今回は、梅酒とウイスキーをブレンドしたリキュール、サントリーの焙煎樽熟成梅酒を飲んでみます。
梅酒自体は20世紀になってから普及し始め、当初は家庭で作られることが一般的でした。
しかし家庭内で梅酒を作る行為は1962年に酒税法が改正される前は違法行為で、改正後においても営利目的で家庭外の人間に提供することは法律で禁じられています。
とはいえ、梅酒自体の人気は高く、家庭内で作られる状況は現在も変わりません。
一方で市販の梅酒を最初に発売したのがチョーヤ梅酒で、1959年に発売しました。
徐々に核家族化や集合住宅によって梅酒を家庭で作るのが難しくなるにつれて、市販の梅酒が売れていくことで、どんどんと他社が参入していきました。
洋酒を中心に様々な酒類を製造しているサントリーも、梅酒については後釜の位置にあります。
現在は透明な液色を持つ「澄み渡る梅酒」をはじめ、数種類がラインナップされています。
これはその名のごとく、ウイスキーの製造を行っている山崎蒸溜所で、ウイスキーの熟成に使用される木樽に梅酒の原材料を入れて作り上げる梅酒になります。
じつはこの焙煎たる仕込み梅酒を市販する前、おそらくは1990年代後半から、山崎蒸溜所では「梅酒樽」を作り上げるために梅酒を貯蔵、仕込むことを行っていたようです。
実際に、すでに終売となってしまった「響12年」においても梅酒樽で熟成させたモルト原酒が使われており、ストレートでも梅の香りがアクセントとなってなかなかの評価を得ていました。
そこで、本格的に梅酒樽を作り上げるうえでも、本格的にウイスキー用の木樽を使った梅酒を製造、販売するようになったといえます。
このほかに、さらにモルトウイスキーを加えた「~リッチアンバー」もリリースされています。
今回は比較対象として、梅酒の大手であるチョーヤ梅酒の「The CHOYA SINGLE YEAR」も飲んでみます。
The CHOYAは、酸味料や香料を入れず、梅とホワイトリカー、砂糖のみで作る本格梅酒として製造しつつも、より高品質な梅酒を提供することもを目的にしたブランドです。
現在は、1年熟成と3年熟成のボトルがレギュラーとしてラインナップされています。
焙煎樽からの香ばしさは奥から感じられるものの、グレーンウイスキーからの新たなフルーティさも感じられません。
味わいにおいても、濃厚な梅ジュースという印象で、酸味は柔らかく甘みがしっかりしてとても飲みやすいです。
一方でThe CHOYAは、アルコール感がほとんどないものの、より梅干しを思わせるしっかりした梅の香りがやってきます。一方で甘い香りは少ないです。
味わいにおいても、山崎に比べて酸味が目立ち、酸っぱさをそこそこ得られます。甘みは控えめです。
ウイスキーを加えたことで広がりがあると期待すると、面食らってしまうかもしれません。
味わいにおいても、梅の酸味が強くなり、甘さは抑えられ、すっきりした印象に変わります。
一方でThe CHOYAは、ストレート以上に梅自体の香りがよりしっかりと感じられるようになりますが、シロップを思わせる香りも明確になります。
味わいは、酸味がしっかりしていて、多少の苦みを持ちつつ、ストレートよりも甘みも明確に感じられるようになります。
まず山崎の梅酒は、梅の香りが即座に広がっていき、華やかさを感じられます。シロップっぽさはほとんどなくなります。
味わいは、炭酸水と相まって酸味がしっかり感じられますが、嫌味を感じるほどの強さはありません。
甘みは余韻として残ります。
The CHOYAは、梅の香り自体は山崎に比べると控えめです。甘い香りもそれほど目立っている感じではありません。
味わいは、スッと来る強い酸味が感じられ、ちょっと「ウッ」と来るほどです。しかし余韻をあまり残さず、とてもキレのいい印象です。
ただ、ウイスキーをブレンドすることでフルーティさがプラスされることを期待すると、梅の香りがしっかりしていて、その変化がなくてがっかりするかもしれません。
750mL、アルコール度数17度、価格は2500円ほど。
梅酒について
梅酒は元々ホワイトリカー(焼酎甲類)に青梅や氷砂糖を加えて漬け込んで作られます。梅酒自体は20世紀になってから普及し始め、当初は家庭で作られることが一般的でした。
しかし家庭内で梅酒を作る行為は1962年に酒税法が改正される前は違法行為で、改正後においても営利目的で家庭外の人間に提供することは法律で禁じられています。
とはいえ、梅酒自体の人気は高く、家庭内で作られる状況は現在も変わりません。
一方で市販の梅酒を最初に発売したのがチョーヤ梅酒で、1959年に発売しました。
徐々に核家族化や集合住宅によって梅酒を家庭で作るのが難しくなるにつれて、市販の梅酒が売れていくことで、どんどんと他社が参入していきました。
洋酒を中心に様々な酒類を製造しているサントリーも、梅酒については後釜の位置にあります。
現在は透明な液色を持つ「澄み渡る梅酒」をはじめ、数種類がラインナップされています。
サントリーの梅酒樽づくり
現在、サントリーでは各種の梅酒をラインナップしていますが、近年の中でもプレミアムな位置にあるのが、「山崎蒸溜所 焙煎樽仕込梅酒」というものです。これはその名のごとく、ウイスキーの製造を行っている山崎蒸溜所で、ウイスキーの熟成に使用される木樽に梅酒の原材料を入れて作り上げる梅酒になります。
じつはこの焙煎たる仕込み梅酒を市販する前、おそらくは1990年代後半から、山崎蒸溜所では「梅酒樽」を作り上げるために梅酒を貯蔵、仕込むことを行っていたようです。
実際に、すでに終売となってしまった「響12年」においても梅酒樽で熟成させたモルト原酒が使われており、ストレートでも梅の香りがアクセントとなってなかなかの評価を得ていました。
そこで、本格的に梅酒樽を作り上げるうえでも、本格的にウイスキー用の木樽を使った梅酒を製造、販売するようになったといえます。
梅酒+梅酒樽熟成グレーン
さて、「~焙煎樽熟成梅酒」においては、上記のウイスキー樽で仕込んだ梅酒に加え、梅酒樽でフィニッシュをしたグレーンウイスキーを加えたものとなっていて、梅酒にさらにフルーティさを加えたようなものになっているといえます。このほかに、さらにモルトウイスキーを加えた「~リッチアンバー」もリリースされています。
今回は比較対象として、梅酒の大手であるチョーヤ梅酒の「The CHOYA SINGLE YEAR」も飲んでみます。
The CHOYAは、酸味料や香料を入れず、梅とホワイトリカー、砂糖のみで作る本格梅酒として製造しつつも、より高品質な梅酒を提供することもを目的にしたブランドです。
現在は、1年熟成と3年熟成のボトルがレギュラーとしてラインナップされています。
ウイスキーの香りは...
ストレート
まず山崎の梅酒は、アルコール感がほとんどなく、やわらかく広がる梅の香りとカラメルを思わせる香ばしさを伴った甘い香りがストレートにやってきます。焙煎樽からの香ばしさは奥から感じられるものの、グレーンウイスキーからの新たなフルーティさも感じられません。
味わいにおいても、濃厚な梅ジュースという印象で、酸味は柔らかく甘みがしっかりしてとても飲みやすいです。
一方でThe CHOYAは、アルコール感がほとんどないものの、より梅干しを思わせるしっかりした梅の香りがやってきます。一方で甘い香りは少ないです。
味わいにおいても、山崎に比べて酸味が目立ち、酸っぱさをそこそこ得られます。甘みは控えめです。
ウイスキーを加えたことで広がりがあると期待すると、面食らってしまうかもしれません。
ロック
山崎の梅酒では、梅の酸味がストレートよりもはっきりするようになり、シロップっぽさは薄くなります。そして奥からは樽からのウッディさもうっすら感じられるようになります。味わいにおいても、梅の酸味が強くなり、甘さは抑えられ、すっきりした印象に変わります。
一方でThe CHOYAは、ストレート以上に梅自体の香りがよりしっかりと感じられるようになりますが、シロップを思わせる香りも明確になります。
味わいは、酸味がしっかりしていて、多少の苦みを持ちつつ、ストレートよりも甘みも明確に感じられるようになります。
ソーダ割
最後に炭酸水で割って飲みます。梅酒はアルコール度数が低いので1:1で割ってみます。まず山崎の梅酒は、梅の香りが即座に広がっていき、華やかさを感じられます。シロップっぽさはほとんどなくなります。
味わいは、炭酸水と相まって酸味がしっかり感じられますが、嫌味を感じるほどの強さはありません。
甘みは余韻として残ります。
The CHOYAは、梅の香り自体は山崎に比べると控えめです。甘い香りもそれほど目立っている感じではありません。
味わいは、スッと来る強い酸味が感じられ、ちょっと「ウッ」と来るほどです。しかし余韻をあまり残さず、とてもキレのいい印象です。
まとめ
梅酒自体のアルコール度数が低いこともあって、ウイスキーほどの樽からくるウッディさは少なく、一般的な梅酒が好きな人だと、甘さに香ばしさがプラスされてカラメルを混ぜた梅ジュースを思わせるかもしれません。ただ、ウイスキーをブレンドすることでフルーティさがプラスされることを期待すると、梅の香りがしっかりしていて、その変化がなくてがっかりするかもしれません。
750mL、アルコール度数17度、価格は2500円ほど。
<個人的評価>
- 香り C: 梅の香りは柔らかく、カラメルのような香ばしさとシロップの甘い香りが目立つ。
- 味わい C: ストレートでは酸味が柔らかいが、ロック、加水で尖った印象に変わる。その後は甘みがしっかり訪れる
- 総評 C: 梅酒としては甘みが強くて飲みやすいが、ウイスキーの感覚は薄い。