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無職の最強賢者 〜ノービスだけどゲームの知識で異世界最強に〜 作者:可換 環

第一章

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第四話 更に魔物を殲滅してスキルも手に入れた

 それからしばらくすると……今度は、数体の魔物が密集しているのが「サーチ」に引っ掛かった。

 近づいてみると、魔物の密集地点には巨大な蜂の巣が。


「……ギガントホーネット、か」


 謎の記憶と照らし合わせると……俺にはそれが何の巣か見当がついた。


 ギガントホーネット。

 とてつもない敏捷性と強力な毒針を持つ、これまた厄介な魔物である。


 まず敏捷性について言うと……ギガントホーネットは、まるで狭い室内でテニスボールを思いっきり打った時のように縦横無尽に飛び回る。

 巣を襲うと、それが数匹一気に飛び掛かってくるのだから、半端な冒険者だと動きを追いきれず、あたふたするしかなくなるわけだ。


 そして、もし仮に一度でもギガントホーネットに刺されると……十数分もすれば全身の赤血球が破壊され、死に至ってしまう。

 その上、その毒はかなりの高位解毒魔法でなければ効き目がないので……中級クラスの冒険者パーティーだと、実質一度でも刺されれば一巻の終わりというわけなのである。


 一匹でさえ動きを追うのが難しい魔物に高速で連携攻撃され、一度でも刺されれば待っているのは死なのだから、冒険者にはかなり恐れられる魔物となってしまっているわけだ。

 剣士であれば、かなり熟練した気配斬りと高い身体能力がなければ、まずこの魔物は相手にできない。

 魔法使い系のジョブであれば範囲攻撃ができる分、剣士の場合よりは要求されるレベルは低くなるが……それでも広範囲の火炎放射魔法を覚えるまでは、なかなか相手にできない。


 今見つけたのは、そんな魔物の巣だ。


「1、2、3…………8匹か」


 そんな魔物の巣の中を……俺は「サーチ」で観察し、具体的に何匹巣に残っているか確かめた。

 おそらく働きバチの大半が餌探しに言っているからか、手持ちの「チェンジ」の魔道具で事足りそうだ。

 そうでなければスルー案件だったが、これなら一網打尽にできそうだな。


「チェンジ」


 俺は8つの魔道具を一気に起動し……ギガントホーネットの魔石を、8つ手に入れた。

 そして俺は、中にいる蜂にトドメを刺すため巣に近づいた。


 毒針が手に当たらないよう、慎重に8匹を外に出すと……俺は一体ずつナイフで刺し、絶命させていった。

 そして、ステータスウィンドウを確認する。


 すると……スキルポイントの欄は、「スキルポイント:500」となっていた。

 これで確実に、討伐完了である。

 ギガントホーネットから得られるスキルポイントはNSOでも一体あたり50だったので、そこもちゃんと、計算通りだ。



 ……んじゃ、ここらでスキル獲得といくか。

 俺は、この状況で一番役に立つスキルを一つ、取得することにした。


「スキルコード1536:『ストレージ』取得」


<ジェイドはスキル:「ストレージ」を入手しました>


 コマンドを唱えると、俺は無事スキルを手に入れることができた。



 ストレージとは、その名の通り収納魔法のことだ。


「ストレージ」


 俺がそう唱えると……俺の目の前に、空間の歪みが生じる。

 試しに、その歪みにギガントホーネットの巣を押し当てると……空間の歪みは、巣を完全に飲み込んだ。


 これがこの収納魔法「ストレージ」の使い方だ。

 再度「ストレージ」と唱え、空間の歪みに手をつっこめば、俺はいつでもギガントホーネットの巣を取り出すことができるのである。


 ギガントホーネットは、倒すまでが厄介な反面、「巣から採れる『ウルトラローヤルゼリー』が貴重なポーションの材料として高く取引される」という良い面も存在する魔物だ。

 今回は巣を収納して持って帰って、換金できる場所で高く売り飛ばすとしよう。



 ◇



 そして今度は……俺は、先ほどラッシュボアを倒した場所に戻ってきた。

 目的は、ラッシュボアの死体の収納だ。



 実は……「ストレージ」の獲得に必要な消費スキルポイントは100。

 つまり俺は、ラッシュボアを倒した時点で、そのスキルを獲得すること自体はできたのだ。


 だが、それをしないのには理由があった。

 それは、「ストレージ」に入る魔物のサイズには、限度があること。

 入手当時の「ストレージ」の容量では、ギガントホーネットの巣ならともかく、ラッシュボアだと入りきらないのである。


 じゃあ、今戻って来ても無意味なのではとも思えるが……実は、そういうわけではない。


「スキルコード1536 『ストレージ』強化」


 ……そう。

 スキルポイントは、スキルの獲得だけでなく……その強化にも利用できるのである。


「ストレージ」の場合は、スキルを強化すると、その容積が拡張される。

 そして、容積拡張用のスキルポイントを獲得して戻ってきた今の俺なら、強化された「ストレージ」にラッシュボアを収納できる。


 そのため、俺は一旦ラッシュボアの死体を放置してスキルポイントを稼ぎにいき、十分なスキルポイントが手に入ったところで、再度戻ってきたのだ。

 ちなみにステータスウィンドウ上では、スキルの強化値は「ストレージ+1」というように、強化した回数分+値が増えて表示される仕組みだ。


「ストレージ」の強化で消費するポイントは、110pt、130pt、160pt……という具合に増えていくので、強化はあと二回でちょうど500ポイント使い切る計算になる。


「スキルコード1536 『ストレージ』強化×2」


 というわけで、俺は現在可能な最大回数「ストレージ」を強化した。

 そしてようやくラッシュボアを収納できる容積になったところで、俺はラッシュボアの死体を収納した。



「……さて、帰るか」


 収納を終えた俺は……そのまま街に帰還することに決めた。


「チェンジ」の魔法陣を刻んだスライムの魔石はあと一個残っているが……倒す魔物のサイズによっては、その死体を収納できない恐れがあるからな。

 一旦、今日の戦果を清算しようと思うのだ。


 魔物の素材を売るとなれば……ギガントホーネットの巣だけなら薬師ギルドでも良いのだが、ラッシュボアもまとめて売るなら、冒険者ギルドが最適だ。

 そう考えた俺は、これから冒険者ギルドに寄ることに決めた。

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