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炎上、電凸… 医師が実感した「コロナと言論封殺」

肺炎を正しく恐れる(1)

 大谷義夫=池袋大谷クリニック院長

 呼吸器のスペシャリストとして肺炎と向き合って30年。池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんは、新刊『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)で、コロナから私たちの命と健康を守る方法を徹底的に解説します。

 自身のクリニックで毎日のように新型コロナ感染疑いの患者を診察し、その豊富な臨床経験をもとに、テレビ等での分かりやすい情報発信でも定評のある大谷さん。この連載では、『肺炎を正しく恐れる』の内容をもとにしつつ、本では書ききれなかったエピソードも盛り込んでお届けします。

「PCR検査の拡充」を訴えただけで言われなき批判が殺到

写真はイメージ (c)stylephotographs-123RF

 私のクリニックは、池袋の中心部にあります。

 新型コロナの感染拡大を受けて、クリニックを改装し、機械を導入して陰圧スペースを作り、唾液によるPCR検査にも対応しています。

 毎日のようにコロナ感染が疑われる患者さんを診察しています。そのときはもちろん、防護服を着ます。

 こうした本業の合間を縫って、メディアでも情報発信を続けています。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、自分では解決できない大きな不安を抱えたみなさんのために、日々患者さんと接する臨床の現場からさまざまな情報をお伝えすることは意義があると考えているのです。

 もちろん、現在の流行について分析し、社会全体の対策をどうすべきかを解説するのは、感染症を専門とする先生方の役割です。私からは、診察においてどのような課題があるか、患者さんがどのような状態かなどをお伝えしています。

 ところが、このような情報発信が思わぬ事態を招いたこともありました。

大谷義夫著『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)

 2020年の2~3月の頃は、PCR検査の体制がまだ十分ではなく、私が診察で「酸素吸入が必要で入院しなければならない重症肺炎で、新型コロナの疑いが強いので検査をしたほうがいい」と判断しても、保健所がなかなか検査を許可してくれないということが相次いでいました。

 私がテレビ番組でこうした現場の悩みと、必要な患者さんへのPCR検査の拡充を訴えたところ、一部の人から猛烈な批判にさらされたのです。

 1日に20~30件もの抗議の電話が数日間かかってきました。

 私のクリニックは呼吸器内科が専門です。呼吸が苦しくて受診を希望している患者さんからの電話が、つながらなくなってしまいました

 抗議の電話に応対した妻によると、「政権批判だ!」などと支離滅裂なことを言われ、さらに見知らぬ男性がクリニックに乗り込んできたこともありました。

 そして、妻は心労から体調を崩し、帯状疱疹を発症してしまったのです。

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