなら僕の心を満たしてくれるかもしれないね」メインフレームを倒して新たな管理者となり替わり、自分たちが選んだ強き人類を地上へと再生させること。
メインフレームには目的がある。
ネメシスを滅ぼし、数多の可能性を持った人類を地上へと再生させること。
お互いが目指すところは、人類の再生であることに違いない。
しかし、両者の考えは平行線だ。かつての支配者と被支配者達の戦いは今も続いている。
決して交わることがないままぶつかり合うこととなるだろう。それは避けられない。
そんな戦いが迫る緊張感の中、ストゥムは両者とはまったく別の目的を抱いていた。
強き者を食べたい、と。
いつの日か、雑兵共を喰らっても喰らってもストゥムの心は満たされなくなっていたのである。
「ようやくだ、ようやく始まるよ……長かったなぁ……これでもう、僕は我慢する必要がなくなるんだ……クク、クァハハハッ!」
飢えに喘ぎ苦しむ日もあったが、それもついにお別れだ。
「アハハッ! どう羽虫共を喰ってやろう! 心が躍るなぁ!」
ネメシスは進化の過程で見出した技術を使い、新たな存在を作り上げていた。人を再構成して生み出された存在――代理構成体は、メインフレームの防衛プログラムを遥かに上回る戦力を保持する。
元々が人間である代理構成体を尖兵とすることは、最古たちには特に有効な手段であり、結果的に、彼らを追いつめることに成功した。
劣勢を打破するため、メインフレームもまた、独自の技術である『MIRシリーズ』の技術を応用し、数多の代理構成体を生み出すこととなる。
後に『代理戦争』とも呼ばれる新たな戦いは、比較的小規模なものであったことから、メタヴァースが不安定な状況であっても、然程影響を与えることはなかった。
そんな中、ストゥムは自身の欲望を満たすため独自に行動を取るようになっていく。
強い個体だけを喰らい、効率的に自身を強化するべく……。
捕食という力はストゥムの強さを更に高めていき、争いはネメシス優勢に進んでいくのだった。
「皆の者、永き時を要したがついにこの時が来た。メタヴァースの安定が成ったのだ。研ぎ澄ましてきた牙を、奴らの喉元へと突き立てようぞ!」
そして、ネルガルの号令により、メインフレームへの侵攻が始まろうとしていた。
EPISODE7 不確定要素「器に匹敵するというその力、僕がいただくよ。この『埋葬者ストゥム』に喰らえないものはないんだ」元々が人間である代理構成体を尖兵とすることは、最古たちには特に有効な手段であり、結果的に、彼らを追いつめることに成功した。
劣勢を打破するため、メインフレームもまた、独自の技術である『MIRシリーズ』の技術を応用し、数多の代理構成体を生み出すこととなる。
後に『代理戦争』とも呼ばれる新たな戦いは、比較的小規模なものであったことから、メタヴァースが不安定な状況であっても、然程影響を与えることはなかった。
そんな中、ストゥムは自身の欲望を満たすため独自に行動を取るようになっていく。
強い個体だけを喰らい、効率的に自身を強化するべく……。
捕食という力はストゥムの強さを更に高めていき、争いはネメシス優勢に進んでいくのだった。
「皆の者、永き時を要したがついにこの時が来た。メタヴァースの安定が成ったのだ。研ぎ澄ましてきた牙を、奴らの喉元へと突き立てようぞ!」
そして、ネルガルの号令により、メインフレームへの侵攻が始まろうとしていた。
メインフレームへの侵攻が間近に迫った時。
それは不意に、ネメシス陣営へともたらされた。
「正体不明の代理構成体、並びに最古と交戦し、配下の者を失いました」
『反逆者レヴル』が遭遇したという正体不明の代理構成体。
その少女は、配下の代理構成体はおろか器である自分にも食い下がれる強さであったと言う。
「侵攻を目前にしてこのような事態が起こるとは」
「余はその者の排除を考える。計画の妨げとなろう」
不確定要素は排除しなければならない。
策を練ろうとするネルガルとエリスだったが、そこへ穏やかな笑みを浮かべたストゥムが割って入る。
「そのイレギュラー、僕が対処するよ。ネルガルたちはそのまま作戦を進めてくれて構わない」
「汝であれば問題はないだろうが、くれぐれも用心するように」
「任せてよ。『埋葬者ストゥム』に喰らえないものはないからね」
そう応じたストゥムの下へ、レヴルが駆け寄る。
「気を付けて、ストゥム。あいつ、嫌な予感がする」
「それは増々愉しみになってきたね。レヴル、君は決戦まで傷を癒すといい。僕が羽虫を排除したら、一緒にメインフレームの街を蹂躙しよう」
「うん!」
不安の色を浮かべるレヴルの髪を優しく撫でつける。
――『反逆者レヴル』は鉄の塊のような外殻をまとった、テスタメントの姉妹のようなネメシスである。
しかし、攻撃に特化した彼女と違い、レヴルは防御に特化したネメシスだ。
今でこそ外殻に身を包んで前線で戦えるようになってはいるが、元々はストゥムと同じくその他の器に比べれば非力な存在なのである。
そんな彼女に共感を覚えたストゥムは、いつしか彼女と行動を共にし、護りたいと思うようになっていた。
今の関係を大事にしているストゥムがイレギュラーの排除に動いたのも当然の流れだったが、それと同時にこうも考えていた。自身を脅かす程の強者に出会えるかもしれないと。
配下の代理構成体を従えたストゥムは、はやる気持ちを抑えながら報告のあった領域へ向かう。その領域には元々、エテメンアンキを攻略するための精鋭部隊を集結させていた。
あれだけの数を用意していたというのに、何故?
「クフフ、何が待ち受けているんだろうねぇ……?」
数々の疑問が浮かぶ。興奮で我慢できなくなっていたストゥムは、正体不明の存在へと呼びかけた。
「さぁさぁ出て来なよ! 正体不明のイレギュラーさぁん!?」
EPISODE8 蒼き瞳の破壊者「言葉を持たない獣かぁ? まぁいいさ。どうせその身体は、僕の一部になるんだからね」それは不意に、ネメシス陣営へともたらされた。
「正体不明の代理構成体、並びに最古と交戦し、配下の者を失いました」
『反逆者レヴル』が遭遇したという正体不明の代理構成体。
その少女は、配下の代理構成体はおろか器である自分にも食い下がれる強さであったと言う。
「侵攻を目前にしてこのような事態が起こるとは」
「余はその者の排除を考える。計画の妨げとなろう」
不確定要素は排除しなければならない。
策を練ろうとするネルガルとエリスだったが、そこへ穏やかな笑みを浮かべたストゥムが割って入る。
「そのイレギュラー、僕が対処するよ。ネルガルたちはそのまま作戦を進めてくれて構わない」
「汝であれば問題はないだろうが、くれぐれも用心するように」
「任せてよ。『埋葬者ストゥム』に喰らえないものはないからね」
そう応じたストゥムの下へ、レヴルが駆け寄る。
「気を付けて、ストゥム。あいつ、嫌な予感がする」
「それは増々愉しみになってきたね。レヴル、君は決戦まで傷を癒すといい。僕が羽虫を排除したら、一緒にメインフレームの街を蹂躙しよう」
「うん!」
不安の色を浮かべるレヴルの髪を優しく撫でつける。
――『反逆者レヴル』は鉄の塊のような外殻をまとった、テスタメントの姉妹のようなネメシスである。
しかし、攻撃に特化した彼女と違い、レヴルは防御に特化したネメシスだ。
今でこそ外殻に身を包んで前線で戦えるようになってはいるが、元々はストゥムと同じくその他の器に比べれば非力な存在なのである。
そんな彼女に共感を覚えたストゥムは、いつしか彼女と行動を共にし、護りたいと思うようになっていた。
今の関係を大事にしているストゥムがイレギュラーの排除に動いたのも当然の流れだったが、それと同時にこうも考えていた。自身を脅かす程の強者に出会えるかもしれないと。
配下の代理構成体を従えたストゥムは、はやる気持ちを抑えながら報告のあった領域へ向かう。その領域には元々、エテメンアンキを攻略するための精鋭部隊を集結させていた。
あれだけの数を用意していたというのに、何故?
「クフフ、何が待ち受けているんだろうねぇ……?」
数々の疑問が浮かぶ。興奮で我慢できなくなっていたストゥムは、正体不明の存在へと呼びかけた。
「さぁさぁ出て来なよ! 正体不明のイレギュラーさぁん!?」
レヴルが遭遇した代理構成体がいた場所へ向かうストゥムたち。
すでに破壊されたネメシスの残骸が散らばる中、それは悠然と立っていた。よく見れば、右手には蒼く煌めく剣を握っている。
レヴルからの報告に剣の話は出てこなかったが……眼前の代理構成体は聞いていた特徴と一致する。イレギュラーとみて間違いないだろう。
「先ずは小手調べだ。行け、お前たち!」
ストゥムの命を受け、ネメシスの代理構成体たちがイレギュラーを取り囲む。
「……?」
「こんな子が僕たちに歯向かえるなんてね。さぁ君の力を見せてくれないかなぁ!?」
その言葉を皮切りに、代理構成体は次々に少女へと襲い掛かる。
それぞれ射程の違う武器を持ちつつ行われる全方位攻撃。普通ならそれだけで終わりだろう。
少女へ向けて放たれた凶刃が突き立てられる瞬間、それは起こった。
一閃。
構えもしなかった少女から放たれた斬撃はどの構成体よりも速く、流れるような動作で胴体を斬り落としていたのだ。
「へぇ。道理で全滅するわけだよ。君、相当弄くられてるんだねぇ?」
このわずかな時間でストゥムは理解したのだ。
少女の力がすでに器に匹敵しているということを。
「ハハ、ヒハハッ! 素晴らしい、素晴らしいぞ、お前ぇ!! 僕にその力、喰わせろよぉぉぉ!!」
そう告げて、ストゥムは手をかざした。
自身と少女を囲むようにして、隔離領域を作り出す。万が一逃げられないよう、退路を断つためだった。
周囲の空間が変わったことに気付いた少女は、ゆっくりとストゥムへ振り返る。
少女と視線が交わったのを確認したストゥムは、大仰な仕草を取って挨拶した。
「はじめまして! 僕の名はストゥム。混沌の器にして、すべてを喰らい尽くす黄泉への案内人」
「……」
「弄くられすぎて喋れないのかな? まぁいいや、僕はその身体をじっくりと味わいたいだけだからね」
その言葉に応じるかのように、イレギュラーの少女は手に持っていた剣をストゥムへと向ける。それが返答だと言わんばかりに。
「クク、いいじゃないか! そそられるよ!」
ストゥムは自身の武器である大鎌を構え、少女へと襲い掛かった。
「お前の身体、さぞ旨いんだろうなぁっ!?」
ストゥムと蒼き瞳の少女が同時に地を駆けた――!
EPISODE9 わずかな爪痕「ハハァ! そそられるじゃねぇか! もっとだ! もっとオレを愉しませろぉぉぉッ!!」すでに破壊されたネメシスの残骸が散らばる中、それは悠然と立っていた。よく見れば、右手には蒼く煌めく剣を握っている。
レヴルからの報告に剣の話は出てこなかったが……眼前の代理構成体は聞いていた特徴と一致する。イレギュラーとみて間違いないだろう。
「先ずは小手調べだ。行け、お前たち!」
ストゥムの命を受け、ネメシスの代理構成体たちがイレギュラーを取り囲む。
「……?」
「こんな子が僕たちに歯向かえるなんてね。さぁ君の力を見せてくれないかなぁ!?」
その言葉を皮切りに、代理構成体は次々に少女へと襲い掛かる。
それぞれ射程の違う武器を持ちつつ行われる全方位攻撃。普通ならそれだけで終わりだろう。
少女へ向けて放たれた凶刃が突き立てられる瞬間、それは起こった。
一閃。
構えもしなかった少女から放たれた斬撃はどの構成体よりも速く、流れるような動作で胴体を斬り落としていたのだ。
「へぇ。道理で全滅するわけだよ。君、相当弄くられてるんだねぇ?」
このわずかな時間でストゥムは理解したのだ。
少女の力がすでに器に匹敵しているということを。
「ハハ、ヒハハッ! 素晴らしい、素晴らしいぞ、お前ぇ!! 僕にその力、喰わせろよぉぉぉ!!」
そう告げて、ストゥムは手をかざした。
自身と少女を囲むようにして、隔離領域を作り出す。万が一逃げられないよう、退路を断つためだった。
周囲の空間が変わったことに気付いた少女は、ゆっくりとストゥムへ振り返る。
少女と視線が交わったのを確認したストゥムは、大仰な仕草を取って挨拶した。
「はじめまして! 僕の名はストゥム。混沌の器にして、すべてを喰らい尽くす黄泉への案内人」
「……」
「弄くられすぎて喋れないのかな? まぁいいや、僕はその身体をじっくりと味わいたいだけだからね」
その言葉に応じるかのように、イレギュラーの少女は手に持っていた剣をストゥムへと向ける。それが返答だと言わんばかりに。
「クク、いいじゃないか! そそられるよ!」
ストゥムは自身の武器である大鎌を構え、少女へと襲い掛かった。
「お前の身体、さぞ旨いんだろうなぁっ!?」
ストゥムと蒼き瞳の少女が同時に地を駆けた――!
埋葬者と蒼剣の少女が向き合い、己が一撃を突き立てんと駆け抜ける。
攻撃はリーチの長いストゥムの大鎌が先制を決めた。
捉えたはずの大鎌が地を穿つ。
ストゥムの渾身の一撃に反応した少女は、身をよじり回避してみせたのだ。
「ヒハハッ! いい脚だなぁ!」
半歩距離を置き、体勢を整えるストゥム。何度煽られても少女はただひたすらに冷たい視線を投げかけている。
「綺麗な眼をしてるねぇ……増々気に入ったよ!」
昂りに呼応するように速度は更に上がっていく。水平に薙ぎ払ったかと思えば、上下から縦一文字の斬撃を織り交ぜる。
ひとたび触れれば両断されてしまう極限の状況。
だというのに、少女はピクリとも感情を出さない。
淡々と必殺の一撃を回避し続けているのだ。
「クゥゥッ! いつまで避け続けられるかなぁ!? もっとだ! もっとオレを愉しませろぉッ!!」
強者である自分にここまで喰い下がれる存在は二度と現れない。そう思い始めたストゥムは、ただ愉しむためだけに鎌を振るう。しかし、無限に続く応酬にも終わりが訪れようとしていた。
尚も加速する攻撃に、少女は徐々にではあるが疲労を見せ始める。
「……ッハ」
昂ぶりを抑えきれないストゥムは暴力性をあらわにした言葉を投げかけながら、その瞬間を心待ちにしていた。
「そろそろ限界だってのかぁ!? 勝手にオレの舞台から降りるんじゃねぇ!!」
振り下ろされた一撃。
死を告げる鎌は少女の左腕を容赦なく切断していた。
「……ッ!!」
痛みに歪む顔。
それを確認したストゥムは斬り落とした腕を掴み上げ細かく痙攣する指を愛おしそうに舐め回した。
「あぁ……美味い、美味いぞ、お前ぇぇぇ。これだよ、コレコレ! オレに、オレニオレニもっと喰わせろぉぉ!!」
片腕を失い、バランスが取れないにも関わらず、少女は必死の抵抗を試みる。
だがそこに、先程までの鋭さは無く、闇雲に振り回される剣は、ストゥムに致命傷を与えることはなかった。
「次は右脚を切断してやるよぉ!」
逆袈裟に薙いだ大ぶりな攻撃が、確かな肉の感触を捉えた。
欲望をぶちまけられた少女は、地を激しく転がっていく。
だが、仰向けに倒れてもなお、少女は敵意の眼差しを送ってくる。
「ハァァ……楽しかった……次は何処を斬り落としてやろうかなぁ……イヤ、そのまま頭から噛りついてもいいかぁ?」
ここまでダメージを負ってしまえばストゥムに致命傷を与えることは不可能だろう。ましてや、ストゥムにはネメシスの再生能力もあるのだから。
そんな捕食者の愉悦にひたるストゥムだったが、ふと自身の身体に熱を感じた。
視線を向けると、腕が抉られ鮮血が流れ出ている。先の大ぶりな一撃の際に一太刀もらったようだ。
「なんだ、一発喰らってたのか……」
そう思ったのも束の間、突如その熱はストゥムを内側から激しく灼き始めたのである。その痛みはウイルスのように全身を一瞬にして駆け巡っていく。
「な、なんなんだよ、コレェェッ!? いや、今はこいつを喰、グ、ギィアァァッ!」
蒼き剣は、少女の眼光と同じく鋭い煌めきを放っている。
ストゥムは今まで感じたことのない未知の痛みに恐怖した。
ひとまずはこの痛みを取り去る必要がある。しかし、どれだけ意識しても一向に身体の再生が始まらない。
むしろ、それに反応するように身を焼く速度が増してすらいる。
「ど、どうなってル……? あの剣は、ネメシスを殺すための兵器……なの、カ?」
――ゾクリ。
得体の知れない恐怖がストゥムを突き動かす。それと同時に脳裏をよぎったのは、あの時レヴルが告げた言葉だった。
「イヤな予感がするの――」
あの剣は今この場で破壊しなくてはならない。
ストゥムは無意識のうちに鎌を振り下ろしていた。蒼の剣を破壊するために。
EPISODE10 強欲なる略奪者「なぁ、その力はなんなんだよ。喰わせろ、俺に、おれにオレにオレニ喰ワセロォォ!」攻撃はリーチの長いストゥムの大鎌が先制を決めた。
捉えたはずの大鎌が地を穿つ。
ストゥムの渾身の一撃に反応した少女は、身をよじり回避してみせたのだ。
「ヒハハッ! いい脚だなぁ!」
半歩距離を置き、体勢を整えるストゥム。何度煽られても少女はただひたすらに冷たい視線を投げかけている。
「綺麗な眼をしてるねぇ……増々気に入ったよ!」
昂りに呼応するように速度は更に上がっていく。水平に薙ぎ払ったかと思えば、上下から縦一文字の斬撃を織り交ぜる。
ひとたび触れれば両断されてしまう極限の状況。
だというのに、少女はピクリとも感情を出さない。
淡々と必殺の一撃を回避し続けているのだ。
「クゥゥッ! いつまで避け続けられるかなぁ!? もっとだ! もっとオレを愉しませろぉッ!!」
強者である自分にここまで喰い下がれる存在は二度と現れない。そう思い始めたストゥムは、ただ愉しむためだけに鎌を振るう。しかし、無限に続く応酬にも終わりが訪れようとしていた。
尚も加速する攻撃に、少女は徐々にではあるが疲労を見せ始める。
「……ッハ」
昂ぶりを抑えきれないストゥムは暴力性をあらわにした言葉を投げかけながら、その瞬間を心待ちにしていた。
「そろそろ限界だってのかぁ!? 勝手にオレの舞台から降りるんじゃねぇ!!」
振り下ろされた一撃。
死を告げる鎌は少女の左腕を容赦なく切断していた。
「……ッ!!」
痛みに歪む顔。
それを確認したストゥムは斬り落とした腕を掴み上げ細かく痙攣する指を愛おしそうに舐め回した。
「あぁ……美味い、美味いぞ、お前ぇぇぇ。これだよ、コレコレ! オレに、オレニオレニもっと喰わせろぉぉ!!」
片腕を失い、バランスが取れないにも関わらず、少女は必死の抵抗を試みる。
だがそこに、先程までの鋭さは無く、闇雲に振り回される剣は、ストゥムに致命傷を与えることはなかった。
「次は右脚を切断してやるよぉ!」
逆袈裟に薙いだ大ぶりな攻撃が、確かな肉の感触を捉えた。
欲望をぶちまけられた少女は、地を激しく転がっていく。
だが、仰向けに倒れてもなお、少女は敵意の眼差しを送ってくる。
「ハァァ……楽しかった……次は何処を斬り落としてやろうかなぁ……イヤ、そのまま頭から噛りついてもいいかぁ?」
ここまでダメージを負ってしまえばストゥムに致命傷を与えることは不可能だろう。ましてや、ストゥムにはネメシスの再生能力もあるのだから。
そんな捕食者の愉悦にひたるストゥムだったが、ふと自身の身体に熱を感じた。
視線を向けると、腕が抉られ鮮血が流れ出ている。先の大ぶりな一撃の際に一太刀もらったようだ。
「なんだ、一発喰らってたのか……」
そう思ったのも束の間、突如その熱はストゥムを内側から激しく灼き始めたのである。その痛みはウイルスのように全身を一瞬にして駆け巡っていく。
「な、なんなんだよ、コレェェッ!? いや、今はこいつを喰、グ、ギィアァァッ!」
蒼き剣は、少女の眼光と同じく鋭い煌めきを放っている。
ストゥムは今まで感じたことのない未知の痛みに恐怖した。
ひとまずはこの痛みを取り去る必要がある。しかし、どれだけ意識しても一向に身体の再生が始まらない。
むしろ、それに反応するように身を焼く速度が増してすらいる。
「ど、どうなってル……? あの剣は、ネメシスを殺すための兵器……なの、カ?」
――ゾクリ。
得体の知れない恐怖がストゥムを突き動かす。それと同時に脳裏をよぎったのは、あの時レヴルが告げた言葉だった。
「イヤな予感がするの――」
あの剣は今この場で破壊しなくてはならない。
ストゥムは無意識のうちに鎌を振り下ろしていた。蒼の剣を破壊するために。
ストゥムへと刻まれたほんの些細な一撃。
それによってストゥムの全身は、灼熱の痛みに包まれていた。
剣の破壊に全神経を注いでいたストゥムは、少女の身に変化が起きていたことを見逃してしまう。
鎌が剣に届くかに見えたその瞬間。
少女の身体からは幾つもの赤黒い帯が現れ、大鎌を弾いた。そしてその帯は少女の身体を包むと同時に空へと昇っていく。
この女は危険だ……!
目の前で次々と繰り広げられていく未知の光景。
これ以上放置しては、状況は更に悪化するかもしれない。一刻も早く、この現象を止めなくては。
ストゥムは再び、少女と剣を破壊すべく何度も鎌を叩き込む。
だが、どれだけ放っても帯に阻まれてダメージを与えることはできない。
「――――ぁああああああ!!!」
響き渡る絶叫と共に、少女を取り囲んでいた帯は傷口を覆い尽くし、失ったはずの手脚を次々に再生させていく。
帯の隙間から見えた瞳は鋭く光を放つ。眼の合ったストゥムが、思わず後ずさってしまう程に。
「まさか僕の力を吸収……した? あの剣がか!? ふざけるなよ! こんなことが、あってたまるか……!!」
どれだけ事実を否定しても、目の前で起きている現象が、否が応にも現実を突きつける。
「ヒ、ヒヒッ、なんだよそれ……ズルいじゃないか、喰わせろよ……なぁ……」
ストゥムは、自身に残された力のすべてを開放し、少女へと迫る。
「俺に、おれにオレにオレニ喰ワセロォォォッ!!」
EPISODE11 求め続けた強き者「素晴らしい……その力こそが、僕たちが追い求めた強き人類の姿なんだ」それによってストゥムの全身は、灼熱の痛みに包まれていた。
剣の破壊に全神経を注いでいたストゥムは、少女の身に変化が起きていたことを見逃してしまう。
鎌が剣に届くかに見えたその瞬間。
少女の身体からは幾つもの赤黒い帯が現れ、大鎌を弾いた。そしてその帯は少女の身体を包むと同時に空へと昇っていく。
この女は危険だ……!
目の前で次々と繰り広げられていく未知の光景。
これ以上放置しては、状況は更に悪化するかもしれない。一刻も早く、この現象を止めなくては。
ストゥムは再び、少女と剣を破壊すべく何度も鎌を叩き込む。
だが、どれだけ放っても帯に阻まれてダメージを与えることはできない。
「――――ぁああああああ!!!」
響き渡る絶叫と共に、少女を取り囲んでいた帯は傷口を覆い尽くし、失ったはずの手脚を次々に再生させていく。
帯の隙間から見えた瞳は鋭く光を放つ。眼の合ったストゥムが、思わず後ずさってしまう程に。
「まさか僕の力を吸収……した? あの剣がか!? ふざけるなよ! こんなことが、あってたまるか……!!」
どれだけ事実を否定しても、目の前で起きている現象が、否が応にも現実を突きつける。
「ヒ、ヒヒッ、なんだよそれ……ズルいじゃないか、喰わせろよ……なぁ……」
ストゥムは、自身に残された力のすべてを開放し、少女へと迫る。
「俺に、おれにオレにオレニ喰ワセロォォォッ!!」
蒼き剣からストゥムの力を吸収し、復活を果たした少女。
完全優位の捕食者という立場から喰われる側に回ってしまったストゥムは、必死に抗おうと食い下がる。
地に降りた少女目掛けて、ストゥムはありとあらゆる攻撃を繰り出すが、少女は傷つきながらもそれを受け止め、捌いていく。
繰り広げられる力の応酬、傷が増えるたびに少女の力が膨れ上がっていくのを感じた。
「この状況でも俺から力を吸収しているのか? これじゃ、まるで」
この感覚には何処か覚えがある。そう、これはまだストゥムが弱かった頃、争いの中で喰らい続けて強くなった自分と同じ――
目の前にいるのは、自分自身なのだ。
少女は急速に自身を成長させている。ストゥムという存在を喰らい、超越するために。
「イイ、イイぞ、お前ェェ!! 喰らってヤル! 絶対にィィ!!」
激昂するように吼え猛るストゥムを前にしても、相対する少女は冷徹な雰囲気をまとわせたままだ。そして鍔迫り合いの中、ストゥムへと近づき口を開く。
「私が……私が貴方を喰らってあげる」
「それはこっちの台詞だ! 生きたまま喰らってヤル!!」
少女は、口調も相まって何処か違う印象を受ける。
ただの殺戮兵器から、人間に生まれ変わったかのようだった。
「へえ、さっきから一発も当たらないのに?」
「見下すんじゃネェェ! イブ・カルトゥーシュ!」
「私の穢れた血が貴方の血を受け入れた……見せてあげる、これはかつての王を倒した力よ! トリニティ・ヴァーテックス!!」
漆黒と蒼が真っ向からぶつかり合う。
発生した衝撃波が奔流となって駆け抜け――
「グ……ッ」
中心には蒼き剣を胸に突き立てたストゥムが立ち尽くしている。力は既に失われた。溢れ出る血が、祝福するように地を彩っていく。
――まもなく完全なる死が訪れるだろう。
「あ……あぁ……これが『死』なのか……」
「貴方の負けよ」
「……す、素晴らしい、力だ……その力への渇望。それこそ、僕たちが求める……理想の、人類……」
吐血する度に体力は急速に失われていく。最早、言葉を発することすら、ストゥムにはままならない。それでもストゥムは絞り出すように言葉を紡ぐ。
「地上へ……再生、されるには、強き人間で、なくては……」
ストゥムの身体はボロボロと崩れ落ち、やがて塵となり消滅した。
それと同時に、ストゥムが作り出した空間も音を立て崩れ去るのだった。
「フフ、ごちそうさま。貴方の力、とても美味しかった。……もうすぐよ、父さん。全てを終わらせる輝きの力……」
歪な笑みを浮かべ。
少女は天を仰ぎ、誰にともなく嗤うのだった。
――時を同じくして、ネメシスはストゥムがこの世界から完全に消え去ったことを感じ取る。
その衝撃は瞬く間に伝播し、侵攻を控えたネメシスも狼狽え始めるのだった。
「ぬぅ……逝ったのかストゥムよ……」
不確定要素がもたらした思わぬ事態に、アレウスも動揺を隠せない。しかし、侵攻計画はもう進んでいる。構っている時間は残されていなかった。
そんな折、指揮の乱れを感じ取ったネルガルが、即座に行動を起こす。
「皆の者聞くがよい!『埋葬者ストゥム』は消滅した。狼狽えてしまうのも分かる……だが、その感情は今すぐ捨て去るのだ。我らを突き動かすのは何か!? 怒りだ! それこそが我らの原動力に他ならない! 喰らえ! 彼の分まで!」
その言葉に意識を集中させていたネメシスから不安の色は消え失せる。
そこへネルガルは更に焚き付けていく。
「忘れるな、この痛みを! 我々はストゥムのためにも、エテメンアンキを、ひいてはフォノ・ゼニスを攻め落とさねばならん。怒りの炎で焼き払うのだ!」
ネルガルに鼓舞されたネメシスがエテメンアンキへと侵攻を開始する。
そんな中、ただ一人憎しみに身を焦がす者がいた。
「……ない。絶対に、許さない……ストゥムを殺したアイツを!!」
憎悪渦巻く瞳を宿し、レヴルはただ一人、少女への復讐を誓う。
決して消えることのない恨みは、新たな『毒』となりこの世界に浸透していくのだった。
完全優位の捕食者という立場から喰われる側に回ってしまったストゥムは、必死に抗おうと食い下がる。
地に降りた少女目掛けて、ストゥムはありとあらゆる攻撃を繰り出すが、少女は傷つきながらもそれを受け止め、捌いていく。
繰り広げられる力の応酬、傷が増えるたびに少女の力が膨れ上がっていくのを感じた。
「この状況でも俺から力を吸収しているのか? これじゃ、まるで」
この感覚には何処か覚えがある。そう、これはまだストゥムが弱かった頃、争いの中で喰らい続けて強くなった自分と同じ――
目の前にいるのは、自分自身なのだ。
少女は急速に自身を成長させている。ストゥムという存在を喰らい、超越するために。
「イイ、イイぞ、お前ェェ!! 喰らってヤル! 絶対にィィ!!」
激昂するように吼え猛るストゥムを前にしても、相対する少女は冷徹な雰囲気をまとわせたままだ。そして鍔迫り合いの中、ストゥムへと近づき口を開く。
「私が……私が貴方を喰らってあげる」
「それはこっちの台詞だ! 生きたまま喰らってヤル!!」
少女は、口調も相まって何処か違う印象を受ける。
ただの殺戮兵器から、人間に生まれ変わったかのようだった。
「へえ、さっきから一発も当たらないのに?」
「見下すんじゃネェェ! イブ・カルトゥーシュ!」
「私の穢れた血が貴方の血を受け入れた……見せてあげる、これはかつての王を倒した力よ! トリニティ・ヴァーテックス!!」
漆黒と蒼が真っ向からぶつかり合う。
発生した衝撃波が奔流となって駆け抜け――
「グ……ッ」
中心には蒼き剣を胸に突き立てたストゥムが立ち尽くしている。力は既に失われた。溢れ出る血が、祝福するように地を彩っていく。
――まもなく完全なる死が訪れるだろう。
「あ……あぁ……これが『死』なのか……」
「貴方の負けよ」
「……す、素晴らしい、力だ……その力への渇望。それこそ、僕たちが求める……理想の、人類……」
吐血する度に体力は急速に失われていく。最早、言葉を発することすら、ストゥムにはままならない。それでもストゥムは絞り出すように言葉を紡ぐ。
「地上へ……再生、されるには、強き人間で、なくては……」
ストゥムの身体はボロボロと崩れ落ち、やがて塵となり消滅した。
それと同時に、ストゥムが作り出した空間も音を立て崩れ去るのだった。
「フフ、ごちそうさま。貴方の力、とても美味しかった。……もうすぐよ、父さん。全てを終わらせる輝きの力……」
歪な笑みを浮かべ。
少女は天を仰ぎ、誰にともなく嗤うのだった。
――時を同じくして、ネメシスはストゥムがこの世界から完全に消え去ったことを感じ取る。
その衝撃は瞬く間に伝播し、侵攻を控えたネメシスも狼狽え始めるのだった。
「ぬぅ……逝ったのかストゥムよ……」
不確定要素がもたらした思わぬ事態に、アレウスも動揺を隠せない。しかし、侵攻計画はもう進んでいる。構っている時間は残されていなかった。
そんな折、指揮の乱れを感じ取ったネルガルが、即座に行動を起こす。
「皆の者聞くがよい!『埋葬者ストゥム』は消滅した。狼狽えてしまうのも分かる……だが、その感情は今すぐ捨て去るのだ。我らを突き動かすのは何か!? 怒りだ! それこそが我らの原動力に他ならない! 喰らえ! 彼の分まで!」
その言葉に意識を集中させていたネメシスから不安の色は消え失せる。
そこへネルガルは更に焚き付けていく。
「忘れるな、この痛みを! 我々はストゥムのためにも、エテメンアンキを、ひいてはフォノ・ゼニスを攻め落とさねばならん。怒りの炎で焼き払うのだ!」
ネルガルに鼓舞されたネメシスがエテメンアンキへと侵攻を開始する。
そんな中、ただ一人憎しみに身を焦がす者がいた。
「……ない。絶対に、許さない……ストゥムを殺したアイツを!!」
憎悪渦巻く瞳を宿し、レヴルはただ一人、少女への復讐を誓う。
決して消えることのない恨みは、新たな『毒』となりこの世界に浸透していくのだった。
■ 楽曲 | |
┗ 全曲一覧(1 / 2) / 追加順 / Lv順 | |
┗ WORLD’S END | |
■ キャラクター | |
┗ 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL | |
┗ マップボーナス・限界突破 | |
■ スキル | |
┗ スキル一覧 / 期間限定スキル | |
┗ スキル評価 / 期間限定スキル | |
■ 称号・マップ | |
┗ 称号 / ネームプレート | |
┗ マップ一覧 |
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こいつの持ってる武器がどうやってもマスカラにしか見えんこのコメントに返信0返信
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地味に敗北&消滅した混沌の器って彼が初?このコメントに返信3返信
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暴食って…七つの大罪?このコメントに返信2返信
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CV 鳥海浩輔
某死神漫画のマッドサイエンティストにめちゃくちゃ似てたこのコメントに返信0返信 -
どうしてイレギュラーは発生するんだろう...返信数 (1)10返信
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スキル詳細
+250ずつ上がりました。このコメントに返信2返信 -
脚フェチお兄ちゃん属性持ち噛ませ役の要素てんこ盛りキャラこのコメントに返信17返信
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めっちゃ美味しい噛ませ役やん
名前だけ出て側溝消えたティフォン配下最古とかとは雲泥の差やこのコメントに返信9返信 -
運命の螺旋+5まで250ずつ増えて最大強化5250。3-10本に必要な発動回数が3 6 10 14 19 24 29 35。もちろん運には左右されますが、期待値は未だに嘆きや奔流の最大強化に劣る程度です。このコメントに返信0返信
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イケボっぽいこのコメントに返信4返信