トランプがいまだ「敗北宣言」をしない「シンプルな理由」

大統領選の結末やいかに?
木村 朗 プロフィール

特別検査官の任命はあるのか

トランプ大統領の再逆転勝利に向けたもう一つの秘策として全米で注目されているのが、今回の大統領選挙での不正行為の有無を調査する特別審査官任命の問題である。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは12月11日、「トランプ大統領がバイデン次期大統領が勝利した大統領選の結果を覆すため選挙不正疑惑を捜査する特別検察官の任命を模索している」と報じた。

現在焦点が当てられているのは、トランプ大統領による特別審査官の任命が本当になされるのか、また任命される場合はそれが誰でいつなのか、という点である。

この点に関連して、12月23日に「辞任」(「事実上の解任」か)した、ウィリアム・バー司法長官の言動が注目される。バー氏は、もし正当な理由があると感じたならばそうしていただろうとし、選挙不正に介入する特別検査官を任命することを拒否した。そして、「しかし私はそうしなかった。そしてそうするつもりはない」と記者会見で語った。

これはトランプ陣営にとっては明らかに不利な証言であり、その背景としてバー氏には弁護士時代にドミニオン社との関わりがあったからではないかとの疑惑が浮上している。

これに対してトランプ大統領は、バー氏が司法省を去った同じ日に、「2020年選挙に多くの選挙不正を見た後で、強く、厳格で、公正な特別検査官が『直ちに』必要ではないという何人にも私は同意しない」「これは我が国の歴史の中で最も腐敗した選挙であった。綿密に調査される必要がある」とマイアミのマー・ア・ラゴクラブからツイートし、選挙不正を調査するための特別検査官を「直ちに」招くと改めて言及している。

また未確認ではあるが、先述したホワイトハウスでの秘密会議以後も密接に連絡を取り合っているシドニー・パウエル弁護士をトランプ大統領はすでに特別検察官に任命しているが、司法省での任命手続きが手間取っており、パウエル特別検査官が正式な活動を開始するにはいたっていないとの情報も出されている。そして、この特別検察官について、トランプ大統領は不正選挙だけでなくバイデン氏の次男の捜査も任せたいと考えているという(The Washington Times「Trump renews call for special counsel on election fraud as Barr leaves office」、共同通信「トランプ氏、依然逆転狙う 選挙捜査の特別検察官模索」)。

 

そのシドニー・パウエル弁護士は、EPOCH TIMES(エポック・タイムズ)のインタビューの中で、11月3日の選挙における外国からの干渉疑惑により、2018年に出された外国からの干渉に関するドナルド・トランプ大統領の執行命令を引き起こすには十分以上だ、と主張するとともに、その執行命令のために、トランプ大統領に「あらゆる種類の権力を与えることができると信じている、と語っている。また、不正選挙を調査するために、関連資産を占有して物事を凍結することからすべてを行うには、投票マシンの没収を要求する、と述べている(THE EPOCH TIMES「Sidney Powell: Trump Could Trigger 2018 Executive Order on Foreign Election Interference」)。