※はじめに
この作品は、【百合色の】東方の百合カップリング談義3【幻想郷】 960、同じく11スレ目498、及び常春の百合ろだ[lily_0070.txt]、[lily_0125.txt]に投稿したSS、
http://merupo.orz.hm/lily_stories/upload/read.php?id=0070&file=lily_0070.txt
http://merupo.orz.hm/lily_stories/upload/read.php?id=0125&file=lily_0125.txt
にネチョ要素を追記し、統合・加筆修正したものです。
この作品が、上記のSSの盗作、無断使用ではないこと、上記のSSとこの作品の筆者は同一人物であることをここに明記します。
「もしもしー? いるんでしょ、アリス」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえてるわよ。ドアは開いてるからどうぞ」
魔法の森にある洋風の屋敷。そこを霊夢は訪れていた。
ドアを開け中に入ると、屋敷の主、七色の人形使いことアリス・マーガトロイドは机に向かい、ミシンを使っていた。
「あら、お仕事中? お邪魔だったかしら」
「すぐ済むわ。待ってて」
そう返事を返す間にも、アリスの手は器用に動き、布地を縫い合わせていく。
程なくして机の上の布を取り上げると、それは簡素な藍色のワンピースだった。
「へぇー、すごいもんじゃない」
「ま、この程度はね……」
すまし顔にもいくらか得意げな色をにじませて、アリスは完成したワンピースをしまう。
「で、こんなところまで来るなんて珍しいわね、霊夢。ご用の向きは?」
「あんたが趣味で服を作ってるって噂を聞いてね……」
数体の人形が用意した紅茶を飲みながら、霊夢は答える。
そんな霊夢にアリスは興味深そうな視線を放った。
「ふうん、いつもの巫女服には飽きたの? それともシスターにでも宗旨替え?」
シスターの格好をした霊夢を想像して、アリスは自分の分のカップにつけた口元に笑みを浮かべる。
「私が着るんじゃないわ」
「へぇ、じゃあ誰かへのプレゼントってことかしら。で、博麗の巫女の寵愛を受ける幸運な人物はいったい誰?」
アリスの口にした「寵愛」という言葉に生まれた動揺を、霊夢はどうにか隠すことができた。
「……よ」
「え? 聞こえなかったんだけど」
「だから! ……その、ルーミア、よ」
沈黙。
アリスはきょとんとしている。アリスのリアクションを待つ間、霊夢は窓の外へと視線をそらし続けていた。
「……これはまた、意外な名前が出てきたわね」
「い、いいじゃない、別にっ」
「まあ、そうなんだけど」
あくまですまし顔のアリスと対照的に、霊夢は顔が赤くなり始めたのをどうにかごまかそうと、聞かれてもいないのに一気にまくし立てる。
「あ、あのコったら最近うちによく遊びに来るから! その、いつもおんなじ服着てるからちょっとかわいそうだなって! だからこれはそういうイミじゃなくてね!?」
「……うん、分かった。分かったからその辺で止めときなさい。深呼吸深呼吸。はい吸って吐いて」
「ふ、ふしゅー、ふしゅー」
「……うん、分かった。えーと、とりあえず服は妖精サイズでいいのよね。で、デザインはどんなのがいいの?」
ふーふー息を荒げていた霊夢は、アリスの言葉にはっと我に帰る。
そのまま、むー……と唸ったきり黙りこんでしまう。
「ちょっと、聞いてるの?」
「聞いてるわよ! だけど、その、よく分からないのよ、こういうの……」
そうやってもごもご口ごもりながら、霊夢はやっと口を開いた。
「あ……」
「あ?」
「あ、あのコに似合いそうなのが、いいな……」
その一言に、アリスはたまらず吹き出す。
「ぷ、あははは……! なによそれ、あはは……」
「わ、笑うことないじゃないの!」
「あはは、ごめんなさい。あんまり意外だったものだから、ついね……」
ようやく笑いを収めたアリスは、霊夢の方を見て、ふふっと笑った。
「な、何よう」
「いえね、あなたもそんな顔するんだなあ……って」
そう言ってアリスは、棚に飾ってある人形に手を伸ばし、黒い三角帽子を被った頭をやさしく撫でる。
霊夢はそんなアリスをぼんやりと見ていた。
「いいでしょう?」
「え? な、なにが?」
「誰かを好きになる、って」
アリスは霊夢に背を向けたまま続ける。
「あなたって正直、ちょっと冷たい印象があったのだけど……変わったのね。いいことだと思うわ」
「え、あ、ありがと……」
「そういう顔も前はしなかったしね」
「あ、あんまりからかわないでよ」
「そうね、ごめんなさい。服の方は任せておいて。かわいいの、作ってあげる」
「あ、ありがと! 頼むわ」
アリスの屋敷を後にする霊夢。
わけもなくこみ上げてくる笑みをこらえきれず、ルーミアが遊びに来るのが楽しみで仕方ない霊夢だった。
「こーおーとーのーなかにはー、まものがすーむのー♪」
夕暮れ時の博麗神社の境内に、調子っぱずれな歌声が響く。
歌声の主は宵闇の妖怪、ルーミアだ。
このところときどき遊びに来ては掃除や洗濯を手伝って、食事をご馳走してもらっている。
「霊夢ーっ、遊びに来たよーっ!」
「はいはい玄関先で大声出さないの。上がっときなさい」
言葉こそそっけないが、ルーミアを出迎える霊夢の顔はほころんでいる。
「はーい!」
元気に返事をすると、ルーミアは台所の霊夢のところへ一直線。
「霊夢ーっ!」
「こら! 危ないでしょ、いきなり抱きつくの止めなさ……」
「んちゅーっ」
背中に飛びつくルーミアに振り向いた時には、もうすぐそこに満面の笑みを浮かべた顔があった。
そのままルーミアは霊夢の頬に口づける。
コンロにかけた鍋と同じに、霊夢の顔も湯気を吹いた。
そして数刻後。
「ごちそーさまーっ!」
「はいはい、おそまつさま」
食事の後片付けをしながら、霊夢はいつ言い出したものかと迷っていた。
ちらりと視線を向けた先には、先日アリスに頼んでおいた子供服がリボンつきの箱に入れて置いてある。
ちなみに霊夢の箱の中身を見ていない。
アリスは箱からリボンから全部向こうで用意してくれたのだが、ルーミアに渡すそのときまで霊夢も中身を見ないように言い含められたのだ。
「はあ?」と首を傾げる霊夢にアリスは「その方がいいでしょ? 驚きを共有できるから」と答え、霊夢は今ひとつ納得のいかない気分で服を持ち帰ったのだった。
片付けも済み、ルーミアは居間で霊夢が来るのを待っている。
「……」
妙に緊張する。言い出すタイミングがつかめない。
服を持ってきて、はいこれプレゼント、わーい霊夢ありがとう、早速着替えてみるね、うんうんすごく似合ってる……それだけのことのはずなのに、最初の一歩が踏み出せない。
こういうときは深呼吸だ。
3回。3回深呼吸したら服を持って居間に行こう。
息を吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って……
「どしたの霊夢?」
「ひゃあ!」
いきなりしがみついてきたルーミアに、霊夢は素っ頓狂な声を上げる。
「片付け終わったんでしょ? ねー遊んでよう」
「あーびっくりした……はいはい分かったから」
もうこうなったらこの場で腹をくくるしかない。
霊夢は恥ずかしさや緊張をなんとか力づくで押さえ込み、服の入った箱をルーミアに突き出す。
「はいこれっ」
「なにこれ?」
「あんた、いっつも服汚してくるでしょ。それにいつ見てもその服のまんまだし」
「うん、そだね」
「だから、服」
「およーふく?」
「そ。あげる」
「え……」
ルーミアの視線は、渡された箱と霊夢の顔とを行ったり来たり。
「い、いいの?」
「いいって」
「ほんとにほんと?」
「ほんとだってば。遠慮しなくてm「れーむありがとーーーーーー!!!」
目視してからの回避が不可能であろう至近距離からのタックルが直撃し、霊夢は派手に後ろに倒れる。
「あいたたた……もうっ、いきなり抱きつかないでよ」
「ね、ね、今着ていい? 今着ていい!?」
「い、いいけど」
「わーい!」
すごい勢いで駈けていくルーミアの背中を見送りながら、霊夢は苦笑する。
「色気より食い気って感じだけど、やっぱり女の子なのねえ……それにしても、どんな服が入ってたのかしら」
まあ買ったところがあの何でも屋じゃないから、別にヘンなものじゃあないと思うけど……と考え込んでいると、向こうの方からどたどたと騒がしい足音。
「早かったわね、ちゃんと一人で着替えられ――」
「じゃーーーーん! 似合う? 似合う!?」
絶句する霊夢と、テンション最高潮のルーミア。
対照的な両者を結ぶ一つの要素。
それは、アリスが霊夢に渡した服だ。
純白のワンピース。
いつもとと全く違うその格好に、しばし霊夢は目を奪われる。
普段の黒を基調とした服とは全く違う、白一色のワンピース。
「宵闇の妖怪」の二つ名からは一番遠いところにあるはずのその色はしかし、あつらえたようにルーミアに似合っている。
「えへへー、うれしいな! かわいいな!」
その場でくるんと一回転すると、スカートの裾がふわりと広がって花のように見える。
普段の服では見えなかった華奢な肩や腕はあらわで、着ているワンピースにも負けない肌の白さがどこか艶かしい。
「いつもと違うかっこするのって、いいなあ。霊夢、ありがとね!」
「あ、ああ、うん……」
照れ隠しにそっけない態度を取ろうとして――霊夢はふっと肩の力を抜いた。
はしゃいでいるルーミアの頭に、ぽんと手を乗せる。
「その……すごく、かわいいわ。……うん! よく似合ってる!」
「えへへーっ! うれしいな!」
ぎゅーっと抱きついてくるルーミアを、霊夢は素直に抱き返した。
「あ、そうだ」
霊夢の腕の中で、ルーミアが思い出したように顔を上げる。
「ワンピースね、もう一着あったよ? おんなじの」
「え……?」
アリスが間違えて余計に入れたのかしら……そう思いつつ霊夢は、ワンピースが入っていた箱を検める。
ルーミアの入ったとおり、箱にはもう一着、白いワンピースが折りたたまれて入っている。
取り出してみると、デザインもルーミアのものと同じものだった。しかし、異なる点が一つ。
サイズが違う。
ルーミアものと比べて、霊夢が手にしているそれは大きい。そう、ちょうど……
霊夢はなんとなく自分の身体に当ててみる。測ったようにぴったり。
「わ、ぴったりだー」
横で見ていたルーミアが、不思議そうに自分のワンピースと霊夢の持っているそれとを見比べている。
えーと……? これって、どういうこと?
なぜか霊夢の脳裏を、アリスの澄ました笑顔が掠めた。
「ねーえ霊夢ぅ、まあだあ?」
「もう、そんなに急かさないでよ……」
ふすまの向こうから聞こえるルーミアの催促の声に、霊夢は慌て気味な返事を返す。
ルーミアはさっきから縁側で待っているのだが、霊夢はなかなかふすまの向こうから出られない。
もう一着の、サイズの少し大きめの同じワンピースを持ったまま動けなくなっている。
要はペアルックというやつだ。
さすがにこれは……と思った霊夢だが、ルーミアの期待を込めた純真な瞳に半ば脅迫されるかたちでワンピースを着ることにした。
そして現在。
霊夢はその白いワンピースを手に、躊躇っている。
着替えるのが難しいわけでは当然ない。ワンピースは至ってシンプルなデザインだ。
それなのに霊夢はいつもの巫女服を脱いだっきり、ワンピースに袖を通せないでいる。
「……」
両手でつまんだワンピースを目の高さまで持ち上げ、眉間に皺を寄せている霊夢。
いまどきペアルックという以外にも、霊夢がそのワンピースを着るのをためらう理由がもう一つあった。
そう、生地が薄いのだ。
無論肌が透けて見えるほどではないが、着れば体の線がはっきり見えてしまうのは間違いないだろう。
ルーミアの方はああいう性格だから気にも止めないだろうが、霊夢の方は話が違う。相手が気にしなくてもこっちはおおいに気になるのだ。
むー……と唸りながらなおも躊躇う霊夢。
「霊夢ぅ、どしたの?」
「きゃーっ!?」
いきなりふすまを開いて顔を覗かせたルーミアに、霊夢は慌てて脱いでいた巫女服で身体を隠す。
「いきなり出てくるんじゃないわよ!」
「だって霊夢遅いからあ」
「だ、だからって……」
慌てる霊夢に、ルーミアは不思議そうに首を傾げる。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのにー」
「私が恥ずかしいのよ!」
「えー」
「あーーーもういいからあっちいってなさい!」
「ヘンなの……」
首を傾げながら戻っていくルーミア。ほっと息をつく霊夢。
まあいつまでもこうしていても仕方がない。
ふう、とため息をついて、霊夢はワンピースの袖に腕を通すのだった。
そして数分後。
「……お、おまたせ」
「あ、やっと来た。もー遅いよう」
先に縁側で待っていたルーミアは不満顔だったが、霊夢の姿を見て目を丸くする。
「わああ……」
ルーミアはしきりに「わー」とか「へー」とか言いながら、霊夢の周りをくるくる回っている。
「霊夢、なんだかきれいだなー。」
「あ、あんまりじろじろ見ないでよ」
「えーいいじゃん別にー。減るもんじゃなし、きれいなんだし」
しばらく霊夢の周りでくるくるじろじろしていたルーミアは、ひょいと霊夢から離れると、自分のスカートの裾をつまんでにぱーっと笑って見せた。
「えへへー」
「な、何よ」
「おそろい、おそろいー」
無邪気にはしゃぐルーミアに、霊夢は恥ずかしがっていたのがなんだか無駄に思えてきて、気が抜けたやら妙にムカつくやら、複雑な気分。
そんな霊夢にはお構いなしに、上機嫌なルーミアは霊夢の手をぐいぐい引っ張って縁側に連れて行く。
「ほら霊夢、早く早くー。お月さまきれいだよ」
「分かったからそんなに引っぱらないでよ……」
縁側に出ると日はとうに暮れていて、夜の帳が下りている。
夜空を見上げれば、ルーミアの言う通り見事な、眩しいくらいの月光を放つ満月が浮かんでいた。
今さらのように霊夢は、ルーミアが自分と同じワンピースを身に付けていることを思い出す。
空中をくるくる飛び回るルーミアの月光に透ける幼い肢体はどこか艶かしく、霊夢は目のやり場に困ってしまう。
そんな霊夢にはお構いなしに、ルーミアは細い足がきわどいところまで見えるのも気にせず上機嫌で夜空に浮かんでいる。
「ねえねえ、霊夢もおいでよう」
「もう、しょうがないわねえ……」
ため息一つ、霊夢がふわりと空中へ浮かび上がると、ルーミアは霊夢の両手を取ってくるくる回り始める。
ルーミアに振り回されながらも、霊夢はいつの間にか声を上げて笑っていた。
くるくる回ってルーミアは手を離し、空中へ飛び上がる。白いワンピースが思い切り広がって、夜空に咲く花のようだ。
そのままルーミアは天地さかさまになって霊夢の胸へ飛び込んできた。
霊夢が慌てて受け止めると、ルーミアはさかさまのまま顔を寄せて、ちょん、と霊夢にキスをした。
霊夢はちょっとたじろいで、それからルーミアの頭を抱え込むようにして、キスを返す。
「んふふー」
「もお、何よ」
「なんでもなーい」
霊夢が指先で頬の辺りをくすぐってやると、ルーミアは目を細めてくすくす笑いを漏らす。
かわいいな、と霊夢は素直に思った。
打算も何もなしに自分になついてくれているのが嬉しかった。
「何よ、にやにやしちゃって」
憎まれ口とは裏腹に、霊夢はやさしくルーミアの頬を撫でる。
さかさまになっていたルーミアはくるんと体の向きを直して、ぽすんと霊夢の胸に身体を預ける。
「ねぇね、もっかいちゅーしよっ?」
「なあに、そんなに好きなの?」
そう言いつつ唇を寄せてやると、ルーミアは嬉しそうに霊夢の首に手を回し、んーっとじゃれつくようなキスをする。
「んく、んく、んー……」
甘えるような声を漏らしながら口付けを続けるルーミア。
その声に、無邪気なキスにはそぐわない奇妙な色気を感じて、霊夢は目元を染めた。
ルーミアは唇を少し離すと、小さな舌を伸ばして霊夢の唇をぺろんと舐める。
「んー、ぺろ、ぺろ、んちゅ、んぅ、んむ……」
「ん、ふぅ……ちゅ、むぅ、ん……」
熱が混じり始めた自分の吐息を、霊夢はどこか遠くに感じていた。
と、ルーミアの唇が離れた。思わず名残惜しげな声が漏れてしまう。
唇を離したルーミアは、いつもの無邪気な顔で、にへへっと笑った。
「霊夢とちゅーするの、好きー。あまーいし、気持ちいいし、あったかいし、なんか安心するの」
そんなルーミアの言葉に、霊夢は嬉しいやら恥ずかしいやらで、耳まで赤くなってしまう。
「霊夢はぁ、わたしとちゅーするとどんなかんじ?」
「うぇっ!?」
素っ頓狂な声を上げてのけぞる霊夢。ルーミアはそんな霊夢を不思議そうに見上げながら答えを待っている。
なんとかごまかそうか、いやルーミアになら別に正直に言ってもいいかも、いやいやそういうことを口にすることが恥ずかしいのであって相手が誰かはこの際問題じゃない――などとぐるぐるしている霊夢。
「ねーねー、どんなかんじ? どんなかんじ?」
早くも焦れたルーミアにせっつかれて、霊夢は、ううー……とうめいて、視線を泳がせながらなんとか答える。
「そ、そりゃ……私だって気持ちいい、わよ。あ、あんたの唇、ぷにぷにしててやわらかいし、抱きつかれるといいにおいするし、子猫みたいな声出すし、ちっこいくせにちょっと色っぽく見えてどきっとするし……と、とにかく! そ、その、好きなのよ、あんたととキスするの……」
そこまで一気にまくし立てると、霊夢は顔を一気に高潮させた。
ルーミアはきょとんとした顔でそんな霊夢を見つめている。ややあってルーミアは、顔中を口にして笑った。
「にゃはー♪」
そのまま霊夢にぎゅーっと抱きついて、頬をすり寄せる。
「ちょ、ちょっと、ルーミア?」
「えへへ、だってだって、なんだかすごくうれしいんだもん!」
霊夢が何か言おうとする前に、その唇はルーミアの熱烈なキスでふさがれた。
ルーミアは霊夢の唇といわず頬といわず、キスの雨を降らせる。
ついでとばかりにルーミアは、霊夢のワンピースの襟元に鼻面を潜り込ませて、首筋にキスをした。
「きゃ……!」
思わぬ場所にキスされて、思わず声を上げてしまう霊夢。
「わ、ごめん、痛かった?」
「や、痛くははないけど……」
「キモチ良かった?」
「ば……っ!」
「えへへ、キモチ良かったんだ。じゃあもっとするね!」
「ちょ、待ちなさ、ひゃんっ!」
今度は耳たぶをぱくっとくわえられて、霊夢はまたも声を上げる。
その途端、ふわふわ空中に浮かんでいた霊夢は糸が切れたようにがくっと下に落ちそうになる。
「あ、危ないじゃないの! もーいきなりなにするのよこのコってば……」
「えーだって霊夢のことキモチ良くしてあげたいんだもん。わたしのこと色々ほめてくれたし」
悪びれた風もなく言うルーミアに、霊夢はもう言い返せなくなって、ため息一つ。
「ここじゃ危ないから、中に戻りましょ……はしゃぎまわって疲れちゃったし」
「はーい!」
元気良く返事をして縁側の方へ降りていくルーミアを見下ろしながら、霊夢はもう一度ため息をついた。
霊夢が屋内へ戻ると、さっそくルーミアが飛びついてきた。
霊夢はそのままバランスを崩して後ろに倒れこんでしまう。
「あいたたた、もお、いきなり何するのよ」
ルーミアは霊夢の胸に顔を乗せてにこにこしている。
ワンピースの生地が薄くて、ルーミアの体温が直に感じられるようだ。
さっきまではしゃいでいたからか、ルーミアの身体は熱い。
目を閉じて、ルーミアの背中に手を回す。
ルーミアの体温、呼吸、かすかな身じろぎ。
目を閉じて、ルーミアを抱きしめて、そういったものを感じているだけで、霊夢は輪郭のはっきりしない幸福感を覚えた。
「霊夢のおっぱい、やーらかいなー」
そんなことを言いながら、ルーミアは霊夢の胸に頬を寄せて、甘えた声を漏らしている。
「ねぇ、霊夢ぅ……今日は、触らないの? わたしのこと」
「え……?」
「今日は」という言い回しに、霊夢の脳裏に、数日前のまどろみながらのルーミアとの行為がフラッシュバックする。
ルーミアはあれっきりそのときのことを口にしなかったので、霊夢はてっきりルーミアはそのことを覚えていないか気にも留めていないものだと思い込んでいたのだ。
あの時自分がルーミアに何をしたのか思い出して、霊夢の顔色は赤と青の間を行ったりきたり。
そんな霊夢に追い討ちをかけるようにルーミアは続ける。
「ちょっと恥ずかしかったけど、やさしくしてくれたし、キモチよかったし。えへへ、なんだか思い出したらどきどきしてきちゃった」
ルーミアは顔を上げて、ちょっと照れた様子で笑った。
「それにね、ほら、このワンピースうすいから、くっついてるとね、霊夢のからだ、やーらかいのがわかって、あったかくて」
そう言ってルーミアは、霊夢の胸に顔を押し付けた。自分の鼓動が激しくなっているのがばれてしまいそうで、霊夢は意味なくルーミアから視線をそらす。
確かにルーミアの言うとおり、薄いワンピースの生地を通して感じるルーミアの体温や感触はいつものそれよりはっきりしている。そうまるで、裸で抱き合っているように。
「あ、そだっ」
不意にルーミアがぴょこんと身体を起こした。
なに……?と霊夢が目眼で問うと、ルーミアはいつもの罪のない笑顔を浮かべた。
「今度はわたしが霊夢のこと触るね」
「へ?」
言うが早いかルーミアは、今まで頬をすり寄せていた霊夢の胸に、ぺたっと両手を置いた。
「ちょ、なにするのよ……!」
「? 霊夢のこと、触るんだよ?」
さすがに霊夢は慌てるが、ルーミアは不思議そうに首を傾げるだけ。
そういう意味を分かっているのかいないのか、ルーミアは霊夢の胸をふにふにいじり始めた。
「わ、おっきいな。なんだかあついや……」
そんなことを言いながら霊夢の胸をもてあそぶルーミアの手つきは愛撫と呼ぶには程遠いもので――しかし霊夢は、体の奥にうずくような快感を覚えた。
ふ……と唇から吐息がこぼれる。それが何かのきっかけだったかのように、霊夢は全身の力をふっと抜いた。
なんとなく、胸に置かれたルーミアの小さな手に自分の片手を重ねてみる。
ルーミアは嬉しそうに笑って、霊夢の胸を撫でるように揉んでいく。
「は、ぁ……」
恥ずかしいので声を出すのをこらえようとも思ったが、霊夢は結局そうしなかった。
一度そうしてしまうと、声を漏らすことに抵抗はなくなった。むしろルーミアに、言葉を用いず、触れられて気持ちいいんだよ……そう伝えられるような気がして、霊夢は、はぁ、はぁ、と穏やかな吐息をこぼした。
ルーミアにもそれが伝わった様子で、頬を赤く染めて、へへ、と笑った。
薄いワンピースの生地を通して感じるルーミアの手は、柔らかく、熱い。
ルーミアにも同じように、自分の熱や感触が伝わっているのだ、そう思うと霊夢は、くすぐったいような、嬉しいような、奇妙な幸福感を覚えた。
ルーミアが身体を屈める。キスするのかと思ったら、ルーミアは霊夢の首筋に舌先を這わせた。
小動物がじゃれ付くような無邪気な仕草でありながら、同時にどこか艶かしい。
「んぅ、あ、はぁ……っ」
顔のすぐ近くで、ルーミアがいつもののんきな笑みを浮かべる気配。そして、ルーミアの吐息。
「ん、ちゅ、ぺろん、んー、んふふ、ちゅっ、んむ……」
熱く濡れた舌先が、味わうように霊夢の首筋を何度も這い登る。そのたびに霊夢は、火照り始めた身体を切なげに震わせた。
つぅー……っと舌先が首筋から赤く染まった耳たぶの方へ登っていき、はみっと口に含んだ。
「ひゃうっ……! ん、もぉ……」
「んへへ……きゅぅん……」
ルーミアは霊夢の耳元でくすくす笑いながら、ぴとっと頬を合わせた。
霊夢もルーミアに何かしてあげたくなって、背中に回した手をそっと下に下げて、小さなお尻に手が触れた。
小柄な体型のためかふくよかとは言い難かったが、確かな丸みを帯びた感触。
怖がらせないように、そっと撫でる。
「やぁぁん……」
甘えるような声で鳴くルーミア。
意識してか無意識にか、お尻をくりん、くりんと動かしているのがまるで誘っているようで、霊夢は頭の芯がぼうっとなるのを感じた。
敏感なのか、こういう行為に慣れていないせいか、ルーミアの吐息には熱が増し始めて、霊夢は鼓動が早くなるのを自覚した。
お尻に置いた手をワンピースのスカートの下に潜り込ませると、ルーミアは鼻にかかった甘い声をこぼす。
「だめだよぅ……わたしが、霊夢のこと、触るんだからぁ……」
とろけた口調でそう言うと、ルーミアはふらふらと危なっかしく身体を起こした。
その手がワンピースのすそにかかり、胸元近くまでめくり上げられても、霊夢はそのままでいた。させてあげたいと思った。
薄いピンクのショーツとしっとり汗ばんだ霊夢のおなかのあたりが露になる。
ルーミアは少し遠慮がちな手つきで、霊夢の胸元に手を滑り込ませた。いつものようにさらしを巻いていないので、直に乳房に手が触れる。
「霊夢のおっぱい、ふにふにだぁ……」
頬を高潮させて、ルーミアは霊夢の乳房を、きゅ、きゅとたどたどしく揉む。
そのもどかしいくらいの刺激が、霊夢の全身をじんわりと熱していく。
「あ……はぁ……ん、ふ……なんだか、ふふ……いいきもち……」
霊夢は吐息の他に、時おり笑みをこぼした。どうしてかは分からない。
「あ……ここさわると、きもちいいんだっけ」
ルーミアの指先が、意外なほど繊細な手つきで霊夢の乳首をそっと押した。すでに十分かたくなっていたそこは、柔らかい乳房の中にくっと沈んで、指先を離すとぷくんと元に戻る。
霊夢は、はぁー……っ、と長く尾を引く吐息をつく。
「前に触ってもらったとき、ここ、きもちよかったの。霊夢は、きもちいい……?」
霊夢は返事の代わりに、中途半端にめくれていたワンピースを喉元までめくり上げた。
甘い熱を持ち始めた夜気の中に、ふるんっ、と揺れる白い乳房。
ルーミアは、ふぁ……と、吐息とも笑みともつかない声を漏らした。小さな身体を屈めて、霊夢の乳房に唇を寄せる。開いた口から漏れる熱い息が乳首にかかり、霊夢はそれだけで身をふるわせた。
「あは……霊夢のおっぱい、たべちゃうよぉ……」
最初に舌先が触れ、柔らかな唇が先端を包み込んだ。ルーミアは、ちゅぱ、ちゅぱと音を立てて霊夢の乳房を味わう。
ルーミアの柔らかい唇の感触。密着した肌の熱さ。それらが霊夢の思考を、少しずつ溶かしていく。
唇に上下から挟んだ乳首を、ルーミアの舌先がなぞり上げる。背筋を駆け上るような快感。
「はむ……んむ、んー、ちゅぱ、ちゅう……」
「ひあうっ……ん、は、あぅんっ、ん……ル、ぅ、ミア……もっと、して……いいよ……もっと、おっぱいに、キスして……」
普段とはまるで違ったとろけた口調。霊夢は自分の口から出た言葉を、どこか他人事のように感じていた。
いつもそうだ、ルーミアといると。ルーミアといると、おかしくなってしまう。自分が自分でなくなってしまうような気分。
でも怖くはなかった。むしろ安心を感じた。
その証拠に、霊夢は微笑んでいた。嬌声をこぼしながら、微笑んでいた。
ルーミアは霊夢の和らいだ顔を見上げて、同じように微笑んだ。
「霊夢のおっぱい、あまぁいね……ちゅーしてるときとおんなじ。あまくて、やーらかくて……わたし、すきー……」
ルーミアが口に含んだ乳首を飴玉を舐めるように転がす度に、霊夢は甘い吐息をこぼし、身をよじらせる。
唇を離すと、ルーミアは小さな舌先で、ちろん、ちろんとたっぷり濡れた先端をなぞり、また口に含む。
「んふ、えへへ……ちゅーするの、すき……おくちでするの、すきー……」
そんな言葉をこぼしながら、幼い唇が乳房からおなかの辺りに下がっていく。口づけたり、舌で舐めたり、ルーミアは霊夢の体中をその小さな口で愛撫する。
頭を撫でてくれた霊夢の手を取り、指を口に含む。
乳房の丸いラインを、小さな舌でなぞる。
すべすべしたわき腹の辺りに口づける。
身体を伸ばして、霊夢と舌を絡ませ合う。
喉元にこぼれた唾液を舐め取る。
そしてルーミアの唇がおなかを経て、霊夢のじっとりと湿ったショーツのあたりにまで下りてきたときも、霊夢はルーミアがそこに口をつけることに抵抗は感じなかった。
ルーミアはショーツ越しに指先でそこに触れた。濡れているのに少し驚いている様子だった。
つぷ、と指先が僅かに沈んだだけで、霊夢の細い腰はふるえ、ショーツの中から新たにあふれた熱い液体がルーミアの細い指先を濡らした。
「ぬれ、てる……とろとろだぁ……」
ルーミアは霊夢の体液に濡れた自分の指先を不思議そうに眺め……それを口に含んだ。ちゅう、ちゅぱ……と濡れた音を立てて、指についた液体を丹念に舐め取っているその姿は、幼さと淫靡さが交じり合った光景で……霊夢は体の奥が、ずくん、と熱くなるのを感じた。
「わたしも、こんなだった……?」
霊夢はもうほとんどまとまらなくなってしまった頭で、ルーミアが以前の行為のことを言っているのだということをぼんやりと理解した。
「とろとろ、だった」
それだけを返す。なんとなくおかしくなって、ふふ、と笑った。
ルーミアも、すこし照れた風に笑った。
「なんか、ちょっとはずかしいな……」
霊夢はもう一度笑って、ショーツに手をかけた。つま先から抜き取ると、糸を引いている。
ルーミアがしやすいように、すこし膝を広げた。
「おいで、ルーミア……」
「うん……」
熱く柔らかくぬめった感触をそこに感じ、霊夢は嬌声とともに背中をそらした。
キスをするときと同じように、ルーミアは霊夢のそこに、ちょん、ちょんとついばむように口づける。
「んぅ……っ、はあ、はあ、あぁ……」
安堵のため息のような穏やかな吐息。ルーミアの行為に身を委ねながら、霊夢は不思議な気分だった。
快楽を覚えているのはもちろんだ。ルーミアの愛撫は拙いが、否、拙いゆえにルーミアの行為は心地よかった。
だがそれだけではない。ルーミアが自分にこういうことをしてくれているということ、それ自体が霊夢には嬉しかった。
「ルーミアぁ……あ、はぁ……ルーミア……」
熱い息の下から、ルーミアの名前を呼ぶ。それだけで、おなかの奥が、きゅうん……となるのを霊夢は感じた。
ルーミアは霊夢の汗ばんだ両足の間から顔を上げ、微笑む。
霊夢も同じように微笑んだ。
「ルーミア……好き……」
微笑みながら、蜜を溢れさせる秘部のように、霊夢の唇が甘くとろけたささやきをこぼした。
ルーミアも同じように微笑んで――、深く、霊夢のそこに口づけた。
ルーミアの舌先が、ちゅるぅ……と霊夢の深い部分に滑り込む。
「きゃはぁうぅぅ……っん……あぅんっ、あぅ、きゃあうぅんっ……」
霊夢の声が1オクターブ跳ね、背中がぐぅっと反る。
「あっ、あっ、あぁう、っ、く、い、いく、のぉぉ……くぅぅんぅぅ……!」
畳から浮いた背中がぶるぶるぶるっと痙攣し――そして数瞬後、どっと崩れ落ちた。
秘部から溢れた蜜がルーミアの小さな唇をたっぷりと濡らし、細いあごを伝い、糸を引いて畳に落ちる。
ルーミアは霊夢の秘部から口を離し、自分の頬やあごを濡らす体液を細い指先で拭い、それを自然な仕草で口に運んだ。
「ちゅぱ、ちゅく、ん、んぅーう……えへ……霊夢の、おいし……」
絶頂の余韻に手足をふるわせながら、霊夢はそんなルーミアをぼんやりと見ていた。
――ルーミアに……こんなちっちゃい子に、イカされちゃった……
霊夢にはそれが、恥ずかしいことでも悪いことでもなかった。絶頂の後には、けだるい疲労感と、あたたかな幸福感とが残った。
ルーミアが四つんばいで霊夢の情交の熱の引かない頬に顔を寄せ、仔猫が親猫に甘えてそうするように、霊夢の頬をぺろぺろと舐めた。くすぐったかった。
「霊夢、キモチよくなれた……?」
ちょっと自信なさそうな聞き方がかわいくて、霊夢は返事の変わりに首を伸ばし、ルーミアの頬にちゅっと口づけた。
「にゃは……♪」
ルーミアは嬉しそうに笑って、頬を霊夢の裸の胸にすり寄せた。あたたかかった。
「ワンピース、しわくちゃになっちゃったわね……あとで洗濯しなきゃ」
「汗もいっぱいかいたもんね……」
そんなたわいのない会話にすら、霊夢は幸福感を覚えた。ルーミアがすぐそばにいることがうれしい。
「なんか、しあわせー……」
自分の胸中を読み取ったようにルーミアが呟いたので、霊夢は小さく笑う。
「ふぃ? なに笑ってるのー?」
「なんでもなぁい……」
「そーなのかー」
「ね、ルーミア……こんなことしたこと、ある……?」
「んーん、今日がはじめてだった。えへへ、どきどきしたけど、なんか、なんかね……」
聞かれたルーミアは、言葉を捜している様子だったが、なかなか上手い言い方が出てこないらしい。
「んー、よくわかんないや」
ルーミアは結局、そんな風に答えた。そんなルーミアの頭を、苦笑しながら霊夢はやさしく撫でてあげた。
「じゃあ、もひとつ、はじめて、してみない?」
「え、なになにー?」
「あんた、誰かと一緒にお風呂はいったことってある?」
「んーん。チルノちゃんとかと水遊びならしたことあるけど……」
「じゃあ、私と一緒にお風呂入らない?」
「はいるー!」
「即答ね……」
「そんでねそんでね、霊夢と一緒にねるのー!」
「……え?」
「ふぃ?」
ルーミアくっそ可愛いじゃないですか、こんなちっちゃいコにイカされちゃう霊夢にも大興奮ですよ
続き楽しみに待ってます!
あと誤字報告>>普段の黒を基調とした吹くとは、「服とは」でしょうか
るみゃは天然かわいい!てれいむ超かわいい!
あら不思議。
紅白の巫女服から純白のワンピに着替えたはずなのに、お顔がまっ赤。
紅魔館も真っ青な霊夢の染まる頬にこっちの顔はにやけっぱなしだぜ!
前回同様・・・すごく・・・甘いです・・・
あまりの甘さに口から蜂蜜がだだ漏れに。
今から第三弾に期待です。
るみゃの無邪気さ、照れ霊夢の可愛さ堪能しました。
年明けを楽しみに待ってます!
るみゃかわいすぎでしょう?