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冬の換気は「室温18度・湿度40%以上」を維持しながら 「住まいが暖かくなれば疾患予防、重症化リスクも軽減」と専門家

井上有紀子AERA#ヘルス
AERA 2020年12月28日-2021年1月4日号より

AERA 2020年12月28日-2021年1月4日号より

 新型コロナ第3波が到来の只中にある今、家庭内でも万全にしておきたい。注目すべきは正しい換気に加え、室温と湿度。しっかりとした管理が必要だ。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号は、注意点や対策を専門家に聞いた。

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 日本リスク学会の「環境表面のウイルス除染ガイダンス」によると、新型コロナは37度では1日後、22度では7日後まで感染力があるが、4度では14日後でも感染力はほとんど落ちない。つまり、温度が低いと感染リスクが高まると考えられる。

 では、室温は何度に保てばいいのか。世界保健機関(WHO)は18年に冬の住宅の最低室内温度を「18度以上」と勧告しており、厚労省もコロナ予防のための室温として参考にしている。慶應義塾大学の伊香賀俊治教授(日本建築学会副会長)は「18度以下の家は寿命を縮める」と警鐘を鳴らす。

「北海道は冬季死亡増加率が全国で一番低い。これは北海道の住宅の気密性が高く、室温が高いことと関係しています」

 伊香賀教授によると、北海道の冬場の居間の平均室温は20度。それに対し、四国や九州では平均室温が15度以下の県もあるという。室温が低いと血圧が上がりやすくなり、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まる。呼吸器系疾患にもかかりやすく、かつ重症化しやすくなるという。

「住まいが暖かくなれば、さまざまな疾患の予防となり、コロナの重症化のリスクを軽減できると考えられます。また、足元の皮膚温度を1度上げるだけで、試験の正答数が10ポイント以上上がったという調査もあり、集中力向上も期待できる。冷えを軽減させるだけでも、在宅ワークがはかどります」(伊香賀教授)

 部屋を暖める場合は、エアコンやパネルヒーター、ホットカーペットなどを併用するといい。エアコンだけだと湿度が下がりすぎるが、ホットカーペットなどで足元だけ温めても、体全体は温まらないからだ。

 次に湿度。ウイルスは湿度40%以下になると、風に乗って広まりやすくなる。また、口腔内が乾燥すると衛生状況が悪くなり、感染症にかかりやすくなることも知られている。湿度は40%以上を保ちたい。

 湿度を高めるためには加湿器をつける、エアコンの近くに濡れたタオルを干すなどが有効だ。ただし、断熱材が使用されていなかったり、換気がよくない家の場合、結露が発生してカビの原因にもなる。結露が発生しやすい場所にはプチプチ緩衝材を貼って対策したい。

 加湿器自体もカビ繁殖の温床になる。水は毎日交換し、ときどきクエン酸水などを使って掃除するとよい。

 ちなみに、住宅は2時間に1回、空気を入れ替えることが義務付けられているのに対し、店舗などの場合は利用者数に応じて換気回数を多く設定することが義務付けられている。

「正しく換気が行われているなら、オフィスなどではそこまで換気に過敏になる必要はありませんが、気になる人は小さな空気清浄機や加湿器を持ち込むのもよいでしょう」(東京理科大学の倉渕隆教授)

(ライター・井上有紀子)

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AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋


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