床下点検口を作る
床下点検口は、新築のときに作ってしまうのが断然簡単ですが、今回はすでにある床を開口し、後付けで床下点検口を作った例を2つご紹介します。
1つ目はサイズが600角(約60cm四方)。 床板は別途用意した床材を使いました。
2つ目はサイズが460角(約46cm四方)。 切り出した床板を再利用しています。
今回使った床下点検口は『SPG床下点検口 606』
約60cm四方の広さで、カラーはブロンズとシルバーの2種類 アルミ製の外枠、内枠、半回転取っ手と付属のビス類が同梱されています。
商品の箱に施工手順の説明が書いてあります。 画像でお見せするとこんな感じ。
さて、点検口についている施工説明書の手順1には
床面を開口し、開口部を根太で補強し、点検口の外枠を受ける桟を取り付ける・・・
と、さらっと書いてますが、これが一番難しい。(^_^;
新築のときの床作りと合わせて点検口を作るなら簡単でしょうが、
今回はすでに住んでいる状態の床に開口して作るので、まず第一番に、床下の根太がどのような位置にあるのかわからないと面倒です。
指定寸法どうりに開口したら面倒な位置に既存の根太が現れた!・・・なんてことがないよう、あらかじめ根太の位置がわかっていれば効率よく出 来るはずですが、セルフビルドした家といえども、床下の正確な根太の位置までは覚えていないです。(^_^;
そこで今回の施工手順は、
- 予定の開口より小さく試しに開口し、根太の位置や間隔を確かめる。
- 最も効率よく設置できる点検口の位置を決め、本開口する。
- 補強が必要なら新たに根太や桟を取り付け、外枠を完成させる。
- 内枠を作ってはめ込む
・・・というふうに進めます。
ここが今回床下点検口を設ける場所。
かつて猫を3匹飼っていたとき「猫トイレ」を置いていたコーナーです。
(猫たちは20年以上生きて大往生しました。今はいません。)
予定の場所にアルミの外枠を仮置きしてみます。
仮置きした外枠に合わせマスキングテープで目印を貼りました。
このサイズ約60cm四方
この中心付近に、30cm四方くらいで試し開口します。
フローリング 12mm
下地合板 12mm
合計 24mmなので、刃の出を24mmにセット
丸鋸で切り込みを入れました。
室内で丸鋸を使うとすごい木屑 マスク必須!
丸鋸で床を切るには
ちなみに、床の上から丸鋸の刃を入れて切り込むときは、こんなふうにすると良いです。
丸鋸ベースの前端部を床につけ、指で押えます。
ベース後方は上げておき、刃を浮かした状態で回転させ、ゆっくりと下げて切り込み、ベースが完全に床に密着したら丸鋸を前に進めます。
※ ベースが床に密着したら、安全カバーを上げるために押えていた指をはなす。
※ 体は決して丸鋸の真後ろにしないこと!(もしキックバックしたら、真後ろに体があると非常に危険!
フローリングと下地合板を取り除いたら根太が現れた。
ボード状断熱材はノコギリでサクサク切れますよ♪
先の細い、剪定用鋸なんかが特に便利。
隣の根太との距離を測ってみたら。内々で258mmでした。
根太自体の巾は45mmなので、根太のピッチ(芯々の間隔)は
258+45=303mmということになります。
※ 通常、フローリング床の場合の根太ピッチは303mm、畳床の場合は455mm
さあ、これをもとに床下点検口を開口する正確なラインを考えます。
試し開口の結果をもとに、最も効率よく、手間が少なくなるような、開口位置と受け材の配置方法について検討します。
開口位置の検討 A案
開口の指定寸法は縦横ともに606mmです。 これを、イラストの赤枠のように配置するのがA案
(もちろん、中央の根太は開口後にカットしてしまいます。)
左右両サイドは既存の根太を下地としてそのまま利用できるのがメリット
平面的には何も問題なく、これが一番良さそうだけど、高さ方向でちょっと問題ありです。
メーカーのHPから標準断面図を拝借
外枠の高さは27.8mmです。
一方、うちの床の構造はフローリングが12mm、下地合板12mm
これの計が24mmです。
だから、下地合板までを丸鋸で切断した真下に根太があった場合、床面から根太までの高さのは24mmなので、27.8mmの外枠をはめようとしても、高さが足りません。
床板が15mm厚さのものを使っていて、下地合板が12mmなら、合計厚さが28mm程度になり、これでピッタリ!とっても簡単!
・・・ということになるんでしょうが、残念ながらうちの床はそうなっていなんだよね (^_^;
この位置で外枠を設置したいときは、最初から丸鋸の刃の出を28~29mmにしておき、根太の上部を一部、鑿で欠き取るということになりますね。
開口位置の検討 B案
もう一つの案は、左右の開口ラインを根太の真上ではなく、少しずらす方法
この場合、イラスト右側の開口ラインの断面はこんな感じになってます。
※ 根太の端ギリギリに切っても同じことだけど、完全にギリギリのラインでカットするのは難しいので、数ミリ~1センチほど離してカットするのが現実的
これだと点検口外枠を設置して、高さ現物合わせで受桟を固定すれば良いので、施工としては一番簡単で手間がかからないように思います。
ところが反対側(イラスト左側)のほうはというと・・・
このように床切断ラインの下に根太がなく、強度的に弱いので、補強しなくちゃなりません。
もちろん、開口部の内部にある既存の根太はすべて撤去して、新たに根太と受桟を追加することになるんですが、この作業はけっこう大変そうです。
結論
A案、B案ともに少し面倒な作業がありますが、どっちかというとA案のほうが楽そうなので、今回はA案を採用することにします。
正確な、606×606mmのカットラインを引きます。
直角も正確に・・・
試し開口と違い、本番では丸鋸のカットラインがはみ出ることは許されないので、カットラインの端部はどうしてもカットの深さが浅くなってしまいます。
端部は鑿で仕上げます。
フローリングと下地合板を、取り外しました。
もちろん断熱材も根太もカットしてしまいます。
さあ、これで開口が完了。
じつは丸鋸のカットラインは、根太の上ではあるものの、中心を少しずらしました。
なぜかというと、根太の中心ラインは下地合板を固定するときのビスが打たれているので、そこを丸鋸で切ると刃を傷める恐れがあることと、ビス頭が半分だけ露出した状態では抜くのが容易ではないからです。
だから、開口部の左右とも、カットラインは根太中心より1cm右へずらしています。
こうすると右側の根太にはビス頭が完全に露出するので抜くのが簡単。
一方、左側の根太はそもそもビス頭は隠れたままで何もする必要がありません。
※ ただし、当該根太が下地合板の相端になっていると話は違いますが・・・
さあ、もう一仕事!
根太の上部を4mmほど鑿で欠き落としますが、この作業は、思ったより楽でした。
木目に添って鑿を入れることになるので、簡単に削れます。
※ ただし、あらかじめ丸鋸の刃の出は28~29mmにしておく。
アルミの外枠をはめてみました。
床面との隙間をチェックし、床面にしっかり着いていないところは根太の削りが足りないので削って調整します。
これで左右は問題ないですが、手前と向こう側は既存の根太がブツンと切られた宙ぶらりんな状態なので、補強してやる必要があります。
補強の方法はいろいろ考えられるけど、余った1×4材をあてがい、両側の根太に斜めビス打ちで止めることにしました。
一番簡単な方法だけど強度はやや弱い。
でもこの場所は、人が乗ることは滅多にないので良しとします。
状況によっては金物を併用するなり、いろいろ考えられると思います。
最後に付属のビスでアルミ枠を固定し、これにて外枠の完成!
商品の説明書では、内枠に入れる床材は開口して取り出した現在の床材をそのまま使用するように書いていますが、今回のように『試し開口』する場合は現在の床材は切り刻まれてしまうので使えません。
なので同じ柄のフローリングを、バラで1枚だけ購入する必要があります。
一般的な合板フローリングのサイズは303×1818なので、1枚買って長さ方向に3等分し、そのうち2枚を使えば足ります。
3等分した長さ=606mm-鋸刃厚さ
内枠に入れる床材の寸法=587mm
2枚の「サネ」を合わせ、これで約60㎝強の正方形です。
ただし厚さが12mmしかありません。
メーカーのHPには、「15mm厚までのフロア材対応の床下点検口。フロア材が15mm厚の場合はそのままご使用いただけますが、厚みが満たない場合は捨て貼り等で調整してください。」と書かれていますが、
うちのフローリングは12mm厚なので3mmほど調整しなきゃならないです。
厚さを増やすために、2.5mm厚のラワンベニヤ板を貼り合わせることにします。(3mmのベニヤがないため)
計算上は12+2.5=14.5だけど、結果、これで十分きついくらいでした。
全面的に接着剤が着くよう、板と重石で貼り合わせています。
完全に接着してから、所定寸法( 587×587mm )にカット!
取っ手をつけるために開口します。
現寸大のシールが付いているので、好きな位置に貼ります。
φ22の穴を4か所あければ簡単とのことですが、φ22なんていうサイズのドリルビットは一般的じゃないですね。
こんなときはサイズを自由に変えて穴あけできる『パワーピット』が便利
でも私のパワーピットは長年使って切れ味が悪くなってしまったので、別の方法でやります。
一回り小さい、普通のφ18のビットで穴をあけ、残りはトリマーに『パターンビット』装着して開口します。
パターンビットを使うにはテンプレート(型板)が必要なので、ベニヤ板で巾22mmに角穴をあけたものを用意しました。
厚さ2.5mmのベニヤ板ならカッターナイフで簡単にカットできるので、このようなテンプレートもすぐに出来ちゃいます。
トリマーで開口
とてもきれいな穴をあけられます。
パターンビット
付属品を開口部に取り付けて・・・
取っ手がつきました。
※ 説明書では、先に取っ手を取り付けてから内枠にはめ込むように書かれていますが、それだとやりにくいです。
今回はこの後いったん取っ手を取り外し、内枠にはめ込んでから最後に取っ手を取り付けました。
そのほうが断然やりやすいデス!
これが内枠の部品
アルミ枠と、補強材2本
『コ』の字型に組まれたアルミ枠の中に床材を挿入し、合わせて補強材も入れていきます。
アルミ枠どうしと床材、補強材とも、付属のビスで固定
※ これは裏面から見たもの
最後に取っ手を取り付けて、内蓋の出来上がり
外枠に落とし込み、床下点検口が完成しました!
フロア材の色調が微妙に違うけど、ご愛嬌 (^^ゞ
今回使ったのは、『サヌキ SPG床下点検口FH460B』
『桟レス』といって、開口部の下地に受け桟が必要なく、桟木の代わりに、付属の『プラ受け』というものを使います。 施工手間が少なくて済むよう改良されたタイプのようです。
600角のときと違い、460角の場合はサイズが小さいので、位置決めの考え方は割合簡単♪
根太のピッチ(中心間隔)は、フロ-リング床の場合は303ミリが標準。 うちでもそうなっています。
この点検口の開口寸法は460×460ミリなので、上のイラストのように配置すれば根太を1本だけ切断すれば済むことになるので、このような位置になるよう、床板をカットしていきます。
600角の床下点検口のときは、カット線が根太の真上になったため手鋸が使えず、コーナー部分は鑿を使ったりしたために既存の床板を再利用することが出来ませんでした。
しかし、この460角の開口ラインはご覧のとおりなので、コーナー部分まで含めてすべて手鋸が使え、きれいな四角で床板を切り出すことが出来るので、既存の床下を再利用することにします。
今回は「試し開口」などは無いので一発勝負です。失敗は許されん! (・・;)
開口ラインを床板にケガキ。
根太の位置が正確にはわからないですが、新築当時の工事写真や図面をもとに、できるだけ狙った位置に来るよう慎重に墨付けしています。
丸鋸の刃の出を25mmにして、切り込み開始。
コーナーの少し手前で止めます。
コーナー部分は手鋸を垂直にしてカット!
カットラインの真下に根太がないので、こういうことができます。
すべてカットしたら、床材(フローリング+下地合板)を取り外し。
しかし、下地合板は根太にビス打ち固定さてれいるため、そのままでは外れません。
今回の場合は460mmの間に打たれていたビスは1本だけだったので、力ずくで剥ぎ取りました。(^_^;
ビス2本以上の場合は、根太までカットした後、根太がついたまま床板を取り外し、別途、作業台の上でバールなど使って根太を外すと良いでしょう。
既存の根太と断熱材を、手鋸でカット!
1、まず補強材を作る
さて、切り落とした根太の断面寸法を測ってみます。
ノギスで測ってみたら、根太の高さは58.5mmでした。
新築当時は正確に60mmだったので、17年経過して1.5mm縮んだことになりますね。
測った実寸法をもとに、補強材を作ります。
切り落とされて残った根太は宙ぶらりんになっているため、補強する必要があるからです。
これが、その補強材。↓↓
ツーバイフォー材を、既存の根太の下からビス打ち固定して、補強しようと思います。
根太ピッチ2区間分+若干の余長を見て、長さは660mm以上。
補強材と下地合板の下端までの高さ(=既存の根太の高さ)である58.5mmに巾をカットしたワンバイ材を取り付け、このような形状になりました。
2、補強材を取り付ける
作った補強材を差し入れ、根太に向けて下からビス打ち固定。
狭いところで、しかも下からビス打ちってやりにくいので、面倒でもクランプでしっかり固定してからやります。ビスもあらかじめ半分ほど打ち込んだ状態で差し入れます。
さて、残りの3面は根太が浮いているわけでもなく、床板切断面は既存の根太から数センチの位置なので、強度的には何もしなくても問題ないでしょう。
ただし、この床下点検口の構造上、固定ビスを打ち込むための下地がないといけないので、床板切断面とほぼ面一になるよう、残り3面についても下地を設置します。↓↓
ワンバイ材やツーバイ材を用い、かんな盤で厚さ調整した後、既存の根太や大引きに打ち付け、下地としました。 コーナーは矩折金物で補強。
3、外枠を取り付ける
付属の「プラ受け」を外枠に取り付けます。 画像は上下逆さに置いています。
プラ受けを外枠の溝にはめ込み、横にスライドできるようになっているので、位置の調整が可能。
外枠を開口部にはめ込み、プラ受けの穴から付属のビスを下地に打ち込み、外枠を固定。
ちなみに、プラ受けは左右にスライドできるほか、前後にも5mm程度は動くので、下地の取り付け位置が床板切断面と完全に面一でなく数ミリ引っ込んでいても、対応できるようになっています。
これにて外枠が完成しました。 次に、切り出した床材を材料に、内蓋を作ります。
これが内枠のパーツです。 内枠と、中に入れる床板を固定するための「床材押さえ材」が4本あります。
この製品も、使用する床材の厚さが15mmとのことなんですが・・・
切り出した床材は、厚さが24mmあります。 合わないですね・・・(^_^;
まあ、それは当初から分かっていたことで、これから一工夫して15mmになるようにします。
600角の床下点検口を設置したときは、厚さ12mmのフローリングに厚さ2.5mmのベニヤ板を貼り付けて調整したんですが、今回はそうはいきません。
切り出した床材は、12mmのフローリングと12mmの下地合板を接着してしまっているので、これを剥がすことは現実的じゃないです。
これがその断面の拡大図なんですが・・↓↓
フローリングを貼る際は、床用接着剤を筋状につけて下地合板と密着させたので、つぶれて広がった層が、上の写真のようにしっかり両者を接着しています。
ちょっとやそっとでは剥がせないです。無理すれば多分フローリングが割れるでしょう。
そこで今回は、厚さ24mmをキープしたまま、内枠の「床材押さえ材」で押さえる部分のみ、厚さ15mmに調整することにします。
1、内蓋用床材を加工する
床材の裏側から、周辺部に丸鋸で深さ12mmの切り込みを入れます。
周辺部分だけなら接着層はわずかなので、横から玄能で叩けば簡単に剥がれました。
一部残った凹凸を鑿ですくい、整えます。
そして、厚さ2.5mmのベニヤ板を被せれば、厚さ15mm程度の周辺部が出来上がり。
ちなみに、床材は説明書に従い、正確に437.5mmの正方形にカットしています。
2、取っ手を取り付ける
これが「取っ手」の部品。
「取っ手」本体と、カバーと、穴あけ位置決め用のシールがついています。
所定の位置にシールを貼り、φ20mmのビットで2か所に穴を貫通。
取っ手本体を取り付けると、裏側はこうなります。
本来15mm厚さ用なので、24mm厚のままでは動きに引っ掛かりが出たので、穴の横を一部削って解決しました。
裏側からカバーを被せ、付属のビスで固定して「取っ手」の出来上がり。
600角のときの取っ手と違い、丸穴を2つあけるだけで簡単に取り付けできました。 手間が少なくて良いですね~♪
3、内蓋を組み立てる
画像左が内枠と床材押さえ材、自分で用意した細巾のベニヤ板(厚さ調整用)、右が床材。
裏返した状態で床材を入れ、厚さ調整のベニヤ板を挟み、付属の「床材押さえ材」を被せてトラスネジで固定。
けっこう寸法に関してはシビアな商品だという印象でした。
最後に、付属の補強材を固定して完成。
表から見るとこういう感じ。
外枠に乗せてみました。これですべて完成です。
※ 照明の関係で、画像のカラーが実物と違って見えますが・・・
今回の460角の床下点検口は、根太のピッチの関係上、後付けで取り付ける場合でも既存の床板が利用できるので、周囲のフローリングと同じカラー・同じデザインで、違和感なく納まりました。
画像に床材が見えるけど、商品には床材は含まれない。↓↓
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