▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
無職の最強賢者 〜ノービスだけどゲームの知識で異世界最強に〜 作者:可換 環

第一章

19/38

第十九話 いざ、試合開始

 次の日……ディバインアローの剣を受け取るためヴェルグ工房を訪れると、店主の他に長身の男が一人待機していた。


「ディバインアローの剣を受け取りに来ました」


「まさか本当にその意思が揺るがないとはな。今ならまだ、金を素材を売ると言えば間に合うんだぞ?」


「……あの、模擬戦ってどこでやるんですか?」


 店主のペースに合わせていたら時間だけ無駄に経ちそうなので、単刀直入にそう聞く。


「……どうしても気が変わらないってか。分かった、私有地の簡易闘技場があるからついてこい」


 すると店主はそう言って、店の裏口のドアを開けつつ俺たちに手招きした。

 それに続き、俺、そして長身の男も、店主が歩いて行く方についていく。


 その道中……長身の男は、店主にこんな質問をした。


「俺がディバインアローの剣を賭けて戦う相手って、この子っすか? なんというか、そもそもどうやってディバインアローを討伐できたんだって感じに見えるんっすけど……」


 どうやらこの男も、俺のことはひ弱な男と思っているようだった。

 問題は、俺の真の実力を見極めれていないのか、見極めた上で言っているのかだが……まあ間違いなく、後者はあり得ないだろう。

 流石に、今の俺なら「チェンジ」に頼らずともディバインアローくらいなら倒せる。

 なので後者なら、「どうやってディバインアローを討伐できたんだって感じ」などという発言は出てこないはずなのだ。


「余裕で勝ってもらわなければ困るよ、ヴォイグ君。Bランク冒険者としての実力を買って、常連客として認めてやったんだからな」


 それに対し、店主はそう答えた。

 この男——ヴォイグという名らしい——は、Bランク冒険者なのか。


 ギルドの評価上は、三ツ星討伐者の俺と同格ということになるが……この情報だけでは、実際どちらが格上なのかの判断材料にはなり得ないな。

 BランクとAランクでは天と地ほどの差があり、Bランクなり立てとAランク昇格寸前では、同じランク帯でも全く実力が違ってくるからだ。


 まあ……もし分が悪いとしても、こちらには残りスキルポイントも「国士無双」もあるので、負けはしないと思うが。


 などと考えていると、俺たちは「ヴェルグ闘技場」と書かれた円形の建物に到着した。



「この闘技場は先祖代々譲り受けたものでな。時々、騎士様が対抗試合をする時とかに、貸し出したりしているんだ」


 そんな話をしながら、俺とヴォイグに木剣を渡す店主。

 俺はそれを受け取ると、闘技場の試合開始線のところに歩いていった。


 そしてその場で、ヴォイグが反対の試合開始線のところに来るのを待っていると……


「……おい、これを見てみろ。三日月刃」


 何を思ったか、ヴォイグはそう言って木剣を振り、上空に三日月刃を放った。


「俺はBランク冒険者だ。……降りるなら、今が最後のチャンスだぞ」


 そしてヴォイグは、俺にそう忠告する。


 だが……俺はそれを見て、むしろこう思ってしまった。



 このヴォイグという男……想定していたより、ずっと弱い。

 それも、強いパーティーにフリーライドして不相応にランクを上げたんじゃないかと思うほどに。


 というのも……ノービス以外の職業の場合、一つのスキルの威力を見れば、身体強化などをノービスの+値で換算した値がだいたい推定できる。

 ノービスと違いスキルポイント制ではないので、今の俺のように「身体強化は+47だが三日月刃は未強化」みたいなアンバランスな状態にはなり得ないからだ。


 そして……今のヴォイグの「三日月刃」は、+値でいえば5〜6相当。

 この場合、こいつのジョブが剣士だと仮定したら、身体強化の+値はだいたい5倍、すなわち25〜30あたりだ。


 これだけの差があると……言っちゃ悪いが、試合展開は弱いものいじめのようになってしまうだろう。


「いえ、戦います」


 だが、これはディバインアローの剣がかかった試合。

 可哀想であろうと、やむを得ないのだ。


 なので俺は、そう答えた。


「チッ……」


 舌打ちしつつ、しぶしぶと試合開始線に並ぶヴォイグ。


「始め!」


 そして店主がそう声をかけたことで、模擬戦が始まることとなった。


  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。