【東京】在日米軍基地での新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関し、防衛省は28日までに、基地内で働く日本人従業員へ接種しないよう米側に伝えた。新型コロナのワクチンが国内未承認であることを踏まえ、安全性を考慮した。防衛省関係者によると、国内で承認されるまでは日本人従業員への接種は見送られる見通し。(関連記事)
ワクチン接種について、日本政府は防衛、厚生労働など関係省庁で対応を検討していた。防衛省は全駐留軍労働組合(全駐労)にも、この方針を伝えた。
防衛省は国内未承認のまま接種すると、副作用で健康被害などが生じた際、救済制度が適用されないことから適切でないと判断。担当者は「安全を第一に考えた」と話した。
全駐労沖縄地区本部の與那覇栄蔵委員長は、在日米軍のワクチン接種について「県民への感染を抑制する効果がある」と歓迎。一方、日本人従業員への接種は「副作用などが現れても、誰も責任が取れない」と懸念し、接種見送りに理解を示した。
日本政府は、外国軍隊などの公務中の行為には、派遣国と受入国の間で個別の取り決めがない限り、受入国の法令は適用されないと解釈。このため、在日米軍が国内未承認ワクチンを基地内で公務として接種することは、免除されている。
在日米軍は20日、米国防総省のワクチン計画を実行していると発表。年内にも、米軍関係者への接種が始まる見通し。県内では嘉手納基地や海軍病院が対象となっている。