分類:D2
自然と共生してきた日本人
古来稲作を行ってきた日本人は、これに欠かせない水や森林などの自然をも大切に守り育てていました。日本文化の特色は、自然を支配するとか利用するという考え方ではなく、自然を生かし、自然と共に生きてきた「共生の文化」であるといえます。
富山和子さん(立正大学名誉教授)は、次のように述べています。
「日本では、山の緑を払ってそこを穀倉地帯にしたのではなかった。日本人が穀倉地帯にしたのは大河川の氾濫原であり、そこは海だか陸だか川だか分からないような葦野が原であり、その土地を洪水から守るためにも山へ行って木を植え、水を作るためにもまた、山へ行って木を植えた。(中略)高度に発達した文明国のなかで日本は、木を植えることで文化を育ててきた唯一の国だったのである」(『日本の米』中央新書)
今日、私たちは自然との「共生」を忘れてはいないでしょうか。
『ニューモラル』411号,『366日』5月4日
※ 富山和子著『日本の米』中公新書