先日このようなツイートをしました。
一度選択したものを後で変えるべきか、変えないべきかという部分はモンティ・ホール問題(選択によって確率を変動させる問題)と似ています。
この問題、封筒を変えた方がお得なのでしょうか?変えない方がお得なのでしょうか?
Twitterによる投票では、『取り替えない』が70%、『取り替える』が30%で、『取り替える』よりも『取り換えない』を選んだ人の方が2倍以上も多い結果になりました。
期待値的には取り替えた方がお得
結論から言うと、取り替えた方がお得になります。これは期待値を計算してみれば分かるのですが、選択を変えることによって得られる資金は、2万円or5000円です。
20,000+5,000=25,000なので、期待値は÷2をして、12,500円
つまり、選択を変えた場合12,500円の期待値があり、それは10,000円より大きいので変えた方がお得であると言えます。
しかし何故、変えない人の方が変える人よりも2倍も多かったのでしょうか。
これは私たちの直感により生まれた意志決定だからです。
意思決定には「不合理さ」がある
私たちの意思決定は常に合理的な判断をしているとは言いきれません。ほとんどの意思決定には、感情や感覚による歪みを持っています。
例えば宝クジ、あなたは年末ジャンボを買いましたか?1等の当選確率は2,000万分の1です。0.00000005%。それなのにも関わらず私たちは、「ひょっとしたら当たるかも」と無謀な期待をしてしまいます。もし、人間がコンピューターのように合理的な思考をもっていたら、宝くじを買う人などいないでしょう。
封筒の話も同じです。合理的に考えれば(期待値を求めれば)封筒を変えた方がいいということに気が付きます。しかし、もしかしたら減るかもしれないという感情や感覚による歪みから合理的でない決断をしてしまいます。そっちの方が「安全だから」
プロスペクト理論は失うことを恐れる
プロスペクト理論というものがあります。利益や損失に関わる意思決定のメカニズムをモデル化した、行動経済学の理論です。
人は利益を得ること以上に、失うことの方を恐れます。(投資で負けやすいのはこの心理のためです、投資の話はここではやめときますが)
封筒の例の場合、一度手にした1万円を失うのが怖かったから、多くの人は「取り替えない」を選択しました。
失うことは怖いですが、「安全を手に入れることが損することに直結する」場合も存在します。ですから確率において利益を出したいのなら、本能を抑制し、感覚ではなく数字と戦う必要があります。
そういえば、丁度お正月ですね
お年玉袋を2つ用意して「どちらか一方にはもう片方の倍の金額が入っているよ、一度だけ変えられるけどどうする?」といってお年玉を選択させてみるのもいいんじゃないでしょうか。わが子の意思決定を見届けるのは面白いかもしれません。