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Seven World Online(セブンワールドオンライン) 作者:アルク
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ジャンボチョコレートパフェ

おふざけは止めにして、お土産とは別に本当の謝罪の品を渡す事にする。


「「こ、これは!!」」


アテナ、アルマ両名に渡したのは俺が苦労して材料を集め、アーニャに作ってもらった・・・ジャンボチョコレートパフェである。パフェである。・・・何故か2回言ってしまった。


これは特殊なレシピで材料のほとんどがモンスターのドロップ品という大変希少なものだったりする。サトウキビのモンスターからドロップした高級砂糖、牛のモンスターからドロップした高級ミルク、カカオのモンスターからドロップした高級カカオ豆などをふんだんに使用した至極の一品である。


なお、これらの材料はドロップ品という性質上、あまり数を揃えることが出来ず、マーケットで買い揃えようとするととんでもない値段がしてしまうのだ。しかし、レシピがあるのだから是非作ってみたいというアーニャの要望に答え、極秘に俺が材料集めに奔走したのだ。おかげでレベリングにもなったのでウィンウィンの関係である。・・・なんで極秘にしたのかって?最初の一口は俺が食べたかっただけだよ?決して抜け駆けとかではないよ?


ま、まあ、そんなわけで俺が集めた材料でも出来たパフェは五つしかなかった。その味は至極の一言、アテナたちには内緒にして独占してやろうかと思ったほどだ。そんなことアーニャが許すはずが無いんだけどね。ただし、今ある分については数が少ないので、また今度材料を取ってくることにして、出来た分は自分たちの物にしようという秘密の協定がアーニャと結ばれたのだった。・・・しょうがない人だなぁという目でアーニャに見られたのは忘れられない思い出である。


今回二人に差し出したのは、その時の物である。・・・本当は後でゆっくり食べようと思っていたのだが背に腹は変えられないのだ。幸い、ジャンボの名に恥じない巨大さなので眷属たちと分けても余裕の量である。・・・リアルでこんなのがあったら、カロリーのお化けと呼ばれていただろう。


作成されたパフェは五つ、うち一つはその場でアーニャと完食し、残りを二つずつ山分けしていた。俺が持っていた二つを二人に献上し、アーニャも自分の分と、もう一つをアヴァンにあげている。皆巨大パフェを幸せそうに満足げな表情で口に運んでいる。・・・俺以外。また、大きすぎるパフェを自分たちの眷属にも分け与えている。・・・俺以外。・・・なぜ俺はあの時、もう一人分だけ材料を集めてこなかったのか・・・


「クルルー。」


「く、すまん!アーテル!!情けない主で!!!」


「クルッ!!」


そんな事無いと励まそうとしてくれているみたいだが、アーテルも最初作られたとき試食して味を知っているからな。本当なら今回も食べたかったに違いない。・・・もう、ホントすいません。


と、自己嫌悪の海で寒中水泳している俺に・・・救いの手は差し伸べられた。


「・・・ホラ、アンタにも少し分けてあげるわよ!!」


アテナがパフェをすくったスプーンを俺に差し出した。・・・マジか・・・貴方は天使か・・・あ、天使だった。


「アーテル君も、ホラ・・・」


「クルル♪」


アーテルもアルマが分けてくれたパフェをおいしそうに食べている。・・・良かったな!アーテル!!


「・・・ちょっと!何時まで持たせるのよ!!早く食べなさい!!」


・・・ツンデレ?ま、まあ余計な事は言うまい。せっかくアテナがパフェを分けてくれるって言うんだからな!!


「あむ。・・・うむ、やはり美味い!!」


幸せだ・・・思わず昇天してしまいそうだ・・・おっとまずい、目の前に天使がいた。


「本当よねぇ。・・・こんなおいしい物を隠していたなんて・・・」


おっとアテナがジト目だ。だが、仕方が無い。このパフェを巡って争いが起こってもおかしくないくらい美味いのだから。


「・・・まあ、良いわ。こんなおいしい物食べさせてくれたんだから、許してあげる。」


「そうですね。」


・・・ふぅ。どうやら二人の溜飲も下がったようだ。パフェ恐るべし。・・・今後こういうときのために常備しておくべきだろうか。いや、この二人なら自力で材料を集めるだろうな。だが・・・クックック、アーニャから聞いた美味そうなレシピはまだまだある。つまり交渉材料はまだまだあるってことだ。クックック。


こうして俺たちはしばらく至福の時を堪能した。・・・はて?本題を忘れているような気がするが・・・まあ、良いか。余計な事は言わないでおこう。・・・スプーンを使いまわしているから思いっきり間接キスになってしまっているのだが決して気にしてはいけないのだ。


・・・


「忍の里ねぇ。」


「相変らずアルクさんはフラグを踏み荒らしますね。」


いや、別に好きで踏んでるわけじゃ・・・踏み荒らすって何だ?


「ふむ、【アークガルド】ではこういうのが日常茶飯事なのだ・・・?」


「忍者なのです!カッコいいのです!!」


落ち着いた所で俺の今日の成果を報告したのだが、反応は様々だ。


「忍者も興味あるけどその神社と【ヤタガラス】にも興味があるわね。」


天使のアテナさんが興味津々だ。・・・天使と神社・・・お似合い?なのか?


「そうですね。一度確認してみたいですね。」


魔族のアルマさんはどうだろうか?神社というか聖域には近づきにくいイメージがあるが・・・偏見か?


「確かに神には興味あるのだ。アルク、実際の所どうなのだ?」


アヴァンも興味深げに聞いてくるが、俺の答えは決まっている。


「・・・ぶっちゃけた話、よく分からない、と言うのが正直な所だ。今まであったNPCやモンスター、機械兵、どれとも印象が違う。一つ分かるのは・・・戦ってもまず勝てないだろうってことだ。」


「・・・アルクさんがそこまで言い切ってしまうですか?」


アーニャが不安そうに俺を見るが、残念ながら俺の答えは変わらない。


「ああ、実際に会ってみれば分かると思う。それぐらいなんというか・・・異質だ。このゲームはリアルな感覚が味わえるんで評判だが、その中でもとびきりだな。」


少なくともリアルであんな感覚を味わった事は無い。


「・・・そこまで言い切られると不安になってくるんだけど。」


おっと、深刻に話しすぎたようだ。不安をあおりすぎたな。


「・・・まあ、独特な感覚ではあったが、我慢できないくらい不快ってわけでもないぞ?多少息苦しく感じる程度だ。・・・それもレベルかスキルで解決できると思うしな。なにか対処法があると思う。」


「対処法・・・やはり【神仏界】ですか?」


7つの世界の一つ、【神仏界】・・・神仏のいる世界か。


「確かにその可能性が一番高いだろうな。ただ、すぐに行こうって気にはならないけどな。・・・【ヤタガラス】みたいなのがたくさんいるとなったら正直ビビる。もう少しレベリングして万全の状態にしたいところだ。」


まだ、【精霊界】にも行ってないしな。ラスボス感満載な世界は最後にしたい所だ。


「うむ、我はまだ、他の世界にも行っていないのだ。ハードルの高い世界なら後回しにしたい所なのだ。」


・・・そうか、アヴァンは【機甲界】と今日行ったらしい【幻獣界】にしか行った事がないのか。


「そういえば、そっちはどうだったんだ?アヴァン用の戦闘服の素材は集まったのか?」


「ええ、バッチリよ!今後の事も考えて2、3人分多めに確保してきたわ!!」


「ラグマリアさんも大活躍でしたよ。素早くモンスターを見つけてくれて。」


「恐縮デス。」


ほう?ラグマリアにはレーダーでも付いているのかな?不死山の樹海探索では役に立ってくれそうだな。


「カイザーはどうだ?レベリングも兼ねてたんだろ?」


「本機ハLv.20ヲ突破シマシタ。マダマダ足手マトイデスガ、マスター・アヴァンノ兵器ニヨリ装備ハ充実シテオリマス。」


ほほう、それはまた良い報告だ。レベルはまだ低いが、俺たちにくっついていれば直ぐに上がるだろう。


「そうなのだ。我の方でも兵器をいくつか作ってみたのだ。明日にでも試して欲しいのだ。」


ほほほう、さすがアヴァン、仕事が速いのだ。


「ふむ、じゃあ明日はアヴァンの作ってくれた兵器のテストも兼ねて忍の里に行く、で良いな?」


全員が頷いた所で今日は解散となった。


===ログアウト===>お疲れ様でした。

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