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無職の最強賢者 〜ノービスだけどゲームの知識で異世界最強に〜 作者:可換 環

第一章

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第七話 アースクェイク討伐完了

「……え、どこから出てきた、その魔石?」


 俺の手元に出現したメロンサイズの魔石に目が釘付けになりながら、ラモンはそう呟く。


「……てか、アースクェイクが倒れてる!? まさか……あれ、さっきの魔道具で……!?」


 しばらくすると、その視線は転倒して動かなくなったアースクェイクに向き、ラモンはそう続けた。



「そうですよ。今のは『チェンジ』と言って、魔道具に使用した魔石と魔物の体内の魔石を交換する魔道具なんです」


 一応説明してみるも……ラモンは状況に理解が追い付いていないのか、魔石とアースクェイクに視線を往復させるだけで返事はない。


「今アースクェイクの体内にあるのは、先ほどのスライムの魔石ですから。動力源が圧倒的に不足しているので、アースクェイクは指一本動かせませんよ」


「いや、そんなデタラメな魔道具、存在するはずが……」


 原理より結論が大事だろうと思い、そう続けてみたが……ラモンはただただ信じられないとばかりに唖然とするだけだった。



 そんな中……俺は小声でステータスウィンドウを開くと、近くにあった倒木に腰かけた。

 そして、ステータスのスキルポイントの欄が増加するのを待つことにした。


 実は……あまりにも魔道具に使用した魔石と対象の魔物の魔石の格が違う場合、『チェンジ』をかけた魔物は放っておくと死んでしまう。

 アースクェイクは強力な魔物であるが故に、魔石をスライムのものに変えられてしまうと、手を下さずとも勝手に息絶えてくれるのだ。


 ラッシュボア程度の魔物だと、スライムの魔石と交換されても、一時的に仮死状態までは陥りつつも次第に快方に向かっていくことになる。

 故に、最後はしっかりとトドメを刺さなければ倒したことにはならないし、スキルポイントも手に入らない。


 だが……アースクェイクともなると、スライムの魔石では目先の生命維持すらままならず、そのまま全身のあらゆる機能が停止して数分の後に死んでしまう。

 俺はただ、その時を待てばいいのである。



 どうせアースクェイクは、そもそも皮膚や眼球が硬すぎて、初期状態のノービスじゃ急所の攻撃すらままならないからな。

 急いでも良いことは何一つ無いわけだ。


「でも、お前の言う事が本当なら……あのアースクェイク、今が倒すチャンスか? よし、俺に任せろ!」


「あの、試験なんで討伐完了まで俺がやらなきゃダメじゃないですか? もうじき死ぬんでちょっと待ってください」


「……すまん、そんなことすっかり忘れていた」


 途中である程度落ち着きを取り戻したラモンが、本来の目的を忘れてアースクェイクを殺そうとしたが……ラモンに何しに来たかを思い出させ、思いとどまらせる。


 ……危ない危ない。危うくスキルポイントが手に入らなくなるところだった。

 スキルポイントは、自分がトドメを刺した形でなきゃ手に入らないからな。


 などと胸をなでおろしていると……ついに、スキルポイントの欄の数字が変わった。



 今回手に入ったスキルポイントは400。

 ラッシュボアとも比較にならないくらい強力な魔物なので……手に入るスキルポイントも、それ相応というわけだ。


 うち200はアースクェイク収納のため「ストレージ」の強化に使い、残り200は一旦取っておく。

 アースクェイクの目の前まで来ると……俺はアースクェイクの死体を収納し、ラモンの元へ戻った。


「……あれ? アースクェイク……一体どこ行った?」


「収納魔法の中ですよ」


「はぇー……。しゅ……いや、聞かんとくわ」


 急にアースクェイクの死体が姿を消したことに、疑問を持ったラモンだったが……説明になってないような軽い説明をすると、ラモンは頭を押さえるばかりで深入りはしてこなかった。



「これ……合格になりますよね?」


「そんなの聞くまでもないだろ。ノービスが受験すると聞いた時は、絶対に落とすつもりでいたが……むしろ、可能な限り色をつけて合格させてやる」


 一応合否がどうなりそうか聞いてみると、文句なしの合格っぽい雰囲気だった。

「やっぱりノービスだから問答無用で不合格」とか言われたらどうしようもないなと思っていたが、とりあえずそこだけは杞憂のようだ。


 そこだけ言質がとれておけば、ひとまず安心だな。

 などと思いつつ、俺たちは冒険者ギルドに帰還し始めた。


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