新年最初のプライムニュースには、1月第1週の放送には官房長官時代から8年連続の出演となる菅義偉首相が緊急生出演。感染拡大に歯止めがかからない中、「限定的・集中的に行う」とする緊急事態宣言の発出をはじめ、新型コロナ対応について伺った。

首都圏にも政府として8時までの時短を依頼していたが…

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竹内友佳キャスター:
菅総理は新年会見で、これまで慎重だった緊急事態宣言の再発出に向け検討に入ったことを明らかにしました。この検討に入った背景は。今回1都3県の知事からの要請が判断に影響を与えたのでしょうか。

菅義偉 首相:
感染状況は、首都圏において過去最多の水準がずっと続いている。全国的に見ても約半分が東京・神奈川・埼玉・千葉。例えば大阪や北海道は、飲食店の営業時間短縮などの対応をしてきており、下向きになってきている。一方で首都圏はまだ上向きになっており、その状況から私自身が判断をした。

反町理キャスター:
北海道や大阪では自治体の判断において対応し、感染状況が下がってきている。ところが首都圏には緊急事態宣言が必要。この違いはどこにあるか。緊急事態宣言を出さなくても、自治体としてやれることはまだあるのでは?

菅義偉 首相:
飲食店への時間短縮要請が、首都圏は10時までになっている。大阪や北海道は臨機応変に8時などの対応を行ってきている。年末年始で感染状況のベクトルが下向きになると考えていたところ、まだ上向いている。それで緊急事態宣言という判断をするべきだと考えた。
首都圏についても、政府としては8時までにしてほしいという依頼はしていた。しかし最終的には知事の決めること。

緊急事態宣言の期間は1か月程度か

菅義偉 首相

反町理キャスター:
緊急事態宣言再発出の期間は、どの程度を想定されていますか。

菅義偉 首相:
まだ決めていない。1か月程度であった去年の緊急事態宣言を参考にしながら、諮問委員会で決める形になる。

反町理キャスター:
去年はまず7都府県に、その後全国に拡大し、その後前倒し解除となった。今回も、感染拡大の展開によってはさらに全国に広げる可能性がありますか?

菅義偉 首相:
今の時点で予断をもって申し上げることは控えるが、例えば広島県など、全国的には感染拡大のベクトルが下がっているところが多い。基本的には感染状況を見ての判断だが、1都3県が念頭にある。

休校は考えず、飲食店への協力金は増額へ

竹内友佳キャスター(左)、反町理キャスター(中)、菅義偉 首相

反町理キャスター:
集中的・限定的に行うことが効果的だという総理の言葉があった。対象となる業態は飲食店、その手法は基本的には時短としてアプローチしていくという理解でよろしいですか。

菅義偉 首相:
この1年間、今日までの経験として、例えば東京で感染経路のわからない約6割の大部分は飲食店からであると、専門家の委員の皆さんの中でも言われている。ここを押さえることが一番大事であることは間違いない。東京と3県にも8時への時間短縮を要請していく。

反町理キャスター:
協力金は1日最大2万円で、1か月では60万円。これは増額して幅広い協力を得ようという方向に?

菅義偉 首相:
もちろん増額を考えています。こういう時にご協力いただくわけですから、見直しをしていきたい。

反町理キャスター:
西村大臣が記者会見の中で、テレワークの徹底やイベント開催条件の厳格化などについても1都3県の知事と共有していると発言。このような点は。

菅義偉 首相:
どれほどの厳しさを求めるかという点は、諮問委員会で先生方のご意見を伺い判断する。前の緊急事態宣言とは大きく違う。学校休業は基本的に考えていない

自殺者数の増加をどうみるか

反町理キャスター:
経済とコロナ対策の両立におけるそもそも論。緊急事態宣言にまで踏み込むにおいて、経済的な損失には目をつぶらざるを得ない状況になったと判断したのか。コロナによる景気減速がすべての理由だとは言わないが、全国の自殺者数は5か月連続で前年より悪化している。

菅義偉 首相:
私たちは必ず雇用を確保して事業を継続させるという基本方針の中、雇用調整助成金や、4千万円までの無担保無利子での貸付という体制をしっかり組んでいる。2%台から3%台になった失業率を、また2%台に戻した。世界の中で日本の失業率は極めて低い
ただ、年末年始において陽性者数が少なくなるだろうと専門家を含め考えたのも事実。なかなかベクトルが下がらないため、大体わかってきている原因に対して徹底して限定的・集中的な対策を行っていこうということ。

罰則規定を設けることが重要

竹内友佳キャスター:
18日からの通常国会で新型コロナ特措法の改正案が成立する見通し。菅総理は会見で、給付金と罰則をセットにしてより実効的な対策をとるためと発言。罰則規定なしの緊急事態宣言では効果は期待できないという思いがあるのでしょうか。

菅義偉 首相:
休業要請をしてもなかなか受けてくれないということであれば、そうした法律が必要になってくる。罰則の内容については国会で議論したい。

反町理キャスター:
罰則について立憲民主党や共産党は消極的で、要請に対しての補償であり、補償を出せば要請に応えてくれるという考え。一方自民党、国民民主党、維新の会などは権限を強化して命令をし、それに対する対価としての補償を強化するのだと。立憲・共産に対するスムースな対応を考えれば、罰則についての踏み込みが甘いものになり得るのでは?

菅義偉 首相:
いろんな考え方があるだろうが、早く特措法を成立させなければならないという考えは一致していると思っている。

反町理キャスター:
通常国会の冒頭は3次補正予算の審議から始まると思うが、これとコロナ特措法の改正案は並行審議するのか。

菅義偉 首相:
それは国会で決めていただくことだが、私どもからはそのようにお願いする。

ワクチン接種の1回目を迅速に

竹内友佳キャスター:
ワクチン接種に関して。日本政府はアメリカのファイザー社など3社から、合計1億4500万人分のワクチンを供給することで合意をしています。

反町理キャスター:
2月の下旬に接種が始まるということは、4〜5月ごろには日本国民全体が打ち終え、安心感が社会に広がるとみてよろしいですか。

菅義偉 首相:
安全性などをしっかり審議して、最初にやはり医療従事者の皆さん、高齢者の皆さん、そして介護従事者の皆さんといった順番も決めている。接種は2回必要だが、一定の効果が出るであろう1回目についてはとにかくできるだけ早くしたい

反町理キャスター:
ワクチンは3種類ある。どれを受けるのかということは我々は選べない?

菅義偉 首相:
最終的に、接種する・しないについては個人の選択になります。そして接種の詳細、選べるかどうかについては、これから検討していく。

反町理キャスター:
このワクチンが東京オリンピックに向けた切り札になると見てよいか。

菅義偉 首相:
大きな安心感を与えてくれるだろうと期待しています。

BSフジLIVE「プライムニュース」1月4日放送