「ねーねー、てんこちゃん、てんこちゃん」
「んー?」
部屋に来るなり、てこてこ歩いてきて当たり前のような顔で膝の上にちょこんと座ってきたルーミアの頭にあごを乗っけて、わたしは答えた。
とってもかわいいので両手できゅって抱きしめてあげると、ルーミアはちっちゃな手をわたしの手に重ねてきた。えへへー……かわいいなぁ、もぉ。
「デートしよ? お天気いいし」
「でもけっこう日差し強いわよ? あんた大丈夫なの?」
「んー、たぶん。ちょこっと闇出しとけばだいじょぶ」
両足をぱたぱたさせながら答えるルーミア。
「あはは、日傘いらずね、べんりー。そんで、どこ行く?」
「てきとー♪ てんこちゃんと一緒ならどこでもいいよ。……んみ? てんこちゃん顔あかーい」
「……今日はあついからねー」
もーこのコはいっつもそんなことヘーキで言うー。
……でも、へへへー、うれしいなっ。
「じゃあとりあえず、人里でも行こっか。今なら屋台とか出てるみたいだし」
「うんっ!」
うなずくと、ルーミアはぴょんと膝から飛び降りた。
人里かぁ……あんまり行ったことないけど、一緒ならどこでもいいのはわたしもおんなじ、だもんね。
「ちょっとぉ、待ちなさいってば」
てててーっと部屋を出てくルーミアのちっちゃな背中を追いかけて、わたしは家を出た。
ルーミアの、ちっちゃな手を握って歩く人里への道は、なんてことない普通の道なのにすごく楽しかった。
子供みたいに……っていうかまあ子供なんだけど、そこらの花とか虫とかにいちいち気を取られるんだけど、それがすっごくかわいい。
今も道端にしゃがみこんで、咲いている花を眺めている。
わたしは今まで天界からはあんまり出てきたことがなかった。
でも、地上はきれいなだけでつまんないと違って、いろいろ騒がしくて、いろんなものがあって面白い。
ルーミアとも、会えるし……。
「ねーね、てんこちゃん」
そんなことを考えながらぼーっとしてたら、ルーミアの顔が目の前にあった。
「な、なによ?」
「あげるー!」
そう言ってルーミアが差し出してきたのは、さっき道に咲いていた花だった。
それをルーミアは、そっとわたしの髪に差してくれた。
「あ……っ」
一瞬、息が詰まった。
もちろん、嬉しさで。
「えへへへー、にあうー!」
「……もぉ、なによ、いきなり……」
帽子で真っ赤になった顔を隠しながら、ルーミアと手をつないで歩いていく。
もう夏も終わりなのに、すごく、あつい。
やがて、人里が見えてきた。
物売りの声や屋台の呼び込みが賑やかだ。
天界では決して見られない、たくさんの人間が行き交う通りを、わたし達は手をつないで歩いていく。
「むむむ……?」
やけに真剣な顔をして、ルーミアが振り返る。
視線の先には、焼き団子の屋台。
「じゅるり……」
待って。
そのじゅるりは屋台のお団子に対してなの? それとも屋台を引いてる人間に対してなの……?
じーっと屋台の方を睨んでいるルーミア。
「……買ってあげよっか? ああもちろんお団子の方だからね?」
「いいのーっ!?」
「へへ。さっきのお花の、お礼」
ぐわっと目の前に迫るルーミア。ち、近いって。
屋台に声をかけて、お団子を買う。
実はこれが地上での初めての買い物だったりする。ちょっと緊張。
へへー……また、ルーミアと一緒に、はじめて、しちゃった……♪
「はい、どうぞ」
「えへへー、ありがと、てんこちゃん!」
受け取ったお団子をぱくっとほおばったルーミアの顔が、みるみるゆるゆるに……。ううう、かわいいなぁ~……。
わたしも自分の分を一口。
「ふむ……俗っぽくて安っぽくて小市民的な味ね。天界にはない新鮮な味だわ」
なんか屋台の人がじーっとこっち見てる気がするけど、ふふん、天人であるわたしの美貌に見とれてるわけね。
とか思ってると、ルーミアがつんつんとわたしの袖を引っ張っている。
「んー? どしたの?」
「てんこちゃん、あーん!」
「あ……ッ!?」
ちょ、ちょっと待って。
ここ、大通り。人、いっぱい。で、こんな場所であーんしろって?
見る間に顔どころか耳まで真っ赤になったのがわかった。
こ、このコはほんとにこういうとこ無頓着というか無知というか……!
「い、いやほら、わたし、自分の分あるから、ね?」
ほとんど懇願の口調でルーミアを説得にかかるわたし。しかし、
「ねーてんこちゃん、あーんって!」
「う……」
fufu話を聞いてくれません。
て、抵抗できない。
あーんって口を開けて、お団子を一口食べる。
「てんこちゃん、おいし? おいし?」
「ん……っていうかおんなじ味なんだけど。でも、美味しいわよ」
「にゃはーっ!」
満面の笑み、っていうのはこういう顔を言うんだろう。
親のダイヤの結婚指輪のネックレスを指にはめてぶん殴られたレベルの衝撃が私を襲う!
ルーミアは嬉しそうにきゃらきゃら笑いながら、大通りをくるくる走り回っている。
「もー。そんなにはしゃがないのー」
とか言いながら、わたしの顔も緩んでる。
「ねーね、てんこちゃん、あっちにも行ってみよっ? ほらぁはーやーくぅ!」
「わかったから引っ張らないでよ、もぉ」
袖をぐいぐい引っ張られて連れて行かれたのは甘味どころ。
小さいけどなかなか品の良さそうな店だった。
いらっしゃーい!と威勢のいい声をかけられて注文をする。
それはいいんだけど、このコすっごい食べるのよねー……。
ま、喜んでくれるなら、いっか!
でも一応警告はしておく。
「あんた、加減して食べなさいよね……」
「はーい! おばちゃーんあんみつ5杯ー!」
あ、全然わかってないこいつ。
うなだれながら店の外に設置されている長椅子に座って、注文した葛きりを食べる。
ふーん、人間の里の食べ物も悪くないわね。ま、それもルーミア補正のおかげだろうけど。
こんなふうに、ルーミアと一緒に人里で甘いもの食べるっていうのも、いいなー。
のんびり、まったり。
と、隣にルーミアを見てみると。
「もぐもぐもぐ……んみゅーっ♪ しあわせー♪」
なんかもう幸福そのものって顔してるわこの子。
それだけでお腹いっぱいって感じ。
隣に座って4杯目のあんみつを平らげたルーミアが、ふとこっちを向いた。
う、ま、また来るの? あーんが来るの!?
期待と不安で、一瞬で胸がいっぱいになる。
何をするのかと思ったら、ルーミアはちっちゃなお尻を動かして、こっちに寄ってきた。
「……へへー♪」
そして、ぴとっとわたしにくっついてにぱーって笑ってみせた。
「もっとくっついてないとね! コイビト、だもんねー♪」
かわいいなルーミアさすがかわいい。
わたしはこれでルーミアがますます好きになったあもりにもかわいすぎるでしょう?
もうだめ。葛きりの味が完全に分からなくなった。
というか、もう大通りの雑踏の声も聞こえない。
んみ?と小首をかしげるルーミアの顔をもう直視できなくなって、わたしは葛きりの器に顔を突っ込みそうになった。
「今日は楽しかったねー♪」
ご満悦、といった感じのルーミアとは対照的に、わたしの寿命はストレスでマッハだわ……。
どんだけわたしをキャッチザハートすれば気が済むのよこの子は……。
それにしてもルーミア、なんか今日はヤケに……す、スキンシップが、こう、激しかったわよね……。
いや、それは嬉しいんだけどさ。
「あ、あのね、ルーミア。ああいうことは人前じゃあんまり……」
「えへへー……実はルーミアもちょっと恥ずかしかった。にゃは」
照れ笑いするルーミア。
ダメだこの子。もう何しててもかわいい。
「じゃ、そろそろ帰ろっか」
「うん!」
そう言ってわたしたちは、どちらからともなく手をつないだ。
二人で手をつないで歩く帰り道。
夕日が差す田んぼのあぜ道を、わたしたちは黙ったまま歩いていく。
ちらりとルーミアの方を伺う。
夕日に照らされた横顔は微笑みをたたえていて、妙に大人びて見えた。
「とんぼだー」
指差す方を見ると、秋の茜空に何匹ものトンボが群れをなして飛んでいた。
……なんか、胸がきゅっとなる。
「また、見ようね……」
気がつくとわたしは、そんな言葉を漏らしていた。
ルーミアが不思議そうな顔で見上げてくる。
「また来年、さ。この空、見ようね」
返事の代わりに、ルーミアはにこっと笑ってくれた。
このまま……このまま、ルーミアと手をつないで、ずっと歩いてたい。そんな子供じみた願望が、わたしの胸に浮かんで消えた。
しばらく歩くと、ルーミアは私の手を離した。
「じゃあ、またね。ルーミア」
ちょっとさみしいけど、また会えるもんね。
でもルーミアは、いつもみたいにふよふよ飛んでいこうとはしなかった。
ちょっと考えるみたいな顔をしてから、こっちを向く。
「ねー、てんこちゃん」
「うん? なーに?」
てててっと駆け寄って、ぎゅって抱きついてくるルーミア。
「今、だーれも見てないからぁ……ね?
こっちを見上げたルーミアの顔は、夕日に照らされているからか、それともほかの理由からか、ほんのり赤くなっている。
その、ほんのり赤くなった顔をほころばせて、ルーミアはそっと目を閉じた。
……たぶんその瞬間のわたしの顔は、トマトみたいだったと思う。
もぉ……ほんとこの子は……。
そっとルーミアの小さな肩に手をかけて、顔を近づける。
「ん……」
1回で終わらせてしまうのが惜しくなって、唇を離したあと、やわらかいほっぺたにもう1回。
ルーミアは上目遣いで、じーっとこっちを見上げている。
「……にへ」
ふにゃっと笑うルーミア。
そして、がばーっと抱きついてきた。
「ちょちょちょ、そ、そういうのはおうちの中で、ね!?」
ルーミアはわたしの胸に顔をぐりぐりこすりつけてきた。
「んみゅ~~~~う……ぷはぁ!」
顔を上げたルーミアは、にぱーっと笑ってみせた。
「今日のデート、すっごーくたのしかった!! コイビトーってカンジだった!! あとね、あとね! さっきのちゅー、すっごくきゅーってなった!」
「ちょ、大声でそんなこと言わ、ない、の……」
まくし立てるルーミアにそう言ったものの、ううう、後半が小声になってしまった……。
だって、ルーミアのやつ、ほんとに嬉しそうな顔してるんだもん……わたしとおんなじ、真っ赤な顔してさ。
ときどき、ルーミアはほんとにわたしとおんなじ意味で、わたしのこと好きなのかな、とか思ったりする。
まだちっちゃいから仕方ないのかもしれないし、もともとそういう性格っぽいし。
もしかしたら、わたしと、そういうことするのなんて、全然なんとも思ってないのかあ、とか……。
でも、ルーミアがこんなふうに恥ずかしがってくれてるのを見てると、なんだか安心する。
「ルーミアのばかっ! わたし、すっごく恥ずかしかったんだからねっ!」
「ふゃ、ごめん」
「……でも、嬉しかった。……うん、すっごく嬉しかった!」
「そーなのかー!」
そしてルーミアは、ふよふよと暗くなり始めた空に帰っていった。
さみしいのを我慢して背を向けたとき、上からルーミアの声が降ってきた。
「てんこちゃーん! 今日のお礼、ぜったいするからねー!」
「……ばか。大声で呼ぶなっての……」
そんなわたしのつぶやきが、夕焼け空に消えていった。
こんこん、という控えめなノック。
こないだルーミアからもらった花を人には絶対見せられない類の顔で鑑賞していたわたしは、ベッドから身を起こした。
誰だろ?
ルーミアだったら、遠慮なしにばーんってドア開けてくるし。
「はーい?」
ドアを開けると、そこにはルーミアがいた。あれ?
「こ、こんにちわっ、てんこちゃんっ」
「……?」
なんか、様子がおかしくない?
いつもだったら部屋に入ってくるなり抱きついてきたり、ち、ちゅーとかしてくるのに。
今のルーミアはなんだかヘンにそわそわしてる様子で、あっちこっちに視線を泳がせてる。
どう……したんだろ。
「は、はいこれっ」
後ろ手に持ってた箱を差し出すルーミア。
差し出しながら、ルーミアはやっぱりこっちをまっすぐ向いてくれない。
気になる……けど、なんか、聞きづらいなー……。
「え、えと、これなに?」
「んと、ケーキ。ほら、こないだ人里で、お団子……」
「ああ、そのお礼ってわけ? ふふ、そんなの気にしないでいいのにー」
とか言いながら、わたしは嬉しい。
ルーミアがわたしのために、何かしてくれたっていうのが。
箱を開けてみると、ふわりと甘い匂い。
中に入っていたのは、シンプルないちごの乗ったショートケーキがふたつ。
「これ、わざわざ買ってきてくれたの?」
「う、うんっ」
そう言ってルーミアは笑うけど、やっぱりなんか表情がぎこちない。
うーん……。
「じゃ、一緒に食べよっか」
「う、うん……」
小さな声でそう答えて、わたしたちはベッドに並んでケーキを食べ始めた。
いつもなら、わたしのすぐ隣どころか膝の上にちょこんと乗っかってきてくれるのに、今日ルーミアが座ったのはわたしから20センチくらい離れたところだった。
手を伸ばせば十分抱き寄せられるそのたった20センチが、わたしには果てしなく遠く感じられた。
お皿に乗せたケーキをかじる。
確かに甘くておいしいけど……でも……。
そのままわたしたちはろくに会話もなく、半分くらいケーキを食べてしまった。
「う~~~……」
やっぱり、もうこの沈黙に耐えられない!
わたしは思い切ってルーミアに聞いてみようと腹を決めた。
「ちょっとルーミア、あんた今日なんかおかし……」
「てんこちゃあ~~~ん!」
おかしいわよ、と言おうとしたのその瞬間、ルーミアは私の脇腹にタックル!
「がわっふ!」
もんどり打ってそのまま後ろに倒れ込んでしまう。
「ちょっとあんた、いきなりなにすん……」
そう言いかけて、私ははっとした。
しがみついてきたルーミアは、わたしの胸に顔をうずめたまま。
そのまま、顔を上げようとしない。
「ねー、てんこちゃん……」
なんだか不安になってきた矢先にそう尋ねてきたルーミアの声は、なんだか神妙な調子だった。
なんだか心配になって、胸元のルーミアを見下ろす。
「てんこちゃん、てんこちゃん……ルーミアね、なんかヘンなのー……」
そりゃ、ヘンなのは一目瞭然だけど……。
ルーミアは顔を上げずに、続けた。
「えと、ね……ルーミアね……」
とぎれとぎれの言葉。
いつも明け透けで無邪気なルーミアの、初めて聞く声だった。
すごく心配になってきた。まるで病気で真っ青になった顔を見たみたいな気分になったわたしは、思わずルーミアの顔を覗き込む。
「ルーミアね、てんこちゃんのこと、すごーく好きなの。でもね、でもね……昨日帰ったあと、てんこちゃんとデートしたこと思い出してたら、なんだか好きのキモチがどんどんおっきくなって来てね……」
ルーミアは、しゃくりあげるみたいに、「んくっ」て喉を鳴らした。
「それでね、なんだかてんこちゃんに会うの、すっごく恥ずかしくなっちゃって、でもすっごく会いたくて、こんなのはじめてで、どうしたらいいかわかんなくなっちゃって……」
「ルーミア……」
上目遣いの大きな目が、不安げに揺れてる。
胸が、きゅーって締め付けられた。
なんて答えていいか……わからなかった。
「今日もね、てんこちゃんにお礼したくて、ケーキ持ってきたんだけど……てんこちゃんの顔見たら、好きのキモチがバクハツしちゃいそうで、こわくて……」
胸の上にちょこんと置かれた両手が、わたしの服をきゅっと掴んだ。
「こないだのデートの時もね、いろいろはしゃいじゃったんだ。くっついたり、ちゅーしたりしたいの、ぜんぜんがまんできなくて……てんこちゃんのこと、いっぱい恥ずかしがらせちゃって……」
いつも遠慮なしに抱きついてくる手にこもった力は、弱々しかった。
そのまま、腕がほどけて、ルーミアがどこかに行ってしまいそうな気がした。
「今までそんなことぜんぜんなかったのに……なんかね、ルーミアね、てんこちゃんのこと、好きでいるのが、怖くなっちゃったの……」
「……るーみゃのばかぁ……!」
だからわたしは、思いっきりルーミアにしがみついた。
そんなに気にしないでいいよって、言ってあげたかった。
くっつくのでもちゅーでも、なんでもしていいよって、言ってあげたかった。
そんなに悩んじゃうくらい、わたしなんかのこと好きになってくれたの、すっごく嬉しいよって、言ってあげたかった。
でも……わたしはそんな気の利いたことなんて一言も言えなくて、できたのは、ルーミアのちっちゃな体にしがみつくことだけだった。
「ばか、るーみゃのばかぁ……そんなの、そんなの……う~、ぐしゅ……」
あげく、わたしは泣きそうな顔したルーミアより先に泣いてしまった。
なんでって……嬉しかったから。
ルーミアが、わたしのこと、こんなに想ってくれてたのがわかったから。
ルーミアが、わたしのことで、こんな風に悩んでくれてたから。
……ルーミアが、こんなにわたしのこと、好きでいてくれてるって、わかったから。
「て、てんこちゃん、どしたの……?」
不安そうに聞いてくるルーミアのほっぺたに、顔を寄せる。あつい……。
「いいよ、るーみゃ……なんでも……なんでもして、いいんだよ……」
「ふえ……?」
「るーみゃがね、くっついてきたり、ちゅーしてくれたりするの……は、恥ずかしいけど、その、恥ずかしいのも、やじゃないしさ。だから……」
わたし今、すっごくはずかしーコト、言ってるよね……。
でも、それは今、わたしがルーミアにいちばん言ってあげたいこと、だもん。
「だから……いっぱい、してもいいよ。ちゅーとか、はずかしーこと……るーみゃが、したいこと。だって……」
その言葉を口にするのは、これが初めてじゃなかった。でも、今ここでルーミアに告げるその言葉は、なんだか特別なものに思えた。
すごく近くで、ルーミアの潤んだおっきな目を見ながら、わたしはその言葉を口にした。
「だって、わたしは……るーみゃの、へへ……コイビト……だもん、ね」
「てんこちゃあん……」
うるる、って、ルーミアは瞳を潤ませた。
潤んだ瞳が、近づいてくる。
まあるい瞳が、すぐ近くにある。
うるうるした瞳で、ルーミアはわたしを見つめてる。
なんにも言えなくなったわたしの半開きの唇から、は……って、息がこぼれた。
もうすぐ目の前、息がかかるくらい近くに迫ったルーミアの唇も、わたしと同じように息をこぼした。
「すき……」
つぶやくみたいにそう言って、ルーミアはわたしに覆いかぶさるみたいにして、ほっぺたに、そっとキスしてくれた。
ちゅ……って、濡れた音が耳のすぐ近くで聞こえた。
ルーミアとは、もう何回もキスしたけど。
今のキスは、今までのどんなキスとも違うキスだった。
じわーって、胸があつい……。
「んぅーう、んー……ちゅ、んん、んーっ……ちゅ、ちゅっ……」
両腕をわたしの首に回して、ルーミアは何回も、わたしのほっぺたにキスしてくれた。
そっと顔を離したルーミアは、切なそうな……今まで見たことがない、想像したこともなかった顔で、仰向けになったわたしの胸元に顔を乗せた。
そして、じっとこっちを上目遣いで見上げた。
「ルーミアは、てんこちゃんのことが……すき、です……」
もぞ、と身じろぎして、小さな体を密着させるルーミア。
甘い匂いで、埋もれちゃう……。
んー、んーって、わたしの胸に顔をこすりつけながら、ルーミアはぽしょぽしょ囁いた。
ルーミアがしゃべるたびに、熱い息が服越しに肌に当たって、あったかい……。
「てんこちゃん、していーい? いっぱいしてもいーい? いっぱい、いっぱい……すきすき、しても……いい……?」
もうそれだけで、体がお酒でも飲んだみたいにかっと火照ってしまった。
わたしに……わたしなんかに、ルーミアの気持ちを全部受け止めてあげることができるかなんて、わからない。
でも、それでも。
わたしと同じくらい熱くなってるルーミアの額に、ちゅってキスをした。
「……んみぅーん……」
ぎゅーって抱きついてきたルーミアは、ぷにぷにのほっぺたをすり寄せてきた。
ふわふわの金髪が顔に触れて、くすぐったい。
んー、んーって赤ちゃんがむずがるような声を上げながら、ルーミアはしきりにわたしのほっぺたに柔らかい唇でキスしてくれた。
「んー、んちゅ、すき、ちゅ、ちゅっ、んぅーう……てんこちゃん、すきぃ……」
「るーみゃ、るーみゃ……わたしも、すきだよ……るーみゃのこと、すきだよお……」
「んみゃぁうぅ……うれしぃ、うれしぃよぉ……すき、てんこちゃぁんぅ……んみぅ、んー、みゃぁうぅ……みぅ、みぅーん……」
甘ぁい、子猫みたいな声を聞いてるだけで、わたしはもう幸せでとろけちゃいそうだった。
ううん……とろけてた。とろとろになっちゃってた。
「てんこちゃぁん、はむっ、はぷ、んんーっ、ちゅ、ちゅっ、すき……、はみゅ、かぷっ、はむ……」
ぎゅってしがみついてきたルーミアが、わたしの耳たぶとかほっぺたとかをちっちゃな唇ではむはむしてくれる。
ルーミアはいつもこんなふうにしてくるけど、今日のはなんかいつのもとは違う気がした。
一生懸命っていうか、必死っていうか……うまく言えないけど、そんな感じがした。
「るーみゃ……手、つなご……? ぎゅってして、ちゅーしよ……」
ルーミアに応えてあげたくて、でも半分は我慢できなくなって、そう言った。
いつも遠慮なしにしがみついてくるちっちゃな手を、わたしのほうから握って、そっと引き寄せる。
ちょん、ちょん、って、やっぱり遠慮するみたいなキスだったけど、それは「好き」の言葉の代わり。
好き、好き、好き……って、ルーミアは言ってるんだ。
だからわたしも、好きって返すの。
「へへ……」
なんだか不意に、笑いが漏れた。ルーミアはちょっときょとんとしている。
「ん……なんでもなーい。なんかね、嬉しいなって。あとね、なんかこういうるーみゃ、新鮮だなー、とか」
「しんせんー……?」
「るーみゃのこと、もーっと好きになっちゃう、ってこと!」
「……みゃうー」
顔を赤くしてうつむくルーミア。もー、かわいいなー。
赤くなった顔を隠すみたいに、わたしの胸にぎゅーって顔を押し付けてくる。
「そんなこと、ゆったら……」
「うん?」
「そんなこと、ゆったら……てんこちゃんのこと、もっとすきになっちゃうよ……? すきすき、とまんなくなっちゃうよ……?」
「いーじゃん、好きになっちゃえば。てゆーか、好きになっちゃえ。コイビト、なんだから……さ」
「コイビト」の4文字が、はじめてつっかえずに口から滑り出てきた。なんかきもちいい。
「みぅー……」
ルーミアは、嬉しいような、困ったような、ヘンな顔して、わたしのほっぺたにちゅーした。
唇に触れる前に、ルーミアの甘い息が顔にかかる。
「んゅ、ん、ちゅっ、ちゅ、はむ、はむ……」
ちょっとだけ深いキス。
口の中に、さっきのルーミアの甘い息が吹き込まれて、くらくら……。
「ね、てんこちゃん……。ルーミアね、あのね……やってみたいことがあるの」
唇を離したルーミアが、そんなことを言いだした。
「やってみたいこと……って?」
「……ゆっても、怒らない?」
「怒んないわよ。あ、痛いのとかそういうのヤだからね」
「ヘンな子だって、思わない?」
「……何するつもりよアンタ。ま……多少は、その……か、変わったのでも……」
「んとねー……んー……」
なんだかもじもじしているルーミアはわたしの耳元に口を寄せて、ぽしょぽしょと囁いた。
「やっ、あ、ぞくぞくするぅぅ……っ……じゃなくて! ななななに言ってんのあんた!」
「だめ……?」
上目遣いで聞いてくるルーミア。
そんなの断れるやつがいたら顔を見てみたい。
「ルーミア、いっぱい、したいの……。てんこちゃんと、えっちなこと、いっぱい……」
胸の中に、いろんな感情がはじけて混ざった。
ひとつは、もちろん恥ずかしいって気持ち。そして、わたしもルーミアとえっちなことがしたいって気持ち。
そして……ルーミアが、わたしを求めてくれたっていう、すごく嬉しい気持ち。
たまーに思うことがあったから。
ルーミアは、わたしとのこと、どう思ってるのかな……わたしとおんなじに思ってくれてるのかな、って。
だって、ルーミアは子供で、単純で……ときどき、不安になる。
あんなに恥ずかしくて、えっちで、気持ちいいことしてるのも、ルーミアにとってはただの「気持ちいい遊び」でしかないのかも……って。
そういうの、全然平気なのかなって。
でも、ルーミアの顔は赤い。
赤くなったほっぺたが、うれしい……。
「うん、いいよ……」
ひどく落ち着いた声が出た。
「好きなだけ、していいよ……わたしも、るーみゃに、してほしい……から、さ」
抱きしめたルーミアの体がもう熱くなっているように感じたのは、わたしの都合のいい思い込みだろうか。
ベッドに寝転んだまま、そっと服のボタンに指をかける。
不自然に時間をかけて、まるで自分を自分で焦らすようにひとつ、またひとつとボタンを外していく。
まだなんにもしてないのに、これからすることへの期待からか、もうわたしの吐息は熱くなっていた。
そんなわたしを、ルーミアはじーっと見ていた。
上着のボタンを全部外し終わって、そっと左右に開く。
見せ……ちゃう。おっぱい、見せちゃう……。
上半身裸になっただけで、心臓がびくんと跳ね上がって、吐息が漏れた。
「てんこちゃぁん……」
熱い息と一緒に名前を呼ばれただけで、胸の奥がきゅーってなった。
わたしの横にちょこんと座って、ルーミアは裸の胸にほっぺたをすり寄せる。
「すべすべー……すきすきー……てんこちゃんのおっぱい、すきー……」
「んっ、ん……」
息が肌に当たるだけで、体がふるえて、声が出そう。
ルーミアは、ベッド脇のテーブルに置いてある食べかけのケーキに手を伸ばした。
そして、指先でケーキに乗っていたクリームをすくって……
「やっ、あっ!」
……わたしの、むき出しの胸にクリームを乗せた。
わたしの胸からお腹にかけてが、クリームでできたでたらめな落書きで覆われる。
クリームのついた指先が体の上をなぞるたびに、ベッドに投げ出されたわたしの手足は、ぴくんぴくんとはねた。
クリームはちょっと冷たくて、それで……おっぱいの先っぽが、つんってなっちゃってる……。
ルーミアもそれに気づいたみたいだった。
ちょん、ちょんって、両方の乳首に、クリームを乗せる。
「んぅっ! ……あ、は……。もぉ、こんなこと、したいなんて……ルーミアの……るーみゃの、えっち……」
「だってぇ、ケーキもてんこちゃんも、あまくて、おいしいからぁ……」
ルーミアの熱い息をこぼす唇が、わたしのお腹のあたりに近づいてきた。
ベッドに体を沈めながら、わたしは小さな唇からピンク色の舌が覗くのを、はぁはぁしながら見てた。
「ひぅんっ!」
ぺた、ってルーミアの舌がわたしの肌に触れた。
それだけでわたしは声を上げてしまった。
クリームをすくうようにして、ルーミアの舌がわたしのお腹のあたりを滑っていく。
「は、はぅ……あっ、あ……」
ベッドに背中を預けて、わたしは喘ぐ。
視線を下に下ろすと、ルーミアと目が合った。
ルーミアは、まんまるの目でこっちを見上げている。その目元が、ほんのり赤い。
「あまぁい……てんこちゃん、あまぁくて、すきすきー……」
うっとりした声で囁いて、ルーミアは小さな舌でクリームをぺろぺろ舐めた。
目を閉じて、ルーミアの舌と唇の感触に身を任せていると、クリームと一緒に体まで溶けちゃいそうな気分になってきた。
「あ……あ、はぅ、あぁ……」
わたしはもう無意識に声を我慢することもしなくなっていた。
開きっぱなしの口から、吐息と一緒にえっちな声をしきりに吐き出しながら、わたしはもぞもぞと身じろぎした。
「れる、れる、ちゅっ、れぅーっ……てんこちゃん、あまぁいよぅ……すきだよぅ……」
「もっと、いいよ……もっと、食べて……わたしのこと、いっぱぁい、ぺろぺろ、して……」
ちっちゃな子供みたいな、舌っ足らずの声で、ルーミアにおねだりしちゃう。
すごく、気持ちいい……。
「れる、ちゅ、ちゅぱ……ルーミア、きゅーんてするよぅ……てんこちゃんのかわいい声聞いてたらぁ……すきすき、とまんないよぅ……」
わたしのお腹の上で、ルーミアは切なそうな顔をしてる。
そんなルーミアの顔を見てると、わたしも、胸がきゅーってなる。
お腹のあたりから、ちゅっ、ちゅってキスしながら、ルーミアはわたしのお腹の上のクリームを舐め取っていく。
クリームが少なくなっていくたびに、わたしはすっかり熱くなった体を、ひくひくふるわせた。
「れるぅぅ~……っ」
「ひぅぅぅ……」
長く伸ばした舌が、おへそのあたりから胸のところまでのクリームをこそぎとっていく。
押し付けられたやわらかい舌が、あつぅい……。
その舌が、きゅーってかたくなってるおっぱいのさきっぽの方へ上がっていく。
あ、やだ……。
なんだか、ルーミアにちゅぱちゅぱしてもらえるのを期待してるみたいに、おっぱいのさきっぽ、きゅーってかたくなっちゃうぅ……。
「るーみゃぁ……」
お腹のあたりをぺろぺろしてるルーミアに、もうとろとろになっちゃってる声で呼びかける。
ちょっとだけ恥ずかしそうに目をそらしてからルーミアは、すっかりクリームがなくなったお腹のあたりにちゅってしてから、口を胸元に寄せた。
ルーミアは、ほんのすこしのおっぱいの膨らみの下の方に、優しくちゅーしてくれた。
「あぅんっ……るーみゃ、おっぱい、ちゅって、きもちい、よぉ……ひゃうっ!」
「んみぅ……」
そういうつもりなのかどうかなんてわからないけど、ルーミアはいちばん敏感になってる乳首には、すぐには触れなかった。
ちゅ、ちゅ、って、遠慮がちにおっぱいのふくらみを舐めてる。
「れろ、れろ、ちゅ、ん……てんこちゃぁん……ぷにぷにだよぅ……てんこちゃんのおっぱい、すきすきー……」
そんなに好きなら、一日中でもちゅぱちゅぱしてくれてたっていいけど、でも……。
「るーみゃ、るーみゃぁ……さきっぽぉ、ちくびぃ……」
「ふぇ……? あ……」
ルーミアは上目遣いにこっちを見て、また目をそらした。
目元をすっかり赤くしながら、ルーミアはこっちをちらちらと窺っている。
「な、に……? どしたの、るーみゃ……?」
「えぅ……だって……てんこちゃん……」
もじもじしながら、わたしの胸の上に顔を乗っけたまま、ルーミアは言った。
「だって……てんこちゃん、今、すっごくきもちよさそうで……かわいいお顔、してて……」
ぎゅってわたしの背中に手を回して、ルーミアは熱いほっぺたをわたしの胸に押し付けた。
残りの言葉が、わたしのむき出しの胸に吹きかけられた。
「だ、だから、ルーミア……それ見て……てんこちゃんのこと、また、すきに、なっちゃった……の」
「るー……みゃぁ……」
はぁー……って、熱い息をわたしの胸に吹きかけながら、ルーミアはこっちを上目遣いに見上げた。
「てんこちゃん、てんこちゃぁん……ぱっくんしてもいーい? てんこちゃんのおっぱい、ぱっくんしても……いーい?」
赤ちゃん言葉でえっちなこと言ってるのは自分のクセに、ルーミアはまた顔を赤くした。
……ルーミアがそんな、可愛い顔するもんだから、わたしはもう、まともに返事もできなかった。
さっきから、ルーミアにいっぱいちゅっちゅされて、もう何回かきもちよくなっちゃってたし……。
はぁはぁ言ってるだけのわたしの顔をじっと見つめて、返事を待ってるルーミア。
いつもなら、遠慮なしにしてくるのに。
でも、こういうルーミアも、好きだな……。
ふるふる頼りなくふるえてる両手を、ルーミアの方に伸ばす。
わたしがルーミアを抱き寄せたのか、ルーミアの方から覆いかぶさってきたのかは、もうわかんない。
「あぁ……んむっ」
「ひあ……」
大きくあーんって口を開けて、ルーミアはわたしの乳首を口に含んだ。
背中がベッドから浮いて、ルーミアの口に乳首を押し付ける形になる。
「んっ、んっ、ちゅぷ、ちゅっ、ちゅ……」
舌先が、敏感になってる乳首を弾くみたいにして舐めた。
ぴりって痺れるような刺激。
思わず背中がベッドから離れるくらいのけぞってしまった。
「てんこちゃん、きもちい? ぺろぺろ、きもちい?」
上目遣いで聞いてくるルーミアに、わたしはもうまともな言葉を返せなかった。
ひたすら、はぁはぁ喘いで、潤んだ視線を向けるのが精一杯だった。
「ふみゃ……」
ちゅ、ちゅって、優しくはだかの胸にキスしながら、ルーミアが小さく笑った。
なんだか、ルーミアの笑った顔、ひさしぶりに見たような気分……。
わたしはそのまま、ルーミアがおくちでしてくれてるのに体を任せていた。
「んっ、んっ、んくっ……ちゅぱ、ちゅっ……」
ちょん、ちょんって乳首にキスしたり、口の中でれろれろーってしたり、ちゅっちゅって吸ったり。
ルーミアがわたしに、いろんな事してくれてるのが、うれしい……。
全部きもちいいけど、吸ってくれるのがいちばん好き……かな。
うまく言えないけど、気持ちいいだけじゃなくって……いとおしい……って、いうのかな。そんな感じがする……。
赤ちゃんにおっぱいあげてるお母さんって、今気持ちなのかも。
手を伸ばして、ふわふわの金髪をなでると、ルーミアは恥ずかしそうに目を細めた。
黒いスカートに包まれたちっちゃなお尻が、かわいらしくふりふり揺れてる。
頭を撫でてた手を下に下ろして、お尻に触ると、ルーミアの細い肩がぴくんとふるえた。
でも、嫌がってる感じじゃなかった。
頭の時とおんなじに、そっとなでなですると、「みゃあ……」っていう声がおっぱいにかかった。
ルーミアの舌先が、やさしく乳首の上についたクリームを舐め取っていくのを、わたしは頭に霞がかかったみたいになりながら、ぼんやり見てた。
「はぅん……ん、ん……あ……きもちぃ……るーみゃ、るーみゃのぺろぺろ、きもちいいよ……」
もうとろとろにとろけた声でわたしがそう言うと、手のひらの下でルーミアの小ぶりなお尻がふるふるってふるえるのが分かった。
同時に、ぷにぷにの唇がわたしのおっぱいから離れて、「みゃぅ~……」って、あまい声を漏らした。
開いた口の中に溜まったクリームの塊から、舌先が覗いてる。
やだ……なんか、すごく、えっちだよぅ……。
そんなことを思ってたら、ルーミアが少し体を起こした。クリームを口に含んだままで。
そして、そっとわたしのほっぺたを両手で包んで……唇を重ねた。
「んぅーう……ちゅぱ、ちゅぱ、れちゅぅ……んっ、んっ……」
甘いクリームの味と、ルーミアの熱い舌の感触で、口の中がいっぱいになった。
頭の奥が、じーんってしびれるみたいになるのを感じながら、わたしは口の中のルーミアの舌に、自分の舌を絡めて、ちゅっ、ちゅって吸うのに夢中になってた。
口の中で、クリームとルーミアとわたしの唾液が、くちゅくちゅ混ざり合って、えっちな音、してる……。
「んぅーん、れちゅ、れるぅ、ちゅっ、ちゅく、ちゅく……」
鼻にかかった甘ったるい声といっしょに、ちっちゃな舌がわたしの口の中で、にゅるにゅるってぇぇ……。
もぉ、だめぇ……。
ぜんぶ、ぜんぶ、きもちいいぃ……。
からだが、びくん、びくんって跳ねるのが、抑えられない。
甘くて熱い息がほっぺたにかかって、びくん。
指先が、つんつんになっちゃってる乳首を不器用にいじって、びくん。
舌先が絡み合って、びくん。
クリームと混ざり合ってシロップみたいに甘くなった唾液を飲み込んで、びくん。
きもちよくなるの、とまんないぃ……。
そういうのが、ぜんぶまぜこぜになって、流れ込んできて……ああぁ……。
くるのぉ……きもちいいの、くるのぉ……びくんってしちゃうの、びくんするのぉ……!
「んんんー……っ、んぷぅっ、んにゅぅぅぅー……っ」
ぎゅっとまぶたを閉じて、快楽の波に押し流されそうになった瞬間……さきにルーミアの体が、断続的にびくびくーってふるえた。
ちゅーしてるままだったから、ルーミアの声はわたしの口の中に流し込まれるみたいになった。
抱きしめた体は何秒間かふるえて、そして糸が切れたみたいに、がくって力が抜けた。
口に含んでたルーミアのちっちゃな舌がちゅるんってわたしの口から抜け落ちて、裸の胸にぽたぽたよだれが垂れた。
「あ……っ、あっあ……あー……は、ひゃぁ……」
わたしの上に体を投げ出して、ルーミアは体をひくひくふるわせてる。
え、ちょっと……?
慌てて顔を覗き込むと、ルーミアはうるうるになった目でこっちを見上げてた。
息が上がってる。はぁはぁ息をこぼしてる唇の端っこから、とろってよだれまで垂れてて……。
「るー、みゃ……? もしかして……」
「やぁぁん……! ゆっちゃやだぁ……」
目をうるうるさせながら、ルーミアがかぶりを振る。
いっちゃってる……んだ。
わたしのおっぱい、ちゅぱちゅぱしながら、きもちよくなっちゃってるんだ……。
「うれしいよ、るーみゃ……」
そう言いながら、わたしは中途半端にまくれ上がってたスカートをもぞもぞ脱いだ。
「るーみゃが、わたしで、きもちよくなってくれてるの、うれしいよ……わたしも、ほらぁ……」
片足にスカートを引っ掛けたまま、わたしは足を開いて……いちばん恥ずかしいトコ、見せた。
もぉ、とろとろに濡れちゃってる、わたしの、おまた……。
ぱんつずらして、中、奥までぇ……。
「てんこ、ちゃぁん……てんこちゃぁぁん……!」
ほとんど倒れ込むみたいにして、ルーミアはしゃがみ込んで、わたしのそこに顔をうずめた。
「ひぃうぅ……! あんっ、あ、あ、るーみゃ、るーみゃ、るーみゃぁ……!」
からだの中でいちばん敏感なところに、ルーミアの唇が触れてる。舐めてる、吸ってる……愛して、くれてる。
まくれ上がった黒いスカートからのぞく、白いショーツに包まれたかわいいお尻をふりふりしながら、ルーミアはわたしのいちばん恥ずかしいところを、いっぱいちゅぱちゅぱしてくれる。
わたしのそこに口をつけたまま、ルーミアはスカートと上着をもどかしそうに脱いで、下着姿になった。
じっとりと汗で濡れたキャミソールの胸のあたり、つんってかたくなってるさきっぽが透けてて、えっち……。
「んぷぅっ、んちゅっ、ちゅうぅっ、あむっ、れろれろぉ、れるぅぅっ……」
「あっ、あっ、あっ、おくっ、おくっ、おくぅぅ……るーみゃっ、るーみゃぁぁっ……!」
あついのが、あついのがぁ、入ってくるよぉぉ……。
ルーミアの舌が、わたしのナカ、ぺろぺろしてるぅぅ……!
奥まで入って、とろとろのおつゆ、ちゅーって吸ってぇ……。
目が霞んできて、何も見えない。頭の中、真っ白……。
それなのに、ルーミアの唇と舌の感触だけが、焼け付くみたいにはっきりしてる。
好き、って言葉にする代わりに、ルーミアはわたしのそこをいっぱい愛してくれる。
「はひぃぃっ、ひぁ、ああーっ、あーっ、い、きゅ、びくんしゅるの、しゅごいびくんくるのぉ、びくんにゃのぉっ」
「んぢゅぅぅっ、れじゅぅっ、ちゅうっ、れろれろぉ、はぷぅぅっ、ちゅーっ……!」
「んひぃぃぃっ!? らめらめらめぇぇぇっ、そこらめ、くりとっ、りしゅぅぅ、ちゅーらめ、あーっあーっあっあっあ……!!」
見えない糸で持ち上げられたみたいに、腰が跳ね上がって、おもらしみたいに、おつゆ、びゅーっって……。
もう、なんにもわかんない。
でも、倒れ込んできたルーミアの熱い吐息だけは、気を失うまで感じてることができた。
二人で入ったお風呂から上がるまで、わたしたちは一言も話さなかった。
その必要が、なかったから。
お風呂の中で見つめ合って、ちょっと照れたふうに笑い合って、ほっぺにちゅってしたりして。
そういうのが、すごく嬉しかった。
なんていうか、コイビトとして、一歩前進した、みたいな? へへへー……♪
ルーミアも、なんだか変わった気がする。ちょっとオトナになった、っていうか。
タオルでお互いの身体を拭いたわたしたちは、なんとなく裸のままベッドに戻ってきた。
当然ベッドの上は、ぐちゃぐちゃになっちゃったシーツも、抜き散らかした服もそのまんまになってる。
……な、なんか生々しーなぁ。
さっきまでここで、わたし、ルーミアと……えっち、してたんだよね……。
ルーミアの方をちらっと窺ってみると、ルーミアもおんなじことを考えてたみたい。
「……てへへ」
顔を赤くして照れ笑いするルーミア。
わたしもおんなじように笑った。
わたしたちは裸のまんま、ルーミアが来た時とおんなじようにベッドに腰掛ける。
今度はルーミアは、わたしの腕に両手でぎゅってしがみついてくれた。
お風呂上がりのルーミアのぬくもりが、幸せ。
「ね、てんこちゃん」
ルーミアは、しがみついた腕にほっぺたをすりすりしてる。
そんなルーミアと肩を寄せ合って、わたしは次の言葉を待つ。
「……へへー♪」
ルーミアは結局なんにも言わずに、笑っただけだった。
それがすごく嬉しくて、わたしはルーミアのまだしっとり湿った金髪を抱き寄せて、額にキスした。
それだけじゃ足りなくなって、ほっぺたにもちゅー。
それでもやっぱり足りなくなって……ってちゅーしようとしたら、なんにも言わないのに、ルーミアはそっと目を閉じてかわいく唇を突き出してくれた。
「……ん、ちゅっ」
たったそれだけで、胸がいっぱいになった。
どちらからともなく、両手を伸ばして抱き合う。へへへ、あったかいなー……。
「てんこちゃん……」
「ん、なぁに……?」
ルーミアはちょっと照れたふうに、小首をかしげる
「もっかい、する……?」
「ん……今日はもう寝よ。シーツも取り替えないといけないし」
それもいいかな、って思ったけど、ちょっと疲れちゃってたし、まったりしたかったからそう言うと、ルーミアは「うん」とだけ答えた。
それからわたしたちは、二人でシーツを取り替えてベッドを整えた。
作業してあいるあいだも裸のまんまだったのが、なんだかイケないことしてるみたいでちょっと楽しかった。
気になって、横目でルーミアの裸ちらちら見てたら、また目が合っちゃった。
だって、ルーミアのぺたんこのおっぱいとか、ちっちゃなおしりとか、可愛いんだもん。
とか思いながら脱ぎっぱなしの服をたたんでたら、ルーミアがわたしの上着を手に持ってなんだか考え込んでるような顔してる。
「ん? るーみゃ、どうしたの?」
そうわたしが聞くと、ルーミアは「にへっ♪」って笑って……わたしの上着をもぞもぞと着始めた!
当然サイズは合ってないのでぶかぶかになってる。
「えへへへー、ぶかぶかー♪」
すっかりいつもの調子といった感じで、ルーミアは余った袖をぷらぷらさせながらきゃらきゃら笑ってる。
そして、袖を鼻のところに持ってきて、くんくんし始めた。
「えへへ……てんこちゃんの匂いがするぅ……♪」
「……もぉ、ばかっ」
裸でいるっていうのに、全身がかっと熱くなった。
その熱くなった体に、ルーミアはぎゅーっと抱きついてきた。
無邪気そのものの顔で、ルーミアは笑う。
「てんこちゃんっ、すきすき、だーいすき!」
前言撤回。
ルーミアはやっぱりルーミアのまんまだ。
「んー?」
部屋に来るなり、てこてこ歩いてきて当たり前のような顔で膝の上にちょこんと座ってきたルーミアの頭にあごを乗っけて、わたしは答えた。
とってもかわいいので両手できゅって抱きしめてあげると、ルーミアはちっちゃな手をわたしの手に重ねてきた。えへへー……かわいいなぁ、もぉ。
「デートしよ? お天気いいし」
「でもけっこう日差し強いわよ? あんた大丈夫なの?」
「んー、たぶん。ちょこっと闇出しとけばだいじょぶ」
両足をぱたぱたさせながら答えるルーミア。
「あはは、日傘いらずね、べんりー。そんで、どこ行く?」
「てきとー♪ てんこちゃんと一緒ならどこでもいいよ。……んみ? てんこちゃん顔あかーい」
「……今日はあついからねー」
もーこのコはいっつもそんなことヘーキで言うー。
……でも、へへへー、うれしいなっ。
「じゃあとりあえず、人里でも行こっか。今なら屋台とか出てるみたいだし」
「うんっ!」
うなずくと、ルーミアはぴょんと膝から飛び降りた。
人里かぁ……あんまり行ったことないけど、一緒ならどこでもいいのはわたしもおんなじ、だもんね。
「ちょっとぉ、待ちなさいってば」
てててーっと部屋を出てくルーミアのちっちゃな背中を追いかけて、わたしは家を出た。
ルーミアの、ちっちゃな手を握って歩く人里への道は、なんてことない普通の道なのにすごく楽しかった。
子供みたいに……っていうかまあ子供なんだけど、そこらの花とか虫とかにいちいち気を取られるんだけど、それがすっごくかわいい。
今も道端にしゃがみこんで、咲いている花を眺めている。
わたしは今まで天界からはあんまり出てきたことがなかった。
でも、地上はきれいなだけでつまんないと違って、いろいろ騒がしくて、いろんなものがあって面白い。
ルーミアとも、会えるし……。
「ねーね、てんこちゃん」
そんなことを考えながらぼーっとしてたら、ルーミアの顔が目の前にあった。
「な、なによ?」
「あげるー!」
そう言ってルーミアが差し出してきたのは、さっき道に咲いていた花だった。
それをルーミアは、そっとわたしの髪に差してくれた。
「あ……っ」
一瞬、息が詰まった。
もちろん、嬉しさで。
「えへへへー、にあうー!」
「……もぉ、なによ、いきなり……」
帽子で真っ赤になった顔を隠しながら、ルーミアと手をつないで歩いていく。
もう夏も終わりなのに、すごく、あつい。
やがて、人里が見えてきた。
物売りの声や屋台の呼び込みが賑やかだ。
天界では決して見られない、たくさんの人間が行き交う通りを、わたし達は手をつないで歩いていく。
「むむむ……?」
やけに真剣な顔をして、ルーミアが振り返る。
視線の先には、焼き団子の屋台。
「じゅるり……」
待って。
そのじゅるりは屋台のお団子に対してなの? それとも屋台を引いてる人間に対してなの……?
じーっと屋台の方を睨んでいるルーミア。
「……買ってあげよっか? ああもちろんお団子の方だからね?」
「いいのーっ!?」
「へへ。さっきのお花の、お礼」
ぐわっと目の前に迫るルーミア。ち、近いって。
屋台に声をかけて、お団子を買う。
実はこれが地上での初めての買い物だったりする。ちょっと緊張。
へへー……また、ルーミアと一緒に、はじめて、しちゃった……♪
「はい、どうぞ」
「えへへー、ありがと、てんこちゃん!」
受け取ったお団子をぱくっとほおばったルーミアの顔が、みるみるゆるゆるに……。ううう、かわいいなぁ~……。
わたしも自分の分を一口。
「ふむ……俗っぽくて安っぽくて小市民的な味ね。天界にはない新鮮な味だわ」
なんか屋台の人がじーっとこっち見てる気がするけど、ふふん、天人であるわたしの美貌に見とれてるわけね。
とか思ってると、ルーミアがつんつんとわたしの袖を引っ張っている。
「んー? どしたの?」
「てんこちゃん、あーん!」
「あ……ッ!?」
ちょ、ちょっと待って。
ここ、大通り。人、いっぱい。で、こんな場所であーんしろって?
見る間に顔どころか耳まで真っ赤になったのがわかった。
こ、このコはほんとにこういうとこ無頓着というか無知というか……!
「い、いやほら、わたし、自分の分あるから、ね?」
ほとんど懇願の口調でルーミアを説得にかかるわたし。しかし、
「ねーてんこちゃん、あーんって!」
「う……」
fufu話を聞いてくれません。
て、抵抗できない。
あーんって口を開けて、お団子を一口食べる。
「てんこちゃん、おいし? おいし?」
「ん……っていうかおんなじ味なんだけど。でも、美味しいわよ」
「にゃはーっ!」
満面の笑み、っていうのはこういう顔を言うんだろう。
親のダイヤの結婚指輪のネックレスを指にはめてぶん殴られたレベルの衝撃が私を襲う!
ルーミアは嬉しそうにきゃらきゃら笑いながら、大通りをくるくる走り回っている。
「もー。そんなにはしゃがないのー」
とか言いながら、わたしの顔も緩んでる。
「ねーね、てんこちゃん、あっちにも行ってみよっ? ほらぁはーやーくぅ!」
「わかったから引っ張らないでよ、もぉ」
袖をぐいぐい引っ張られて連れて行かれたのは甘味どころ。
小さいけどなかなか品の良さそうな店だった。
いらっしゃーい!と威勢のいい声をかけられて注文をする。
それはいいんだけど、このコすっごい食べるのよねー……。
ま、喜んでくれるなら、いっか!
でも一応警告はしておく。
「あんた、加減して食べなさいよね……」
「はーい! おばちゃーんあんみつ5杯ー!」
あ、全然わかってないこいつ。
うなだれながら店の外に設置されている長椅子に座って、注文した葛きりを食べる。
ふーん、人間の里の食べ物も悪くないわね。ま、それもルーミア補正のおかげだろうけど。
こんなふうに、ルーミアと一緒に人里で甘いもの食べるっていうのも、いいなー。
のんびり、まったり。
と、隣にルーミアを見てみると。
「もぐもぐもぐ……んみゅーっ♪ しあわせー♪」
なんかもう幸福そのものって顔してるわこの子。
それだけでお腹いっぱいって感じ。
隣に座って4杯目のあんみつを平らげたルーミアが、ふとこっちを向いた。
う、ま、また来るの? あーんが来るの!?
期待と不安で、一瞬で胸がいっぱいになる。
何をするのかと思ったら、ルーミアはちっちゃなお尻を動かして、こっちに寄ってきた。
「……へへー♪」
そして、ぴとっとわたしにくっついてにぱーって笑ってみせた。
「もっとくっついてないとね! コイビト、だもんねー♪」
かわいいなルーミアさすがかわいい。
わたしはこれでルーミアがますます好きになったあもりにもかわいすぎるでしょう?
もうだめ。葛きりの味が完全に分からなくなった。
というか、もう大通りの雑踏の声も聞こえない。
んみ?と小首をかしげるルーミアの顔をもう直視できなくなって、わたしは葛きりの器に顔を突っ込みそうになった。
「今日は楽しかったねー♪」
ご満悦、といった感じのルーミアとは対照的に、わたしの寿命はストレスでマッハだわ……。
どんだけわたしをキャッチザハートすれば気が済むのよこの子は……。
それにしてもルーミア、なんか今日はヤケに……す、スキンシップが、こう、激しかったわよね……。
いや、それは嬉しいんだけどさ。
「あ、あのね、ルーミア。ああいうことは人前じゃあんまり……」
「えへへー……実はルーミアもちょっと恥ずかしかった。にゃは」
照れ笑いするルーミア。
ダメだこの子。もう何しててもかわいい。
「じゃ、そろそろ帰ろっか」
「うん!」
そう言ってわたしたちは、どちらからともなく手をつないだ。
二人で手をつないで歩く帰り道。
夕日が差す田んぼのあぜ道を、わたしたちは黙ったまま歩いていく。
ちらりとルーミアの方を伺う。
夕日に照らされた横顔は微笑みをたたえていて、妙に大人びて見えた。
「とんぼだー」
指差す方を見ると、秋の茜空に何匹ものトンボが群れをなして飛んでいた。
……なんか、胸がきゅっとなる。
「また、見ようね……」
気がつくとわたしは、そんな言葉を漏らしていた。
ルーミアが不思議そうな顔で見上げてくる。
「また来年、さ。この空、見ようね」
返事の代わりに、ルーミアはにこっと笑ってくれた。
このまま……このまま、ルーミアと手をつないで、ずっと歩いてたい。そんな子供じみた願望が、わたしの胸に浮かんで消えた。
しばらく歩くと、ルーミアは私の手を離した。
「じゃあ、またね。ルーミア」
ちょっとさみしいけど、また会えるもんね。
でもルーミアは、いつもみたいにふよふよ飛んでいこうとはしなかった。
ちょっと考えるみたいな顔をしてから、こっちを向く。
「ねー、てんこちゃん」
「うん? なーに?」
てててっと駆け寄って、ぎゅって抱きついてくるルーミア。
「今、だーれも見てないからぁ……ね?
こっちを見上げたルーミアの顔は、夕日に照らされているからか、それともほかの理由からか、ほんのり赤くなっている。
その、ほんのり赤くなった顔をほころばせて、ルーミアはそっと目を閉じた。
……たぶんその瞬間のわたしの顔は、トマトみたいだったと思う。
もぉ……ほんとこの子は……。
そっとルーミアの小さな肩に手をかけて、顔を近づける。
「ん……」
1回で終わらせてしまうのが惜しくなって、唇を離したあと、やわらかいほっぺたにもう1回。
ルーミアは上目遣いで、じーっとこっちを見上げている。
「……にへ」
ふにゃっと笑うルーミア。
そして、がばーっと抱きついてきた。
「ちょちょちょ、そ、そういうのはおうちの中で、ね!?」
ルーミアはわたしの胸に顔をぐりぐりこすりつけてきた。
「んみゅ~~~~う……ぷはぁ!」
顔を上げたルーミアは、にぱーっと笑ってみせた。
「今日のデート、すっごーくたのしかった!! コイビトーってカンジだった!! あとね、あとね! さっきのちゅー、すっごくきゅーってなった!」
「ちょ、大声でそんなこと言わ、ない、の……」
まくし立てるルーミアにそう言ったものの、ううう、後半が小声になってしまった……。
だって、ルーミアのやつ、ほんとに嬉しそうな顔してるんだもん……わたしとおんなじ、真っ赤な顔してさ。
ときどき、ルーミアはほんとにわたしとおんなじ意味で、わたしのこと好きなのかな、とか思ったりする。
まだちっちゃいから仕方ないのかもしれないし、もともとそういう性格っぽいし。
もしかしたら、わたしと、そういうことするのなんて、全然なんとも思ってないのかあ、とか……。
でも、ルーミアがこんなふうに恥ずかしがってくれてるのを見てると、なんだか安心する。
「ルーミアのばかっ! わたし、すっごく恥ずかしかったんだからねっ!」
「ふゃ、ごめん」
「……でも、嬉しかった。……うん、すっごく嬉しかった!」
「そーなのかー!」
そしてルーミアは、ふよふよと暗くなり始めた空に帰っていった。
さみしいのを我慢して背を向けたとき、上からルーミアの声が降ってきた。
「てんこちゃーん! 今日のお礼、ぜったいするからねー!」
「……ばか。大声で呼ぶなっての……」
そんなわたしのつぶやきが、夕焼け空に消えていった。
こんこん、という控えめなノック。
こないだルーミアからもらった花を人には絶対見せられない類の顔で鑑賞していたわたしは、ベッドから身を起こした。
誰だろ?
ルーミアだったら、遠慮なしにばーんってドア開けてくるし。
「はーい?」
ドアを開けると、そこにはルーミアがいた。あれ?
「こ、こんにちわっ、てんこちゃんっ」
「……?」
なんか、様子がおかしくない?
いつもだったら部屋に入ってくるなり抱きついてきたり、ち、ちゅーとかしてくるのに。
今のルーミアはなんだかヘンにそわそわしてる様子で、あっちこっちに視線を泳がせてる。
どう……したんだろ。
「は、はいこれっ」
後ろ手に持ってた箱を差し出すルーミア。
差し出しながら、ルーミアはやっぱりこっちをまっすぐ向いてくれない。
気になる……けど、なんか、聞きづらいなー……。
「え、えと、これなに?」
「んと、ケーキ。ほら、こないだ人里で、お団子……」
「ああ、そのお礼ってわけ? ふふ、そんなの気にしないでいいのにー」
とか言いながら、わたしは嬉しい。
ルーミアがわたしのために、何かしてくれたっていうのが。
箱を開けてみると、ふわりと甘い匂い。
中に入っていたのは、シンプルないちごの乗ったショートケーキがふたつ。
「これ、わざわざ買ってきてくれたの?」
「う、うんっ」
そう言ってルーミアは笑うけど、やっぱりなんか表情がぎこちない。
うーん……。
「じゃ、一緒に食べよっか」
「う、うん……」
小さな声でそう答えて、わたしたちはベッドに並んでケーキを食べ始めた。
いつもなら、わたしのすぐ隣どころか膝の上にちょこんと乗っかってきてくれるのに、今日ルーミアが座ったのはわたしから20センチくらい離れたところだった。
手を伸ばせば十分抱き寄せられるそのたった20センチが、わたしには果てしなく遠く感じられた。
お皿に乗せたケーキをかじる。
確かに甘くておいしいけど……でも……。
そのままわたしたちはろくに会話もなく、半分くらいケーキを食べてしまった。
「う~~~……」
やっぱり、もうこの沈黙に耐えられない!
わたしは思い切ってルーミアに聞いてみようと腹を決めた。
「ちょっとルーミア、あんた今日なんかおかし……」
「てんこちゃあ~~~ん!」
おかしいわよ、と言おうとしたのその瞬間、ルーミアは私の脇腹にタックル!
「がわっふ!」
もんどり打ってそのまま後ろに倒れ込んでしまう。
「ちょっとあんた、いきなりなにすん……」
そう言いかけて、私ははっとした。
しがみついてきたルーミアは、わたしの胸に顔をうずめたまま。
そのまま、顔を上げようとしない。
「ねー、てんこちゃん……」
なんだか不安になってきた矢先にそう尋ねてきたルーミアの声は、なんだか神妙な調子だった。
なんだか心配になって、胸元のルーミアを見下ろす。
「てんこちゃん、てんこちゃん……ルーミアね、なんかヘンなのー……」
そりゃ、ヘンなのは一目瞭然だけど……。
ルーミアは顔を上げずに、続けた。
「えと、ね……ルーミアね……」
とぎれとぎれの言葉。
いつも明け透けで無邪気なルーミアの、初めて聞く声だった。
すごく心配になってきた。まるで病気で真っ青になった顔を見たみたいな気分になったわたしは、思わずルーミアの顔を覗き込む。
「ルーミアね、てんこちゃんのこと、すごーく好きなの。でもね、でもね……昨日帰ったあと、てんこちゃんとデートしたこと思い出してたら、なんだか好きのキモチがどんどんおっきくなって来てね……」
ルーミアは、しゃくりあげるみたいに、「んくっ」て喉を鳴らした。
「それでね、なんだかてんこちゃんに会うの、すっごく恥ずかしくなっちゃって、でもすっごく会いたくて、こんなのはじめてで、どうしたらいいかわかんなくなっちゃって……」
「ルーミア……」
上目遣いの大きな目が、不安げに揺れてる。
胸が、きゅーって締め付けられた。
なんて答えていいか……わからなかった。
「今日もね、てんこちゃんにお礼したくて、ケーキ持ってきたんだけど……てんこちゃんの顔見たら、好きのキモチがバクハツしちゃいそうで、こわくて……」
胸の上にちょこんと置かれた両手が、わたしの服をきゅっと掴んだ。
「こないだのデートの時もね、いろいろはしゃいじゃったんだ。くっついたり、ちゅーしたりしたいの、ぜんぜんがまんできなくて……てんこちゃんのこと、いっぱい恥ずかしがらせちゃって……」
いつも遠慮なしに抱きついてくる手にこもった力は、弱々しかった。
そのまま、腕がほどけて、ルーミアがどこかに行ってしまいそうな気がした。
「今までそんなことぜんぜんなかったのに……なんかね、ルーミアね、てんこちゃんのこと、好きでいるのが、怖くなっちゃったの……」
「……るーみゃのばかぁ……!」
だからわたしは、思いっきりルーミアにしがみついた。
そんなに気にしないでいいよって、言ってあげたかった。
くっつくのでもちゅーでも、なんでもしていいよって、言ってあげたかった。
そんなに悩んじゃうくらい、わたしなんかのこと好きになってくれたの、すっごく嬉しいよって、言ってあげたかった。
でも……わたしはそんな気の利いたことなんて一言も言えなくて、できたのは、ルーミアのちっちゃな体にしがみつくことだけだった。
「ばか、るーみゃのばかぁ……そんなの、そんなの……う~、ぐしゅ……」
あげく、わたしは泣きそうな顔したルーミアより先に泣いてしまった。
なんでって……嬉しかったから。
ルーミアが、わたしのこと、こんなに想ってくれてたのがわかったから。
ルーミアが、わたしのことで、こんな風に悩んでくれてたから。
……ルーミアが、こんなにわたしのこと、好きでいてくれてるって、わかったから。
「て、てんこちゃん、どしたの……?」
不安そうに聞いてくるルーミアのほっぺたに、顔を寄せる。あつい……。
「いいよ、るーみゃ……なんでも……なんでもして、いいんだよ……」
「ふえ……?」
「るーみゃがね、くっついてきたり、ちゅーしてくれたりするの……は、恥ずかしいけど、その、恥ずかしいのも、やじゃないしさ。だから……」
わたし今、すっごくはずかしーコト、言ってるよね……。
でも、それは今、わたしがルーミアにいちばん言ってあげたいこと、だもん。
「だから……いっぱい、してもいいよ。ちゅーとか、はずかしーこと……るーみゃが、したいこと。だって……」
その言葉を口にするのは、これが初めてじゃなかった。でも、今ここでルーミアに告げるその言葉は、なんだか特別なものに思えた。
すごく近くで、ルーミアの潤んだおっきな目を見ながら、わたしはその言葉を口にした。
「だって、わたしは……るーみゃの、へへ……コイビト……だもん、ね」
「てんこちゃあん……」
うるる、って、ルーミアは瞳を潤ませた。
潤んだ瞳が、近づいてくる。
まあるい瞳が、すぐ近くにある。
うるうるした瞳で、ルーミアはわたしを見つめてる。
なんにも言えなくなったわたしの半開きの唇から、は……って、息がこぼれた。
もうすぐ目の前、息がかかるくらい近くに迫ったルーミアの唇も、わたしと同じように息をこぼした。
「すき……」
つぶやくみたいにそう言って、ルーミアはわたしに覆いかぶさるみたいにして、ほっぺたに、そっとキスしてくれた。
ちゅ……って、濡れた音が耳のすぐ近くで聞こえた。
ルーミアとは、もう何回もキスしたけど。
今のキスは、今までのどんなキスとも違うキスだった。
じわーって、胸があつい……。
「んぅーう、んー……ちゅ、んん、んーっ……ちゅ、ちゅっ……」
両腕をわたしの首に回して、ルーミアは何回も、わたしのほっぺたにキスしてくれた。
そっと顔を離したルーミアは、切なそうな……今まで見たことがない、想像したこともなかった顔で、仰向けになったわたしの胸元に顔を乗せた。
そして、じっとこっちを上目遣いで見上げた。
「ルーミアは、てんこちゃんのことが……すき、です……」
もぞ、と身じろぎして、小さな体を密着させるルーミア。
甘い匂いで、埋もれちゃう……。
んー、んーって、わたしの胸に顔をこすりつけながら、ルーミアはぽしょぽしょ囁いた。
ルーミアがしゃべるたびに、熱い息が服越しに肌に当たって、あったかい……。
「てんこちゃん、していーい? いっぱいしてもいーい? いっぱい、いっぱい……すきすき、しても……いい……?」
もうそれだけで、体がお酒でも飲んだみたいにかっと火照ってしまった。
わたしに……わたしなんかに、ルーミアの気持ちを全部受け止めてあげることができるかなんて、わからない。
でも、それでも。
わたしと同じくらい熱くなってるルーミアの額に、ちゅってキスをした。
「……んみぅーん……」
ぎゅーって抱きついてきたルーミアは、ぷにぷにのほっぺたをすり寄せてきた。
ふわふわの金髪が顔に触れて、くすぐったい。
んー、んーって赤ちゃんがむずがるような声を上げながら、ルーミアはしきりにわたしのほっぺたに柔らかい唇でキスしてくれた。
「んー、んちゅ、すき、ちゅ、ちゅっ、んぅーう……てんこちゃん、すきぃ……」
「るーみゃ、るーみゃ……わたしも、すきだよ……るーみゃのこと、すきだよお……」
「んみゃぁうぅ……うれしぃ、うれしぃよぉ……すき、てんこちゃぁんぅ……んみぅ、んー、みゃぁうぅ……みぅ、みぅーん……」
甘ぁい、子猫みたいな声を聞いてるだけで、わたしはもう幸せでとろけちゃいそうだった。
ううん……とろけてた。とろとろになっちゃってた。
「てんこちゃぁん、はむっ、はぷ、んんーっ、ちゅ、ちゅっ、すき……、はみゅ、かぷっ、はむ……」
ぎゅってしがみついてきたルーミアが、わたしの耳たぶとかほっぺたとかをちっちゃな唇ではむはむしてくれる。
ルーミアはいつもこんなふうにしてくるけど、今日のはなんかいつのもとは違う気がした。
一生懸命っていうか、必死っていうか……うまく言えないけど、そんな感じがした。
「るーみゃ……手、つなご……? ぎゅってして、ちゅーしよ……」
ルーミアに応えてあげたくて、でも半分は我慢できなくなって、そう言った。
いつも遠慮なしにしがみついてくるちっちゃな手を、わたしのほうから握って、そっと引き寄せる。
ちょん、ちょん、って、やっぱり遠慮するみたいなキスだったけど、それは「好き」の言葉の代わり。
好き、好き、好き……って、ルーミアは言ってるんだ。
だからわたしも、好きって返すの。
「へへ……」
なんだか不意に、笑いが漏れた。ルーミアはちょっときょとんとしている。
「ん……なんでもなーい。なんかね、嬉しいなって。あとね、なんかこういうるーみゃ、新鮮だなー、とか」
「しんせんー……?」
「るーみゃのこと、もーっと好きになっちゃう、ってこと!」
「……みゃうー」
顔を赤くしてうつむくルーミア。もー、かわいいなー。
赤くなった顔を隠すみたいに、わたしの胸にぎゅーって顔を押し付けてくる。
「そんなこと、ゆったら……」
「うん?」
「そんなこと、ゆったら……てんこちゃんのこと、もっとすきになっちゃうよ……? すきすき、とまんなくなっちゃうよ……?」
「いーじゃん、好きになっちゃえば。てゆーか、好きになっちゃえ。コイビト、なんだから……さ」
「コイビト」の4文字が、はじめてつっかえずに口から滑り出てきた。なんかきもちいい。
「みぅー……」
ルーミアは、嬉しいような、困ったような、ヘンな顔して、わたしのほっぺたにちゅーした。
唇に触れる前に、ルーミアの甘い息が顔にかかる。
「んゅ、ん、ちゅっ、ちゅ、はむ、はむ……」
ちょっとだけ深いキス。
口の中に、さっきのルーミアの甘い息が吹き込まれて、くらくら……。
「ね、てんこちゃん……。ルーミアね、あのね……やってみたいことがあるの」
唇を離したルーミアが、そんなことを言いだした。
「やってみたいこと……って?」
「……ゆっても、怒らない?」
「怒んないわよ。あ、痛いのとかそういうのヤだからね」
「ヘンな子だって、思わない?」
「……何するつもりよアンタ。ま……多少は、その……か、変わったのでも……」
「んとねー……んー……」
なんだかもじもじしているルーミアはわたしの耳元に口を寄せて、ぽしょぽしょと囁いた。
「やっ、あ、ぞくぞくするぅぅ……っ……じゃなくて! ななななに言ってんのあんた!」
「だめ……?」
上目遣いで聞いてくるルーミア。
そんなの断れるやつがいたら顔を見てみたい。
「ルーミア、いっぱい、したいの……。てんこちゃんと、えっちなこと、いっぱい……」
胸の中に、いろんな感情がはじけて混ざった。
ひとつは、もちろん恥ずかしいって気持ち。そして、わたしもルーミアとえっちなことがしたいって気持ち。
そして……ルーミアが、わたしを求めてくれたっていう、すごく嬉しい気持ち。
たまーに思うことがあったから。
ルーミアは、わたしとのこと、どう思ってるのかな……わたしとおんなじに思ってくれてるのかな、って。
だって、ルーミアは子供で、単純で……ときどき、不安になる。
あんなに恥ずかしくて、えっちで、気持ちいいことしてるのも、ルーミアにとってはただの「気持ちいい遊び」でしかないのかも……って。
そういうの、全然平気なのかなって。
でも、ルーミアの顔は赤い。
赤くなったほっぺたが、うれしい……。
「うん、いいよ……」
ひどく落ち着いた声が出た。
「好きなだけ、していいよ……わたしも、るーみゃに、してほしい……から、さ」
抱きしめたルーミアの体がもう熱くなっているように感じたのは、わたしの都合のいい思い込みだろうか。
ベッドに寝転んだまま、そっと服のボタンに指をかける。
不自然に時間をかけて、まるで自分を自分で焦らすようにひとつ、またひとつとボタンを外していく。
まだなんにもしてないのに、これからすることへの期待からか、もうわたしの吐息は熱くなっていた。
そんなわたしを、ルーミアはじーっと見ていた。
上着のボタンを全部外し終わって、そっと左右に開く。
見せ……ちゃう。おっぱい、見せちゃう……。
上半身裸になっただけで、心臓がびくんと跳ね上がって、吐息が漏れた。
「てんこちゃぁん……」
熱い息と一緒に名前を呼ばれただけで、胸の奥がきゅーってなった。
わたしの横にちょこんと座って、ルーミアは裸の胸にほっぺたをすり寄せる。
「すべすべー……すきすきー……てんこちゃんのおっぱい、すきー……」
「んっ、ん……」
息が肌に当たるだけで、体がふるえて、声が出そう。
ルーミアは、ベッド脇のテーブルに置いてある食べかけのケーキに手を伸ばした。
そして、指先でケーキに乗っていたクリームをすくって……
「やっ、あっ!」
……わたしの、むき出しの胸にクリームを乗せた。
わたしの胸からお腹にかけてが、クリームでできたでたらめな落書きで覆われる。
クリームのついた指先が体の上をなぞるたびに、ベッドに投げ出されたわたしの手足は、ぴくんぴくんとはねた。
クリームはちょっと冷たくて、それで……おっぱいの先っぽが、つんってなっちゃってる……。
ルーミアもそれに気づいたみたいだった。
ちょん、ちょんって、両方の乳首に、クリームを乗せる。
「んぅっ! ……あ、は……。もぉ、こんなこと、したいなんて……ルーミアの……るーみゃの、えっち……」
「だってぇ、ケーキもてんこちゃんも、あまくて、おいしいからぁ……」
ルーミアの熱い息をこぼす唇が、わたしのお腹のあたりに近づいてきた。
ベッドに体を沈めながら、わたしは小さな唇からピンク色の舌が覗くのを、はぁはぁしながら見てた。
「ひぅんっ!」
ぺた、ってルーミアの舌がわたしの肌に触れた。
それだけでわたしは声を上げてしまった。
クリームをすくうようにして、ルーミアの舌がわたしのお腹のあたりを滑っていく。
「は、はぅ……あっ、あ……」
ベッドに背中を預けて、わたしは喘ぐ。
視線を下に下ろすと、ルーミアと目が合った。
ルーミアは、まんまるの目でこっちを見上げている。その目元が、ほんのり赤い。
「あまぁい……てんこちゃん、あまぁくて、すきすきー……」
うっとりした声で囁いて、ルーミアは小さな舌でクリームをぺろぺろ舐めた。
目を閉じて、ルーミアの舌と唇の感触に身を任せていると、クリームと一緒に体まで溶けちゃいそうな気分になってきた。
「あ……あ、はぅ、あぁ……」
わたしはもう無意識に声を我慢することもしなくなっていた。
開きっぱなしの口から、吐息と一緒にえっちな声をしきりに吐き出しながら、わたしはもぞもぞと身じろぎした。
「れる、れる、ちゅっ、れぅーっ……てんこちゃん、あまぁいよぅ……すきだよぅ……」
「もっと、いいよ……もっと、食べて……わたしのこと、いっぱぁい、ぺろぺろ、して……」
ちっちゃな子供みたいな、舌っ足らずの声で、ルーミアにおねだりしちゃう。
すごく、気持ちいい……。
「れる、ちゅ、ちゅぱ……ルーミア、きゅーんてするよぅ……てんこちゃんのかわいい声聞いてたらぁ……すきすき、とまんないよぅ……」
わたしのお腹の上で、ルーミアは切なそうな顔をしてる。
そんなルーミアの顔を見てると、わたしも、胸がきゅーってなる。
お腹のあたりから、ちゅっ、ちゅってキスしながら、ルーミアはわたしのお腹の上のクリームを舐め取っていく。
クリームが少なくなっていくたびに、わたしはすっかり熱くなった体を、ひくひくふるわせた。
「れるぅぅ~……っ」
「ひぅぅぅ……」
長く伸ばした舌が、おへそのあたりから胸のところまでのクリームをこそぎとっていく。
押し付けられたやわらかい舌が、あつぅい……。
その舌が、きゅーってかたくなってるおっぱいのさきっぽの方へ上がっていく。
あ、やだ……。
なんだか、ルーミアにちゅぱちゅぱしてもらえるのを期待してるみたいに、おっぱいのさきっぽ、きゅーってかたくなっちゃうぅ……。
「るーみゃぁ……」
お腹のあたりをぺろぺろしてるルーミアに、もうとろとろになっちゃってる声で呼びかける。
ちょっとだけ恥ずかしそうに目をそらしてからルーミアは、すっかりクリームがなくなったお腹のあたりにちゅってしてから、口を胸元に寄せた。
ルーミアは、ほんのすこしのおっぱいの膨らみの下の方に、優しくちゅーしてくれた。
「あぅんっ……るーみゃ、おっぱい、ちゅって、きもちい、よぉ……ひゃうっ!」
「んみぅ……」
そういうつもりなのかどうかなんてわからないけど、ルーミアはいちばん敏感になってる乳首には、すぐには触れなかった。
ちゅ、ちゅ、って、遠慮がちにおっぱいのふくらみを舐めてる。
「れろ、れろ、ちゅ、ん……てんこちゃぁん……ぷにぷにだよぅ……てんこちゃんのおっぱい、すきすきー……」
そんなに好きなら、一日中でもちゅぱちゅぱしてくれてたっていいけど、でも……。
「るーみゃ、るーみゃぁ……さきっぽぉ、ちくびぃ……」
「ふぇ……? あ……」
ルーミアは上目遣いにこっちを見て、また目をそらした。
目元をすっかり赤くしながら、ルーミアはこっちをちらちらと窺っている。
「な、に……? どしたの、るーみゃ……?」
「えぅ……だって……てんこちゃん……」
もじもじしながら、わたしの胸の上に顔を乗っけたまま、ルーミアは言った。
「だって……てんこちゃん、今、すっごくきもちよさそうで……かわいいお顔、してて……」
ぎゅってわたしの背中に手を回して、ルーミアは熱いほっぺたをわたしの胸に押し付けた。
残りの言葉が、わたしのむき出しの胸に吹きかけられた。
「だ、だから、ルーミア……それ見て……てんこちゃんのこと、また、すきに、なっちゃった……の」
「るー……みゃぁ……」
はぁー……って、熱い息をわたしの胸に吹きかけながら、ルーミアはこっちを上目遣いに見上げた。
「てんこちゃん、てんこちゃぁん……ぱっくんしてもいーい? てんこちゃんのおっぱい、ぱっくんしても……いーい?」
赤ちゃん言葉でえっちなこと言ってるのは自分のクセに、ルーミアはまた顔を赤くした。
……ルーミアがそんな、可愛い顔するもんだから、わたしはもう、まともに返事もできなかった。
さっきから、ルーミアにいっぱいちゅっちゅされて、もう何回かきもちよくなっちゃってたし……。
はぁはぁ言ってるだけのわたしの顔をじっと見つめて、返事を待ってるルーミア。
いつもなら、遠慮なしにしてくるのに。
でも、こういうルーミアも、好きだな……。
ふるふる頼りなくふるえてる両手を、ルーミアの方に伸ばす。
わたしがルーミアを抱き寄せたのか、ルーミアの方から覆いかぶさってきたのかは、もうわかんない。
「あぁ……んむっ」
「ひあ……」
大きくあーんって口を開けて、ルーミアはわたしの乳首を口に含んだ。
背中がベッドから浮いて、ルーミアの口に乳首を押し付ける形になる。
「んっ、んっ、ちゅぷ、ちゅっ、ちゅ……」
舌先が、敏感になってる乳首を弾くみたいにして舐めた。
ぴりって痺れるような刺激。
思わず背中がベッドから離れるくらいのけぞってしまった。
「てんこちゃん、きもちい? ぺろぺろ、きもちい?」
上目遣いで聞いてくるルーミアに、わたしはもうまともな言葉を返せなかった。
ひたすら、はぁはぁ喘いで、潤んだ視線を向けるのが精一杯だった。
「ふみゃ……」
ちゅ、ちゅって、優しくはだかの胸にキスしながら、ルーミアが小さく笑った。
なんだか、ルーミアの笑った顔、ひさしぶりに見たような気分……。
わたしはそのまま、ルーミアがおくちでしてくれてるのに体を任せていた。
「んっ、んっ、んくっ……ちゅぱ、ちゅっ……」
ちょん、ちょんって乳首にキスしたり、口の中でれろれろーってしたり、ちゅっちゅって吸ったり。
ルーミアがわたしに、いろんな事してくれてるのが、うれしい……。
全部きもちいいけど、吸ってくれるのがいちばん好き……かな。
うまく言えないけど、気持ちいいだけじゃなくって……いとおしい……って、いうのかな。そんな感じがする……。
赤ちゃんにおっぱいあげてるお母さんって、今気持ちなのかも。
手を伸ばして、ふわふわの金髪をなでると、ルーミアは恥ずかしそうに目を細めた。
黒いスカートに包まれたちっちゃなお尻が、かわいらしくふりふり揺れてる。
頭を撫でてた手を下に下ろして、お尻に触ると、ルーミアの細い肩がぴくんとふるえた。
でも、嫌がってる感じじゃなかった。
頭の時とおんなじに、そっとなでなですると、「みゃあ……」っていう声がおっぱいにかかった。
ルーミアの舌先が、やさしく乳首の上についたクリームを舐め取っていくのを、わたしは頭に霞がかかったみたいになりながら、ぼんやり見てた。
「はぅん……ん、ん……あ……きもちぃ……るーみゃ、るーみゃのぺろぺろ、きもちいいよ……」
もうとろとろにとろけた声でわたしがそう言うと、手のひらの下でルーミアの小ぶりなお尻がふるふるってふるえるのが分かった。
同時に、ぷにぷにの唇がわたしのおっぱいから離れて、「みゃぅ~……」って、あまい声を漏らした。
開いた口の中に溜まったクリームの塊から、舌先が覗いてる。
やだ……なんか、すごく、えっちだよぅ……。
そんなことを思ってたら、ルーミアが少し体を起こした。クリームを口に含んだままで。
そして、そっとわたしのほっぺたを両手で包んで……唇を重ねた。
「んぅーう……ちゅぱ、ちゅぱ、れちゅぅ……んっ、んっ……」
甘いクリームの味と、ルーミアの熱い舌の感触で、口の中がいっぱいになった。
頭の奥が、じーんってしびれるみたいになるのを感じながら、わたしは口の中のルーミアの舌に、自分の舌を絡めて、ちゅっ、ちゅって吸うのに夢中になってた。
口の中で、クリームとルーミアとわたしの唾液が、くちゅくちゅ混ざり合って、えっちな音、してる……。
「んぅーん、れちゅ、れるぅ、ちゅっ、ちゅく、ちゅく……」
鼻にかかった甘ったるい声といっしょに、ちっちゃな舌がわたしの口の中で、にゅるにゅるってぇぇ……。
もぉ、だめぇ……。
ぜんぶ、ぜんぶ、きもちいいぃ……。
からだが、びくん、びくんって跳ねるのが、抑えられない。
甘くて熱い息がほっぺたにかかって、びくん。
指先が、つんつんになっちゃってる乳首を不器用にいじって、びくん。
舌先が絡み合って、びくん。
クリームと混ざり合ってシロップみたいに甘くなった唾液を飲み込んで、びくん。
きもちよくなるの、とまんないぃ……。
そういうのが、ぜんぶまぜこぜになって、流れ込んできて……ああぁ……。
くるのぉ……きもちいいの、くるのぉ……びくんってしちゃうの、びくんするのぉ……!
「んんんー……っ、んぷぅっ、んにゅぅぅぅー……っ」
ぎゅっとまぶたを閉じて、快楽の波に押し流されそうになった瞬間……さきにルーミアの体が、断続的にびくびくーってふるえた。
ちゅーしてるままだったから、ルーミアの声はわたしの口の中に流し込まれるみたいになった。
抱きしめた体は何秒間かふるえて、そして糸が切れたみたいに、がくって力が抜けた。
口に含んでたルーミアのちっちゃな舌がちゅるんってわたしの口から抜け落ちて、裸の胸にぽたぽたよだれが垂れた。
「あ……っ、あっあ……あー……は、ひゃぁ……」
わたしの上に体を投げ出して、ルーミアは体をひくひくふるわせてる。
え、ちょっと……?
慌てて顔を覗き込むと、ルーミアはうるうるになった目でこっちを見上げてた。
息が上がってる。はぁはぁ息をこぼしてる唇の端っこから、とろってよだれまで垂れてて……。
「るー、みゃ……? もしかして……」
「やぁぁん……! ゆっちゃやだぁ……」
目をうるうるさせながら、ルーミアがかぶりを振る。
いっちゃってる……んだ。
わたしのおっぱい、ちゅぱちゅぱしながら、きもちよくなっちゃってるんだ……。
「うれしいよ、るーみゃ……」
そう言いながら、わたしは中途半端にまくれ上がってたスカートをもぞもぞ脱いだ。
「るーみゃが、わたしで、きもちよくなってくれてるの、うれしいよ……わたしも、ほらぁ……」
片足にスカートを引っ掛けたまま、わたしは足を開いて……いちばん恥ずかしいトコ、見せた。
もぉ、とろとろに濡れちゃってる、わたしの、おまた……。
ぱんつずらして、中、奥までぇ……。
「てんこ、ちゃぁん……てんこちゃぁぁん……!」
ほとんど倒れ込むみたいにして、ルーミアはしゃがみ込んで、わたしのそこに顔をうずめた。
「ひぃうぅ……! あんっ、あ、あ、るーみゃ、るーみゃ、るーみゃぁ……!」
からだの中でいちばん敏感なところに、ルーミアの唇が触れてる。舐めてる、吸ってる……愛して、くれてる。
まくれ上がった黒いスカートからのぞく、白いショーツに包まれたかわいいお尻をふりふりしながら、ルーミアはわたしのいちばん恥ずかしいところを、いっぱいちゅぱちゅぱしてくれる。
わたしのそこに口をつけたまま、ルーミアはスカートと上着をもどかしそうに脱いで、下着姿になった。
じっとりと汗で濡れたキャミソールの胸のあたり、つんってかたくなってるさきっぽが透けてて、えっち……。
「んぷぅっ、んちゅっ、ちゅうぅっ、あむっ、れろれろぉ、れるぅぅっ……」
「あっ、あっ、あっ、おくっ、おくっ、おくぅぅ……るーみゃっ、るーみゃぁぁっ……!」
あついのが、あついのがぁ、入ってくるよぉぉ……。
ルーミアの舌が、わたしのナカ、ぺろぺろしてるぅぅ……!
奥まで入って、とろとろのおつゆ、ちゅーって吸ってぇ……。
目が霞んできて、何も見えない。頭の中、真っ白……。
それなのに、ルーミアの唇と舌の感触だけが、焼け付くみたいにはっきりしてる。
好き、って言葉にする代わりに、ルーミアはわたしのそこをいっぱい愛してくれる。
「はひぃぃっ、ひぁ、ああーっ、あーっ、い、きゅ、びくんしゅるの、しゅごいびくんくるのぉ、びくんにゃのぉっ」
「んぢゅぅぅっ、れじゅぅっ、ちゅうっ、れろれろぉ、はぷぅぅっ、ちゅーっ……!」
「んひぃぃぃっ!? らめらめらめぇぇぇっ、そこらめ、くりとっ、りしゅぅぅ、ちゅーらめ、あーっあーっあっあっあ……!!」
見えない糸で持ち上げられたみたいに、腰が跳ね上がって、おもらしみたいに、おつゆ、びゅーっって……。
もう、なんにもわかんない。
でも、倒れ込んできたルーミアの熱い吐息だけは、気を失うまで感じてることができた。
二人で入ったお風呂から上がるまで、わたしたちは一言も話さなかった。
その必要が、なかったから。
お風呂の中で見つめ合って、ちょっと照れたふうに笑い合って、ほっぺにちゅってしたりして。
そういうのが、すごく嬉しかった。
なんていうか、コイビトとして、一歩前進した、みたいな? へへへー……♪
ルーミアも、なんだか変わった気がする。ちょっとオトナになった、っていうか。
タオルでお互いの身体を拭いたわたしたちは、なんとなく裸のままベッドに戻ってきた。
当然ベッドの上は、ぐちゃぐちゃになっちゃったシーツも、抜き散らかした服もそのまんまになってる。
……な、なんか生々しーなぁ。
さっきまでここで、わたし、ルーミアと……えっち、してたんだよね……。
ルーミアの方をちらっと窺ってみると、ルーミアもおんなじことを考えてたみたい。
「……てへへ」
顔を赤くして照れ笑いするルーミア。
わたしもおんなじように笑った。
わたしたちは裸のまんま、ルーミアが来た時とおんなじようにベッドに腰掛ける。
今度はルーミアは、わたしの腕に両手でぎゅってしがみついてくれた。
お風呂上がりのルーミアのぬくもりが、幸せ。
「ね、てんこちゃん」
ルーミアは、しがみついた腕にほっぺたをすりすりしてる。
そんなルーミアと肩を寄せ合って、わたしは次の言葉を待つ。
「……へへー♪」
ルーミアは結局なんにも言わずに、笑っただけだった。
それがすごく嬉しくて、わたしはルーミアのまだしっとり湿った金髪を抱き寄せて、額にキスした。
それだけじゃ足りなくなって、ほっぺたにもちゅー。
それでもやっぱり足りなくなって……ってちゅーしようとしたら、なんにも言わないのに、ルーミアはそっと目を閉じてかわいく唇を突き出してくれた。
「……ん、ちゅっ」
たったそれだけで、胸がいっぱいになった。
どちらからともなく、両手を伸ばして抱き合う。へへへ、あったかいなー……。
「てんこちゃん……」
「ん、なぁに……?」
ルーミアはちょっと照れたふうに、小首をかしげる
「もっかい、する……?」
「ん……今日はもう寝よ。シーツも取り替えないといけないし」
それもいいかな、って思ったけど、ちょっと疲れちゃってたし、まったりしたかったからそう言うと、ルーミアは「うん」とだけ答えた。
それからわたしたちは、二人でシーツを取り替えてベッドを整えた。
作業してあいるあいだも裸のまんまだったのが、なんだかイケないことしてるみたいでちょっと楽しかった。
気になって、横目でルーミアの裸ちらちら見てたら、また目が合っちゃった。
だって、ルーミアのぺたんこのおっぱいとか、ちっちゃなおしりとか、可愛いんだもん。
とか思いながら脱ぎっぱなしの服をたたんでたら、ルーミアがわたしの上着を手に持ってなんだか考え込んでるような顔してる。
「ん? るーみゃ、どうしたの?」
そうわたしが聞くと、ルーミアは「にへっ♪」って笑って……わたしの上着をもぞもぞと着始めた!
当然サイズは合ってないのでぶかぶかになってる。
「えへへへー、ぶかぶかー♪」
すっかりいつもの調子といった感じで、ルーミアは余った袖をぷらぷらさせながらきゃらきゃら笑ってる。
そして、袖を鼻のところに持ってきて、くんくんし始めた。
「えへへ……てんこちゃんの匂いがするぅ……♪」
「……もぉ、ばかっ」
裸でいるっていうのに、全身がかっと熱くなった。
その熱くなった体に、ルーミアはぎゅーっと抱きついてきた。
無邪気そのものの顔で、ルーミアは笑う。
「てんこちゃんっ、すきすき、だーいすき!」
前言撤回。
ルーミアはやっぱりルーミアのまんまだ。
ビックバン編が是非見たいですね。というわけでリク希望です。これ書くの忘れてたのでもう一回コメします。すみません。
るーみゃ(平仮名可愛い が、かわいいんだな!
次回楽しみにしてます。私もビックバンでっ!