陽が落ち、夜の帳が下りた紅魔館の長い廊下に、ゆらめくランプの灯りが一つ。
月が中天に座するこの時間こそが、夜を好む妖魅たちの跋扈するこの館の時間。
ランプの主も、またその一人。
長く伸ばした艶めく髪。その身を包むのは清楚なベストとスカート。
ふわり、ふわりと足音を立てることなく歩みを進めるその姿にあって、頭と腰のあたりから生えた滑らかな光沢をもつ翼と尻尾は異形と言うよりもむしろ、その佇まいを引き立てるアクセサリーと形容できる。
彼女――館の住人からは「小悪魔」と呼ばれている――は、まったく同じ間隔で整然と並んだまったく同じデザインのドアの一つを控えめにノックする。
ドアには表札の類はない。通い慣れているのだ。
「入りなさい」
「失礼します」
ドアの向こうで彼女を迎えたのは、ベッドに座った一人の少女だった。
今、窓を開けて風が吹き込んできたならそれだけで吹き散らされてしまう――そんな風に見えるほど儚げに見えるその少女はしかし、強大な魔力と莫大な知識をその身に秘めた魔女にして、大図書館の主。そして彼女、小悪魔と主従の契りを交わした彼女の主、パチュリー・ノーレッジ。
パチュリーが小悪魔を自室へ呼ぶのはこれが初めてではない。
理由は様々。使い魔である小悪魔への魔力の補給、魔術の実験、あるいは、ただ単に人肌恋しくて。
することは同じ。
ランプを机の上に置き、小悪魔はパチュリーの元へ歩み寄る。
「今宵は、どのようなご用件でしょう」
多少の意地悪さを含ませて、そう問う。
パチュリーは、何も言わない。
「……承りました」
今夜の理由は、三番目だ。
笑みを含ませた返事を返し、小悪魔はパチュリーの足元にひざまづく。同時にその手を取る。
生まれてこのかた一度も日光など浴びたことなどないと主張する、白磁の、というよりはむしろ青ざめた肌。
その手の甲に、そっと口付ける。
行為はいつも、この口付けから始まる。
身を起こし、ベッドに片膝を乗せる。かすかに軋むベッド。
手を伸ばし、パチュリーの頬に添える。まだ次の行為には移らない。
つ……と指先で頬をなぞってやると、視線が揺れる。
もう何度も同じ行為を繰り返しているというのに、このときに決して頬を染めるのを忘れない主が、小悪魔にはたまらなくいとおしい。
焦らすようにゆっくりと、唇を寄せる。最初は、触れ合わせるだけ。
数度繰り返してから、少しだけ深く。
舌先で誘ってやると、パチュリーもおずおずと応じる。そこが文字通り悪魔の胃の腑へ通じる道だと誰よりも分かっているのに、哀れな供物は絡め取られるのを承知の上で……否、そうされるために、少しずつ、少しずつ、奥へと歩んでいく足を止められない。
く、む……と白い喉がかすかなうめきを漏らしたあたりで、小悪魔は唇を離す。
青ざめた肌が次第次第にほのかな赤みに染まっていく様を存分に堪能した後、かるくもう一度口付けてからすっと身を離す。
細く長い指をゆっくりと胸元に伸ばし、ネクタイを解いていく。主がその様を愉しめるように、そして同じくらい自分が愉しめるように。
はらり、とネクタイをシーツの上に落とし、ベストを脱ぎ、ブラウスのボタンに手をかける。
一つ、二つとボタンを外すたびに、柔らかなふくらみの作る谷間が露になる。
全部のボタンを外し終わると、小悪魔は襟元に手をかけ、はだけたブラウスを左右に開いていく。
V字型に露になった肌が蛹が割れるように押し開かれ、すでに薄桃色に染まった細い肩が晒され、そしてブラウスが脱ぎ去られるまで、小悪魔はパチュリーから目を離さない。
その視線に当てられて、パチュリーはまだ触れもしていないはずの小悪魔の肌の幻触を感じさせられている。
乱れ始めた呼吸には甘い熱が含まれ、パチュリーは服の胸元をぎゅうっと握っている自分を自覚できていない。
するりとブラウスを脱ぎ捨てた小悪魔が上半身に纏うのは、精緻な刺繍の施された純白の下着だった。
本来神聖さや清純さを意味するはずの白という色はしかし、小悪魔の纏うにじみ出るような色香の前には、逆説的にそれを引き立ててさえいる。
ベッドの上に膝立ちになり、身をくねらせ、焦らすようにしながら器用にスカートも脱ぎ捨てる。
「さ……パチュリー様……」
ベッドに両手をついて、座ったままのパチュリーににじり寄る。
一歩進むごとに、下着に包まれた乳房が重たげに揺れる。
誘うように尻尾をくねらせながら、小悪魔はパチュリーの真正面まで来て、吐息のかかるくらいまで近くに顔を寄せる。
可愛らしく小首をかしげて、問うた。
「どうされます?」
問われたパチュリーは、わずかに視線を下げ、そして上げて、
「……して」
それだけを、ぽつりと答えた。
小悪魔の目元に甘やかな笑み。うふ……と、とろけるように、とろかすように微笑む。
「それでは……」
パチュリーの頬に片手を沿えて口付ける。
唇は離さないまま、手を頬から下ろしていく。
小悪魔の指先が胸元を掠めただけで、パチュリーは細い肩をぴくんと振るわせた。
指先はそのまま弄うように胸元をさまよい、目もやらずに服の合わせ目に蛇のような正確さで絡みつく。
微かな衣擦れの音と共に、薄いキャミソールに包まれた危ういほど細く儚げな裸身がローブの内側から暴かれた。
一滴の汗が首筋からまろやかな曲線を描く胸の谷間に吸い込まれていく。
「ぜぇ……んぶ、脱がして差し上げますね……?」
その本性を最早隠そうともしない小悪魔の瞳は、魔力さえこもったかのような蠱惑に潤んでいる。
少しでも力を入れようものなら、くしゃりと砕けてしまいそうな肩にかかったストラップに指を滑り込ませる。
つ……とすべり下ろしながら、肩口に口付ける。唇を離し際、舌先で滑らかな肌を味わう。
そのまま、る……と華奢な鎖骨に沿って首筋へと舌先を這わせると、パチュリーの肌に漣のような震えが走った。
紅を引くまでもなく赤い唇が紅潮した耳たぶを含むと、乱れ始めた呼吸を漏らすパチュリーの唇から声が漏れた。
そのときにはもう小悪魔の指はパチュリーの上半身を夜気に晒していた。
蛇が獲物に絡みつくように、小悪魔の白い五指がパチュリーの肌を這い、指先を柔らかな乳房に埋める。
はぁー……っ、と長く息をつくパチュリーの反らした喉を、ランプの揺らめく炎が艶かしく舐めていく。
少しでも力を入れれば折れてしまいそうな細い腰に、小悪魔は高価な美術品を扱う丁寧な仕草で腕を回し、より深くパチュリーを抱きしめる。
小悪魔の純白のランジェリーに包まれた豊かな乳房が、パチュリーの剥き出しになったやや小さ目のそれにぎゅうっと押し付けられ、たわむ。
パチュリーの熱を帯びた肌は染みるように温かく、小悪魔はそれだけで熱く湿った吐息を漏らした。
互いの肌の熱を確かめるように、二人はしばらくの間抱き合っていた。
それまで子悪魔の愛撫を受けるだけだったパチュリーが、小悪魔の方に向かっておずおずと手を伸ばした。
横目でそれを認め、小悪魔は甘い期待に微笑んだ。
行為の中でパチュリーはあまり能動的には動かない。小悪魔の方が技能が圧倒的に上だということもあって、大抵パチュリーは小悪魔に身を任せている。だが小悪魔はそれに少々の不満を抱いていた。
パチュリーがこういう行為における技能に疎いのは百も承知だ。その上で小悪魔は、パチュリーからの愛撫を期待している。拙さもまた妙味なのだ。
さあ、パチュリー様……どんなこと、してくれるんですか……?
胸中で囁きつつ、パチュリーの指先の動きを追う。
じれったいくらいに緩慢な動きでパチュリーの指先は空をさまよい、やがてためらいがちに……小悪魔の髪に触れた。
え、とやや拍子抜けした小悪魔の思考の隙を衝くように、パチュリーは小悪魔の良く手入れされた髪をひと房手にとり、そっと口付けた。
「あ……っ」
こういう行為に関しては百戦錬磨といっていい小悪魔にさえ想定外のパチュリーの「愛撫」に、小悪魔は呆けたような声を上げてしまった。
パチュリーの方もはっと我に返ったようになり、視線をシーツに落とす。
「あの……いや、だった……?」
まるっきり悪戯を咎められた子供のようなしおらしさで上目遣いに小悪魔を見上げるパチュリー。
小悪魔は顔中がみるみる熱くなっていくのをどうすることもできない。
沈黙。
「こあ……?」
本気で心配になったのか、パチュリーが小悪魔の顔を覗き込む。吐息がかかるほど近い。
その吐息を一息に飲み込むように、小悪魔はほとんど衝動的にパチュリーに唇を重ねた。
口付けながら、小悪魔は思う。
甘かった。分を忘れていた。使い魔如きが主に対して主導権を握っているなどと、勘違いもはなはだしい。
その証拠に、たった今、髪に口付けられただけで、自分は……。
陶然と口付けを繰り返しながら、小悪魔は背中に回されたパチュリーの手を感じ、抵抗できない多幸感を覚えた。
至近距離で合わせた主の瞳に、続きを催促する色を見て取る。当然口でなど言えるはずがない。
パチュリーのショーツに手をかけると、パチュリーは恥ずかしそうにもぞもぞと腰を浮かせた。
するりと爪先から抜き取ると、かすかに糸を引いていた。
「あ、や……」
気付いたのか、パチュリーが消え入りそうな声を上げた。羞恥にほんのり染まった頬に、何度も口付ける。
細い裸身を優しくベッドに寝かせて、覆い被さる。
舌先を、唇を、指を白い肌に這わせると、ぴくん、ぴくんと肢体を震わせる
つんと尖った胸の先端を口に含んだ時の甘い喘ぎ、それだけで小悪魔はろくに愛撫を受けていないというのに達しそうになる。
否、この主の可愛らしい反応こそが、どんなに技巧を尽くした愛撫よりも小悪魔の官能に訴えるのだ。
乳房をもてあそんでいた指を、ゆっくりと下に下げていく。指先が下に下がるにつれてパチュリーの呼吸が乱れていく。
指先がそこにたどり着くと、短い悲鳴に似た嬌声と共に腰が跳ねた。
なぞるように指先を動かすと、パチュリーは手で抑えた口元から、ふっ、ふっ、と弱々しい喘ぎを漏らした。
慎重に指先を潜らせる。波打つようなうねりから、断続的に達しているのが分かった。
それでもパチュリーは抵抗も拒絶もしない。小悪魔の愛撫に身を任せている。
「ね、パチュリー様……もっと声、聞かせてください……?」
もう片方の手でそっと口元を抑える手をどけてやると、パチュリーは恥ずかしそうに視線を揺らす。
両手を小悪魔の背中に回し、幼い子供がするようにしがみついてきた。
その手が偶然、小悪魔の背中の羽根の付け根に触れた。
「ひゃ……!」
「……!?」
突然声を上げた小悪魔に、パチュリーは目を丸くする。
小悪魔は一瞬遅れて、顔を真っ赤にした。
沈黙。二人とも見つめあったまま動かない。
そのまま数秒が経過する。
「こあ……?」
先に動いたのはパチュリーだった。
動いた拍子に、また手が羽根の付け根に触れた。
「んぅっ……!」
また声を漏らす小悪魔。
そこでようやくパチュリーは気付いた。
気付いたけれど、どうしていいか分からない。
あ、えっと……と中途半端な言葉を呟きながら、じっと小悪魔を見ている。
そしてようやく、明確な言葉を口にした。
「こあ……あ、あの……よ、よかった、の……?」
「~~~~っ!」
そんなことを聞かれて、はいそうですなどと答えられるはずがない。
だが口で答えるまでもなく、尖った耳まで真っ赤になっているのを見れば、答えは一目瞭然だ。
そんな小悪魔を見て、パチュリーまで顔を赤くする。顔を赤くしながらも、少しだけ微笑んだ。
今度はそっと、指先で背中をなぞっていく。その愛撫ともいえないような遠慮がちな感触に、小悪魔は肩のあたりがふるふるとふるえるのを抑えられない。
そのままパチュリーの指先は背中をためらいがちに滑っていき……再び羽根の付け根あたりに触れる。今度は割れ物を扱うように……大切な恋人に、触れるように。
「んぁう……っ」
声を漏らすと共に小悪魔は、不意に性的な快感とは違う感覚を覚えた。
はっきりと形容のできないその感覚は、安堵に近い感覚だった。
「きもち、いい……?」
小首を傾げながらそう聞いてくるパチュリーに、小悪魔は幼い子供のように、今度は素直に、はい……と答えた。
パチュリーはそれを見て、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。
「良かった……」
微笑んで、羽根に付け根に添えた指先を動かす。
ん、と小さな声を上げる小悪魔。
「いつも、あなたからしてもらうばかりだから。私の方からも、してあげたくて」
「パチュリー……さま」
その一言で、一気に来た。
ベッドについていた手からふっと力が抜けて、倒れこむ。
「ちょ、小悪魔っ?」
「パチュリーさまあ……」
甘えるような声で、パチュリーに抱きつく小悪魔。
そのまま、ちゅ、ちゅ、と唇といわず頬といわず口付ける。
「ちょっと、小悪魔、どうしたの?」
「だって、パチュリーさまがあ……」
「な、なに……?」
「あんなこというからあ、わたし、もお……」
そう言って小悪魔は頬をすり寄せる。
さっきまでとはまったく違う小悪魔の様子に面食らうパチュリーだったが、いつもこういうときに主導権を握っている彼女のこんな様子は新鮮だったし、たまにはこちらからしてあげたいというパチュリーの願望にもこの状況は好都合だ。
それに、自分に甘えてくれるというのが素直に嬉しかった。
パチュリーはあやすように片手で小悪魔の髪を手櫛で梳いてやりながら、羽根の付け根に手を伸ばし、指先で掻くようにこすってやる。
「はゅううん……っ!」
ぞくり、とパチュリーは背筋がふるえるのを感じた。小悪魔の嬌声に、というよりはむしろ、自分の行為が小悪魔に声を上げさせたという事実に。
今まで感じたことのない感覚。
いとおしさと支配欲とが入り混じった、それはカクテルだ。パチュリーを徐々に酔わせていく。
密着した肌からは、小悪魔のふるえが伝わってくる。自分の愛撫で、感じてくれているのだ。
「ね、こあ……もっと声、聞かせてちょうだい……?」
さっき言われた台詞をそのまま、多少の意地悪さを加えて耳元で返してやる。
悪戯するように、ふるる……とふるえる尖った耳に、軽く口付け。
「やはぅ……!」
ぴんっ、と紅潮した耳が跳ねる。
パチュリーは背中にやった手を、じっくりと時間をかけながら腰のあたりへと下ろしていく。
パチュリーの意図を察した小悪魔は目に見えて狼狽する。
「あ、や、パチュリーさま……! そこ、そこはぁ……」
だがその慌てた様子の中にも、パチュリーがそうすることを期待するような響きがあった。
その証拠に、小悪魔は意図してかしないでか、誘うように腰を揺らめかせている。そればかりか、腰のあたりに近づいたパチュリーの手に尻尾を器用に巻きつけてさえいる。
パチュリーは導かれるまま小悪魔の尻尾に指を絡め、恐る恐るといった感じでしごくように手を上下させた。
とたんに小悪魔の背中に、ぶるぶるぶるっと目に見えて分かるほどに強いふるえが走った。
「あ、あ、だ、め、ひゃう、はっ、んゅぁあああ……っ」
「こあ、こあ……いい? わたしの手、いいの? ね、いい……?」
パチュリーの手が動くたびに、小悪魔は尻尾を、腰を、電流を流されたようにふるわせる。
パチュリーもまた、小悪魔の嬌声を聞くだけで呼吸を乱し、上り詰め始める。
小悪魔の尻尾が蛇のようにくねり、シルクのショーツから染み出した蜜がぽたり、ぽたりとパチュリーの肌に落ち、つ……とシーツの上に流れ落ちていく。
がくっと力が抜けて頭を落とした小悪魔は、はぁ、はぁ、と息をつきながらもパチュリーの肌にじっとりと浮き始めた汗を舐め取っていく。
そんな小悪魔の仕草が無性にいとおしくて、パチュリーは小さな子供にするように頭を撫でてやる。蝋が溶けるように小悪魔の肢体は弛緩し、パチュリーにしなだれかかる。
「パチュリーさまあ、もっとお……」
「うん……じゃあ……」
パチュリーは身を起こして膝立ちになる。パチュリーの意図を理解しシーツの上にあお向けに寝転がる小悪魔。腰を捻って尻尾をパチュリーに向ける。
ゆらゆらと左右に揺れる尻尾に優しく手をかけ、指先でなぞる。
中ごろのやや太い部分からハート型の突起のついた先端にかけてゆっくりとなで上げると、小悪魔は途切れ途切れに喘ぎを漏らす。
「こあ、なんだか、可愛い……」
「んぅ、ん、はぁー……っ、パチュリーさま、が……やさしく、して、んっ、くれる、か、らああ……」
「ふふ……だってこあは、わたしの大切な……」
そこまで言って、パチュリーは不意に言葉と愛撫を途切れさせた。
「……?」
ふいに途切れた愛撫に、小悪魔はとろんとした視線をパチュリーに向ける。
パチュリーはふっと微笑んで……尻尾の先端を口に含んだ。
「っや……!」
尻尾の先端を上下から挟み込む柔らかな唇、そしてかすかに触れる舌先の感触に、小悪魔は体の中心から溶けて流れてしまうかのような感覚を覚える。
激しい快感ではなく包み込まれるような緩やかな快感に、小悪魔の言動はとろけ始め、幼くなっていく。
「んにぅ、ふゃ、ぱ、ちゅり、さまあ……しっぽ、しっぽに、もっと、んっ、ちゅーして……」
「うん……もっと可愛いところ、見せて……」
子供をあやすように、優しく尻尾を撫でてやると、小悪魔は猫のように目を細めて甘えた声を上げる。
その様子が可愛らしくて、パチュリーは尻尾に添えた手をつ……と滑らせながらその先端を舌先で舐めてみる。
途端、小悪魔が身体を跳ね上げた。背中がシーツから離れ、弓なりに反る。
取れたての魚のように、小悪魔の尻尾がパチュリーの手の中で踊る。
「んにゃううぅん……っ!」
ぐぐっ、と小悪魔の肢体が硬直し、そして弛緩する。どっとベッドに倒れこんだ小悪魔の胸が激しく上下する。
はっ、はっ、と乱れた呼吸の下から、かすかに自分の名前を呼ぶ声を見つけて、パチュリーは胸中に暖かなものがこみ上げるのを感じた。
手の中でくたりとなった尻尾に、もう一度口付ける。
小悪魔の呼吸が収まるまで、優しく髪を撫でてやった。
「小悪魔、今度は一緒に……ね?」
そう言いながら、パチュリーは指先を小悪魔のショーツに這わせる。じっとりと濡れ、熱くなっている。
「はい……パチュリー……さま……」
余韻にふるえる唇が、夢幻の淵をさまよう口調で、返事を返した。
「嬉しかった」
「え……?」
何度目かの行為が終わり、けだるげにベッドに投げ出した小悪魔の手に、パチュリーが指を絡める。
行為の余韻もあってか、パチュリーの言葉の意味を十分に咀嚼できていない小悪魔に、パチュリーは柔らかく微笑んで見せる。
「わたしから、してあげられて」
「……っ!」
赤くなる。
「よかった?」
「~~~っ!」
さらに赤くなる。
その赤くなった頬に唇を寄せて、パチュリーはかるく口付けた。
「かわいい……」
「……いじめてるんですか、もしかして」
「さあ?」
「もお……今日のパチュリー様はなんだかいじわるです」
「いいじゃない、たまには。いつも私のこと、あんなにいじめてるんだから」
「あれはパチュリー様がお望みなんじゃないですかー」
「ふふ……」
微笑むパチュリーに、小悪魔も釣られて微笑む。
かなわないな、と、小悪魔はもう一度思った。
うれしくって甘えちゃう小悪魔可愛い
至福のひと時をありがとう
ぱちゅこあ好きの俺には最高すぎる作品でした!!
やっぱレベル高い作品作る人は童貞作からやってくれてるな・・・