ところが『革命』の舞台は2011年、作中の年号では『大正100年』です。これまでの作品のはるか未来の世界が描かれることになったのです。当然、これまでのメーンキャラクターはまったく登場しないか、存在がほのめかされていても『空気』のような扱いになっている。歴史的な連続性が全くなく、単にガワだけサクラ大戦シリーズを名乗っているようにしか見えないありさまです。しかも、スチームパンク作品として重要な役割を担ってきた『霊子甲冑』という蒸気で動く戦闘メカも大きく改変されました。
どうやらヒロインが乗り込む形式のメカだと、キャラの顔が見えなくなってしまうという開発側の理由で、顔だけ出して胴体、手足だけが巨大な機械というスタイルに変わりました。大雑把な表現ですが、ガンダムの顔のパーツだけ、パイロットのキャラクターの顔になっていると考えてもらえればイメージしやすいと思います。こうした意味不明な作風の改変に、古参のファンたちが憤り、初日からインターネット上で炎上したのです」
開発を手掛ける「ディライトワークス」とは?
20数年続く伝統的なタイトルとはいえ、より息の長いコンテンツにするために新規ファンの獲得を目指し作風を変えることはあり得る。だが、セガサミーホールディングス関係者は次のように語る。
「完全に上層部の読みが外れたのは否めないと思いますよ。そもそもディライトワークスさんに開発・運営をお願いしたのが正しかったのか……。ディライトさんは国内累計2200万ダウンロードのゲームアプリ『Fate/Grand Order』(略称・FGO、配信・アニプレックス)の開発で名を上げました。同タイトルの月間の売り上げは30~80億円というまさに覇権ゲームメーカーです。
ただ、ゲーム開発者からはあまり良い評判は聞きません。FGOは2014年のリリース時から、『グラフィックがしょぼい』『キャラクターの育成には時間がかかり、かつ課金をしないと困難』『戦略性などが陳腐』などとたびたびゲームシステムの不具合やゲーム内容そのものに対する批判がついてまわっている作品です。またゲームキャラクターを獲得するためのガチャに関して、レアリティーの高いカードを引き当てる確率が極めて低いことでも知られます。
例えば、某美少女RPGゲームでは、ガチャが外れても一定の金額を課金すれば自分の狙っているキャラクターが手に入る仕様になっています。ところがFGOは青天井です。何十万円つぎ込んでも、出ないときは出ません。そうした露骨な集金を問題視する声が、消費者庁や東京都などにも多く寄せられています。
それでもファンが離れず、FGOが驚異的な売り上げを誇り続けているのは、原作者である奈須きのこ氏と武内崇氏が手掛けた『Fate』というブランドがあるからと言われています。