海外鉄道プロジェクト
への参画
地球環境問題への意識の高まりや新興国の経済成長のなかで、環境にやさしい公共交通機関として世界的に鉄道への関心が高まっています。現在、世界各地で多くの鉄道プロジェクトが検討されており、世界の鉄道マーケットは今後年平均2.6%成長し、2020年には約22兆円の規模へと拡大することが見込まれています。そのような状況のなかで、当社は、国内外の企業と協力しつつ、オペレーション&メンテナンス分野(列車の運行や設備の保守などに関する計画・管理・支援・実施)など、私たちの持つノウハウを活かして、グローバルな事業展開に挑みます。特に、成長著しいアジアを重点地域と位置づけるとともに、各地域の鉄道プロジェクトに対応していきます。
当社はグループをあげて、グローバルな事業展開に挑んでいます。2011年11月、高速鉄道、都市鉄道、貨物鉄道に関するさまざまな実績とノウハウを持つ国内の鉄道事業者とともに、海外の鉄道コンサルティング業務を行う日本コンサルタンツ(株)(JIC)を設立しました。現在同社は、海外鉄道コンサルティング事業を積極的に展開しています。また、2012年4月から(株)総合車両製作所(J-TREC)がグループ会社に加わりました。さまざまな海外鉄道プロジェクトへの参画をめざすとともに、国内外の企業との連携を図りながら、鉄道車両製造事業を展開し、海外マーケットにおけるシェア拡大に取り組んでいます。
インド高速鉄道
プロジェクト
インド政府が発表した7路線のうち、ムンバイ・アーメダバード路線について、2015年12月12日に日印両国政府は、安倍総理大臣とモディ首相による首脳会談および同日に発出された共同声明を踏まえ、「高速鉄道に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協力覚書」を締結し、日本の新幹線方式が採用されることが明記されました。
現在日本とインドの両国政府間において具体的な事業スキームなどインド高速鉄道に関する協議が実施されています。当社は、官民一体となった協力のなかで、新幹線のオペレータとしての豊富な経験から、同協議において技術的支援を実施しています。
英国フランチャイズ事業に
向けた取り組み
英国の鉄道運営では鉄道運行部門とインフラ管理部門を分離する「上下分離制」が導入されており、旅客輸送部門では19の列車運行会社に分割されています。それぞれの列車運行会社の運営権は入札により先行され、7〜10年程度の運営権が付与されます。
2017年8月、当社はウェストミッドランズ案件の運営権を三井物産(株)・アベリオUK(Abellio Transport Group Limited)と共同で獲得し、12月に運行を開始しました。本事業は当社が海外鉄道運行にかかわる初めての案件です。
タイ・バンコク
パープルライン
プロジェクトの事業参画
タイ・バンコクの都市鉄道路線であるパープルライン(チャローンラチャタムライン)において、丸紅(株)、(株)東芝とともに、鉄道車両や各種地上設備についてトータルでメンテナンスを行う事業へ参画しています。これは、日本の鉄道事業者を含めた企業連合が海外での鉄道メンテナンス事業に参画する初めてのケースであり、2016年8月6日に営業を開始しました。
当社は、丸紅(株)、(株)東芝と共同で、鉄道車両や信号、軌道、電力、ホームドア、自動運賃収受システム、鉄道車両基地設備などについてトータルで10年間のメンテナンス業務を実施します。実施にあたって当社は、丸紅(株)、(株)東芝と共同出資により2013年12月にメンテナンス会社であるJapan Transportation Technology (Thailand) Co., Ltd.(JTT)をバンコクに設立しました。
また、(株)総合車両製作所(J-TREC)がパープルラインの鉄道車両として、3両編成のステンレス製車両21編成(63両)を製造し、納入しました。
海外鉄道事業者への
技術支援
当社は2013年からの3年間、インドネシア共和国のジャカルタ首都圏鉄道会社に対し、埼京線・横浜線・南武線で使用されていた205系電車計476両を譲渡しました。またこの譲渡とあわせ、車両が現地で安定的に運行できるよう、社員を派遣して車両のメンテナンスにかかわる支援を実施してきたほか、2016年からは新たにサービス向上につながる支援も実施しています。
またミャンマー連邦共和国に対しても、2007年に気動車20両を、2015年には気動車19両を譲渡したほか、車両メンテナンスの技術支援を実施しています。