桃鎧と黒白盾
「それでガットは?」
「うむ、そこのお嬢ちゃんの装備が完成してな。お嬢ちゃんので最後じゃったし、こうして届けに来たんじゃ。」
「アーニャのですか!?」
そうか、ようやく全員分の装備が揃ったか。・・・アヴァンを除くだが。
「それにメールを読んだぞ。またワシに頼みたいことができたと思ってのう。まあ、それは後にしてほれ、お嬢ちゃん、受けとれい。」
「ありがとうなのです!!」
ガットから装備を受け取ったアーニャは早速装備してみるらしい。・・・もったいぶってたアテナやアルマとは違うな。ちらっと二人を見たら視線を逸らされた。
【白龍盾ドラグホワイト ☆12】
特性:MATK+200 DEF+200 MDEF+200 属性:光 消耗度:0%
SLOT1:--- SLOT2:--- SLOT3:---
ミスリルタイト製の小盾、強大なモンスターの素材により性能が極限にまで向上している
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
アーニャ専用
【黒竜盾ドラグブラック ☆12】
特性:MATK+200 DEF+200 MDEF+200 属性:闇 消耗度:0%
SLOT1:--- SLOT2:--- SLOT3:---
ミスリルタイト製の小盾、強大なモンスターの素材により性能が極限にまで向上している
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
アーニャ専用
【桃鎧ドラグピンク ☆12】
特性:DEF+330 MDEF+330 属性:光闇 損傷度:0%
SLOT1:--- SLOT2:--- SLOT3:---
ミスリルタイト製のグリーブ、スカート、バンブレース、ブレストがセットになった鎧、強大なモンスターの素材により性能が極限にまで向上している
製作者:アイゼンガルド:ガット 転売不可
アーニャ専用
アーニャの武器は三点セットだった。しかも完全防御体制。いや、魔法を使うことも考えられているか?タンク向けな装備な気がするが・・・まあ、アーニャが安全なら良いか。
「おおーなのです!すごいのです!!」
「キュイー!」「キュアー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでるアーニャ。ついでブランとノワールも。
「そういえば完全に聞きそびれていたが説明欄にあるSLOTってのはなんなんだ?」
俺と読者の疑問であろう点についてガットにたずねる。
「ぬ?それは装備に付加される特殊能力の欄じゃな。レアリティが高くなるとそういった項目が出てくるんじゃ。」
・・・ほう、それは良いことを聞いたが・・・なんで最初からそれを説明しない?
「【メニュー】のヘルプにちゃんと載っておるぞ?」
・・・すまん、俺の勉強不足だったようだ。
「・・・それで、その特殊能力ってのはどうやって追加できるんだ?」
「わからん!!」
・・・おい。
「元々、特殊能力というのはドロップした装備なんかに最初から付いておるもんなんじゃ。後付けで追加する方法についてはワシらも研究中じゃよ。」
なんだ、まだ分かっていないのか。残念。だがそれはつまり俺たちの装備はまだ強くなる余地があるってことだよな。期待しておこう。
なんて考えているとガットの奴が手を差し出してきた。
「・・・貴様、俺を犬扱いするつもりか!?」
「お手じゃないわい!素材を渡せということじゃ!!そちらのアヴァン殿の装備が必要であろう?」
確かにそうだが・・・アヴァン殿?
「うむ、ガット殿の作る装備は素晴らしい。武器は我が用意するが、防具は是非ガット殿の物が欲しい!」
「うむ、アヴァン殿の兵器に見合う防具を作って見せようぞ!」
・・・どうやら俺の知らない所で意気投合してしまったらしい。二人ともテンション高いな。
「まあ、良いか。ほれ【ミスリル鉱石】に【ウルタイト鉱石】、【マナタイト鉱石】だ。あとはモンスター素材だが・・・アヴァン、クランの共有倉庫から適当に選んでくれ。」
俺たちの場合はLv30以上のモンスター素材とアーテルたち【眷属】から貰った素材を使用したが、ラグマリアはモンスターではなく美少女アンドロイドなので素材を落すことはない・・・はずだ。
「うむ、それなのだが我の持っている【マータイト鉱石】を使って欲しいのだ。」
【マータイト鉱石】って【機甲界】で採掘できる【機械兵】とかのパーツの素材になった物か?おいおい、それで大丈夫なのか?
「ぬぅ、新しい鉱石か・・・面白い。」
「面白いってお前な、ガット。大丈夫かよほんとに。」
「心配いらん。【マータイト鉱石】を使った【鍛冶】は試した事はある。【ミスリルタイト】に混合するのは初めてじゃが・・・大丈夫じゃろう。」
・・・本人がそう言うのなら信じるしかない・・・のか?
「・・・それでどのくらいかかりそうだ?」
「レイドクエストに挑戦するのじゃろう?明日中には完成させて見せよう。その代わり・・・」
「ドロップ品を寄越せっていうんだろう?レイドクエストの報酬はかなり豪華だって聞いたからな。素材をドロップしたら【アイゼンガルド】に依頼するさ。」
「それは良いね!期待しているよ!!」
ヴィオレも興奮気味だ。レイドクエストの報酬ってのはそれほど期待できるものらしい。
「なんなら【アイゼンガルド】も参加するか?レイドクエスト?」
3パーティ以上が参加制限だったからパーティが増えても問題は無いはずだ。
「・・・いや、悪いがそれは遠慮して置こう。ワシらはあくまで生産職じゃし、準備も何もしておらんからな。まあ、【インフォガルド】が攻略情報をまとめるじゃろうから、報酬とそれを見てからじゃな。」
・・・それは残念、【アイゼンガルド】のメンバーの実力が見れるかと思ったのに。
「・・・なら仕方ないな。アヴァンは後どのくらいかかりそうだ?」
「あと一日あれば十分なのだ!」
つまり明日には準備完了ということか。それじゃあ・・・
「それじゃあ、レイドクエストは明後日に受けるということで決まりだね。」
・・・俺のセリフを奪われた。
「どこから湧いて出たんだ、ラング。忍者かお前は・・・あ。」
ガッツポーズを決めるラング。
「・・・一度で良いからそのセリフを言われてみたかった・・・」
クソッ!俺としたことが、まんまなツッコミを・・・敗北感で膝を突きそうだ・・・。
「ちなみにラング殿たちはガット殿たちと一緒に来ていたのだ。アルクたちが出てくる直前に姿を消したのだ。」
「どうもすいません。」
アヴァンによる補足とロゼさんによる謝罪の声が聞こえた。
「いえ、これは俺の油断・・・おお!!」
なんとロゼさんは・・・くノ一衣装だった。色々きわどい。
「アッハッハッハ、意外だろ!?ロゼがこんな衣装着るなんてさ!!」
ヴィオレが笑い転げてる。確かに意外だ。真面目な堅物キャラだと思ってたのに。
「こ、これはリーダーとメンバーが無理矢理・・・」
「うちのクランじゃ忍者コスが大フィーバーさ!!」
恥ずかしがるロゼさんに良い笑顔のラング。どうやら俺の知らない所で凄い事になっていたようだ。しかも大フィーバーとか言ってるくせに自分だけ普段どおりの格好なのはどういうことなんだラング。きっと忍者姿のメンバーを見てニヤニヤしてるに違いない。まったくうらやま・・・ハッ!左右から殺気!!
「・・・ねぇ、アルク。羨ましい?」
「・・・いえ、まったく。」
「・・・でも私達にも同じ衣装着せようとしてましたよね。」
「・・・あれはウケ狙いの冗談です。」
・・・過去の所業は忘れてくれ。後悔先に立たずとはこのことだな。
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