第三十八話 帰還した後
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ウルトラソウルを手に入れてからしばらくすると……生贄になりかけていた男を運んでいた冒険者たちが戻って来たので、俺たちは揃って地上に戻ることになった。
地上に戻るまでの間に、念のため俺は、ウルトラソウルを自分の所持品としていいかゼインに聞いてみたのだが……ゼインは「そもそも他に開けようと思う奴がいなかった宝箱だったし、自由にしろ」と快諾してくれた。
地上に戻ると、俺たちは捕虜になっていた人たちを引き連れ、帰還することとなった。
塀のあたりまで来ると、「エリアメナス」の効果が切れていたため、ケルベロスが襲ってきたが……強化が解けたケルベロスなんて大したことないので、討伐はあっさり成功した。
帰り道、討伐隊メンバーの間では「メンバーはともかく捕虜の人たちは体力が持たないんじゃないか」という懸念が出てきたが……その問題は、俺が「移動強化」「同行(移動強化の対象を仲間全員に広げるもの)」という二つのスキルを取得・使用することで解決することにした。
スキルポイントは多少かかったものの、「虚空の電光石火」だの「範囲気配遮断」「幻影気配」だの取得することを思えば安上がりなものだ。
それから数時間後……俺たちは全員、無事街まで帰還した。
捕虜たちのうち、別の街に家があるという者に関しては……後日手続きの末、それぞれの街に帰してもらうことになるそうだ。
報酬に関しては、事態が事態なので、明後日会議を開いて正式に決定するとのこと。
というわけで、俺はその報告を聞いた後、宿に直帰した。
◇
それから二日ほどは、俺は何をするでもなく、ただ街で羽を伸ばしていた。
ゲームではなく現実で「永久不滅の高収入」と戦うのは初めてだったこともあって、少し休みたいと思ったからだ。
そして更にその翌日、俺は久しぶりにギルドに寄ることにした。
報酬に関する会議も、昨日あったはずだしな。
今日行けば、もう受け取れるだろう。
「あ、ジェイドさん! ゼインから話があるとのことです、こちらへ」
ギルドに着くと……メイカさんはそう言って、俺を別室に案内した。
流石に「永久不滅の高収入」の真の正体が分かってきた今となっては、あまり公にその話題を話せないということだろうか。
案内された部屋には、謎の記憶の世界で「人をダメにするソファー」と呼ばれていたやつと似たような椅子が、机を挟んで向かい合わせに置かれていた。
「どうぞお座りください」
そのうち、俺はメイカさんが示した方の椅子に座る。
座り心地を堪能しつつ、部屋で待っていると……程なくして、ゼインが部屋に入ってきた。
ゼインは反対側の椅子に座ると、まず手に持っていた小袋を机の上に置いた。
「待たせたな。単刀直入に言うと、報酬額は5050万パース。中に入ってるから、確認してくれ」
そう言ってゼインは、俺に袋の中身を見るよう促す。
この小袋に、5050万パース……マジックバッグか。
「アップグレードコード1536 『マネーカウント』取得」
俺は小声でそう唱えると、マジックバッグの中に手を突っ込んだ。そして、
「ストレージ」
俺はマジックバッグの中身を、収納魔法に移し替えた。
「5050万パース、確かに確認しました。……この袋はお返しします」
全額収納し終えると、俺はそう言ってマジックバッグをゼインに返却した。
マネーカウントというのは、「ストレージ」にお金を収納する際、収納した金額を自分にしか見えない画面で表示してくれるスキル強化だ。
ギルドのことは全面的に信用しているが……ゼインも「確認してくれ」と言ったし、5050万もの大金となると数え間違えもあり得るからな。
金貨は価値の割に体積が小さいとは言え、マジックバッグから取り出すとかさばるだろうし。
目で見なくてもきっかり収納したのが分かるよう、このアップグレードを取得したわけだ。
「は……確認した? いつ、いったいどうやって……」
袋を返されたゼインは、そう言って困惑の表情を見せる。
……が。
「ま、ジェイドのやる事は俺のような凡人には分からなくて当然だな」
ゼインは、そんな謎な理論で自己解決してしまった。
「……別にこの袋、オマケであげてもいいんだが……なんか物入れる謎な便利スキル持ってるらしいし、むしろ邪魔か?」
「邪魔ではないですが、別のことに使えるようとっておいてもらえれば」
「そうか……」
空になった袋を、胸ポケットにしまうゼイン。
彼は今度は、報酬の内訳について説明しだした。
「5050万パースの内訳は、最初の盗賊退治の報酬が20万、情報料が30万、そして討伐隊参加の謝礼が5000万だ。参加報酬は当然、ジェイドだけかなり上乗せしてあるからな……まあ広まっても誰も文句は言わん、というか文句を言う命知らずはいないだろうが、あまり口外しない方が無難かもしれんな」
「なるほど」
……もはや最初の盗賊退治の報酬が、誤差みたいになってるな。
そう思ったが、まあそれは予想の範疇だったので、特に言うことは無かった。
「あとは……」
これで終わりかと思ったが……ゼインは今度は、机をどかして床に手を当てだす。
「ゴールデンメタルライノの時に既に経験済みだと思うが、今回もまた、ギルド所有の宝物を一つ贈呈することとなった。降りて、好きなものを選んでくれ」
すると、床がパカリと開き……下へと続く階段が現れた。
報酬だけでなく、宝物もセットとなったか。
ていうか地下の宝物庫、こっちにも入り口あったのか……。
「ありがとうございます」
などと思いつつ、俺はそう言って階段を降りていった。
さて、何をもらうかだが……実は今の状況なら、「もらうならアレしかない」と思えるものが一つある。
前来た時から時間が経ってないこともあり、その場所は完璧に覚えているので、俺はそこへと直行した。
「……あった、これだ」
俺が手にしたのは……前回「キャッシュバック50」を見つけたのと同じ棚にあった、粉状の古代の出土品。
エターナルビューティー——またの名を「超魂の鱗粉」というアイテムだ。
このアイテムの効果は……「ウルトラソウル」に塗ると、その効果が25%増しになるというもの。
単体では何の役にも立たないが、「ウルトラソウル」を所持している者にとっては、喉から手が出るほど欲しい逸品だ。
NSOでは「古代文明では一時期高級化粧品として量産されていたため、出土量はウルトラソウルの比ではない」という設定のもと、本体が「永久不滅の高収入」の拠点制圧でしか入手できないのに対し、このアイテムは普通に宝物庫とかにあることになっていた。
なので、これだけがここで見つかるのは、特に不自然なことではない。
前回来た時は「ウルトラソウル」を持っていなかったので、見向きもしなかったが……拠点制圧後は、また機会があればこれを貰おうと思っていたのだ。
「これでいいですか?」
「好きにすればいいが……そんな使途不明のもんで本当にいいのか?」
「はい」
というわけで、俺は「超魂の鱗粉」を貰えることとなった。
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