「困窮相談」昨年の3倍 上半期39万件、コロナ禍で

生活に困っている人を対象とする自治体の「自立相談支援機関」に、本年度の上半期(4~9月)は前年同期の3倍に当たる39万1717件(速報値)の新規相談が寄せられたことが28日までに、厚生労働省のまとめで分かった。新型コロナウイルス感染拡大による雇用情勢の悪化が影響したとみられる。

10月以降も例年を大きく上回るペースで推移。年末年始は日雇いの仕事が減り、食費に困ったり、住まいを失ったりする人が増える恐れがある。厚労省は自治体に臨時の窓口開設や宿泊施設への案内といった対応を求めている。

民間の支援団体によると、2008年のリーマン・ショック後は中高年の男性からの相談が多かったが、コロナ禍では20~40代や非正規雇用の女性、外国人などからも相談があるという。

厚労省の集計で、コロナ感染拡大に関連した解雇や雇い止めは8万人に迫る。政府は年明け以降も、休業などで減収した人に対する生活費の特例貸し付けや、家賃を公費で補助する住居確保給付金の支給を当面延長することを決めたが、実態に即した継続的支援が必要となりそうだ。

自立相談支援機関は「生活保護に至る手前の新たなセーフティーネット」の一環として、15年度から福祉事務所がある約900自治体が設置。相談員が困り事を聞き取り、利用できる制度を紹介したり、支援計画を立てたりする。

毎月の相談件数は例年1万5千~2万8千件程度だったが、全国に緊急事態宣言が発令された今年4月以降に増え、同月は9万5214件で過去最多となった。

7月は4万件台まで減ったものの、8~9月は5万件超に再び増加。厚労省の担当者は「10月以降も5万件前後で推移しているのではないか。自営業やフリーランスの人などにも影響が広がっている」としている。〔共同〕

▼自立相談支援機関 2015年4月に始まった生活困窮者自立支援制度で定められた事業を担う。生活保護に至る手前のセーフティーネットとして期待されており、働きたいのに働けない、住まいがないなど、困り事を抱えている人が対象。自治体の福祉部署や社会福祉協議会、NPO法人など、窓口は地域によって異なる。〔共同〕

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