今回は、本坊酒造が鹿児島県限定で販売しているウイスキー、HHAEを飲んでみます。

津貫蒸溜所竣工記念ボトル

haae_1_HHAEとは、九州地方において南から吹いてくる風、南風(はえ)から採られた名称です。
このボトルは、津貫蒸溜所が2016年11月に竣工した記念に作られました。

マルスウイスキーは、最初に鹿児島工場で製造がスタートした後、本格的なウイスキーづくりを実現するために、1985年に長野県に信州蒸溜所を建設。1992年に一時閉鎖されるものの、2011年に再開しました。

そしてキャラクターの異なる原酒を作る目的で、鹿児島県に津貫蒸溜所が建設され、2019年からはシングルモルトウイスキーがリリースされ始めました。

ブレンドは同蒸溜所の担当となったブレンダーが行いましたが、使用している原酒については細かく紹介されていません。
恐らくは、信州蒸溜所のモルト、それ以外に海外から輸入したバルクウイスキーを使っているかと思われます。
本格的に信州と津貫のモルトを使ったウイスキーを作るうえでの習作とみてもいいかもしれません。

香りは豊かだが...

グラスからの香り、液色

グラスからはシェリー樽原酒を思わせるブランデーのような香りと、ピートからのスモーキーさを感じます。
液色は濃厚な琥珀色、アンバーです。

ストレート

先に正露丸の香りを伴った煙たさが訪れ、その後にレーズンの濃厚な香りが続きます。
奥からリンゴ、カラメルの香りも追いかけてきます。

味わいは、アルコール感は少なく、ほろ苦さの後に酸味が柔らかく感じられます。甘みはあまり感じられません。

ロック

まず石鹸のようなフローラルな香りが広がり、ストレートで感じられたピートの香りは抑えられた印象です。
その後はリンゴの香りが前に来るようになり、レーズンはストレートほど目立った印象にはなりません。
加水が進むと、黒コショウやシナモンといったスパイシーな香りが目立ってきます。

味わいは、苦みの後にうま味調味料のような味が広がります。酸味や甘みは少なくなります。

ハイボール

先にレーズンの香りが広がった後、ほのかにピートによるスモーキーさもやってきます。その後はレモン、栗、リンゴと続きます。

味わいは、炭酸からくる酸味が目立ちますが、それ以上にしっかりした味はありません。

まとめ

総じて香りは豊かで、ストレート、ロック、ハイボールで異なる性格を見せる点では優れているように思えます。
一方で味わいについては、加水してしまうとまともな味が消えてしまった印象で、不思議なうまみを得られます。香りがしっかりしているだけに、味わいがぼんやりしているのが却って目立ちます。

700mL、アルコール度数40度、価格は2400円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り A: アイラモルトのようなピート、シェリー樽原酒ならではレーズンをしっかり得られる。さらに豊かな香りが広がる。
  • 味わい D: ストレートではほろ苦さと酸味が得られるが、加水で大きく消えてしまう。
  • 総評 C: 香りがいいだけに残念な印象が残ってしまう。