4都県知事、緊急事態宣言を要請 経財相「発令視野に」
新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、首都圏1都3県の各知事が2日、政府に緊急事態宣言発令の検討を要請した。西村康稔経済財政・再生相は知事らとの会談後、記者団に「緊急事態宣言が視野に入る厳しい状況という認識を共有した」と述べた。新型コロナの第3波に歯止めがかからず、医療提供体制も逼迫していることへの対応を検討する。
東京都の小池百合子知事や神奈川県の黒岩祐治知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事は同日午後3時半から3時間超、西村氏と協議した。
小池氏は要請理由について「陽性者数や医療提供体制の現状を踏まえると、直ちに徹底した人流の抑制を図る必要がある」と説明した。再び発令する場合は混乱を避けるため、一定の周知期間を設けるよう主張した。
西村氏は「国として要請を受け止め、検討していく」と語った。
都内で感染者が急増し、昨年12月31日に1日あたりの新規感染者数として過去最多となる1337人の感染を確認した。都は酒類を提供する飲食店などに午後10時閉店の時短営業を求めるなどしているが、現状で大きな効果が出ていない。
西村氏は2日の会談で知事側に時短営業の要請強化など、自治体としてすぐにできる対応をとるよう伝えた。カラオケ、バーなどを含む首都圏の飲食店などの営業を午後8時までとし、酒類の提供も午後7時までにするよう求める方針で一致した。
午後8時以降の不要不急の外出も自粛を促す。ほかに(1)企業のテレワークの徹底(2)職場や学校などでの感染防止策の徹底(3)イベントの開催要件の厳格化――を確認した。
コロナ禍の長期化で売り上げを減らす店舗は多く、自治体からの時短要請を拒む例も出ている。閉店時間の前倒しに伴い、さらに収入が減りかねない。
西村氏は要請の実効性を高めるため、自治体が求めに応じた店舗に支払う協力金の原資となる国の交付金を増額する考えを表明した。「事業者には大変厳しい状況になる。交付金を拡充する形で支援したい」と話した。
小池氏は「実際に店側がどれくらい協力してくれるかがポイントだ」と指摘した。
緊急事態宣言は改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づいて首相が出す。宣言がなくても都道府県知事は外出自粛や休業の要請は可能だが、宣言すると対象地域の知事は明確な法的根拠を持って住民に要請できるようになる。
政府は昨年4月7日、東京や大阪など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令。その後、全国に対象地域を拡大するなどし、5月25日に全国で解除した。
菅義偉首相は2日も首相公邸で樽見英樹厚生労働次官らと40分ほど面会し感染状況を分析した。新規感染者は1都3県で全国の半数程度を占める。4日に年頭の記者会見を開き、対応策を説明する。
首相は経済と感染防止の両立を目指してきた。一方で医療機関の逼迫といった理由から緊急事態宣言を求める声が出ていた。
昨年12月の日本経済新聞社の世論調査でも「感染拡大を防ぐため速やかに再宣言すべきだ」との回答が48%を占め「経済的な影響を考慮して慎重に判断すべきだ」を初めて上回った。