▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
妹ちゃん、俺リストラされちゃった・・・スキル「倍返し」が理解されなくて…え、ブラック離脱おめでとう?…って、転職したらS級!? 元上司が土下座してる!? もう遅いよ。かわいい部下に囲まれてるので。 作者:アマカワ・リーチ

第二章 ギルドマスター・クラッブ 編

25/45

24.ホワイトさに驚くアトラス


 朝、アトラスがギルドの建物に入ると、他のパーティーの隊員たちの話し声が聞こててきた。


「今度のSSランクダンジョン攻略、別のギルドに取られたらしいぞ」


 SSランクダンジョンと言えば、稀に発生する最高難易度のダンジョンで、アトラスはまだ足を踏み入れたことさえなかった。

 発生自体が相当レアで、かつ攻略略難易度も高いため、受注できるのはトップギルドに限られている。


 <ホワイト・ナイツ>は、王国最大手のギルドとして、数多くのSSランクダンジョン攻略を受注し、成功に導いてきたはずだ。


 それなのに<ホワイト・ナイツ>が失注するというのは、アトラスから見てもかなり大きなニュースだった。


「受注したのはどこのギルドだよ」


「それが、<ブラック・バインド>っていうらしい」


 と、アトラスは急に聞き慣れた言葉が聞こえてきて驚く。


「<ブラック・バインド>って、最近乗って来てるっていうあの? でも幾ら何でもいきなりSSランクダンジョンとは」


「なんでも王女様直接のご指名らしいよ」


 ――王女様と言えば、ルイーズ・ローレンス様だ。

 以前、アトラスも攻略で一度だけ会ったことがある。


 もちろん、向こうはこっちのことなんて全く覚えちゃいないと思うけど……。


 と、アトラスが自席につくと、隊員のイリアが近づいてきた。


「おはようございます、隊長」


「おはよう」


 イリアは挨拶のあとすぐに隊員たちが話している「失注」の話を切り出した。


「うちの代わりにSSランクダンジョン攻略を受注した<ブラック・バインド>って、隊長が前にいたギルドですよね」


「うん、そうだね」


「前に隊長に「戻って来てもいいぞ」とかって偉そうに言いにきた男は相当弱そうでしたけど、<ブラック・バインド>にはSSランクに挑むだけの力があるパーティってあるんですか?」


 アトラスが知る限り、その「弱そう」な男であるコナンのパーティが<ブラック・バインド>の最強パーティだった。


「うーん、正直厳しそうだけど……どうするんだろうね」


 アトラスは苦笑いしながら言う。

 なにせパーティで一番強かったアニスは<ブラック・バインド>を辞めている。

 クビになったトニー隊長はともかくとして、アニスの離脱は大きな痛手だろう。


「じゃぁ、失敗して結局<ホワイト・ナイツ>に回ってくるかもですね♪」


 そう言ってイリアは金髪のツインテールを揺らしながら席に戻っていった。


 すると、今度は入れ替わりでギルマスのエドワードがアトラスの席に現れた。


「おはようございます」


「おう、おはよう。今日は内勤か?」


「はい。明後日から新しいダンジョンを攻略する予定です」


「そうかそうか。なら明日は有休でも取ったらどうだ?」


 エドワードのその言葉に、アトラスは驚きのあまり固まってしまった。


「ゆ、有休……?」


「ああ。まだギルドに入ってから一度も有休を使ってないだろ?」


 もちろんアトラスにも言葉の意味はわかった。

 だが、5年間の冒険者人生で、今までそんな言葉をかけられたことがなかったのだ。


「ゆ、有休って、取っていいんですか……? 処分されないんですか?」


 アトラスは思わずそう聞き返してしまった。

 もちろん<ブラック・バインド>でも有休という制度はあったが、それを使うと「職務に集中していない」という理由で減給になっていた。

 なのでアトラスにとって「有休」というのは、存在するが使えない制度だったのだ。


「処分? バカなこと言うな。休むことで罰を受けるなんてありえないだろ」


 ブラックギルドにどっぷり浸かっていたアトラスは、エドワードの言葉がにわかには信じられなかった。



 と、アトラスが呆然としていると、後ろでイリアが手をあげる。


「私も後書類仕事だけなんで、ぱっぱと済ませて明日休みます」


 すると、他のメンバーが「俺も休もうかなと思ってたんだよね」なんて言い出す。


 そして、それを聞いたイリアが、


「って言うか、どうせみんな暇なら、明日みんなでバーベキューしに行くって言うのはどうですか?」


 なんて言い出す。


「それいいですね!」


 と一瞬でパーティ全員が休みを取って、遊びに行く流れになる。


 その様子を見て、アトラスはもう色々驚いてしまう。

 <ブラック・バインド>では、そもそも有休なんて取れなかったし、パーティーで遊びに行こうという話になる程仲良くもなかった。


「隊長、どうですか?」


 イリアが、首を傾げて聞いてくる。


「も、もちろんみんながいいなら……」


「やった。じゃぁ決まりですね♪」


 ……これがホワイトギルドか。

 アトラスは、自分の所属しているギルドのあまりのホワイトさに驚いてしまったのだった。


 †


  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。