※はじめに
この作品は、作品集12「Caution! Fragile!」及び作品集13「Warning! Explosive!」と時間軸がつながっています。
単品でもお楽しみいただけますが、上記2作品も合わせて読んで頂けると作者はくるい、もだえるのだ! 喜びでな!
「……」
脱衣所でのろのろと服を脱ぎながら、魔理沙は傍らの咲夜の方を横目でちらちらと窺う。
視線に気付いた咲夜が魔理沙の方を向くと、魔理沙は慌てて視線をそらした。
「? なあに?」
「な、なんでもないっ」
「今更恥ずかしがることもないと思うけど」
「そ、そういうことじゃ……!」
「じゃあ、なに?」
「し、知らないっ」
咲夜はそんな魔理沙にくすりと苦笑して、服を脱ぐ。
その裸体から、魔理沙は目を離せない。
引き締まった、というよりはむしろ、研ぎ澄まされた、という形容が相応しい、その均整の取れた体。
ついさっきまでの行為が脳裏を過ぎり、魔理沙は顔を赤くする。
また、ちらりと身体にタオルを巻き終えた咲夜の方に目を向ける。
そして自分の胸元に視線を落とし、こっそりため息。
「気になるの? 私の裸……」
「え……!」
視線を向けてもいない咲夜に唐突にそう言われて、魔理沙はぎょっとする。
なんと答えていいか分からずおろおろする魔理沙に、咲夜はくすりと笑ってみせる。
魔理沙は、ううー……と唸って俯いた。
「さ、咲夜がその……きれいで、かっこいいな、って。む、胸とかも、おっきいし」
顔を赤くして視線をさまよわせながら、魔理沙はそんなことを言った。
「うふふ……お褒めに預かり光栄ですわ」
芝居がかった口調でからかってやると、魔理沙はむー……と唸って自分の胸をぺたぺた。
「ま、そのうち背も伸びるし、胸も大きくなるわよ」
「うー……」
「ほら、いつまでも裸で突っ立ってたら風邪引いちゃうわ。お風呂、行きましょ」
そう言って咲夜は、魔理沙に手を伸ばした。
「あ……」
自分に向かって、手を差し出された。
たったそれだけの行為が魔理沙にはなんだか特別で、魔理沙はすぐにはその手を握らなかった。
「? どしたの?」
不思議そうに聞く咲夜に、魔理沙はややためらってから、満面の笑みでその手を両手で握った。
「……前、隠したら?」
「うひゃあう!」
「ね、魔理沙」
「な、なに?」
体を洗っていた咲夜が、魔理沙を方を向く。
魔理沙は反射的に泡をまとわりつかせた体を両手で隠した。
初々しいなー、と咲夜は微笑む。
「髪、洗ってあげる」
「ええ……!?」
「なに? いやなの?」
「うー……でも、子供じゃないんだし……」
「遠慮しないの。それに、私がしてあげたいの。ね?」
「じゃあ……うん」
咲夜の優しい笑顔に、魔理沙は折れた。それに内心では……。
咲夜は魔理沙の後ろに回り、シャンプーを手に取る。
髪にたっぷり含ませて洗ってやると、魔理沙はくすぐったそうに細い肩をすくめた。
「気持ちいい?」
「うん」
魔理沙は素直にそう答える。
そう素直に答えるのが、なんだか心地よかった。
「そういえばあんた、けっこう髪長いのよね」
「そお? そかな……」
「もっと髪型とか変えればいいのに」
「ん……」
今度は魔理沙はあいまいに返事を返した。
もちろん魔理沙も女の子だ、着飾ったりは相応にする。だが心のどこかで、そういった行為によく分からない引け目のようなものを感じていた。自分には似合わない、柄ではない……そういう気持ちが漠然とあった。
そんな、魔理沙自身もはっきりとは自覚していない内心を、咲夜はなんとなく悟った。
「お風呂から上がったら……」
丁寧に魔理沙の髪を洗いながら、咲夜は歌うような口調で言う。
「お姫さまにしてあげる」
魔理沙の耳たぶが、ちょっと赤くなった。
それからしばらく、魔理沙は咲夜に髪を洗ってもらっていた。
誰かに髪を洗ってもらうなんて初めてで、魔理沙は恥ずかしいようなうれしいような、くすぐったい気分になっていた。
髪を洗ってくれる咲夜の指はやさしく、不思議な安堵を覚える。
指先が耳元や首筋、背中を掠めるたびに、魔理沙は小さく身体を震わせた。
かるく目を閉じて、咲夜の指の感触を、そしてすぐそばにいる咲夜を意識する。
身じろぎすると、背中に咲夜の柔らかい胸が触れた。あ……と声を漏らす。
「はい、流すわよ」
お湯でシャンプーを洗い流すと、魔理沙は猫みたいにぷるぷると頭を振る。それを見て咲夜が、くすりと笑った。
「じゃ、入りましょうか」
「うん」
咲夜がごく自然に手を差し出してつないでくれたのが、とてもうれしかった。
二人は手をつないだまま、隣り合わせに湯船に入る。
紅魔館の浴場は、大人数が頻繁に出入りするせいか、はたまた館の主のわがままか、あちこちに装飾の施された大きなものだ。
その大浴場の広さに、魔理沙は自分が咲夜と二人きりでいることを強く意識させられた。
ひどく気恥ずかしくなって、魔理沙は口元までお湯に漬かる。
二人はそのまま、特に何も話さなかった。
言葉を交わさない分、なんだか相手を意識してしまう。
恐る恐る魔理沙が咲夜の方を見ると、咲夜も魔理沙の方を見ていた。
どしたの?と目眼で言う咲夜。
魔理沙は正面を向いて黙ったまま、ちゃぷちゃぷと咲夜に近づく。
ぴとっ、と肩が触れた。
「……ね、さ、咲夜」
「なあに?」
ん……と少しためらって、言葉を続ける。
「と、時々で、いいからさ」
「うん」
さっきよりも少し、長くためらって、続ける。
「お……おねえちゃん、て……呼んでも、その……いい……?」
言い終えて、うつむく魔理沙。
咲夜はちょっと驚いた顔をしてから、にこっと微笑んだ。そして、うつむいた魔理沙の頬に唇を寄せて、返事の代わりにキスをした。
魔理沙は、うぁ……と妙な声を漏らしてから、顔を赤くして照れくさそうに笑った。
「ね、呼んでみてよ。おねえちゃん、て」
「え? い、今?」
「なによ、呼んでほしいって言ったのはそっちでしょ?」
「で、でもそんな、いきなり……」
魔理沙の抗議を、咲夜は涼しい顔で受け流す。
魔理沙は右に左に視線をさまよわせて、上目遣いに咲夜を見上げ、それでもまだ踏ん切りがつかずに目をそらす。
そんな魔理沙を咲夜は、くすくす笑いながら眺めている。
ようやく心の準備ができたのか、魔理沙は深呼吸して、言った。
「……お、おねえ、ちゃん」
やっとその言葉を口にした魔理沙は、2時間くらい湯船に漬かっていたような真っ赤な顔になっていた。
そして、それは咲夜も同じだった。咲夜も同じように、顔を赤くしていた。
呆けたように顔を赤くして見詰め合っていた二人は、どちらからともなく吹き出した。
「あはは……これ、なんだか言われた方も照れちゃうわね」
「えへへ……私もけっこう、恥ずかしいんだぜ」
赤い顔で照れ笑いしていた魔理沙は、へへ、と笑って咲夜の肩に頭を乗せて、いたずらっぽく笑って見せた。
「でも、咲夜が顔赤くしてるのってはじめて見た。けっこうかわいいかも」
「生意気……そんなこと言ってると、また弄んじゃうわよ?」
「咲夜のえっち。いじめっこ。わたしをあんな恥ずかしい目に合わせて楽しいのか?」
「最高にね」
悪びれた風もなくそう返す咲夜。二人はまた、顔を見合わせて笑った。
ひとしきり笑って、魔理沙は身体が軽くなったような気がした。今まで自分を縛り付けていた、あるいは自分で縛り付けていた何かが、煙のようにあっさりなくなってしまった……そんな感じだった。
ついでに口も軽くなったのか、魔理沙はついさっきまであれほどためらっていた言葉をあっさり口にした。
「おねえちゃん」
咲夜はやわらかく微笑んで、魔理沙を抱き寄せた。
お湯の中にいるせいか、魔理沙の身体は浮かぶようにふわりと咲夜の腕の中に収まった。
背中を咲夜の胸に預けて、魔理沙は全身の力を抜く。
ぎゅっと抱いてやると、魔理沙の身体の小ささを思いがけず実感させられ、咲夜は急に胸の締め付けられるようないとおしさに駆られた。
魔理沙はまだそういう行為に不慣れなのか、一瞬身体をこわばらせたが、ふっと力を抜いた。そして、自分を抱きしめる咲夜の手に自分の手を重ねた。
咲夜の手がゆっくり動き、魔理沙の身体をなぞる。
すべすべしたおなかの辺りの感触を楽しむように、それからささやかにふくらんだ胸を、手の平でそっと包んだ。
魔理沙の吐息が湯気の中に溶けて消える。
「かわいい胸……」
そう呟く咲夜の声は魔理沙のすぐ耳元で、魔理沙は背筋を振るわせた。
咲夜は魔理沙を深く抱きしめる。頬が触れる。
「柔らかいほっぺた……」
魔理沙もまた、頬を摺り寄せた。
お互いの指がお互いを求めて自然に絡み合う。
「きれいな髪……」
咲夜の細い指が、魔理沙の濡れた金髪をひと房手にとって、口付けた。
「咲夜が……おねえちゃんが、綺麗にしてくれたんだよ」
ふっと笑み、咲夜は魔理沙の頭を撫でた。
「ぜーんぶ、わたしのよ……」
「……っ!」
魔理沙の頬が、ぱっと赤く染まった。その頬に、咲夜のキス。
「んー、ちゅ、ちゅ、ちゅ……」
魔理沙を抱きしめて、咲夜はその頬にキスの雨。
「な、なんだよ、咲夜」
「いいじゃない、おねえちゃんが妹に甘えても」
「え……」
咲夜が不意に口にした「妹」という言葉。
それに魔理沙は、ひどく動揺した。じぃんと、胸の奥が熱くなった。
手が勝手に、咲夜の手をぎゅっと握っていた。
「うれしい……っ」
それだけを口にしたところで、もう続きが言えなくなっていた。
ぱしゃん、と水音を立てて、魔理沙は咲夜に抱きついた。
「ど、どしたの?」
「うー、ぐすん」
魔理沙は泣いていた。小さな子供のようにぐしぐし泣きながら、咲夜にしがみつく。
咲夜は困惑していたが、ややあって魔理沙の顎をそっと持ち上げる。魔理沙は潤んだ目を閉じた。
かるく口付けてやると、魔理沙は安堵しきった吐息を漏らした。
「どしたの? 魔理沙……」
もう一度そう聞いてやると、魔理沙は涙声で答えた。
「んく、ぐす……あのね、う、うれしくって……」
「……?」
「妹って……」
魔理沙は顔を上げ、涙目で、それでもなんとか笑って、言った。
「妹って、言ってくれた」
そして魔理沙はもう一度、「うれしい」と湯気に溶けるほど小さな声で言って、咲夜に抱きつく。
魔理沙が咲夜の首元に顔をうずめていたので、咲夜は、涙が一滴流れるのをこらえ切れなかったのを見られずに済んだ。
「魔理沙……」
吐息とともにその名前を呼んで、むき出しの背中に手を回して、抱きしめる。魔理沙のささやかなふくらみに、咲夜の乳房がぎゅうっと押し付けられる。
密着した裸の胸から、魔理沙の体温と、動悸と、やわらかさが一気に押し寄せてきて、咲夜を翻弄する。
はぁ……っ、と息をついた魔理沙の唇に、その吐息ごと飲み込むように口付けた。
唇を離すと、すでにお互いの呼吸は行為の最中のように乱れていた。
「あ、あのっ」
「な、なに?」
魔理沙はためらう。そのためらいすらもが、後の行為の熱を高めるための前戯のようだ。
「ちゅー、しても……いい? その……わたし、から」
魔理沙は続ける。
「い、いつも咲夜から、その、してもらってばっかりだから……わたしから咲夜に、してあげたい……の」
「魔理沙……」
咲夜は一瞬あっけにとられた顔をして、それから、ちょっと顔を赤くして微笑んだ。
なんだか、すごくうれしかった。
「じゃあ、今日は魔理沙が……して」
そう言う自分の声ははっきり浮かれていて、咲夜は胸の中で苦笑した。
目を閉じて、魔理沙のキスを待つ。
すぐそばに、魔理沙の息遣いを感じる。頬を小さな手が包んだ。
もうこっちから押し倒してあげようかしら、と咲夜は思うが、我慢する。
せっかくがんばってくれているのだ、かわいい妹が。
唇に吐息がかかり、一瞬遅れて、触れる。
すぐに離れて、もう一回。今度は少し長い。
目を開けると、すぐそばに魔理沙の顔。
どちらからともなく、笑う。
唇を寄せる魔理沙。咲夜も合わせて目を閉じる。空いた両手に、魔理沙の指が遠慮がちに絡む。
んぅ……と甘やかにとろけた声は、果たしてどちらのものか。
少しだけ離した唇から舌先を伸ばしたのは、魔理沙が先だった。
自分からそうしたというのに、咲夜の舌先に触れた途端に引っ込めてしまった。咲夜は目元だけで笑う。
魔理沙はもう一回、おずおずと舌を伸ばす。触れる。少しだけ動かす。
「ん、ん、ちゅ、ちゅぱ、んちゅ……んぅ……っ」
懸命に慣れないディープキスを試みる魔理沙。咲夜にとってそれは、くすぐったいくらいの刺激だったが、しかしそれは咲夜の魔理沙に対するいとおしさをますます募らせるものだった。
ときどき繋いだ手が、ぴくん、ぴくんとふるえる。
「……っぷは、はぁ、は……」
唇を離した魔理沙の潤んだ目が、「うまくできた?」と聞いている。
咲夜は何も言わず、こくんとうなずいてやる。
魔理沙は照れくさそうに笑う。笑って、咲夜に顔を近づける。その首筋に、キス。
「ん……っ」
ぞく、と背筋がふるえた。
子猫がじゃれ付くように、魔理沙は咲夜の肌に口付ける。
肌を伝う雫をついばむような、幼い口付け。
時々咲夜の表情をうかがうように、魔理沙は上目遣いに見上げてくる。
頭を撫でてやると、魔理沙は安心したように目元を緩ませた。
「咲夜のからだ……あつい……」
夢うつつのような口調で、魔理沙は咲夜の桜色に色づいたふたつの乳房の谷間を伝う雫を、舌先で舐めとった。
そのまま乳房に沿って、口付けを繰り返す。口を離して、両手で触れる。
遠慮がちな手つきで、きゅ、きゅと咲夜の乳房を揉みながら、魔理沙は呼吸を乱している。
じっと魔理沙を見つめたまま、拙い愛撫に身を任せる咲夜。
いつの間にか、自分の呼吸も熱くなり始めているのに、他人事のように気付く。
「……きもち、いい?」
今度はそう口に出して聞く魔理沙。咲夜は、息をつきながら答える。
「うん……」
「よかった……」
微笑んで、魔理沙は咲夜の乳房に頬を寄せる。目を閉じて、その奥に息づく咲夜の心臓の鼓動を読み取ろうとしているようだ。
「やわらかいね……」
「うん」
「あったかいね……」
「うん」
「どきどき、してるね……」
「うん……」
咲夜が魔理沙を抱きしめようと両手を背中に回すと、乳房がたわんで魔理沙の顔を包んだ。
「えへへ、おっぱいで、だっこされてる……」
魔理沙は咲夜の胸元に触れるだけのキスをして、唇をその先端に寄せる。やや迷ってから、舌先で、ピンク色のそこをそっとつついた。
「あ、ん……」
思いのほか甘い声を漏らしてしまって、咲夜は少し焦る。魔理沙の……妹の前では余裕を見せていたいのだ、「おねえちゃん」としては。
魔理沙は上目遣いに咲夜の反応をうかがいながら、乳首をぺろぺろと舐めている。熱い舌が先端を転がすたびに、咲夜は甘い痺れに襲われる。
「は……ぁむ、ん……」
魔理沙が乳首を口に含んだ。ぴくんと背中がはねた。
魔理沙の口中で、舌先がうごめく。さっき、時間の止まった客間での行為とはまた違う動き……どうにかして自分に快感を与えようとする意図が見える動きだった。
魔理沙の舌先が、乳首をつつくように動いた。硬くしこった先端を柔らかい乳房に押し込もうとするような動き。
「んぅん……あ、それ……いい、わ……」
思わずそう口走ってしまった。魔理沙はちょっとびっくりしたような顔をして、「あは……ぁ」と笑った。
「咲夜、おっぱい、気持ちよくなってくれてる……うれしい……」
湯気よりも頼りなくふわふわした口調で魔理沙はつぶやき、再び咲夜の乳房に口をつけた。
柔らかい唇が、優しく乳首をはさんだ。舌先が飴を舐めるように、まるく尖った先端を、ころん、ころんと転がす。
「ん、んぅ、ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅ、んぷ、れる、れるぅ……ちゅ、ちゅう」
舌先で乳首をつつきながら、ちゅ、ちゅと音を立てて吸う。咲夜は自然と魔理沙の頭を抱きかかえていた。
「さきっぽ……ちゅ、れろ……ふくらんで、かたぁい……」
「はぁ、はぁ、はぁ……魔理沙……気持ちいいわ……ん、あ、はぁ……」
熱い、しかしどこか穏やかな吐息をつきながら、咲夜は魔理沙の塗れた髪を撫で、頬に手をあてがってやる。
ちゅぽ……と魔理沙が唾液で塗れた乳首から唇を離すと、乳房がふるるん、とやわらかく揺れた。
魔理沙は頬にある咲夜の手をとる。
ぼんやりと咲夜の細長い指を見つめていた魔理沙は、両手で咲夜の手を握り、ちゅ、と口付けた。
「咲夜の指……すき……わたしのこと、やさしく、触ってくれる……」
ちゅ、ちゅと何回か口付けて、魔理沙は咲夜の指を……口に含んだ。
「あ……っ!?」
おもわず驚きの声をあげる咲夜。
魔理沙はそれを聞いているのかいないのか、赤ん坊がおしゃぶりを口に含むような幼さで、咲夜の指に舌を這わせる。
「んちゅ、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅる……んぁ……んぷ、んぅ……ゆびぃ……咲夜の、ゆび……」
指先という鋭敏な感覚を持つ部分に、魔理沙の熱を直接感じ、咲夜は動揺する。
指先を含んだ魔理沙の口元から、つぅ……と唾液が一筋こぼれた。
その様が魔理沙の幼い仕草とは裏腹にたまらなく淫靡に見える。
濡れた音を立てながらわずかに頭を上下させている様子に、魔理沙に口淫でも調教しているかのようで、咲夜は魔理沙から与えられるのとは別の興奮を覚えた。
少しずつ行為に積極的になって、自分から求めて、淫らになっていく魔理沙。
……全身がとろけるほどの、快楽だった。
「魔理沙ぁ……魔理沙ぁ……」
溶け崩れた口調で、魔理沙の名前を呼ぶ。
もっと、魔理沙にしてほしい。もっと、魔理沙にしてあげたい。もっと、魔理沙と、したい。
そんな気持ちで、いっぱいになった。
「んぷ、ちゅ、ちゅ、れる、れるぅ、すき、さくやぁ……」
不安定に揺らぐ視線で咲夜を見上げ、魔理沙は唾液に濡れた口元に笑みを浮かべた。
どちらからともなく、顔を寄せ合って口付ける。
舌を絡ませあうと、それだけで達してしまいそうだ。魔理沙の舌を器用にからめとってやると、手をあてがった細い腰がかすかに跳ねた。達したのかもしれない。
「ねぇ……咲夜……」
「なぁに……?」
まだ夢見心地の様子で、魔理沙が問う。
「あのね……その、もっと、咲夜に、してあげたい……私にしてくれたこと、ぜんぶ……」
咲夜がその言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。理解して、顔が赤くなった。
「魔理沙のえっち。いつのまにそんなに……積極的になったの?」
「え、えっちじゃないもん……」
同じくらい顔を赤くして、魔理沙はそれでも何とか反論する。
「さ、咲夜が……わたしのこと、えっちな子にしたんだもん……」
言いつつ、はぷ……と再び咲夜の胸を口に含む。さっきよりも魔理沙の口内は熱く、咲夜は喉を反らして同じくらい熱くなった吐息を吐いた。
「咲夜……」
「わかってるわ……」
咲夜は浴槽から身を起こし、そのふちに腰掛ける。魔理沙を迎え入れるように、足を開く。
魔理沙は咲夜の太ももの辺りに、子猫が甘えるように頬を預ける。
咲夜が手を伸ばして頭を撫でてやる。手を下ろし、耳の辺りをくすぐると、魔理沙は小さな肩をきゅっとすくめた。
「咲夜の……触っても、いい……?」
咲夜は肯定の代わりに、膝を開いた。魔理沙が「わ……」と小さく声を上げる。
間近で見る、咲夜のそこ。
花のような、貝のような、しかし、そのどちらとも違うかたち。
きれいだな、と魔理沙はぼんやり思った。
「……おとなだ」
そんなことをつぶやく魔理沙。苦笑する咲夜。
「そんな、あんまりじろじろ見ないでよ。恥ずかしいのよ? わたしだって……」
「ご、ごめん」
あわてて視線を逸らし、そしてまた遠慮がちに横目で見る。
恐る恐る指先を伸ばし、触れた。
「あつ、い……」
咲夜のそこは魔理沙の指先を柔軟に受け入れる。咲夜の表情を伺いながら、うずめた指をほんの少し動かす。
「……っあ、はぁん……!」
咲夜がやや高い声を上げ、細い腰が跳ねた。はっと顔を上げる魔理沙。
「い、痛かった?」
「ばか……きもちよかったの。よわいとこ、だったから」
「そ、そうなんだ……」
指先が熱いぬめりに絡めとられ、魔理沙のひじの辺りまでが得体の知れない痺れに襲われる。
ゆっくり指を引き抜くと、ちゅく……という濡れた音。
指先には、咲夜の体液が糸を引いている。
は、あ……と口を開く。ふるえる舌先を伸ばし、指先を舐める。
「れ、る……ぅ……あは、咲夜の、味だぁ……」
そのまま指の根元までを口に含む。桜色の唇が、ちゅぅ……と液体を吸った。
咲夜はその様にひどく動揺した。ついさっき、魔理沙が自分の指を口に含んだときの感触がよみがえる。
同時に、自分の秘部が分泌した体液を小さな舌で舐めとる魔理沙の姿が、肉体的というよりはむしろ、一種の背徳感を伴った快楽を咲夜にもたらした。
ひくん……と、自分の秘部が物欲しげに蠢くのを抑えられない。
もっと、ほしい。
もっと指で、もっと舌で、もっと唇で、もっと、もっと、もっと。
「ま……!」
魔理沙、もっと。そう口走る寸前、魔理沙の両手が、咲夜の腰に回された。
「ここにも……ちゅー、したい……」
魔理沙の口調は興奮からか、快楽からか、漂う湯気よりも不安定で、夢幻の淵をさまようよう。
開かれた口から漏れる吐息をそこに受けただけで、もう咲夜の身体はこれから与えられる快楽を予期して、ふるえた。
魔理沙、だからだ。
咲夜はとろけそうな頭の隅でそう確信する。
こういう行為には慣れているはずの自分の肉体が、こうもたやすく、どうしようもなく、溶けて、崩れて、ふるえて……感じて、しまう。
魔理沙だからだ。悪いのは、魔理沙だ。
こんなにかわいいのがいけないんだ。こんなに健気に、気持ちよくしようとしてくれて、そんなの、我慢できるわけがない。
だから……だから、声、出してしまえ。こんなに気持ちいいんだから。
腰にかかった魔理沙の手にほんの少し力が入ったことで、咲夜は悟る。
魔理沙の、口が――。
「……っあ、はゃああああ……!」
嬌声が、響いた。
魔理沙の舌先は、咲夜のそこをなぞるように舐め、十分に潤んだ入り口にもぐりこむ。
「魔理沙がそういうことをしている」という事実に、咲夜は絶頂を覚えた。
魔理沙は跳ねる咲夜の腰に手をかけ、すがりつくようにそこに口付けを繰り返す。
魔理沙の舌先が動くたびに、びくん、びくんと咲夜のおなかが波打った。
「魔理沙、魔理沙、まり、さ……! あぁ、あ、あ、あぅんっ!」
「んんーっ、んぢゅ、れるん、れろぉっ、る、ん……」
魔理沙の顎の辺りから、魔理沙の唾液と咲夜の体液が、ぽちゃん、ぽちゃんと湯船に落ちる。
「あつぅい、よおお……さくやの、なかぁ……ぬるぬるで、きゅんきゅんで、あつい……」
吐息と、唾液と、とろけたささやきをその唇からこぼしつつ、魔理沙はなおも、咲夜の秘部に口付ける。
舌を押し当て、外縁をなぞり、先端をうずめる。
そうやって動かしていた舌先が、最も敏感な突起を掠めた。
「ひうん……っ!」
息を呑むような、切羽詰った声を上げる咲夜。
その声に、魔理沙は少し驚いた様子で顔を上げ……そして
「おねえちゃんの、よわいとこ……みぃつけたぁ……」
幼児のように無邪気な、しかし、だからこそこの場では限りなく淫蕩な表情に見えるで、笑った。
「だ……!」
駄目、と咲夜が制止しようとしたときには、もう魔理沙の可憐な唇がそこを捕らえていた。
「きゃあああうっ!」
ビブラートのかかった悲鳴を上げ、咲夜が全身をふるわせた。湯船に漬かっていた両足が、ばしゃんと水面を割る。
「ひあ、あ、ちょ、ちょっと、ま、まり、ああぅっ!」
「んーっ、ん、ん、んぷ、ちゅ、れる、れるぅ……」
跳ねる咲夜の腰を、魔理沙は離さない。細い腕一本で、咲夜の身体にしがみつき……
腕一本?
快楽に揺さぶられながら、咲夜は魔理沙を見下ろす。
金髪を揺らしながら、しきりにそこに舌を這わせる魔理沙。
揺れる水面から除く背中はもうばら色に染まって艶かしい。
膝立ちになっているのだろう、細い腰から続く小ぶりなお尻が、水面でかわいらしく左右に揺れている。
そこに、魔理沙の片手があった。
自分で、してる……!
魔理沙、が、わたしの、舐めながら、自分で、して、る……!
そう思ったとたん、咲夜は身体の芯から込み上げる今までとは比べ物にならない快感に、ひと息に絶頂へ押し上げられた。抵抗する余裕などない。
「や、だめ、こん、な、い、いくっ、あ、やああっ、あ、ああ、あーーーーっ……!!」
びくびくびく、と咲夜の全身が断続的にふるえ、硬直した。
同時に、水面に浮かんだ魔理沙のお尻が、ぱしゃん、ぱしゃんと水音を立てて数度、跳ねた。
魔理沙もまた達したのだ。
そのことに咲夜は、不思議な満足を覚えた。
「はぁ、は、あ……はぁ、はぁ、は……」
「んぁ……はぁーっ、はぁーっ、はぁぁぅ……」
形の良い乳房を上下させて、荒い息をつく咲夜。
魔理沙も同じように、咲夜の太ももに頬を預けて激しく息をついている。
先に呼吸を整えた咲夜が、魔理沙の頬を指先でなぞってやると、魔理沙はまだ余韻が抜けないのか、敏感に背中をふるわせて声を漏らす。
「さくやぁ……」
甘えた口調で、魔理沙が咲夜のおなかの辺りに抱きついて、頬をすり寄せた。
「えと……きもち、よかった……?」
「こわれちゃうかと思った」
いつだったか、魔理沙が自分に言ったせりふをそのまま返す。
魔理沙は顔を赤くして、照れ隠しのつもりか、咲夜のおなかにんーっとキスをした。
「うれしいな。咲夜のこと、きもちよくできて」
「わたしも、嬉しい。魔理沙に、気持ちよくしてもらえて」
言いながら咲夜は、あれ、ずいぶん口が軽いな?と思った。でもまあ、いいや。
「ね、魔理沙」
「うん……?」
咲夜はすこし言葉を選び、
「満足した?」
「えうっ」
妙な声を上げて、魔理沙は言葉を詰まらせる。
「さ、咲夜は、どうなの?」
「私?」
聞き返された咲夜はにこっと微笑んで、返す。
「もっと、したいな。魔理沙と」
魔理沙の顔がぼっと赤くなる。
そんな魔理沙がかわいくて、咲夜はまた笑った。
「魔理沙がしてくれたから、今度はわたしがしてあげたいな?」
「うぅ……」
魔理沙は、まさか「じゃあよろしくお願いします」とも言えず、口ごもる。
「ね?」
「ん……うん」
小さな声で、やっと返事を返す魔理沙。
そんな魔理沙を、咲夜は湯船から抱き上げる。危なっかしい様子でふらふらと立ち上がる魔理沙。
咲夜に導かれて、魔理沙はタイル張りの床の上にころんと横になる。
身体を丸めてちょっと不安そうにしているのが、とてもかわいい。
咲夜は上から覆いかぶさるように屈み込む。
「魔理沙、こっち向いて……」
「ん……」
魔理沙が顔を向けると、咲夜が唇を寄せてキスをした。
最初はかるく。だんだん深く。
指を絡ませ、舌先を絡ませる。
魔理沙は、んー、んーと赤ん坊がむずかるような声を漏らして、両手を咲夜の首に回す。
「魔理沙は、私とキスするの、好き?」
「うん、すき……」
そう答えて魔理沙は、はぷん……と咲夜の唇の隙間から舌を差し入れる。れる、れると咲夜の舌を拙くも懸命に刺激する。
唇をたっぷりと時間をかけて離す。
二人の唇の間に、つ……と唾液が糸を引いた。
離した唇を咲夜が寄せ、ぺろんとそれを舐め取る。
「ね、魔理沙……こんなの、どお……?」
咲夜はすこし身体を起こし、両手で乳房を持ち上げる。
そのまま身体を屈めて、仰向けになった魔理沙のぷくんとふくらんだピンク色の乳首に、自分のそれを押し当てた。
「んにゃぁ……」
魔理沙は初めてのその行為に、子猫のような甘い声を漏らした。
咲夜が身体を動かすたびに、濡れた乳房がやわらかくたわみ、形を変え、魔理沙の幼い肢体を愛撫する。
やわらかい中に、ぽつんとかたい感触。
咲夜の乳首が、つん、つんと魔理沙のそれと触れ合い、絡み合う。
「どお、魔理沙……? こういうの、きもちいい?」
「ん、ふゃ……きもち、いい……おっぱいが、ちゅー、してる、みたぁい……」
「魔理沙のおっぱい、さきっぽ、かたくなってきた……」
「だって、きもち……いいんだもん……おっぱいでちゅーするの……きもちいいんだもん……」
「私も、魔理沙のおっぱい、きもちいい……」
咲夜は自分の口調が、だんだん幼い子供のように……自分の身体の下でとろけて喘ぐ魔理沙のようになっていくのを、どこか他人事のように感じていた。
「私も……おねえちゃんも、きもちいい、よ……」
自分からそう幼い口調で声を出すと、それだけで全身がとろけそうになる。
行為のもたらす抗いようのない高熱にのぼせて正体をなくしているのは、いったいどっちだろう。
咲夜は衝動の赴くまま、魔理沙を抱きしめて、愛撫する。
密着した肌と肌がこすれあうだけで、そういう薬でも使ったのではないかというほどの多幸感が押し寄せて、咲夜の意識を洗っていく。
そして、それは魔理沙も同じ様子だった。
とろけきった喘ぎをしきりに漏らすその唇から出てくる意味の取れる言葉は、「おねえちゃん」だけだった。
咲夜の乳房が、くにゅう……と自分の肌を這うたび、その指がやさしく敏感な乳首をつまむたび、その熱い舌先が一番奥まで埋没するたび……魔理沙は未成熟な肢体をふるわせて、おねえちゃあん……と、喘いだ。
お互いの全ての行為が、お互いに快楽をもたらしていた。視線を合わせただけで、絶頂しそうだった。
「魔理沙……このまま、ちゅーしよう……? きっと、気持ちいいよ……」
「うん、するぅ……おねえちゃんと、ちゅー、する……」
お互いの背中に腕を回し、抱き寄せる。下になった魔理沙は、腕だけでなく、力が入らずにうまく持ち上がらない足を、咲夜の腰に巻きつける。
ぎゅう……と抱き合うと、互いの乳首が押し付け合って、二人は声を上げる。
そのまま、深く深く、口付ける。
「んゅ、れる、れ、んはぅ……おね、ちゃんの、さきっぽ、こりこり、あ、たってぇ……んむ、んーっ……」
「ん、るぅ、はむん、ん、ん、ん……魔理沙、こんな、きもちよさそうに、ふるえて……」
「だって、きもち、いいんだもん……おくちも、おっぱいも、くっついて……きもちいいんだもん……っ」
緩んだ魔理沙の口元から、とろっと涎がこぼれた。それを咲夜は、舌を伸ばして舐め取り、嚥下する。
飲み込んだ胸の奥からじわりと湧き上がるのは、魔理沙へのいとおしさだ。
今しがた飲み下した唾液のように、溶けて……溶け合ってしまいたい。
「魔理沙……ここも、ここも、くっつけよう……?」
「ふぁ……えぅ……?」
ほとんど力の入っていない魔理沙の足を、咲夜は抱えあげる。
魔理沙の足が大きく開かれ、未成熟なそこがあらわになる。咲夜の愛撫をたっぷりと受けて、そこは十分に潤んでいた。魔理沙は抵抗しない。咲夜の行為をぼんやりと見ている。
「なに、するの……?」
咲夜は力の入らない腰をなんとか上げ、自分のそこを触れ合わせた。合わせ目から、ぷちゅうっと白く濁った粘液が搾り出された。
「ひにゃああああ!!」
とたん、魔理沙の身体が絶叫とともに感電したように跳ねた。
咲夜は魔理沙の足をぎゅっと抱え込んで、腰をくねらせる。
「あ、あ、まり、さああ……! こすれ、て……いいぃ……!」
魔理沙の腰が跳ねるたび、敏感なそこがぬらついた音とともに擦れ合い、咲夜は声を上げる。
激しくあえぐその唇から、さっきの魔理沙と同じように、ぽたりと涎がこぼれ、魔理沙の胸元に落ちた。
「はゃ、ひゃああう! ひ! ひきゃう! だ! め! これ、だめええ! よすぎっ、てぇぇ……!」
「まりさああ! は、は、は……っ、んぁあぅ……!」
魔理沙の指先が床のタイルを掻き、咲夜の乳房が激しく揺れる。
浴室中に淫らな嬌声と水音を響かせながら、二人は交わり続けた。
絶頂とそうでないときの境目はとうになくなり、二人は等しく快楽にとろけていく。魔理沙はおろか、咲夜までもが、意味を成す言葉を失いつつあった。
身体を揺さぶられるの合わせて、ぱちん、ぱちんと床をでたらめに叩く魔理沙の手を、咲夜の手がたどたどしく絡めとる。
魔理沙は快楽に溶け崩れて涎と涙まみれの顔で、それでも小さな子供のような無邪気な笑顔を、なんとか咲夜に向けた。
咲夜は身を屈めて、魔理沙の顔に舌を這わせる。魔理沙の涙は、涎は、汗は等しく致命的に甘く、咲夜の思考をとてつもない高熱で揮発させる。
魔理沙の嬌声も同じように、どんどん理性を溶かされていく。幼児そのままの、舌ったらずな口調。
「……て、るぅぅ! わら、ひ、してるのお……、せっくすぅ……おねえちゃんとぉ……せっくす、してるのぉぉ……っ!」
「まりさ、まりさぁ……きもちいいっ? おねえちゃんと、せっくすするの、きもちいい……っ?」
「きも、ひ、いいよおおおっ! せっくす、きもちいいよお……! せっくすで、いっちゃうよおおお! おねえちゃあん、おねえちゃあん、おねえちゃああん……!」
「わたし、も、きもち、よく、て……も……だ、め……! まりさと、せっくすして……いくぅ、いくのぉぉ……!」
きつく閉じたまぶたの裏に、火花が散る。
身体を引き裂くような、あるいは灼き融かしてしまうような、強烈な絶頂。
「あ――! あ――! あ――――――――!!」
お互いの、熱く爆ぜる秘部が、ふるえる指が、絡み合った足が、肌を彩る汗が、溢れる涙が、響く嬌声が、まるで自分のもののようだ。
長い長い絶頂。思考と意識が完全に蒸発・気化するほどの、圧倒的な多幸感を伴う絶頂。
呼吸すら止まったように、二人は硬直する――そして、唐突な弛緩。
咲夜は魔理沙の身体の上にどっと倒れ込み、魔理沙は半開きの唇から意味を成さない喘ぎを漏らす。
絶頂の余韻にすら、二人の肢体は痙攣するように震える。
無防備に投げ出された足のつま先が、ぴく、ぴくんとときおり跳ねる。
全身が弛緩するなか……無意識のうちにかどうか、二人の手は、離れていなかった。
それから、しばらくして。
咲夜の自室に用意された姿見の前で、椅子に座った魔理沙は得体の知れない緊張に身をこわばらせていた。
魔理沙の後ろに立った咲夜は、慣れた手つきで魔理沙の髪を梳いている。
「ふぅん……普段はあれだけ暴れて回ってるのに、ちゃんと手入れはしてるのね」
「当たり前だろ。花も恥らうオトメだぜ?」
「ええ、知ってるわ」
くすくす笑いながら、咲夜は櫛を置く。
用意していたリボンを手に取ろうとして、手を止める。
そのまま何も持たず、手櫛で魔理沙の髪を梳いていく。
「わ……!」
鏡越しに咲夜の行為を見て、魔理沙はうろたえる。自分の顔が見る見る熱くなるのを止められない。
首筋の辺りがぞわぞわして、でも決して不快ではなくて……。
そんな魔理沙の様子をくすくす見ながら、咲夜は魔理沙の髪の感触を味わうように、ゆっくりと指先を髪に埋める。
「綺麗……」
その小さな呟きは、魔理沙のすぐ耳元で聞こえた。魔理沙をまたさっきのぞくぞくする感覚が襲う。しかしやはりそれは不快なものではなく、むしろ恍惚をもたらすもので、魔理沙は身体がじわりと弛緩するような気がした。
咲夜が、また魔理沙の髪をひとすくい手に取った。
さらさらとその手から自分の髪がこぼれていく様を、魔理沙はぼんやりと見ていた。
なぜか、ひどくどきどきする。
そう、つい1時間ほど前の浴室での激しい行為……それよりもなお、髪に触れられるというのは……なんというか……「そういう行為」のように思えて、魔理沙はわけもなく赤面する。
「魔理沙、どきどきしてるでしょ?」
「へ!?」
いきなりそんなことを言われ、素っ頓狂な声を上げる魔理沙。咲夜はまたくすりと笑う。
「なんとなくだけど……分かるのよ」
「な、なんで……」
「だから、なんとなく、よ」
そう言って咲夜は、珍しく少し照れた風に笑って見せた。
その笑顔に、魔理沙は出所の分からない満足を覚えた。
なんとなく、へへ、と笑う。
「さ、どんな髪型がいい? 三つ編み、ポニーテール、お望みのままよ」
魔理沙は少し考えて、後ろの咲夜を振り返って言う。
「かわいいのがいい!」
咲夜はまた、くすりと笑った。
「いいわ、飛び切りかわいくしてあげる。お姫さまみたいにね」
「あ、でもあんまりかわいすぎると悪いやつにさらわれちゃうかも。メイド服着てナイフ持ってるやつとか」
「それは大変ね。さらわれたら、お姫さまはどうなっちゃうのかしら?」
「そんなの、ひどい目にあわされるに決まってるじゃんか」
「ひどい目って?」
魔理沙は伸びをするように、後ろの咲夜の首に両手を伸ばす。咲夜も察して、身を屈めてやる。
「全部そいつのものにされて、逃がしてもらえない!」
あなたの作品3作とも最高です。欲を言うともっと咲夜さんの攻めが見たかったってのはありますが
とにかく甘い咲マリが見られて良かったです。次回作も期待してますが
できればまた機会があればぜひ咲マリを。
タイトルはtemperatureだと思います
なんだこれ…
魔理沙も咲夜もかわいすぎて口から砂糖がとまらないZE☆
というか魔理沙の発言のひとつひとつが狙ってるとしか思えないww
部屋で一人のたうちまわってましたwwwww
次回作頑張ってください!
るみゃれいむ期待
普段とのギャップがいいな
銃口に眼をくっ付けて次弾を待っております。
次回作も激しく期待します。
犯罪的な甘さだ