「潮の満ち引き」のページで、満潮が起こる原因は、
「月の引力によって海水が集まり満潮になる」と説明しました。
ここでは、そこからさらにつっこんで、
「なぜ月に面していない方でも満潮になるの?」ということを考えてみたいと思います。
まずは簡単に復習しましょう。
海が満潮になるのは、下の図にあるように、
月と地球の間には引力という力が働いていて、
月のある方向に海水が引き寄せられるためでしたね。
でもこの図をよくみると、月に面してないところ、つまり、
月から見て地球の裏側にも、海水が集まって満潮になっています。
これは一体なぜなんでしょう?
それでは、これから下の図を使って、この現象の解説をしていきます。
地球と月が回っている様子を図にしてみました。
月は地球の周りを回っています。これを「月の公転」といいます。
でも詳しく説明すると、実はもう少し複雑で、
地球と月は、
その間に働く引力のバランスがとれる距離を保ち、お互いに回り合っています。
※図では、赤の×が地球と月が回る円の中心です。
地球と月との間には、万有引力という力が働いています。
この力が働いているから、地球と月は一定の間隔を保っていることができます。
この状態で、地球と月が回転しようとすると、
地球は宇宙の中で固定されているわけではないので、
月だけが回るのではなくて、ある点を中心に、地球と月は回り合うことになります。
このように、地球も月の動きに対して回っているということになると、
月の反対側には、図に示したように、遠心力が働くことになります。
そして、遠心力の働く場所の近くにある海水は、
その力によって引き寄せられることになります。
この結果、月と反対のところでも満潮となるのです。
この解説を読んで、
月は地球の周りを回っているって学校で習ったけど、違うことを教わったの?
と思いませんでしたか?
もちろん、この考え方も間違いではありません。
月は地球の周りを回っているという考え方は、地球に視点を置いた場合の考え方なんです。
地球に住んでいる私たちから見れば、月は地球の周りを回っています。
では、今度はもっと視野を大きくして、
遠くの宇宙から地球と月を見るイメージをしてみてください。
広大無限の宇宙の中で、地球は固定されずに浮かんでいます。
このように、宇宙に視点を置いた場合は、
地球と月はお互いに回りあっているということなんです。
物事を、どこに視点をおいて考えるか?
それによって、物事の見え方は変わってくるものなんですね。
こういう事も考え出すから、
昔の科学者は、科学者であり、哲学者でもある、なんて方が多かったのだろうと思います。
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