リコール署名簿の複製大量流出か 「市議選で利用」証言も
名古屋市の河村たかし市長が主導して昨年夏に実施されたリコール(議会の解散請求)運動で集まった署名簿が電子データとして保管され、外部に流出した疑いがあることが11日、分かった。一部は、3月の出直し市議選で市長側の地域政党「減税日本」から出馬した候補者らが選挙で利用したとされる。
同市選管などによると、地方自治法に署名簿の複写や目的外利用を禁じた規定はなく、個人情報保護法でも政治活動に関連した情報は規制の対象外。しかし署名集めを行った市長の支援団体は当時、コピーや市議選への利用を否定していた。管理がずさんだった可能性があり、河村市長は11日、記者団に「(減税日本の)市議団にも確認して調べる」と話した。
署名集めに携わった減税日本の関係者が明らかにした。この関係者によると、リコール成立に伴う出直し市議選当時、減税日本の候補からデータを渡された。氏名や住所などが記載され、数万人分あった。この候補は「データは選挙運動に使っている」と話したといい、その後当選した。
署名集めは昨年8月末~9月末に実施され、河村市長の支援団体「ネットワーク河村市長」のメンバーら数万人が計約46万人分を集めた。ネットワークの鈴木望代表(当時)は署名収集期間中の記者会見で「署名簿は基本的に議会の解散請求のためのもの」と述べ、市議選に利用したり、コピーを取ったりすることはないと明言していた。
署名簿の原簿は各区の選挙管理委員会に提出された後、返却されず、市選管が保管している。
名古屋市では今年2月の住民投票で議会解散への賛成が過半数となり、政令指定市初のリコールが成立した。減税日本は3月13日の出直し市議選に41人の候補を擁立。28人が当選し、市議会で最大会派となった。