トランプ氏、新型ウイルス経済支援法案と歳出法案に署名
アメリカのドナルド・トランプ大統領は27日、議会上下両院が可決した9000億ドル(約93兆円)規模の新型コロナウイルス追加経済支援法案と、1兆4000億ドル(約144兆7000億円)規模の2021会計年度(2020年10月~2021年9月)歳出法案に署名した。これにより、政府機関の一部閉鎖は免れる。
新型ウイルス追加経済支援策は、議会協議が数カ月もの間紛糾(ふんきゅう)した末に21日に可決されていた。収入が7万5000ドル(約775万円)までの個人、あるいは15万ドル(約1550万円)までの夫婦を対象に、1人あたり600ドルを直接給付することが盛り込まれている。
トランプ大統領は給付額を2000ドル(約21万円)に引き上げたいとし、法案への署名を拒否していた。
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現行の失業保険給付の特例措置が26日に失効したため、法案成立が遅れれば数百万人ものアメリカ人が一時的に給付を受けられなくなる恐れがあった。
また、トランプ氏が歳出法案に署名せず、緊急措置的な法案も成立しなければ、政府機関の一部は29日から閉鎖する見通しだった。
与野党から圧力高まる
フロリダ州に滞在中のトランプ氏が、なぜ一転して法案に署名したのかは明らかではない。同氏をめぐっては、議会の与野党から法案を成立させるよう圧力が高まっていた。
与党・共和党のパット・トゥーミー上院議員は、トランプ氏が「混迷や悲惨な状況、奇矯なふるまい」と関連づけて記憶される恐れがあると指摘した。
ジョー・バイデン次期大統領は、トランプ氏が署名を引き延ばし続ければ「壊滅的な結果」につながると警告していた。
バイデン氏は26日、自身の政権移行チームのウェブサイト上に声明を発表し、トランプ氏の署名拒否は「責任放棄」などと強い言い回しで批判した。
「ドナルド・トランプ大統領が圧倒的かつ超党派の過半数によって承認された経済支援法案への署名を拒否したことで、クリスマスの翌日に、数百万もの家庭が家計をやりくりできるかどうかわからなくなってしまった」とバイデン氏は述べた。
トランプ氏の立場は
トランプ氏は先にツイッターで、法案に反対だと繰り返し主張し、「我々の素晴らしい国民に対し、法案に盛り込まれているたったの600ドルではなく、2000ドルを渡したいだけだ」と述べた。下院共和党は直接給付の引き上げを拒否した。
議会上下両院が支援策を可決した翌日の22日、トランプ氏はツイッターに投稿した動画で署名の拒否をちらつかせ、支援策から「無駄で必要のない部分を削除」するよう要求。支援策は「本当に不名誉なもの」だと批判した。
また、支援策に含まれている他国への資金援助に難色を示し、困窮するアメリカ人にまわすべきだと述べた。
トランプ氏は7月以来行き詰まっていた新型ウイルス経済支援法案の交渉から距離を置くことが多かったため、同氏が修正を求めてきたことに議員たちは衝撃を受けた。
600ドルの直接給付は今月初めにスティーヴン・ムニューシン米財務長官が提案したもの。トランプ氏がなぜもっと早く反対姿勢を示さなかったのか、多くの人が疑問に思っていた。
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