※はじめに
この作品は、作品集22「はじめててんこちゃん」の続編になっております。
単品でもお楽しみいただけますが、前作も合わせて読んでいただけるとファブリーズしてもゼンゼンだめなくらいしあわせみるくがでちゃうのおおおおほおおおおおお
それではお楽しみください。
「てーんこちゃーん!」
「だからてんこってゆーなっての。そんなに大声出さなくても聞こえるって」
わたしが用意したお弁当を持って待ち合わせの場所の河へ続く道にに着いたときには、ルーミアは先にいて、わたしを見つけるとぶんぶん手を振りながら駆け寄ってきた。
こないだルーミアと約束したとおり、わたしは……その……ルーミアとデートすることにした。
ルーミアは食いしん坊だから、お弁当でも作っていってあげたら喜ぶだろうなーって思って、柄にもなく料理なんかしちゃった。
教えてもらおうと思って衣玖に恥を忍んで頼んだら、なーんかやたら生暖かい目で見られてハラ立ったけどまあいいや。
ルーミア、喜んでくれるかな……。
「じゃ、さっそく出発……ってうわあ!?」
「てんこちゃーん!」
いきなり飛びついてきたルーミアに、わたしは危うく倒れてしまいそうになる。っていうかこの子、ことあるごとに抱きついてきて、その……うれしいけど、恥ずかしいからやめろっての!
「危ないわね! いきなり飛びついてこないでよもう……」
「えへへー♪ すりすりー、ちゅっちゅー♪」
「きゃあ!」
ルーミアはやわらかいほっぺたをすり寄せて、わたしのほっぺたに何回もキスしてきた。さっき抱きつかれた時はなんとか我慢できたけど、もうわたしの顔は真っ赤になってしまった。
「こ、こらあ……! いきなりなにするのよう……」
どなりつけてやろうと思ったけど、うううー……なんか語尾が尻すぼみに……。
「えーだってー、てんこちゃんとデートするのずーっと楽しみにしてたんだもん!」
『宵闇の妖怪』なんて二つ名とは正反対のぺかーっと輝く笑顔で、ルーミアは笑う。
かわいいなーって、思った。あと、好きだなー……って。
と、このまま抱きつかれてたらほんとに倒れてしまいそうだったから、わたしはルーミアを引っぺがした。
「もー、早く行くわよ。お弁当冷めちゃうでしょ」
「わーい、おべんと! おべんと!」
相変わらず単純なヤツだ。ルーミアはぴょんぴょん跳ねながら先に行ってしまった……と思ったら、てててーっと戻ってきて、わたしの手を取った。
「ほらほらぁ、てんこちゃんいっしょに行こうよーう」
「あーもー、分かったから引っぱらないでよもう……」
そんな感じでわたしはルーミアに手を引かれて引っぱられていった。
つないだ手が、あったかかった。
「へー、地上にもなかなかいいところあるじゃない」
「でしょでしょ!」
ルーミアがわたしを連れてきたのは、妖怪の山のふもと辺りにある河だった。
ずっと上流のほうは滝になってるらしいけど、ここには滝の音は届かず、静かだ。
河に沿って大きな木がずらりと生えていて、茂みで太陽の光がちょうどいい具合に遮られて涼しいし、木漏れ日もきれい。
天界にも景色のいいところはたくさんあるけど、ここも悪くない。
「今くらいの時期だとね、水浴びとかしてるんだ。河の水が冷たくてきもちいいの」
「ふーん……あ、魚もいるのね。けっこうでっかいなあ」
「おいしそーだよね!!」
「……あんた食べることばっかよねなんか。ああ、食べるといえばほら、目的地に着いたことだしさっそくお弁当食べましょ」
「わーい! おべんと! おべんと!」
はしゃぐルーミアに、思わず私も笑みがこぼれた。
……だけどここでひとつ問題が。
そう、お弁当のできばえだ。
自慢じゃないけどわたしはとーぜん料理なんかしたことない。
で、今日のために一念発起、衣玖の生暖かい視線にさらされながら、なんとか自力でお弁当を作ることができた。
味見はした。自己評価は及第点。見た目もよし。
それにまあ、ルーミアのヤツはあんまり味とか気にするタイプでもないっぽいし。ていうか、食べられればなんでもいいんじゃないのこの子。初めて会ったときもいきなり食べられたし……。
でも、せっかく食べてもらうんだから、おいしいものを食べさせてあげたいし、喜んだ顔、見たいし。
あーヤバい、なんか意識したら緊張してきた~……。
期待……というか食欲に目をらんらんと輝かせるルーミアの前で、わたしは恐る恐るお弁当の包みを広げる。
「ふわあ~……」
ため息……とよだれをこぼすルーミア。まず見た目はOKだ。
ちなみにお弁当の中身は、いたってオーソドックスに、おにぎりに玉子焼き、ミートボールにほうれん草のおひたし。
もっと難しいのに挑戦してもよかったけど、わたしは謙虚な天人なのでまずは初心者向けのから。
「どお? おいしそうでしょ? ほら、さっそく食べましょうか」
「うん!」
ルーミア、満面の笑顔。うふふ、うれしいなー。
ルーミアはちょっとおかしな端の使い方で玉子焼きを口にする。
反応が気になって、わたしはルーミアがもぐもぐしてるのをじっと見つめてた。
ちっちゃな口で玉子焼きを食べてるルーミアは、なんだか小動物っぽくてむやみにかわいい。ほっぺたが緩んでしまう。
我慢できなくなって頭を撫でてやると、ルーミアはうれしそうに目を細めた。
こくん、と喉を鳴らしてルーミアは玉子焼きを食べ終えた。
食いしん坊の妖怪は、すぐには何も言わなかった。よく見ると口元がむにゅむにゅむにゅ~って波打ってる。なんか余韻に浸ってるっぽい……?
「お……」
「お?」
何を言うつもりだろう?
やっぱり普通に「おいしい」かな。
それとも……ま、まさか「お嫁にして」!?
も、もしかしたら「お嫁に来て」!?
や、やぁらめぇ! いきなり(籍を)入れちゃらめなのぉ!
……とかくねくねしてたら、ルーミアが続きを口にした。というか叫んだ。
「おかみをよべー!!」
「……はい?」
え……と、言ってることがよく分からないけど。
まあ喜んでくれてるってのはよく分かった。
「なんだかよく分かんないけど、ちゃんとおいしかった?」
「もごもがぐもごもーご!」
「なにその空気入れすぎた風船みたいな顔……。のど詰まらせちゃうでしょ。はいお茶」
「んくんくんく……ぷはぁー! おいしー! しあわせー!」
「気に入ってもらえたみたいで一安心だわ」
「ねーねー、てんこちゃんもいっしょに食べよ?」
「そうね。じゃ、いただきまーす」
外で食事をするなんてこれがはじめてだった。食べてるものは別に特別なものじゃないのに、外でルーミアと食べてるってだけでなんだか特別な感じ。
風が周りの木々をさわさわと揺らす音が涼しげで、心地よかった。
隣でおいしそうにお弁当をぱくぱく食べてるルーミア。なんだかそれだけでおなかいっぱいって感じ。
自然に笑みがこぼれてくるのが分かった。
えへへ……また、はじめてだ。
料理なんかしたのも、誰かのためにお弁当作ったのも。
ルーミアといると、いっぱい、はじめてがある。
そんなことを思いながら、わたしもお弁当を食べる。
昨日味見したときより、なんだかおいしい気がした。
「ねーねーてんこちゃん」
「んー? なーに?」
「あーん♪」
「うひぇっ!?」
玉子焼きを一切差し出すルーミア。
のけぞるわたし。
忘れてた。コイツこういうことを平気でするようなヤツだったんだ……。
どどどど、どうしよう。
とりあえずあたりには人影はない……はず。
「ほらぁ、てんこちゃん、あーん♪」
「う、うぐ……っ」
ダメだ。逃げ場なし。ううう……でも、誰も見てなくてもこれは難易度高すぎる……っ!
「んー、じゃあ、こうしよう!」
「へ?」
とか言うとルーミアは、差し出していた玉子焼きをぱくっとくわえて、
「んー♪」
「ひぎぃっ!?」
難易度上がったーっ!?
ヤバい。これはヤバい。
このままほっといたらもっと難易度上がって無理ゲー化してしまう……!
わたしはむりやり覚悟を決めて、ぎゅーっと目をつぶった。
そしてすっごくマヌケっぽい感じに大口開けて、ルーミアに顔を近づける。
恥ずかしいのと緊張とで、もう頭の中が湯だってるみたいだった。
「はぁ、む……ん」
湯だった頭で、わたしはなんとかルーミアのくわえた玉子焼きを食べた。
砂糖の量は間違えてないはずなのに、なんか……甘い?
もぐもぐごっくんと玉子焼きを食べ終わっておそるおそる目を開けると、すぐそばにルーミアの顔があった。
「にへへー」
「な、なによぅ……ニヤニヤして……」
「えへへへ……なんか、うれしいなーって」
いつもの無邪気で無遠慮なルーミアの笑顔。でも、ちょっとだけほっぺたが赤いような気がした。
ルーミアも、照れてるのかな……。
ルーミアもわたしとおんなじように照れてるのかなって思ったら、わたしもなんだかうれしいような気がした。
なんだろ、二人でおんなじ気持ちになってるから……かな。
こんなことを考えるのも、やっぱりはじめてだった。
そのことが妙にうれしくなって、わたしは思わずとんでもないことをしていた。
「ね、ねぇ、ルーミア」
「ふぃ?」
「ほら……んっ」
わたしはついさっきルーミアがやったみたいに、玉子焼きを一切れくわえて、ルーミアの方に差し出したのだ!
そうやってから思い出したみたいにわたしの顔は一気に熱くなってきた。ほっぺたがじんじんする。
さっさと目をつぶってしまったから、今ルーミアがどんな顔をしているかは分からない。
でも、なんだか雰囲気で、ルーミアが顔を近づけてくるのは分かった。
「あーん、はみっ♪」
「ん……!」
ぱくっとルーミアが玉子焼きをくわえた拍子に、唇がちょっとだけ触れた。思わず声が出てしまった、と思ったら、まるで不意打ちみたいにルーミアがもう一回顔を近づけて、ちょんっとわたしの唇にキスをした。
びっくりして目を開けると、ルーミアはわたしのすぐ目の前でにへーっと笑ってた。
「にへ……おいしー」
「も、もぉ……」
すっごく恥ずかしくなって、わたしはぷいっとそっぽを向いた。なんかもうルーミアのやつ、いちいち恥ずかしいことするんだから……。
そっぽを向いて、ちらっと横目でルーミアの方をうかがうと、ルーミアはもう残りのお弁当を平らげてしまっていた。
「ごちそーさまでしたっ!」
元気よく手を合わせると、ルーミアは大満足ですといわんばかりのぺかーっとした笑顔になる。
「お粗末さまでした」
色気より食い気ってのはこのことよね……と、わたしは苦笑しながら返す。
でも、ルーミアはホントにうれしそうで、苦労した甲斐があったなあって思った。
誰かのために何かをするのなんて、多分これがはじめてだったけど、意外と悪くないじゃない。
「すっごくおいしかったよ。てんこちゃんありがとー!」
「ふふん、当然よ。このわたしが腕によりをかけたんだからねっ」
「んー、わたしもなんかお礼したいなー。てんこちゃん、なにがいい?」
「じゃあちゅーさせなさいちゅー」
「わかったー。んーっ」
「……はぇ?」
わわわわたしは今ナニを口走ったですかっ!?
ルーミアはあっさりOKして、目を閉じて手を後ろに組んでんーってかわいく唇を突き出してスタンバイ状態っ!? なんでそんなあっさりなのアンタ!?
そしてなんで勝手にルーミアの両肩ホールド済みなのわたしっ!?
ヤバい……事態はすでに最終フェイズに突入しており中止するには時すでに時間切れ……!
ルーミアはかるく目を閉じたまま、わたしのキスを待っている。
そのちっちゃな唇が、やけに色っぽく見えた。ルーミアって、見た目はまるっきり子供で中身も子供なクセに、ときどきはっとするくらい色っぽく見えることがある。
ルーミアの、口紅なんて引かなくてもきれいなピンク色の唇。ちょっと赤くなったほっぺた。
はぁ……って、ため息がこぼれた。すごく、どきどきしてきた。
わたしは見えない糸に引かれるみたいに、ルーミアに顔を近づけていく。
目を閉じる。
最初は、ほっぺた。
唇が触れるとルーミアは、小さく声を漏らした。
手で触れるのとはぜんぜん違った感触。すべすべで、やわらかくって、甘い香りがする、ルーミアのほっぺた。
何回も、ちゅ、ちゅって、わたしはルーミアのほっぺたにキスをした。
そうしていると、なんだか胸のなかがふわーって熱くなってきた。
いったんほっぺたから唇を離して、今度は唇に。
もう何回も触れた唇だけど、いつもルーミアとキスするときはどきどきする。
ちょっと濡れてて、ぷにぷにしてる。唇からもれた息が、わたしの唇に当たる。あつい、あまい……。
わたしは唇を離すのがなんだかもったいなくて、触れ合わせたまま目を閉じて、キスの感触を味わっていた。
肩に回してた手がルーミアの背中に自然と伸びて、小さな体を抱き寄せた。
合わせたまんまのルーミアの唇が、微笑みの形になったのがはっきり分かった。
ルーミアもわたしに合わせるみたいに、わたしの首に手を回した。
ちょっとだけ唇を開いて、口付けを深くする。
舌先に、ルーミアのそれがちょんって触れた。それからルーミアは子猫みたいに、触れたわたしの舌を口の中でぺろぺろ舐めた。
「んぅ……んむ……」
鼻にかかった声を漏らしながら、私も応じた。
上手いのかどうかなんてわたしには分からないけど、ルーミアのキスは……気持ちよかった。唇を合わせているだけで、安心する感じがした。
唇を離すと、顔のすぐ近くでルーミアが笑ってた。
わたしもにこっと笑い返して、もう一回顔を近づけた。
ルーミアの上唇を、自分の唇で挟む。
ルーミアがちょっと声を上げたけど、嫌がってる風じゃなかった。
キスのやり方なんて唇を合わせるくらいしか知らないけど、どうにかしてルーミアにわたしとおんなじように気持ちよくなって欲しくて、わたしはいろんなやり方を試してみた。
唇を舌で舐めたり、ちょんちょんつついてみたり。
でも結局は、ぎゅーって抱きしめて、いっぱいキスするのに落ち着いた。
何回もキスをして、わたしは唇を離す。
ルーミアはぽーっとした顔をしていた。たぶん、わたしも。
お互いに何も言わず、じーっと見つめあってた。
「てんこちゃん……」
先に口を開いたのはルーミアだった。顔と一緒でその口調もどこかぽーっとしてた。
「な、なに……?」
「今のちゅー……なんか、んと……」
いつもあけすけなルーミアには珍しく、その先の言葉を言うのをためらってるみたいだった。もしくは、なかなか適当な言葉が見つからないって感じだった。
ちょっともじもじしながら、ルーミアは上目遣いにこっちを見上げて、言った。
「えと……コイビト、っぽかった……」
コイビト。
こいびと。
……恋人。
その言葉だけで、顔だけじゃなくて、全身がかっと熱くなったのが分かった。
ルーミアと、わたし……が。
そう言ってくれたルーミアになにか言ってあげたくて、でもなにを言っていいのか分からなくて……わたしは「あ」とか「う」とか、中途半端な声を上げるだけだった。
二人して、真っ赤な顔して、見つめあって……。
「きゃーん♪ ふみゃー、なんかはずかしいよぅーっ」
そんなことを言いながら両手を赤くなったほっぺたに当ててやんやんしているルーミアがおかしくて、かわいくて。
わたしはもう一回、ルーミアを抱きしめてキスをした。
コイビトの、キス。
そっと唇を離すと、わたしとルーミアの間に、二人分の吐息が混じって消えた。
「ねぇ……てんこちゃん」
どこか甘えるような口調で問いかけてくるルーミア。
わたしは目顔で続きを促す。
いつもかなり恥ずかしいセリフを遠慮なしに言うクセに、今のルーミアは恥ずかしそうにもじもじしてる。かわいいなー……。
「ん、とね……ルーミアと、てんこちゃんは……コイビト、なのかな……?」
おいやめろ馬鹿、わたしの理性は早くも終了ですね。
上目遣いにそう言うルーミアに、わたしは思わずキスをしていた。
「ばか。恋人じゃなかったら、こんなことするわけないでしょ……」
いつも何かをやってしまってから、急に恥ずかしくなる。今も自分のやったこと言ったことが恥ずかしくなって、わたしはぷいっとそっぽをむいた。
恥ずかしかったのと、そのままルーミアのこっちをまっすぐ見上げる目を見てると、なんだか引き込まれそうで、ちょっと怖かったから。
今ごろになってルーミアの口にした「コイビト」って言葉がわたしの胸の中で溶け始めて、薬が効いてくるみたいにわたしの体の中にじわーっと染み込んでくる感じがした。
わたしはそっぽを向いたまま、言葉を続けた。
「その……ルーミアが、さ」
「んみ……?」
「ルーミアが、そう思ってくれるなら……わたしのこと、その……こ、恋人って思ってくれるなら、思ってもらえるなら……わたしは、すごく、うれしいよ」
言ってる間にも、薬がすごい勢いで回ってきた。顔どころか、耳とか首筋まで真っ赤になってるんだろうな、わたし。
しばらく、沈黙。
ちらっとルーミアの方をうかがうと、ルーミアも顔を赤くしてた。
いつも無邪気に、平気でキスしたりくっついたりしてくるルーミアが、「コイビト」って言葉だけでこんなに顔を赤くしてる――。
こんなルーミア、はじめて。
はじめての、ルーミアだった。
「えへ……そーなのかー……」
小さな声でそう呟いて、ルーミアは抱きついてきた。
待ち合わせしてたときみたいに飛びついてくるんじゃなくて、ゆっくり手を伸ばして、ぎゅう……って。
ルーミアの体温や体の柔らかさがよく分かった。
わたしはその感触やぬくもりをもっと味わいたくて、ルーミアのちっちゃな体を抱きしめる腕に力を込めた。
「てんこちゃん、くるしいよ……」
ルーミアがどこか優しげな声で文句を言う。
「コイビトなんだから、ちょっとくらいがまんしなさいよ」
そう言ってわたしは、ルーミアを抱きしめ続けた。
「ねえねえ、てんこちゃん」
「なぁに?」
しばらくして、わたしの腕の中にいたルーミアがぴょこんと顔を上げて言った。
「水浴びしない? ふたりで」
「水浴び? ん、でも水着とか持ってきてないわよ?」
「えー、脱いじゃえばいいよぅ」
「ぬ、脱いじゃえばって……」
わたしがためらっている間に、ルーミアは腕の中からするりと抜け出してしまった。
「だぁってー、てんこちゃんがぎゅーってするから、熱くなっちゃったんだもーん!」
そう言いながらルーミアは、遠慮なしに服を脱ぎ始めた。
首もとの赤いネクタイを無造作に抜いて、黒いベストとスカートを脱いでしまった。
「ちょ、ちょっと……!」
唖然としているわたしの目の前で、ルーミアは白いブラウスも脱いで、キャミソールとショーツだけの姿になった。
ルーミアの裸を見るのは、まぁその……これが初めてじゃないけど、こんな真っ昼間で、しかも外でなんて……。
下着姿でこっちを見ているルーミアの金髪と白い肌が、日差しを反射してとってもきれいだ。ちょっと見とれてしまうくらい。
手足は細くて幼いかんじだけど、どこか艶めいたものがある。
かわいいだけじゃなくて、きれいだなって、思った。
あのときは、その、夢中であんまり覚えてないけど、ルーミアはこんなにきれいなからだをしてたんだ……そんなことを、わたしはぼんやりと思った。
「てんこちゃーん! はやくはやくー!」
ルーミアはキャミソールのすそを翻しながら河の方へ駆けて行き、
「ふみゃー!」
ばしゃーん。
見事にすっ転んで顔面から河に突っ込んだ。うわぁ痛そう……。
「こけたー!」
水面からにゅっと顔をつき出してけらけら笑っているルーミアに、わたしは思わず噴出してしまった。
「あははは、なんであんなそんなにうれしそうなのよ」
「えへへー。ほらぁ、てんこちゃんもー!」
「まったく、しょうがないわね……」
そう言いながらわたしは、まだちょっと恥ずかしかったけど、ルーミアと同じように服を脱いで下着姿になった。
もちろん、外でこんなかっこうになったのなんてはじめてだ。
でも、風が肌に直接当たる感触は気持ちよかったし、ルーミアと一緒に外でこんなかっこうになってるっていうのでこ、なんだか興奮するっていうか……うまく表現できないけど、そんな感じだった。
恐る恐る水面に足を入れる。
裸足には河の水はけっこう冷たい。
流れる水の感触がくすぐったい。
直接地面を踏むことなんてほとんどなかったむき出しの足の裏に、川底の小石が当たってちくちくする。
足を河に入れたって、たったそれだけの事にけっこう感動してしまった。
しゃがみこんで水面を指先でかき回すと、波紋が円を描いてたゆたっていく。
「ふわーあ……」
そんな声を漏らしてしまうほど、今の感触、今の光景はわたしにとって新鮮なものだった。
とか感動していると頭からばしゃー。
「にゃははー♪ てんこちゃんびしょびしょー!」
「おいィ……? わたしが感動にひたってるときに……ってわけでとりゃー!」
「みゃー!」
わたしがお返しに水をかけてやると、ルーミアも頭からびしょびしょになってけらけら笑った。
ばしゃばしゃ跳ねる河の水がきらきら光って、とってもきれい。
わたしたちはずぶぬれになりながら、子供みたいに水をかけあって遊んだ。
ルーミアと一緒に笑いながら、わたしはこんな風に遊んだことが今までなかったなあ、と、頭の隅っこの方で思った。
うれしいな……自分でも驚くくらい素直な気持ちでそう思った。
と、はしゃいでいたルーミアがバランスを崩し、わたしの胸に飛び込んできた。
「にゃは、ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな。足もつれちゃった」
「もおっ、あんたはいっつもはしゃぎすぎなのよ」
わたしはちょっと疲れて、草に覆われた川岸に背中を預けて川底に腰を下ろした。
河の水かさはそんなにないので、座っても水はお腹のところくらい。
そうすると、ルーミアも一緒についてきて、わたしの胸の中に納まった。
濡れた薄い下着越しに感じるルーミアの体温は、水に漬かっているせいか、いつもよりあつい気がした。
「あ……?」
ぎゅっとくっついたルーミアの胸の辺りに、つんとかたい感触が合った。
小石でも挟んじゃったのかな?と一瞬思ったあとで、わたしはその正体に思い当たった。
ルーミアは自分じゃ分かってないっぽい。きょとんとした顔でこっちを見ている。
「んみ? どしたの?」
「ルーミア……おっぱい、かたくなってる……」
わたしがそう言うと、ルーミアはちょっとうつむいて顔を赤らめた。
「こ、これは……河の水が冷たいせいだもん……。てんこちゃんのえっちー」
「な、なによぅ、いきなり脱いじゃったくせに、今さらそんなこと言うのっ?」
わたしたちはしばらくにらみ合って……どちらからともなく吹きだした。
「えへへー……」
「ぷ、あはは……」
笑いながら、わたしはいつの間にか手を伸ばしてルーミアを抱き寄せていた。
密着したルーミアの肌の感触は、わたしにあのときのことをいやおうなしに思い出させた。
急に、今自分がルーミアと裸同然で抱き合っていることを強く意識して、わたしは鼓動が早くなるのを抑えられなかった。
鼓動だけじゃない。
熱い息が半開きの唇から漏れて、ルーミアを抱き寄せた手の指先がふるえる。
「てんこちゃん……」
「っ!」
ルーミアが、わたしの胸元から上目遣いの視線を投げてきた。その視線が、とろんと潤んでいる。
わたしはなぜかはっきりと、ルーミアが今、わたしとおんなじようにあのときのことを思い出してるって分かった。
わたしとおんなじように、あのときのこと思い出して、どきどきしてるんだって、分かった。
だめ。がまんなんて……できなかった。
「る、ルーミアっ……」
何日も水を口にしてない旅人がコップ一杯の水を必死に求めるみたいな、すごく強いルーミアへの感情に突き動かされて、わたしは一気にまくし立てた。
「わたしっ、わたし、ルーミアに触れたいっ、いっぱいさわりたい! たくさんキスして、ぎゅーってしたい! だから、だから……っ!」
きょとんとしていたルーミアが、ふにゃっと笑った。
笑って、わたしのほっぺたをちっちゃな手で包んだ。
「うん、わたしも」
いつもみたいにあどけない口調の中に、ほのかに熱がこもっていた。
「てんこちゃんにいっぱいしてほしい……な。てんこちゃんと、コイビト、したいな……」
そう言ってルーミアは、そっとわたしにキスをした。
ルーミアが言った、「コイビトっぽい」キスだった。
ルーミアの唇がゆっくり触れてくる。「ん……」って声が漏れる。
――泣いてしまいそうなくらい、あまいキス。
唇を離す。
ちゃぷん、と水面を揺らしながら、ルーミアは膝立ちになる。
そのルーミアのほっぺたに、わたしは手を伸ばした。
柔らかいほっぺたが、ほんのり赤くなってて、あつい。
ルーミアはくすぐったそうに目を細めている。
「みぅん……」
子猫みたいな声を漏らして、ルーミアはきゅっと肩をすくめた。
「えへへ……ルーミアのほっぺた、ぷにぷにでやわらかーい……」
わたしは指先で、額に張り付いたルーミアの髪の毛をひとふさ払いのけて、ちゅっとキスした。それからほっぺたにも。
ルーミアの小さなからだ中に、いっぱいキスしてあげたい。あのときわたしに、そうしてくれたみたいに。
わたしはほっぺたに触れてた手を、下に下げていく。
ルーミアの、胸。ぺったんこだけど、かわいい胸。
水に濡れて透けたキャミソール越しに、ルーミアのピンク色の先っぽが、つんと固くなっているのが見えた。
なんか、えっちだな……。
そっと手のひらをあてがうと、ルーミアがぴくんと肩を跳ねさせた。でも、嫌がってるみたいじゃなかった。
「んみぅ……さわって、てんこちゃん……ルーミアのおっぱい、さわって……?」
「うん……や、優しく、するから……」
指先で固くなったさきっぽに触れると、ルーミアはかすかに息を吐いた。
薄いキャミソールの生地を押し上げているルーミアのさきっぽを、くにゅ……って指先でこねるみたいに触る。
「みぁ……くすぐったぁい……」
「き、きもち……いい、かな?」
おもわずそう聞いてしまうわたしに、ルーミアはとろんと微笑んだ。
「うん、きもちいいよ……てんこちゃんの指、きもちいいよ……」
うっとりした感じに呟くルーミア。もっとしてあげたい、って思った。
あのときのルーミアも、こんな気分だったのかな……。
ぎゅっと先っぽに当てた指先を押し込んでから指を離すと、ぴょこんと元に戻る。
「あはは……ルーミアのおっぱい、なんかかわいいなー……」
今度は指先でそっとつまむ。
キスとおんなじで、誰かのおっぱいをいじるやり方なんてわたしはなんにも知らない。
だから、いろんなやり方をしてみたい。ルーミアのこと、もっと、もっと、きもちよくしてあげたい。
「ね、これ、きもちいい……? こうやって、つまんで、くりくりってするの……」
「ふみゃあ……きもちいいよぅ……きもちいいからぁ……もっと、してぇ……」
甘えた声でおねだりしながら、ルーミアは自分の手をわたしの手に重ねた。
ほとんど力が入っていない、ちっちゃな手。
わたしは頭の中がぼわっと熱くなったのを感じた。
求めて、くれてる……。
うれしくなって、わたしはルーミアの胸をいじりながらキスをした。
口の中でルーミアの漏らす吐息が溶けて、胸の奥にしみこんでいく。
目を向けなくても、触れた唇の感触と吐息で、ルーミアがどんな顔をしているのか、どんな風に感じているのか、よく分かった。
なんか、見なくても分かるっていうのが、コイビトっぽくて、しあわせ。
ちょっといたずら心が湧いて、指でつまんださきっぽをきゅっと引っぱってやる。
「んんー……」
口に含んだルーミアの舌がふるえる。感じてるんだ……わたしの指で。
自分がだれかとこんなことするなんて、今まで考えたこともなかった。しかも、こんな外でだなんて。
でもそれが、とても特別な事に思えて、ちょっとした優越感みたいなものを、わたしは感じた。
「ん、く……」
口の中のルーミアの舌と自分のを不器用に絡ませながら、わたしは濡れたキャミソールをめくりあげた。
直接、ルーミアの肌に触れたくて仕方なくなっていた。
ルーミアに触れれば触れるほど、キスをすればするほど、もっと欲しくなる。
唇を離した拍子に、ルーミアの口元に二人ぶんの唾液が混ざった液体が垂れた。
舌を伸ばして、舐め取って、飲み込む。
すごく強いお酒を飲んだみたいに、胸の中がかっと熱くなった。
「……っん、あ……んむ……っ、ちゅ、ちゅろ……」
ルーミアが唇を寄せてきて、わたしが今したみたいに舌を伸ばして、絡めてきた。
つん、つん、って舌先を触れさせて、ぺちゅ……って重ね合わせる。
「んーん、れる、れる、れる……」
口元からこぼれた唾液が、水面にぽたり、ぽたりと落ちる。
舌を絡ませながら、わたしは直に触れたルーミアのさきっぽをくりくりいじった。
なんだかさっきより固くなってる気がする。
指先の力加減を少し強くしてやると、ぱしゃんと水面を跳ねさせて、ルーミアが震えた。
「……っみぁはぅ……! んぅっ、みゃあ……!」
「ルーミア……っ?」
ルーミアは何回か小刻みにからだをふるわせて、ぴくんぴくんと白いのどをさらしてのけぞった。
合わせた肌が、ふるふるとふるえているのが分かった。
ふるんっ……と最後にひときわ大きいふるえが、ルーミアの小さなからだを走っていった。
ルーミアは途切れ途切れの息をつきながら、力が抜けたようにくたりと寄りかかってきた。
――イッた……んだ。わたしの、指で。
「はぁ、は……はぅん……っ、ゆ、びぃ……」
うわごとのような、切れ切れの言葉がルーミアの唇からこぼれた。
「てんこちゃんにぃ……ゆびで、おっぱい……はぁ……えへへ、きもちよく、させられちゃったぁ……」
喘ぎながらそう言って笑うルーミアの顔を見て――もうわたしは、自分を止められなくなってしまった。
「ルーミア、ルーミアぁ……!」
わたしは噛み付くように、ルーミアのおっぱいに吸い付いていた。口に中に広がるその味は、幻覚めいて甘い。
舌先で、先っぽを弄ぶ。唇で挟んで、ちゅーって吸う。
肌を通して、ルーミアの心臓がどきどきしてるのがはっきり分かった。
ルーミアはそんなわたしの乱暴なやり方にも抵抗しなかった。
わたしの頭に手を回して、とろけた声で、わたしを求めた。
わたしももう、とっくに何回もイッちゃってた……と、思う。
もうわたしには、自分がどうなってるのか考える余裕もなくなってた。
「みぁぁぁん! みぁぁ……! てんこちゃん、もっとぉ……おっぱい、もっとぉ……!」
「るーみあ、るーみぁ……! してあげるっ、いっぱい、してあげるからぁ……!」
「ふわ、ま、た、きもちよくっ、なるぅ……! ん、みゃ、あはぁう……っ!」
びくびくびく、ってルーミアの体が断続的にふるえた。そのふるえを押さえつけるように、わたしはルーミアをぎゅうっと抱きしめた。ルーミアも、わたしにぎゅうっとしがみついた。
多分、ルーミアと一緒にわたしもイッちゃってた。頭の中が一瞬白くなって、ちかちかした。
どのくらい気持ちいいのが続いていたのかも分からない。気がつくとわたしは川岸に背中を預けて、ぐったりしたルーミアを抱きかかえていた。
「ん、はぁ……ルーミア、ルーミア……大丈夫?」
「んみぁぅ……」
ルーミアの視線はまだとろけたままで、ふらふらとさまよっている。
なんとか言葉を言おうとしてるようだけど、イッた後の余韻がまだ残ってて、上手くしゃべれない感じ。
自分がルーミアをこんなにしちゃったことに、わたしはちょっとした罪悪感と、それから征服感が胸の中でざわざわしてるのを感じた。
それと、独占欲。
ルーミアを自分の……自分だけのものにしたいっていう欲望。
ずくん、と、いましがた終えたばかりなのに、もう新しい欲求がわたしの中で暴れ始めた。
「ルーミア……」
でも、乱暴なことはしたくないし、ルーミアが嫌がることもしたくない。
おそるおそる、ルーミアに声をかける。
「その……わたし、まだ、足りなくて、もっと欲しくて……」
言葉が上手く出てこなかった。自分の欲しいもの、したいことは何でもわがままにいってきたわたしが、自分の求めていることを言葉にできない。
「ルーミアとくっついてたくて、その、ルーミアが、嫌じゃなかったら……あの、もう一回、いい……?」
わたしのつっかえつっかえの言葉を、ルーミアはまだ余韻の抜け切らない顔でぼんやりと聞いていた。
その顔に、じわーっと笑みが広がった。やさしい笑顔だった。
「いいよ……」
ルーミアは、そう言った。
「いいよ、てんこちゃん……いっぱい、しよ……ルーミアのこと、てんこちゃんにぜんぶ、あげるから……しよ……」
「ルーミア……」
なぜか、初めてしたときみたいに、わたしは泣いてしまった。
涙が冷たい河の水にぽたぽた落ちた。
「うれしい……ありがと……うれしい……」
「うん……」
ルーミアが頭を撫でてくれてる。うれしい。
「じゃ、てんこちゃん……」
小さな子供になったような気分のわたしに、ルーミアはやさしい口調で語りかける。
「ふたりで、舐めっこ、しようよ。一緒に気持ちよくなれるから。ね?」
「うん……」
わたしたちは河から上がって、草原に座った。
ずっと水に漬かってたからだに風が少し冷たかったけど、たぶん、これからそんなのぜんぜん気にならなくなる。
「てんこちゃん、脱がしっこしようよ」
ルーミアがそう言って抱きついてきた。そして、そっとわたしのショーツに手をかける。
「きゃ……」
思わず声を上げてしまった。裸を見られたり、おっぱいさわったりしたのに、脱がされるっていうのにはまた違った恥ずかしさがあった。
ルーミアはそんなわたしにかまわず、濡れて張りついたショーツをするりと脱がしてしまった。
「ほら、てんこちゃんも、ね?」
ルーミアはわたしの手を取って、自分のお尻にあてがった。
胸と一緒でまだちっちゃいけど、柔らかいお尻。
すぐに脱がしてしまうのがちょっと惜しくて、わたしはわざとゆっくりショーツを下ろしていった。
ルーミアのお尻はゆでたまごみたいにつるつるしてて、なでるように指を這わせると、ルーミアはくすくす笑いを漏らした。
「やは……お尻、くすぐったい……」
もぞもそと身じろぎするルーミア。くすぐったいだけのはずなのに、それがなんだか誘っているみたいで、わたしはどきどきした。
ルーミアのショーツを脱がしてしまうと、わたしたちは森の中で、何も身につけていない姿になった。
わたしは草の上に寝そべる。背中に当たるちくちくした雑草の感触が新鮮だ。
その上に、お尻を向けてルーミアが覆いかぶさる。肩越しに微笑んだルーミアの視線は、やけに眩しい。
目の前に、ルーミアの幼い……おんなのこの、部分。
自分とルーミアの以外、見たことなんてないけど、ルーミアのそこは、ほんとにちいさなこどものって感じで、自分がそこに触れることに、わたしは多少のためらいを覚えた。
「えと……いい?」
わたしがまぬけな感じにそう聞くと、太ももの内側のとこに熱くて濡れてて柔らかいものが触れた。
ルーミアの舌、だ。
返事を返す代わりにルーミアは、わたしの内腿をちろちろ舐めた。
わたしもお返しに、ルーミアのそこに口を付ける。
ほっぺたによく似た、ぷにぷにした感触だった。
まわりから円を描くように舌を這わせると、ルーミアの太ももがぴくぴく動いた。
わたしのそこに、ルーミアの熱い息がかかる。
舌先を、中心にもっていく。
縦にすっと通った、その入り口のあたりをなぞるように舐めると、わたしの足の間でルーミアが声を上げた。
感じてる……ルーミア、感じてる……。
もっと味わいたくて、わたしは手を伸ばして、ルーミアのそこに指先をあてがった。
「ね、ルーミアのなか、見ていい……? ルーミアの中、見たい……」
そう聞くと、ルーミアはからだを起こしてこっちに視線を向けた。その視線はもうすでに、とろけていた。
「うん……ぜんぶ見てぇ……ルーミアのはずかしいとこ、ぜぇんぶ……見ていいよ……」
そう言ってルーミアは、またわたしの足の間に屈みこむ。
「ルーミアもぉ……てんこちゃんの、ぜんぶ見ちゃうからぁ……」
そう言ってルーミアは、たった今わたしがしようとしたみたいに、わたしのそこを、くにゃ……と、指で広げた。
――見られ、てる……!
その瞬間、わたしはイッてた。ルーミアの視線で、イッてた。
「っあ、ひぁ……っ!?」
腰が勝手に跳ねて、立てた膝ががくがくふるえた。
「えへ……てんこちゃんのここ、おいしそ……」
「ひあぁぁぁうっ?」
ぬるん、と、わたしのそこに熱いルーミアの舌が触れ、はいってきた。
「や、やはぁぁぁ! そんなのだめ、イッちゃうからぁ! すぐイッちゃうからぁぁ!」
イキながら、わたしは同じように、ルーミアのそこを指先でひらいた。
ねぱ……っていう粘ついた音がして、ルーミアのそこがあらわになる。はじめて見る、ルーミアのそこ。
素直に、きれいなピンク色の花を、わたしは連想した。
濡れて光るお肉が、ひくひく動いてて、まるで甘い蜜の香りに誘われる蝶みたいに、わたしはためらいなくそこに口をつけ、ルーミアのいちばん奥に届かせようと舌を伸ばした。
くにゅううう……って舌を入り込ませると、ルーミアのそこはきゅんきゅんうごめいて、わたしの舌を締め付けてきた。
とろとろのおつゆとわたしの唾液が混じった熱い液体が、顎から垂れて首筋に流れていく。
わたしのそこに吸い付いたルーミアの唇と舌がふるえて、喘ぎをわたしのそこに吹き込んでくる。
内腿どころかおなかの辺りまで濡れてるのが分かった。ルーミアの舌が中で動くと、わたしのそこはぷちゅうううっとおつゆを漏らす。
「ひみゃあぁ……てんこちゃん、おまた、おまたぁ……ちゅっちゅしてぇ……ぺろぺろしてぇ……」
「うん、するよ……るーみあのぉ……るーみゃのおまた……ちゅーするよぉ……」
「はぁむ、うゅん……ふぁっ、んぷぅ、れる、れぅぅ……おいひ……てんこちゃんのぉ、おつゆ、おいひ、よぉぉ……なめてるだけで、きもちいいようっ……」
「ひぁぁぁう……っ、っく、また、いくっ、るーみゃにちゅーされてぇっ、いっちゃうのお……っ!」
ルーミアにした分だけ、ルーミアからも快感が返ってくる。
つながってる……わたしは、そう思った。
「みてえ、るーみゃっ、みてえ……っ! わたしがいくとこ、みてえええ……!」
「うん、ぜぇんぶ、みてるからぁ……みながら、いくからぁ……てんこちゃんも、いってぇ……!」
そんな風に大声でえっちな言葉をわめくたび、背筋がぞくぞくした。おかしくなりそう……ううん、きっともう、わたしはおかしくなっちゃってた。
もう、ルーミアにされてイくことと、ルーミアをイかせることしか頭になかった。よだれまみれになって、呼吸をめちゃくちゃにして、わたしは必死にルーミアのそこを舐め続けた。
そして、終わりが来た。
地面に突き立てたつま先が、がくがくふるえて止まらなくなった。腰がめちゃくちゃに跳ね回った。口が「あ」の形から戻らなくなった。
ルーミアも同じだった。
わたしの頭のちょうど両側についた膝がふるえて、そこまで熱い雫が飛び散っていた。両手で抱え込むようにしたルーミアのかわいらしいお尻がぶるぶるふるえた。
「あーっ! あーっ! あぇ……! あああ、あ、あ、あ、あああああ!」
「いくっ、ひ、ひぃ、ひくっ、ひきゅぅぅぅ……っ!」
ぷしっ、と、ルーミアのそこが爆ぜるのと、わたしの背中が地面から離れるくらい反り返ったのは同時だった。
叫び声と、熱いほとばしりを撒き散らして、わたしたちは達した。
視界が真っ白にはじけて、何も見えなくなる。何も聞こえなくなる。
感覚が戻ってきたのがどのくらいしてからだったか、よく分からなかった。
「っひ、はひ、はぁ、あ、あ、はぁぁ、はっ、はぁ……っ」
乱れたままの呼吸がなかなか元に戻らない。
ルーミアのもそれは同じみたいで、わたしの足にしきりに熱い息を吐きかけている。
ぐったりとわたしに覆いかぶさるルーミアの体重が心地よかった。
汗びっしょりになった体に、そよ風が気持ちいい。
――顔、見たいな……。顔見て、ちゅーしたいな……。
そんなことを、ふと思った。
でもルーミアはぐったりして、荒い息をついたままだ。
しばらくは、このままでいいかな。そう思って目を閉じると、ルーミアがもぞもぞ身じろぎするのが分かった。
そして、わたしの唇に柔らかいものが触れた。
目を開けると、すぐ近くにルーミアの顔。
ほっぺたを赤くして、まだとろんとした目をしてた。
ルーミアはそのまま、くずおれるようにしてわたしに覆いかぶさってきた。
まだ熱の引かないほっぺたをすり寄せながら、ルーミアはちょっとかすれた声で言う。
「ねぇ……てんこちゃん」
「なぁに……? んっ、こらぁ、あんまりもぞもぞしないでよ……い、今その、終わったばっかりで敏感なんだから……」
「ふや、ごめん……でね、てんこちゃん」
ルーミアはしきりにほっぺたをすり寄せて甘えてくる。わたしもぐったりしてるのをなんとかがんばって、首を曲げてすりすりしてやった。
「あのね、ルーミア、てんこちゃんのコイビトになれたかなぁ……?」
ちょっと自信のなさそうな口調がかわいくて、わたしはからかってやりたくなった。
「うーん、まだダメね」
「えーっ。いっぱいちゅーして、さわりっこして、えっちなことしたのにー。てんこちゃんのいぢわるー」
ぷーっとむくれるルーミア。
そのほっぺたをつついてやりながら、わたしは言った。
「だから……その、また、しよ? こ、コイビトに、なれるように、さ……」
言ってから、やっぱり顔が赤くなった。
ルーミアも、ちょっと顔を赤くして、返事の代わりに、ちゅってキスしてくれた。
二人で顔を見合わせて、くすっと笑う。と、二人いっしょにくしゃみが出た。
「んー、さすがにこのかっこうのままじゃ寒いわね……風邪引いちゃう」
「えへへー、そしたらルーミアがてんこちゃんのこと看病してあげるーっ♪」
そう言って笑うルーミア。
わたしは真剣に、このままでいて風邪を引いてしまおうか、なんて考えしまった。
この作品は、作品集22「はじめててんこちゃん」の続編になっております。
単品でもお楽しみいただけますが、前作も合わせて読んでいただけるとファブリーズしてもゼンゼンだめなくらいしあわせみるくがでちゃうのおおおおほおおおおおお
それではお楽しみください。
「てーんこちゃーん!」
「だからてんこってゆーなっての。そんなに大声出さなくても聞こえるって」
わたしが用意したお弁当を持って待ち合わせの場所の河へ続く道にに着いたときには、ルーミアは先にいて、わたしを見つけるとぶんぶん手を振りながら駆け寄ってきた。
こないだルーミアと約束したとおり、わたしは……その……ルーミアとデートすることにした。
ルーミアは食いしん坊だから、お弁当でも作っていってあげたら喜ぶだろうなーって思って、柄にもなく料理なんかしちゃった。
教えてもらおうと思って衣玖に恥を忍んで頼んだら、なーんかやたら生暖かい目で見られてハラ立ったけどまあいいや。
ルーミア、喜んでくれるかな……。
「じゃ、さっそく出発……ってうわあ!?」
「てんこちゃーん!」
いきなり飛びついてきたルーミアに、わたしは危うく倒れてしまいそうになる。っていうかこの子、ことあるごとに抱きついてきて、その……うれしいけど、恥ずかしいからやめろっての!
「危ないわね! いきなり飛びついてこないでよもう……」
「えへへー♪ すりすりー、ちゅっちゅー♪」
「きゃあ!」
ルーミアはやわらかいほっぺたをすり寄せて、わたしのほっぺたに何回もキスしてきた。さっき抱きつかれた時はなんとか我慢できたけど、もうわたしの顔は真っ赤になってしまった。
「こ、こらあ……! いきなりなにするのよう……」
どなりつけてやろうと思ったけど、うううー……なんか語尾が尻すぼみに……。
「えーだってー、てんこちゃんとデートするのずーっと楽しみにしてたんだもん!」
『宵闇の妖怪』なんて二つ名とは正反対のぺかーっと輝く笑顔で、ルーミアは笑う。
かわいいなーって、思った。あと、好きだなー……って。
と、このまま抱きつかれてたらほんとに倒れてしまいそうだったから、わたしはルーミアを引っぺがした。
「もー、早く行くわよ。お弁当冷めちゃうでしょ」
「わーい、おべんと! おべんと!」
相変わらず単純なヤツだ。ルーミアはぴょんぴょん跳ねながら先に行ってしまった……と思ったら、てててーっと戻ってきて、わたしの手を取った。
「ほらほらぁ、てんこちゃんいっしょに行こうよーう」
「あーもー、分かったから引っぱらないでよもう……」
そんな感じでわたしはルーミアに手を引かれて引っぱられていった。
つないだ手が、あったかかった。
「へー、地上にもなかなかいいところあるじゃない」
「でしょでしょ!」
ルーミアがわたしを連れてきたのは、妖怪の山のふもと辺りにある河だった。
ずっと上流のほうは滝になってるらしいけど、ここには滝の音は届かず、静かだ。
河に沿って大きな木がずらりと生えていて、茂みで太陽の光がちょうどいい具合に遮られて涼しいし、木漏れ日もきれい。
天界にも景色のいいところはたくさんあるけど、ここも悪くない。
「今くらいの時期だとね、水浴びとかしてるんだ。河の水が冷たくてきもちいいの」
「ふーん……あ、魚もいるのね。けっこうでっかいなあ」
「おいしそーだよね!!」
「……あんた食べることばっかよねなんか。ああ、食べるといえばほら、目的地に着いたことだしさっそくお弁当食べましょ」
「わーい! おべんと! おべんと!」
はしゃぐルーミアに、思わず私も笑みがこぼれた。
……だけどここでひとつ問題が。
そう、お弁当のできばえだ。
自慢じゃないけどわたしはとーぜん料理なんかしたことない。
で、今日のために一念発起、衣玖の生暖かい視線にさらされながら、なんとか自力でお弁当を作ることができた。
味見はした。自己評価は及第点。見た目もよし。
それにまあ、ルーミアのヤツはあんまり味とか気にするタイプでもないっぽいし。ていうか、食べられればなんでもいいんじゃないのこの子。初めて会ったときもいきなり食べられたし……。
でも、せっかく食べてもらうんだから、おいしいものを食べさせてあげたいし、喜んだ顔、見たいし。
あーヤバい、なんか意識したら緊張してきた~……。
期待……というか食欲に目をらんらんと輝かせるルーミアの前で、わたしは恐る恐るお弁当の包みを広げる。
「ふわあ~……」
ため息……とよだれをこぼすルーミア。まず見た目はOKだ。
ちなみにお弁当の中身は、いたってオーソドックスに、おにぎりに玉子焼き、ミートボールにほうれん草のおひたし。
もっと難しいのに挑戦してもよかったけど、わたしは謙虚な天人なのでまずは初心者向けのから。
「どお? おいしそうでしょ? ほら、さっそく食べましょうか」
「うん!」
ルーミア、満面の笑顔。うふふ、うれしいなー。
ルーミアはちょっとおかしな端の使い方で玉子焼きを口にする。
反応が気になって、わたしはルーミアがもぐもぐしてるのをじっと見つめてた。
ちっちゃな口で玉子焼きを食べてるルーミアは、なんだか小動物っぽくてむやみにかわいい。ほっぺたが緩んでしまう。
我慢できなくなって頭を撫でてやると、ルーミアはうれしそうに目を細めた。
こくん、と喉を鳴らしてルーミアは玉子焼きを食べ終えた。
食いしん坊の妖怪は、すぐには何も言わなかった。よく見ると口元がむにゅむにゅむにゅ~って波打ってる。なんか余韻に浸ってるっぽい……?
「お……」
「お?」
何を言うつもりだろう?
やっぱり普通に「おいしい」かな。
それとも……ま、まさか「お嫁にして」!?
も、もしかしたら「お嫁に来て」!?
や、やぁらめぇ! いきなり(籍を)入れちゃらめなのぉ!
……とかくねくねしてたら、ルーミアが続きを口にした。というか叫んだ。
「おかみをよべー!!」
「……はい?」
え……と、言ってることがよく分からないけど。
まあ喜んでくれてるってのはよく分かった。
「なんだかよく分かんないけど、ちゃんとおいしかった?」
「もごもがぐもごもーご!」
「なにその空気入れすぎた風船みたいな顔……。のど詰まらせちゃうでしょ。はいお茶」
「んくんくんく……ぷはぁー! おいしー! しあわせー!」
「気に入ってもらえたみたいで一安心だわ」
「ねーねー、てんこちゃんもいっしょに食べよ?」
「そうね。じゃ、いただきまーす」
外で食事をするなんてこれがはじめてだった。食べてるものは別に特別なものじゃないのに、外でルーミアと食べてるってだけでなんだか特別な感じ。
風が周りの木々をさわさわと揺らす音が涼しげで、心地よかった。
隣でおいしそうにお弁当をぱくぱく食べてるルーミア。なんだかそれだけでおなかいっぱいって感じ。
自然に笑みがこぼれてくるのが分かった。
えへへ……また、はじめてだ。
料理なんかしたのも、誰かのためにお弁当作ったのも。
ルーミアといると、いっぱい、はじめてがある。
そんなことを思いながら、わたしもお弁当を食べる。
昨日味見したときより、なんだかおいしい気がした。
「ねーねーてんこちゃん」
「んー? なーに?」
「あーん♪」
「うひぇっ!?」
玉子焼きを一切差し出すルーミア。
のけぞるわたし。
忘れてた。コイツこういうことを平気でするようなヤツだったんだ……。
どどどど、どうしよう。
とりあえずあたりには人影はない……はず。
「ほらぁ、てんこちゃん、あーん♪」
「う、うぐ……っ」
ダメだ。逃げ場なし。ううう……でも、誰も見てなくてもこれは難易度高すぎる……っ!
「んー、じゃあ、こうしよう!」
「へ?」
とか言うとルーミアは、差し出していた玉子焼きをぱくっとくわえて、
「んー♪」
「ひぎぃっ!?」
難易度上がったーっ!?
ヤバい。これはヤバい。
このままほっといたらもっと難易度上がって無理ゲー化してしまう……!
わたしはむりやり覚悟を決めて、ぎゅーっと目をつぶった。
そしてすっごくマヌケっぽい感じに大口開けて、ルーミアに顔を近づける。
恥ずかしいのと緊張とで、もう頭の中が湯だってるみたいだった。
「はぁ、む……ん」
湯だった頭で、わたしはなんとかルーミアのくわえた玉子焼きを食べた。
砂糖の量は間違えてないはずなのに、なんか……甘い?
もぐもぐごっくんと玉子焼きを食べ終わっておそるおそる目を開けると、すぐそばにルーミアの顔があった。
「にへへー」
「な、なによぅ……ニヤニヤして……」
「えへへへ……なんか、うれしいなーって」
いつもの無邪気で無遠慮なルーミアの笑顔。でも、ちょっとだけほっぺたが赤いような気がした。
ルーミアも、照れてるのかな……。
ルーミアもわたしとおんなじように照れてるのかなって思ったら、わたしもなんだかうれしいような気がした。
なんだろ、二人でおんなじ気持ちになってるから……かな。
こんなことを考えるのも、やっぱりはじめてだった。
そのことが妙にうれしくなって、わたしは思わずとんでもないことをしていた。
「ね、ねぇ、ルーミア」
「ふぃ?」
「ほら……んっ」
わたしはついさっきルーミアがやったみたいに、玉子焼きを一切れくわえて、ルーミアの方に差し出したのだ!
そうやってから思い出したみたいにわたしの顔は一気に熱くなってきた。ほっぺたがじんじんする。
さっさと目をつぶってしまったから、今ルーミアがどんな顔をしているかは分からない。
でも、なんだか雰囲気で、ルーミアが顔を近づけてくるのは分かった。
「あーん、はみっ♪」
「ん……!」
ぱくっとルーミアが玉子焼きをくわえた拍子に、唇がちょっとだけ触れた。思わず声が出てしまった、と思ったら、まるで不意打ちみたいにルーミアがもう一回顔を近づけて、ちょんっとわたしの唇にキスをした。
びっくりして目を開けると、ルーミアはわたしのすぐ目の前でにへーっと笑ってた。
「にへ……おいしー」
「も、もぉ……」
すっごく恥ずかしくなって、わたしはぷいっとそっぽを向いた。なんかもうルーミアのやつ、いちいち恥ずかしいことするんだから……。
そっぽを向いて、ちらっと横目でルーミアの方をうかがうと、ルーミアはもう残りのお弁当を平らげてしまっていた。
「ごちそーさまでしたっ!」
元気よく手を合わせると、ルーミアは大満足ですといわんばかりのぺかーっとした笑顔になる。
「お粗末さまでした」
色気より食い気ってのはこのことよね……と、わたしは苦笑しながら返す。
でも、ルーミアはホントにうれしそうで、苦労した甲斐があったなあって思った。
誰かのために何かをするのなんて、多分これがはじめてだったけど、意外と悪くないじゃない。
「すっごくおいしかったよ。てんこちゃんありがとー!」
「ふふん、当然よ。このわたしが腕によりをかけたんだからねっ」
「んー、わたしもなんかお礼したいなー。てんこちゃん、なにがいい?」
「じゃあちゅーさせなさいちゅー」
「わかったー。んーっ」
「……はぇ?」
わわわわたしは今ナニを口走ったですかっ!?
ルーミアはあっさりOKして、目を閉じて手を後ろに組んでんーってかわいく唇を突き出してスタンバイ状態っ!? なんでそんなあっさりなのアンタ!?
そしてなんで勝手にルーミアの両肩ホールド済みなのわたしっ!?
ヤバい……事態はすでに最終フェイズに突入しており中止するには時すでに時間切れ……!
ルーミアはかるく目を閉じたまま、わたしのキスを待っている。
そのちっちゃな唇が、やけに色っぽく見えた。ルーミアって、見た目はまるっきり子供で中身も子供なクセに、ときどきはっとするくらい色っぽく見えることがある。
ルーミアの、口紅なんて引かなくてもきれいなピンク色の唇。ちょっと赤くなったほっぺた。
はぁ……って、ため息がこぼれた。すごく、どきどきしてきた。
わたしは見えない糸に引かれるみたいに、ルーミアに顔を近づけていく。
目を閉じる。
最初は、ほっぺた。
唇が触れるとルーミアは、小さく声を漏らした。
手で触れるのとはぜんぜん違った感触。すべすべで、やわらかくって、甘い香りがする、ルーミアのほっぺた。
何回も、ちゅ、ちゅって、わたしはルーミアのほっぺたにキスをした。
そうしていると、なんだか胸のなかがふわーって熱くなってきた。
いったんほっぺたから唇を離して、今度は唇に。
もう何回も触れた唇だけど、いつもルーミアとキスするときはどきどきする。
ちょっと濡れてて、ぷにぷにしてる。唇からもれた息が、わたしの唇に当たる。あつい、あまい……。
わたしは唇を離すのがなんだかもったいなくて、触れ合わせたまま目を閉じて、キスの感触を味わっていた。
肩に回してた手がルーミアの背中に自然と伸びて、小さな体を抱き寄せた。
合わせたまんまのルーミアの唇が、微笑みの形になったのがはっきり分かった。
ルーミアもわたしに合わせるみたいに、わたしの首に手を回した。
ちょっとだけ唇を開いて、口付けを深くする。
舌先に、ルーミアのそれがちょんって触れた。それからルーミアは子猫みたいに、触れたわたしの舌を口の中でぺろぺろ舐めた。
「んぅ……んむ……」
鼻にかかった声を漏らしながら、私も応じた。
上手いのかどうかなんてわたしには分からないけど、ルーミアのキスは……気持ちよかった。唇を合わせているだけで、安心する感じがした。
唇を離すと、顔のすぐ近くでルーミアが笑ってた。
わたしもにこっと笑い返して、もう一回顔を近づけた。
ルーミアの上唇を、自分の唇で挟む。
ルーミアがちょっと声を上げたけど、嫌がってる風じゃなかった。
キスのやり方なんて唇を合わせるくらいしか知らないけど、どうにかしてルーミアにわたしとおんなじように気持ちよくなって欲しくて、わたしはいろんなやり方を試してみた。
唇を舌で舐めたり、ちょんちょんつついてみたり。
でも結局は、ぎゅーって抱きしめて、いっぱいキスするのに落ち着いた。
何回もキスをして、わたしは唇を離す。
ルーミアはぽーっとした顔をしていた。たぶん、わたしも。
お互いに何も言わず、じーっと見つめあってた。
「てんこちゃん……」
先に口を開いたのはルーミアだった。顔と一緒でその口調もどこかぽーっとしてた。
「な、なに……?」
「今のちゅー……なんか、んと……」
いつもあけすけなルーミアには珍しく、その先の言葉を言うのをためらってるみたいだった。もしくは、なかなか適当な言葉が見つからないって感じだった。
ちょっともじもじしながら、ルーミアは上目遣いにこっちを見上げて、言った。
「えと……コイビト、っぽかった……」
コイビト。
こいびと。
……恋人。
その言葉だけで、顔だけじゃなくて、全身がかっと熱くなったのが分かった。
ルーミアと、わたし……が。
そう言ってくれたルーミアになにか言ってあげたくて、でもなにを言っていいのか分からなくて……わたしは「あ」とか「う」とか、中途半端な声を上げるだけだった。
二人して、真っ赤な顔して、見つめあって……。
「きゃーん♪ ふみゃー、なんかはずかしいよぅーっ」
そんなことを言いながら両手を赤くなったほっぺたに当ててやんやんしているルーミアがおかしくて、かわいくて。
わたしはもう一回、ルーミアを抱きしめてキスをした。
コイビトの、キス。
そっと唇を離すと、わたしとルーミアの間に、二人分の吐息が混じって消えた。
「ねぇ……てんこちゃん」
どこか甘えるような口調で問いかけてくるルーミア。
わたしは目顔で続きを促す。
いつもかなり恥ずかしいセリフを遠慮なしに言うクセに、今のルーミアは恥ずかしそうにもじもじしてる。かわいいなー……。
「ん、とね……ルーミアと、てんこちゃんは……コイビト、なのかな……?」
おいやめろ馬鹿、わたしの理性は早くも終了ですね。
上目遣いにそう言うルーミアに、わたしは思わずキスをしていた。
「ばか。恋人じゃなかったら、こんなことするわけないでしょ……」
いつも何かをやってしまってから、急に恥ずかしくなる。今も自分のやったこと言ったことが恥ずかしくなって、わたしはぷいっとそっぽをむいた。
恥ずかしかったのと、そのままルーミアのこっちをまっすぐ見上げる目を見てると、なんだか引き込まれそうで、ちょっと怖かったから。
今ごろになってルーミアの口にした「コイビト」って言葉がわたしの胸の中で溶け始めて、薬が効いてくるみたいにわたしの体の中にじわーっと染み込んでくる感じがした。
わたしはそっぽを向いたまま、言葉を続けた。
「その……ルーミアが、さ」
「んみ……?」
「ルーミアが、そう思ってくれるなら……わたしのこと、その……こ、恋人って思ってくれるなら、思ってもらえるなら……わたしは、すごく、うれしいよ」
言ってる間にも、薬がすごい勢いで回ってきた。顔どころか、耳とか首筋まで真っ赤になってるんだろうな、わたし。
しばらく、沈黙。
ちらっとルーミアの方をうかがうと、ルーミアも顔を赤くしてた。
いつも無邪気に、平気でキスしたりくっついたりしてくるルーミアが、「コイビト」って言葉だけでこんなに顔を赤くしてる――。
こんなルーミア、はじめて。
はじめての、ルーミアだった。
「えへ……そーなのかー……」
小さな声でそう呟いて、ルーミアは抱きついてきた。
待ち合わせしてたときみたいに飛びついてくるんじゃなくて、ゆっくり手を伸ばして、ぎゅう……って。
ルーミアの体温や体の柔らかさがよく分かった。
わたしはその感触やぬくもりをもっと味わいたくて、ルーミアのちっちゃな体を抱きしめる腕に力を込めた。
「てんこちゃん、くるしいよ……」
ルーミアがどこか優しげな声で文句を言う。
「コイビトなんだから、ちょっとくらいがまんしなさいよ」
そう言ってわたしは、ルーミアを抱きしめ続けた。
「ねえねえ、てんこちゃん」
「なぁに?」
しばらくして、わたしの腕の中にいたルーミアがぴょこんと顔を上げて言った。
「水浴びしない? ふたりで」
「水浴び? ん、でも水着とか持ってきてないわよ?」
「えー、脱いじゃえばいいよぅ」
「ぬ、脱いじゃえばって……」
わたしがためらっている間に、ルーミアは腕の中からするりと抜け出してしまった。
「だぁってー、てんこちゃんがぎゅーってするから、熱くなっちゃったんだもーん!」
そう言いながらルーミアは、遠慮なしに服を脱ぎ始めた。
首もとの赤いネクタイを無造作に抜いて、黒いベストとスカートを脱いでしまった。
「ちょ、ちょっと……!」
唖然としているわたしの目の前で、ルーミアは白いブラウスも脱いで、キャミソールとショーツだけの姿になった。
ルーミアの裸を見るのは、まぁその……これが初めてじゃないけど、こんな真っ昼間で、しかも外でなんて……。
下着姿でこっちを見ているルーミアの金髪と白い肌が、日差しを反射してとってもきれいだ。ちょっと見とれてしまうくらい。
手足は細くて幼いかんじだけど、どこか艶めいたものがある。
かわいいだけじゃなくて、きれいだなって、思った。
あのときは、その、夢中であんまり覚えてないけど、ルーミアはこんなにきれいなからだをしてたんだ……そんなことを、わたしはぼんやりと思った。
「てんこちゃーん! はやくはやくー!」
ルーミアはキャミソールのすそを翻しながら河の方へ駆けて行き、
「ふみゃー!」
ばしゃーん。
見事にすっ転んで顔面から河に突っ込んだ。うわぁ痛そう……。
「こけたー!」
水面からにゅっと顔をつき出してけらけら笑っているルーミアに、わたしは思わず噴出してしまった。
「あははは、なんであんなそんなにうれしそうなのよ」
「えへへー。ほらぁ、てんこちゃんもー!」
「まったく、しょうがないわね……」
そう言いながらわたしは、まだちょっと恥ずかしかったけど、ルーミアと同じように服を脱いで下着姿になった。
もちろん、外でこんなかっこうになったのなんてはじめてだ。
でも、風が肌に直接当たる感触は気持ちよかったし、ルーミアと一緒に外でこんなかっこうになってるっていうのでこ、なんだか興奮するっていうか……うまく表現できないけど、そんな感じだった。
恐る恐る水面に足を入れる。
裸足には河の水はけっこう冷たい。
流れる水の感触がくすぐったい。
直接地面を踏むことなんてほとんどなかったむき出しの足の裏に、川底の小石が当たってちくちくする。
足を河に入れたって、たったそれだけの事にけっこう感動してしまった。
しゃがみこんで水面を指先でかき回すと、波紋が円を描いてたゆたっていく。
「ふわーあ……」
そんな声を漏らしてしまうほど、今の感触、今の光景はわたしにとって新鮮なものだった。
とか感動していると頭からばしゃー。
「にゃははー♪ てんこちゃんびしょびしょー!」
「おいィ……? わたしが感動にひたってるときに……ってわけでとりゃー!」
「みゃー!」
わたしがお返しに水をかけてやると、ルーミアも頭からびしょびしょになってけらけら笑った。
ばしゃばしゃ跳ねる河の水がきらきら光って、とってもきれい。
わたしたちはずぶぬれになりながら、子供みたいに水をかけあって遊んだ。
ルーミアと一緒に笑いながら、わたしはこんな風に遊んだことが今までなかったなあ、と、頭の隅っこの方で思った。
うれしいな……自分でも驚くくらい素直な気持ちでそう思った。
と、はしゃいでいたルーミアがバランスを崩し、わたしの胸に飛び込んできた。
「にゃは、ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな。足もつれちゃった」
「もおっ、あんたはいっつもはしゃぎすぎなのよ」
わたしはちょっと疲れて、草に覆われた川岸に背中を預けて川底に腰を下ろした。
河の水かさはそんなにないので、座っても水はお腹のところくらい。
そうすると、ルーミアも一緒についてきて、わたしの胸の中に納まった。
濡れた薄い下着越しに感じるルーミアの体温は、水に漬かっているせいか、いつもよりあつい気がした。
「あ……?」
ぎゅっとくっついたルーミアの胸の辺りに、つんとかたい感触が合った。
小石でも挟んじゃったのかな?と一瞬思ったあとで、わたしはその正体に思い当たった。
ルーミアは自分じゃ分かってないっぽい。きょとんとした顔でこっちを見ている。
「んみ? どしたの?」
「ルーミア……おっぱい、かたくなってる……」
わたしがそう言うと、ルーミアはちょっとうつむいて顔を赤らめた。
「こ、これは……河の水が冷たいせいだもん……。てんこちゃんのえっちー」
「な、なによぅ、いきなり脱いじゃったくせに、今さらそんなこと言うのっ?」
わたしたちはしばらくにらみ合って……どちらからともなく吹きだした。
「えへへー……」
「ぷ、あはは……」
笑いながら、わたしはいつの間にか手を伸ばしてルーミアを抱き寄せていた。
密着したルーミアの肌の感触は、わたしにあのときのことをいやおうなしに思い出させた。
急に、今自分がルーミアと裸同然で抱き合っていることを強く意識して、わたしは鼓動が早くなるのを抑えられなかった。
鼓動だけじゃない。
熱い息が半開きの唇から漏れて、ルーミアを抱き寄せた手の指先がふるえる。
「てんこちゃん……」
「っ!」
ルーミアが、わたしの胸元から上目遣いの視線を投げてきた。その視線が、とろんと潤んでいる。
わたしはなぜかはっきりと、ルーミアが今、わたしとおんなじようにあのときのことを思い出してるって分かった。
わたしとおんなじように、あのときのこと思い出して、どきどきしてるんだって、分かった。
だめ。がまんなんて……できなかった。
「る、ルーミアっ……」
何日も水を口にしてない旅人がコップ一杯の水を必死に求めるみたいな、すごく強いルーミアへの感情に突き動かされて、わたしは一気にまくし立てた。
「わたしっ、わたし、ルーミアに触れたいっ、いっぱいさわりたい! たくさんキスして、ぎゅーってしたい! だから、だから……っ!」
きょとんとしていたルーミアが、ふにゃっと笑った。
笑って、わたしのほっぺたをちっちゃな手で包んだ。
「うん、わたしも」
いつもみたいにあどけない口調の中に、ほのかに熱がこもっていた。
「てんこちゃんにいっぱいしてほしい……な。てんこちゃんと、コイビト、したいな……」
そう言ってルーミアは、そっとわたしにキスをした。
ルーミアが言った、「コイビトっぽい」キスだった。
ルーミアの唇がゆっくり触れてくる。「ん……」って声が漏れる。
――泣いてしまいそうなくらい、あまいキス。
唇を離す。
ちゃぷん、と水面を揺らしながら、ルーミアは膝立ちになる。
そのルーミアのほっぺたに、わたしは手を伸ばした。
柔らかいほっぺたが、ほんのり赤くなってて、あつい。
ルーミアはくすぐったそうに目を細めている。
「みぅん……」
子猫みたいな声を漏らして、ルーミアはきゅっと肩をすくめた。
「えへへ……ルーミアのほっぺた、ぷにぷにでやわらかーい……」
わたしは指先で、額に張り付いたルーミアの髪の毛をひとふさ払いのけて、ちゅっとキスした。それからほっぺたにも。
ルーミアの小さなからだ中に、いっぱいキスしてあげたい。あのときわたしに、そうしてくれたみたいに。
わたしはほっぺたに触れてた手を、下に下げていく。
ルーミアの、胸。ぺったんこだけど、かわいい胸。
水に濡れて透けたキャミソール越しに、ルーミアのピンク色の先っぽが、つんと固くなっているのが見えた。
なんか、えっちだな……。
そっと手のひらをあてがうと、ルーミアがぴくんと肩を跳ねさせた。でも、嫌がってるみたいじゃなかった。
「んみぅ……さわって、てんこちゃん……ルーミアのおっぱい、さわって……?」
「うん……や、優しく、するから……」
指先で固くなったさきっぽに触れると、ルーミアはかすかに息を吐いた。
薄いキャミソールの生地を押し上げているルーミアのさきっぽを、くにゅ……って指先でこねるみたいに触る。
「みぁ……くすぐったぁい……」
「き、きもち……いい、かな?」
おもわずそう聞いてしまうわたしに、ルーミアはとろんと微笑んだ。
「うん、きもちいいよ……てんこちゃんの指、きもちいいよ……」
うっとりした感じに呟くルーミア。もっとしてあげたい、って思った。
あのときのルーミアも、こんな気分だったのかな……。
ぎゅっと先っぽに当てた指先を押し込んでから指を離すと、ぴょこんと元に戻る。
「あはは……ルーミアのおっぱい、なんかかわいいなー……」
今度は指先でそっとつまむ。
キスとおんなじで、誰かのおっぱいをいじるやり方なんてわたしはなんにも知らない。
だから、いろんなやり方をしてみたい。ルーミアのこと、もっと、もっと、きもちよくしてあげたい。
「ね、これ、きもちいい……? こうやって、つまんで、くりくりってするの……」
「ふみゃあ……きもちいいよぅ……きもちいいからぁ……もっと、してぇ……」
甘えた声でおねだりしながら、ルーミアは自分の手をわたしの手に重ねた。
ほとんど力が入っていない、ちっちゃな手。
わたしは頭の中がぼわっと熱くなったのを感じた。
求めて、くれてる……。
うれしくなって、わたしはルーミアの胸をいじりながらキスをした。
口の中でルーミアの漏らす吐息が溶けて、胸の奥にしみこんでいく。
目を向けなくても、触れた唇の感触と吐息で、ルーミアがどんな顔をしているのか、どんな風に感じているのか、よく分かった。
なんか、見なくても分かるっていうのが、コイビトっぽくて、しあわせ。
ちょっといたずら心が湧いて、指でつまんださきっぽをきゅっと引っぱってやる。
「んんー……」
口に含んだルーミアの舌がふるえる。感じてるんだ……わたしの指で。
自分がだれかとこんなことするなんて、今まで考えたこともなかった。しかも、こんな外でだなんて。
でもそれが、とても特別な事に思えて、ちょっとした優越感みたいなものを、わたしは感じた。
「ん、く……」
口の中のルーミアの舌と自分のを不器用に絡ませながら、わたしは濡れたキャミソールをめくりあげた。
直接、ルーミアの肌に触れたくて仕方なくなっていた。
ルーミアに触れれば触れるほど、キスをすればするほど、もっと欲しくなる。
唇を離した拍子に、ルーミアの口元に二人ぶんの唾液が混ざった液体が垂れた。
舌を伸ばして、舐め取って、飲み込む。
すごく強いお酒を飲んだみたいに、胸の中がかっと熱くなった。
「……っん、あ……んむ……っ、ちゅ、ちゅろ……」
ルーミアが唇を寄せてきて、わたしが今したみたいに舌を伸ばして、絡めてきた。
つん、つん、って舌先を触れさせて、ぺちゅ……って重ね合わせる。
「んーん、れる、れる、れる……」
口元からこぼれた唾液が、水面にぽたり、ぽたりと落ちる。
舌を絡ませながら、わたしは直に触れたルーミアのさきっぽをくりくりいじった。
なんだかさっきより固くなってる気がする。
指先の力加減を少し強くしてやると、ぱしゃんと水面を跳ねさせて、ルーミアが震えた。
「……っみぁはぅ……! んぅっ、みゃあ……!」
「ルーミア……っ?」
ルーミアは何回か小刻みにからだをふるわせて、ぴくんぴくんと白いのどをさらしてのけぞった。
合わせた肌が、ふるふるとふるえているのが分かった。
ふるんっ……と最後にひときわ大きいふるえが、ルーミアの小さなからだを走っていった。
ルーミアは途切れ途切れの息をつきながら、力が抜けたようにくたりと寄りかかってきた。
――イッた……んだ。わたしの、指で。
「はぁ、は……はぅん……っ、ゆ、びぃ……」
うわごとのような、切れ切れの言葉がルーミアの唇からこぼれた。
「てんこちゃんにぃ……ゆびで、おっぱい……はぁ……えへへ、きもちよく、させられちゃったぁ……」
喘ぎながらそう言って笑うルーミアの顔を見て――もうわたしは、自分を止められなくなってしまった。
「ルーミア、ルーミアぁ……!」
わたしは噛み付くように、ルーミアのおっぱいに吸い付いていた。口に中に広がるその味は、幻覚めいて甘い。
舌先で、先っぽを弄ぶ。唇で挟んで、ちゅーって吸う。
肌を通して、ルーミアの心臓がどきどきしてるのがはっきり分かった。
ルーミアはそんなわたしの乱暴なやり方にも抵抗しなかった。
わたしの頭に手を回して、とろけた声で、わたしを求めた。
わたしももう、とっくに何回もイッちゃってた……と、思う。
もうわたしには、自分がどうなってるのか考える余裕もなくなってた。
「みぁぁぁん! みぁぁ……! てんこちゃん、もっとぉ……おっぱい、もっとぉ……!」
「るーみあ、るーみぁ……! してあげるっ、いっぱい、してあげるからぁ……!」
「ふわ、ま、た、きもちよくっ、なるぅ……! ん、みゃ、あはぁう……っ!」
びくびくびく、ってルーミアの体が断続的にふるえた。そのふるえを押さえつけるように、わたしはルーミアをぎゅうっと抱きしめた。ルーミアも、わたしにぎゅうっとしがみついた。
多分、ルーミアと一緒にわたしもイッちゃってた。頭の中が一瞬白くなって、ちかちかした。
どのくらい気持ちいいのが続いていたのかも分からない。気がつくとわたしは川岸に背中を預けて、ぐったりしたルーミアを抱きかかえていた。
「ん、はぁ……ルーミア、ルーミア……大丈夫?」
「んみぁぅ……」
ルーミアの視線はまだとろけたままで、ふらふらとさまよっている。
なんとか言葉を言おうとしてるようだけど、イッた後の余韻がまだ残ってて、上手くしゃべれない感じ。
自分がルーミアをこんなにしちゃったことに、わたしはちょっとした罪悪感と、それから征服感が胸の中でざわざわしてるのを感じた。
それと、独占欲。
ルーミアを自分の……自分だけのものにしたいっていう欲望。
ずくん、と、いましがた終えたばかりなのに、もう新しい欲求がわたしの中で暴れ始めた。
「ルーミア……」
でも、乱暴なことはしたくないし、ルーミアが嫌がることもしたくない。
おそるおそる、ルーミアに声をかける。
「その……わたし、まだ、足りなくて、もっと欲しくて……」
言葉が上手く出てこなかった。自分の欲しいもの、したいことは何でもわがままにいってきたわたしが、自分の求めていることを言葉にできない。
「ルーミアとくっついてたくて、その、ルーミアが、嫌じゃなかったら……あの、もう一回、いい……?」
わたしのつっかえつっかえの言葉を、ルーミアはまだ余韻の抜け切らない顔でぼんやりと聞いていた。
その顔に、じわーっと笑みが広がった。やさしい笑顔だった。
「いいよ……」
ルーミアは、そう言った。
「いいよ、てんこちゃん……いっぱい、しよ……ルーミアのこと、てんこちゃんにぜんぶ、あげるから……しよ……」
「ルーミア……」
なぜか、初めてしたときみたいに、わたしは泣いてしまった。
涙が冷たい河の水にぽたぽた落ちた。
「うれしい……ありがと……うれしい……」
「うん……」
ルーミアが頭を撫でてくれてる。うれしい。
「じゃ、てんこちゃん……」
小さな子供になったような気分のわたしに、ルーミアはやさしい口調で語りかける。
「ふたりで、舐めっこ、しようよ。一緒に気持ちよくなれるから。ね?」
「うん……」
わたしたちは河から上がって、草原に座った。
ずっと水に漬かってたからだに風が少し冷たかったけど、たぶん、これからそんなのぜんぜん気にならなくなる。
「てんこちゃん、脱がしっこしようよ」
ルーミアがそう言って抱きついてきた。そして、そっとわたしのショーツに手をかける。
「きゃ……」
思わず声を上げてしまった。裸を見られたり、おっぱいさわったりしたのに、脱がされるっていうのにはまた違った恥ずかしさがあった。
ルーミアはそんなわたしにかまわず、濡れて張りついたショーツをするりと脱がしてしまった。
「ほら、てんこちゃんも、ね?」
ルーミアはわたしの手を取って、自分のお尻にあてがった。
胸と一緒でまだちっちゃいけど、柔らかいお尻。
すぐに脱がしてしまうのがちょっと惜しくて、わたしはわざとゆっくりショーツを下ろしていった。
ルーミアのお尻はゆでたまごみたいにつるつるしてて、なでるように指を這わせると、ルーミアはくすくす笑いを漏らした。
「やは……お尻、くすぐったい……」
もぞもそと身じろぎするルーミア。くすぐったいだけのはずなのに、それがなんだか誘っているみたいで、わたしはどきどきした。
ルーミアのショーツを脱がしてしまうと、わたしたちは森の中で、何も身につけていない姿になった。
わたしは草の上に寝そべる。背中に当たるちくちくした雑草の感触が新鮮だ。
その上に、お尻を向けてルーミアが覆いかぶさる。肩越しに微笑んだルーミアの視線は、やけに眩しい。
目の前に、ルーミアの幼い……おんなのこの、部分。
自分とルーミアの以外、見たことなんてないけど、ルーミアのそこは、ほんとにちいさなこどものって感じで、自分がそこに触れることに、わたしは多少のためらいを覚えた。
「えと……いい?」
わたしがまぬけな感じにそう聞くと、太ももの内側のとこに熱くて濡れてて柔らかいものが触れた。
ルーミアの舌、だ。
返事を返す代わりにルーミアは、わたしの内腿をちろちろ舐めた。
わたしもお返しに、ルーミアのそこに口を付ける。
ほっぺたによく似た、ぷにぷにした感触だった。
まわりから円を描くように舌を這わせると、ルーミアの太ももがぴくぴく動いた。
わたしのそこに、ルーミアの熱い息がかかる。
舌先を、中心にもっていく。
縦にすっと通った、その入り口のあたりをなぞるように舐めると、わたしの足の間でルーミアが声を上げた。
感じてる……ルーミア、感じてる……。
もっと味わいたくて、わたしは手を伸ばして、ルーミアのそこに指先をあてがった。
「ね、ルーミアのなか、見ていい……? ルーミアの中、見たい……」
そう聞くと、ルーミアはからだを起こしてこっちに視線を向けた。その視線はもうすでに、とろけていた。
「うん……ぜんぶ見てぇ……ルーミアのはずかしいとこ、ぜぇんぶ……見ていいよ……」
そう言ってルーミアは、またわたしの足の間に屈みこむ。
「ルーミアもぉ……てんこちゃんの、ぜんぶ見ちゃうからぁ……」
そう言ってルーミアは、たった今わたしがしようとしたみたいに、わたしのそこを、くにゃ……と、指で広げた。
――見られ、てる……!
その瞬間、わたしはイッてた。ルーミアの視線で、イッてた。
「っあ、ひぁ……っ!?」
腰が勝手に跳ねて、立てた膝ががくがくふるえた。
「えへ……てんこちゃんのここ、おいしそ……」
「ひあぁぁぁうっ?」
ぬるん、と、わたしのそこに熱いルーミアの舌が触れ、はいってきた。
「や、やはぁぁぁ! そんなのだめ、イッちゃうからぁ! すぐイッちゃうからぁぁ!」
イキながら、わたしは同じように、ルーミアのそこを指先でひらいた。
ねぱ……っていう粘ついた音がして、ルーミアのそこがあらわになる。はじめて見る、ルーミアのそこ。
素直に、きれいなピンク色の花を、わたしは連想した。
濡れて光るお肉が、ひくひく動いてて、まるで甘い蜜の香りに誘われる蝶みたいに、わたしはためらいなくそこに口をつけ、ルーミアのいちばん奥に届かせようと舌を伸ばした。
くにゅううう……って舌を入り込ませると、ルーミアのそこはきゅんきゅんうごめいて、わたしの舌を締め付けてきた。
とろとろのおつゆとわたしの唾液が混じった熱い液体が、顎から垂れて首筋に流れていく。
わたしのそこに吸い付いたルーミアの唇と舌がふるえて、喘ぎをわたしのそこに吹き込んでくる。
内腿どころかおなかの辺りまで濡れてるのが分かった。ルーミアの舌が中で動くと、わたしのそこはぷちゅうううっとおつゆを漏らす。
「ひみゃあぁ……てんこちゃん、おまた、おまたぁ……ちゅっちゅしてぇ……ぺろぺろしてぇ……」
「うん、するよ……るーみあのぉ……るーみゃのおまた……ちゅーするよぉ……」
「はぁむ、うゅん……ふぁっ、んぷぅ、れる、れぅぅ……おいひ……てんこちゃんのぉ、おつゆ、おいひ、よぉぉ……なめてるだけで、きもちいいようっ……」
「ひぁぁぁう……っ、っく、また、いくっ、るーみゃにちゅーされてぇっ、いっちゃうのお……っ!」
ルーミアにした分だけ、ルーミアからも快感が返ってくる。
つながってる……わたしは、そう思った。
「みてえ、るーみゃっ、みてえ……っ! わたしがいくとこ、みてえええ……!」
「うん、ぜぇんぶ、みてるからぁ……みながら、いくからぁ……てんこちゃんも、いってぇ……!」
そんな風に大声でえっちな言葉をわめくたび、背筋がぞくぞくした。おかしくなりそう……ううん、きっともう、わたしはおかしくなっちゃってた。
もう、ルーミアにされてイくことと、ルーミアをイかせることしか頭になかった。よだれまみれになって、呼吸をめちゃくちゃにして、わたしは必死にルーミアのそこを舐め続けた。
そして、終わりが来た。
地面に突き立てたつま先が、がくがくふるえて止まらなくなった。腰がめちゃくちゃに跳ね回った。口が「あ」の形から戻らなくなった。
ルーミアも同じだった。
わたしの頭のちょうど両側についた膝がふるえて、そこまで熱い雫が飛び散っていた。両手で抱え込むようにしたルーミアのかわいらしいお尻がぶるぶるふるえた。
「あーっ! あーっ! あぇ……! あああ、あ、あ、あ、あああああ!」
「いくっ、ひ、ひぃ、ひくっ、ひきゅぅぅぅ……っ!」
ぷしっ、と、ルーミアのそこが爆ぜるのと、わたしの背中が地面から離れるくらい反り返ったのは同時だった。
叫び声と、熱いほとばしりを撒き散らして、わたしたちは達した。
視界が真っ白にはじけて、何も見えなくなる。何も聞こえなくなる。
感覚が戻ってきたのがどのくらいしてからだったか、よく分からなかった。
「っひ、はひ、はぁ、あ、あ、はぁぁ、はっ、はぁ……っ」
乱れたままの呼吸がなかなか元に戻らない。
ルーミアのもそれは同じみたいで、わたしの足にしきりに熱い息を吐きかけている。
ぐったりとわたしに覆いかぶさるルーミアの体重が心地よかった。
汗びっしょりになった体に、そよ風が気持ちいい。
――顔、見たいな……。顔見て、ちゅーしたいな……。
そんなことを、ふと思った。
でもルーミアはぐったりして、荒い息をついたままだ。
しばらくは、このままでいいかな。そう思って目を閉じると、ルーミアがもぞもぞ身じろぎするのが分かった。
そして、わたしの唇に柔らかいものが触れた。
目を開けると、すぐ近くにルーミアの顔。
ほっぺたを赤くして、まだとろんとした目をしてた。
ルーミアはそのまま、くずおれるようにしてわたしに覆いかぶさってきた。
まだ熱の引かないほっぺたをすり寄せながら、ルーミアはちょっとかすれた声で言う。
「ねぇ……てんこちゃん」
「なぁに……? んっ、こらぁ、あんまりもぞもぞしないでよ……い、今その、終わったばっかりで敏感なんだから……」
「ふや、ごめん……でね、てんこちゃん」
ルーミアはしきりにほっぺたをすり寄せて甘えてくる。わたしもぐったりしてるのをなんとかがんばって、首を曲げてすりすりしてやった。
「あのね、ルーミア、てんこちゃんのコイビトになれたかなぁ……?」
ちょっと自信のなさそうな口調がかわいくて、わたしはからかってやりたくなった。
「うーん、まだダメね」
「えーっ。いっぱいちゅーして、さわりっこして、えっちなことしたのにー。てんこちゃんのいぢわるー」
ぷーっとむくれるルーミア。
そのほっぺたをつついてやりながら、わたしは言った。
「だから……その、また、しよ? こ、コイビトに、なれるように、さ……」
言ってから、やっぱり顔が赤くなった。
ルーミアも、ちょっと顔を赤くして、返事の代わりに、ちゅってキスしてくれた。
二人で顔を見合わせて、くすっと笑う。と、二人いっしょにくしゃみが出た。
「んー、さすがにこのかっこうのままじゃ寒いわね……風邪引いちゃう」
「えへへー、そしたらルーミアがてんこちゃんのこと看病してあげるーっ♪」
そう言って笑うルーミア。
わたしは真剣に、このままでいて風邪を引いてしまおうか、なんて考えしまった。
これはエロい!! ごちそうさまでした<m(__)m>
でもてんこちゃんも可愛い
謙虚なナイトが見え隠れしてるけど
もう砂糖に卵かけたのでいいや。
甘すぎますよ、勿論良い意味で。
しかし甘い甘すぎるぜ!ぜひ続きを!
ニヤニヤしすぎて家人に不審がられそうです。
>「おかみをよべー!!」
しかしこれは吹いた。説教フラグじゃんw
天子かわいいですね。何か純粋というか、愛おしい所があって。
激しく続編を希望します。
もっともっと書くんだ!